更新日:2024/12/09
この記事のまとめ
金融業界は、転職先としても人気の業界ですが、実際の仕事内容について詳しく知らないという方もいるでしょう。金融業界にはさまざまな業種や職種があり、仕事内容もそれぞれ異なります。
ここでは、金融業界の業種や職種のほか、求められるスキルについてまとめてご紹介します。
目次
金融業界とは、事業として金融を行う金融機関や企業などが属する業界のことを指します。そもそも金融とは、「お金を持っている人が、お金が必要な人に対して融通する」という意味を持つ言葉です。
お金の貸付以外にも、金融商品や保険の販売など、お金に関わる仕事が広く金融業界と呼ばれています。個人や法人にお金を貸し出してその利子を得たり、先に資金を集めて運用し、いざというときに出資者にお金を支払ったりするのが主なビジネスモデルです。
それでは金融業界に属する業種について、そのビジネスモデルと提供するサービス内容を詳しく紹介していきます。
主に、顧客から預かったお金を、個人や法人に利息をつけて貸し出すことで利益を上げているのが、銀行のビジネスモデルです。
銀行は、対象とするターゲットやエリア、規模、仕事内容などによって、「メガバンク」「地方銀行」「信託銀行」「信用金庫(信用組合)」の4つに分類することができます。
メガバンクとは巨大な収益規模や資産を有する銀行・銀行グループのことで、大企業に多額の融資を行うこともあります。
地方銀行とは、地域に根差した金融活動を行う銀行のことです。地方銀行は、主に本店が所在する地域の有力企業や中小企業などを対象に、融資を行います。
信用金庫とは、中小企業・個人の会員からお金を集めて、集めた資金などをもとに、会員や会員以外の顧客に融資を行います。
信託銀行は、現金や不動産、証券といった顧客の財産を「信託」という形で引き受け、管理・運用を行います。
証券会社の主なビジネスモデルは、投資家が株式や投資信託といった金融商品を購入する際の仲介を行うことで仲介手数料を得たり、株式の運用を行うことで利益を上げたりすることです。
証券会社には、全国に店舗を持っている証券会社と、オンラインでの取引仲介を行うネット証券の2種類があります。近年は、店舗のある証券会社もオンラインで取引ができるサービスに注力しています。
保険は、加入者から集めた資金を元に、加入者が病気やケガなどの被害に遭った際に保険金を支払うという制度です。加入者が支払う保険料と、その運用益で利益を上げるのが、保険会社の主なビジネスモデルです。
保険会社は、被保険者の生死に関するリスクに備える「生命保険」を取り扱う生命保険会社と、物品の損害リスクに備える「損害保険」を取り扱う損害保険会社の2種類に分けられます。
なお、医療保険やがん保険など、生命保険会社と損害保険会社、両方が取り扱う保険商品もあります。
クレジットカード会社は、カードを支給して手元にお金がなくても商品が買えるというサービスを提供しており、利用者とカードの加盟店両方から利益を得るのがビジネスモデルです。
利用者からはカードの年会費や、分割・リボ払いなどの手数料をもらっています。一方加盟店からは、カードが利用されるごとに一定の加盟店手数料を集めて収益につなげています。
信販会社のビジネスモデルはクレジットカード会社に似ています。ただし、信販会社はクレジットカードによる収益以外にも、ローンなどあらゆる信用取引を取り扱っています。クレジットカードが会社に比べて、融資の範囲が広い点が違いです。
政府系金融機関は、国内の経済発展や中小企業の活動を支援するために、政府によって設立された銀行です。政府が出資金の全額、もしくは一部を負担していることから「政府系金融機関」と呼ばれ、一般の銀行と区別されています。
ビジネスモデルは一般の銀行と同様です。融資したお金の利子を得たり、投資のリターンを得たりすることで、収益を上げています。
不動産金融は、土地や建物を担保として、資金を貸し出す仕組みです。また、不動産を証券化し、投資家の資金を集めてその不動産の運用もしています。
不動産と金融を合わせた商品を扱う業界であると理解するとわかりやすいでしょう。
