更新日:2024/07/16
志望動機は業界や企業、仕事内容をきちんと理解していないと、中身の薄い形式的なものになりがちです。特に転職の場合、志望動機が弱いと「今の仕事に対する不満が転職理由なのではないか」と受け止められる恐れがあります。とはいえ、具体的な書き方がイメージできないという方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、人気の高い金融業界にスムーズに転職するために、知っておきたい志望動機のポイントを紹介します。志望動機の考え方が分かれば、自分らしい志望動機が書けるでしょう。
目次
会社に入って成し遂げたいことや取り組みたい仕事、業界の比較、会社選びの基準を軸に考えると、論理的で一貫性のある志望動機になります。金融業界には複数の業種があり、業態や職種も多様です。志望する企業の特徴を把握し、「なぜその企業・職種なのか」ということが明確に伝えられる志望動機を心掛けましょう。
商品やサービスを提供するメーカーや流通業と比べて、金融業界の活動ははっきりと目に見えません。しかし、経済活動の血液ともいわれるお金の流れを支えているのが金融業界で、国や企業、人々の生活を支える重要な役割を担っています。
こうした点を理解したうえで、「お金そのもの」を取り扱う金融業界でなければ達成できない志望動機を明確にするのがポイントです。
金融業界に数多くある企業の中から、「なぜその企業を志望したのか」を明確にするには、丹念な企業研究が欠かせません。
志望する業種や業態の企業について比較検討し、経営理念や事業内容、社会や地域に対する貢献といった特徴をしっかり把握しましょう。志望動機では、企業の強みや理念、事業内容のどのような点に魅力を感じたのかを自分の言葉で整理することが大切です。
すばらしい志望動機を持っていても、仕事で役立つ人材でなければ企業にとって採用する意味がないでしょう。自分は何ができ、企業にどのような貢献ができるのかをアピールすることが大切です。性格や志向、経験や実績を客観的に分析し、強みを生かせる仕事について考える必要があります。
また、単に経歴から実現可能なことをアピールするだけでなく、業界・企業の特徴や魅力を踏まえて自分が「成し遂げたい」と思った理由を明確にするとよいでしょう。
志望動機は、シンプルで分かりやすい構成のほうが読みやすく内容もよく伝わります。収集した情報や自己分析に基づいて、「志望動機→具体的な理由→入社後にどうなりたいのか」の順で、伝えたいポイントを明確にして書きましょう。
また、内容とともに文章として問題がないかどうかチェックします。第三者に読んでもらったり校正ツールを利用したりして、助詞(て・に・を・は)や接続語、文体(です・ます調)など、細部までしっかり確認することが大切です。
ひと口に金融業界といっても、業種によってできる業務や得意とするサービスは異なります。志望動機もそれぞれの特徴を把握して作成しなければなりません。ここでは、「銀行業界」「証券業界」「保険業界」に分けて、志望動機を作成する際のポイントを紹介します。
銀行には「都市銀行」「地方銀行」「信託銀行」の3種類があります。銀行の種類別に、志望動機のポイントを説明しましょう。
証券会社は株式やFXといった投資商品を販売するだけでなく、株式や社債を発行することによって、企業の資金調達面でも重要な役割を担っています。
銀行との違いや投資の有用性・リスクについてしっかりと理解をしたうえで、証券会社が社会に貢献できることや自分がどのように関わりたいのかを明確に伝えるのがポイントです。
保険の種類は、病気やけがに備える「生命保険」と自然災害や事故による損害・損失に備える「損害保険」の2つです。共通しているのは「リスクに備えて個人や企業に安心を提供すること」ですが、企業それぞれに得意とする分野や商品があり、社風も異なります。
銀行や証券会社との違いをきちんと把握し、保険会社にしかできないことが自分にとっていかに重要かを明確にするのがポイントです。そのうえで、企業の特徴と自分がやりたいことを関連づけるとよいでしょう。
業界や企業のよいところに着目したつもりでも、マイナスイメージを持たれることがあります。望ましくない点をしっかりと見極めて、志望動機をより良いものにするために役立てましょう。ここでは、金融業界ではNGの志望動機を紹介します。