リースとは器具や設備を長期的に貸し出すサービスです。リース会社は最初に自社で商品を調達し、顧客からリース料を受け取ることで利益を上げています。
レンタルサービスに比べて、貸し出し期間が長いのが特長です。一般にリースでは、貸出期間が半年〜10年ほどとなっています。企業側は初期費用をおさえて設備を導入できるのがメリットです。
なお、リースには原則中途解約できない「ファイナンス・リース」と、必要な期間だけ利用できる「オペレーティング・リース」の2種類があります。
アセットマネジメントは、個人や機関投資家がもつ資産の管理運用を代行するサービスです。大きく分けると、「投資信託」と「投資顧問」の2種類のサービスがあります。
投資信託では、投資家からお金を預かり、実際にさまざまな資産に投資します。そして、投資信託の購入時手数料や、運用費用で利益を上げるモデルです。
一方、投資顧問は、投資家に対して投資先や売買のタイミングなどを助言するサービスです。年会費を集めたり、成功報酬を設定して利益を上げています。
金融業界の職種にも、いろいろなものがあります。続いては、金融業界の主な職種をピックアップして仕事内容をご紹介します。
金融業界にとっても、他の業種と同様、営業職は重要なポジションであるといえるでしょう。
個人向け営業では、資産運用についてのアドバイスや金融商品の提案、法人向け営業では、融資の案内や資金繰りのアドバイスなどを行います。
証券会社や保険会社の個人向け営業の場合、ノルマが課せられることもあり、成績次第でインセンティブを得られるのが一般的です。さらに細かく職種を見てみましょう。
ホールセールは金融営業の中でも大企業や自治体など、いわゆる法人を相手にした営業職です。企業・自治体の事業推進に携わり、資金調達や運用、M&Aの仲介などの業務を行います。
ホールセールは顧客の規模が大きくなるため、海外とのやり取りも多くなります。国外の商品や金融に関する知識も必要となる点が特徴です。
リテールは、個人や中小企業など、比較的小規模な顧客を対象に営業を行う仕事です。窓口や銀行などの支店で、資産運用や住宅ローンの相談を受ける業務を行います。
リテールの場合、意思決定者が相談者個人になることがほとんどです。そのため、個人のニーズに合わせたきめ細かな対応力や、相手の理解度に合わせてわかりやすく説明する能力が求められます。
総務、労務、人事などのバックオフィスと呼ばれる職種は、主にデータの管理や電話対応、書類の整理といった営業部門やマーケティング部門のサポートを行います。
金融業界においても、バックオフィスは収支管理などの重要な役割を果たす職種です。こちらも具体的な職種を紹介します。
保険外交員は、保険会社や代理店で保険契約の勧誘を行なったり、契約後のサポートをしたりする仕事です。
保険を勧めるだけでなく、保険料の支払い相談や契約内容の手続きなど、加入者の対応を長期に渡って担当します。顧客とコミュニケーションを取り、要望に合わせた新しい提案や不安を解消する必要があります。
金融事務は、銀行や証券会社などで金融に関する事務作業を担当する職種です。窓口や電話での顧客対応や、文書作成など事務業務全般に携わります。
見積もり・契約書の作成や顧客への送金も行うので、正確に作業を行う能力が求められます。丁寧な仕事ができる人に向いている職種といえるでしょう。
その他、金融業界ならではの専門職もあります。ここでは8つの職種についてご紹介しましょう。
ファイナンシャルプランナーは、個人の資産運用に関する助言を行う資格を持った人を指します。
フリーランスとして活動するファイナンシャルプランナーも存在しますが、金融業界に勤める営業が、ファイナンシャルプランナーの資格を保有して仕事に役立てるというケースも多くあります。
プライベートバンカーとは、企業の経営者を対象に、事業・資産承継や相続を支援するために包括的な金融サービスを提案して支援する専門家のことです。
プライベートバンカーは、富裕層向けの資産運用サービスを行っている銀行などに勤務します。日本のメガバンクの中には、プライベートバンカーが勤務しているところもあります。