金融業界を志望する方がよく使う言葉に、「経済を動かしたい」「経済発展に関与したい」といったものがあります。経済活動に金融は不可欠ですが、志望動機としては評価されにくいでしょう。金融業界だけが経済活動に関わっているわけではないためです。
志望動機として「経済を回したい」しか挙げないと、採用担当者は「金融業界でなければならない理由が希薄」と受け止めるかもしれません。納得してもらうには、金融業界の具体的な業務と結びつけるといった工夫が必要です。
金融はお金を取り扱う業種であるため、数字に強いことがアピールになると考える方もいます。数字に弱いよりは強いほうが望ましいですが、実際の業務ではコンピューターを使うため、四則演算はもちろん金利計算の能力を求められることもありません。
単に数字に強いのではなく、財務諸表の分析や作成といった実務に使える具体的なスキルでなければ、人事担当者の興味を引くのは難しいと考えたほうがよいでしょう。
給与や福利厚生といった待遇の良さから金融業界を目指す方は少なくありません。待遇の良さが長期間にわたって働くモチベーションになるのも確かです。しかし、志望動機として待遇にフォーカスすることは決して好ましくありません。
志望動機の大きな理由として待遇を挙げると、人事担当者が「仕事にはあまり関心がないのではないか」「待遇の良い企業があればすぐに転職を考えるのではないか」といった疑念を持つ恐れがあります。志望動機では、業界や企業、仕事に対する熱意をアピールすることを心掛けましょう。
金融業界に転職する場合の志望動機の例文を「都市銀行」「地方銀行」「証券会社」「生命保険会社」「損害保険会社」に分けて紹介します。同じ金融業界でも、業種の違いによって求められる人材は異なることを意識しましょう。
銀行で働きたい理由のあとに、それぞれの銀行の特徴や魅力を伝えて、最後に自分がやりたいことをアピールしましょう。
【例文】
私が銀行業界を志望したのは、日本の産業界を金融面から支え、日本経済の発展に貢献する一員になりたいと考えたからです。
中でも貴行は、国内トップレベルの銀行として多くの企業から信頼され、国際的な競争力を持っています。グループ会社や海外ネットワークを活用することにより、お客様により多くの付加価値が提供でき、他行とは違うオンリーワンの提案ができると考えました。
入行後は、これまでの経験を生かして自ら積極的に行動を起こし、貴行の一員としてお客様の課題を解決できるよう取り組んでいきます。
地域と密接に関わる地方銀行の場合、銀行を目指す理由と併せて、自らの体験を交えながら書くとよいでしょう。
【例文】
金融を通じて私を育ててくれた地元の発展に寄与したいと考え、志望しました。この地域にある中小企業や個人商店の多くが長年にわたり貴行と取引をしており、信頼関係が築かれています。
私も小さい頃から街中を自転車で行き交う貴行の社員を目にし、ときには温かい言葉をかけていただいた思い出があります。私もその一員となり、生まれ育った地元に恩返しがしたいと考えています。
入社後は、サークル活動やアルバイトの経験で培ったコミュニケーション力とフットワークの軽さを生かして、リテール営業として活躍するのが希望です。
金融業界の中でも、証券会社でしかできないことを志望動機とするとよいでしょう。問題提起しながら、自分がやりたいことを具体的に伝えるのがポイントです。
【例文】
年金不安といった問題が叫ばれる中、これからの時代は個人による積極的な資産運用が欠かせないと考え、証券業界を志望しました。中でも貴社は株式投資以外にもさまざまな投資商品をラインアップしているのが強みで、より多くの人たちに充実した生活を送るための提案ができると考えました。
私が投資の有用性を感じたのは学生時代にゼミの研究で、定期預金による貯蓄とファンド積立投資の比較シミュレーションをしたときです。期間が長くなるほど大きな差が生まれることが分かりました。
現状はリスクの説明や理解が十分でないため、資産運用に不安を感じる人が多いのも事実です。私はリテール営業として、投資や資産運用について分かりやすく伝えながら、お客様一人ひとりのライフスタイルに沿った商品・サービスを提供したいと考えています。
生命保険会社ならではの志望動機だけでなく、志望企業の魅力も伝えます。自分の体験を絡めると、採用担当者により響くでしょう。
【例文】
金融の中でも、より個人や家族に寄り添う形で人々を支えたいと考え、生命保険業界を志望しました。そう考えるようになったのは、父親が突然亡くなった高校時代の友人が、生命保険によって無事に大学を卒業できたことが強く印象に残っているからです。