証券アナリストとは、金融情勢に関するさまざまな情報を収集・分析する金融の専門家のことです。
政治や国際情勢、新たな技術など、経済に関連してくる情報を幅広く集め、今後の経済の動向や企業の将来性などについて予測します。証券アナリストは、証券会社や金融機関の社員として働くのが一般的です。
ファンドマネージャーとは、顧客から預かった資産を元に運用を行い、利益を上げる金融の専門家のことです。
莫大な資金を取り扱うことになるため、さまざまな情報を基に、将来有望な企業や国などを見定めて投資を行う必要があります。ファンドマネージャーは、投資信託会社などの運用会社に勤務するのが一般的です。
ディーラーは金融機関が集めた資金を元に株式や為替の売買を行って利益を上げる仕事です。ディーラーは実際に自らの判断で取引を行うのが特長です。
自らの売買により収益をあげなければ、顧客に利益を還元できません。失敗が続くと失職する可能性もあり、常にプレッシャーのなかで業務を行うことになります。
トレーダーは、顧客の注文を受け、株や債券の売買取引を行う仕事です。トレーダーは顧客やポートフォリオマネージャーなどの指示に合わせて取引を行います。これが、自らの判断で取引するディーラーとの違いです。
エコノミストは、日本や海外の景気や金融市場の動向について情報収集や分析・予測を行う仕事です。勤務先は金融機関のほか、官公庁やシンクタンクなどもあります。
個々の銘柄の予測ではなく、経済状況全体の予測を行うので、マクロな視点が求められます。統計解析などの数値分析のスキルに加え、常に最新の情勢を把握する必要があり、高い専門性が必要な仕事です。
アクチュアリーは金融業界で、保険料率や支払い保険金額の算定など、数理業務を行う専門職です。統計・確率などの数学的な手法を用いて、保険や年金に関わる問題を解決します。
アクチュアリーを名乗るには、「アクチュアリー資格試験」に合格しなければいけません。合格率は10%前後の難関資格であり、金融系の職種の中でも特に高い専門性が求められます。
金融業界で求められるスキルは、金融機関や企業、職種によっても異なります。続いては、金融業界で求められる主なスキルを3つご紹介します。
特に、金融業界の営業を目指すのであれば、コミュニケーションスキルは必須です。個人にせよ法人にせよ、顧客のお金を預かることになる仕事ですから、円滑なコミュニケーションを図ることで、顧客とのあいだに信頼関係を構築することが重要となります。
近年は、銀行、証券、保険、全てにおいて、インターネットを通した取引に力を入れる会社が増えています。また、関連する法改正なども随時行われています。
このように金融情勢は、日々刻々と移り変わっています。そのため、状況の変化に対応できる柔軟性や、新しい知識を積極的に取り入れる姿勢も、金融業界で活躍していくためには大切な要素といえるでしょう。
金融業界の業務は、ノルマが課せられたり、顧客からクレームを受けたり、ハードであるといえます。また、プレッシャーや仕事内容に耐えられずに、早期離職してしまう人もいるでしょう。
ですから、金融業界で長く活躍するためには、強い忍耐力が必須です。
金融業界では現在、AIを利用した業務のオートメーション化が進められています。これまでは人力で行っていた仕事についても、今後、どんどん機械化が進んでいくと考えられるでしょう。
また、金融業界では、海外進出も進んでいます。
例えば、大手保険会社は、少子高齢化により契約数が減少するリスクに備えて、海外の現地保険会社との業務提携や、M&Aなどを通じた海外事業基盤の拡大を進めています。
金融業界は転職先として人気が高く、難度が高いといわれますが、企業や職種によってはスキルを活かすことができるでしょう。金融業界に転職したいけれど、実績やスキルをどのようにアピールすればいいかわからないという方は、マイナビ金融エージェントにご相談ください。
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