中でも貴社は、新しい保険商品の開発や関連サービスの展開に積極的で、変化の激しい時代でも常にお客様に最適なサポートを提供できると考えました。また、私はコミュニケーション力が自分の強みと考えており、チームワーク重視の社風を持つ貴社であれば、その能力が最大限に発揮できると感じ、志望しました。
損害保険会社の必要性を強く訴えたあと、それぞれの会社の特徴や魅力を伝え、自分がやりたいことを実現できる会社であることを伝えるとよいでしょう。
【例文】
私は、これまでにない自然災害が発生したり、突発的な事故に巻き込まれたりするリスクが高まっている現代の日本には、人々の生活を経済面から支える損害保険が不可欠と考えています。
その中でも貴社は、新商品の開発や顧客サポートの充実に力を注いでおり、新たなリスクが発生した場合でも、お客様に寄り添った柔軟な提案ができると考え、志望しました。
入社後は、これまで培ってきたコミュニケーション力とプレゼンテーション力を生かし、より多くの人に損害保険の仕組みと魅力をわかりやすく伝え、安心を実感していただける仕事に就きたいと考えています。
金融業界はほかの業界と比べて給与などの待遇が良いので、高いモチベーションを持って長年にわたり活躍できると考えました。福利厚生も充実しているため、将来的にも安心して働けると感じています。
私は、生まれてから大学卒業するまでこの地域に住み、数多くの方々にお世話になりました。転職にあたって、これまでいただいた恩を返したいと考え、地域貢献を軸に企業選びをしました。その中で、貴社の発展に尽力することが地域貢献にも通じると考え、志望しました。
私は、企業活動や人々の生活を支える仕事がしたいと考え、貴社を志望しました。現代社会において最も重要な要素のひとつであるお金を、プロフェッショナルとして取り扱い、企業活動や人々の生活を支える仕事ができるのは金融業だけだと考えています。
時間が限られる面接では、必要なポイントを簡潔に伝えつつ、面接官とうまくコミュニケーションをとることが求められます。「面接だと緊張して自分の考えが伝えられない」という方は、事前にコツを押さえることが大切です。ここでは、面接で志望動機を伝える際に心掛けたいポイントを3つ紹介します。
エントリーシートや履歴書に志望動機を記入する際は結論から書くのが基本です。面接の場合、書面に記載するのと同等か、それ以上に結論から始めることが重要になります。最初に結論を話すことで、面接官に企業や仕事に対する熱意を明確に伝えられるためです。
最初に結論を伝え、面接官の質問に応じて理由を説明する形で簡潔な会話のキャッチボールができれば、コミュニケーション能力のアピールにもなります。順を追って説明し、話がダラダラと長くなることは避けましょう。
志望動機を伝える際の重要なポイントは、志望度の高さをアピールすることです。「内定を出したら本当に入社してくれるのか」ということを、採用担当者は重要な判断基準として考えています。面接では「内定をもらえたら必ず入社する」という意欲を伝えましょう。
優秀な人材と評価して内定を出しても、入社してくれなければ会社にとっては意味がありません。優秀な人材でも志望度が低いと判断すれば、内定を出さない場合があります。
志望動機は、面接の中でもかなり重要な要素です。志望動機の内容や理由として挙げた企業の理念や活動について、より突っ込んだ質問をされることがあります。
スムーズに答えられないと志望動機の本気度を疑問視される恐れもあるため、あらかじめ質問されそうな内容を検討し、準備することが大切です。質問に備えることは、志望動機の完成度を高めることにもつながります。
志望動機は、応募書類でも面接でも非常に重要視される項目です。応募者の会社や仕事に対する理解度や転職に対する熱意が表れるためです。金融業界は複数の業種に分かれているうえ、同じ業種の企業でも得意とする分野や商品に特徴があり、社風も異なります。
企業の特徴を的確に把握したうえで、自分の経験やスキルをうまく組み合わせて志望動機を作成することが、スムーズに転職活動を進めるポイントです。マイナビ金融エージェントを活用して、アピール力がある完成度の高い志望動機を作成しましょう。
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