更新日:2022/08/25
金融業界で役立つ資格にはさまざまな種類があります。しかし、具体的に取得したほうがよい資格が分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、金融業界に関する資格の種類や特徴、転職に役立つ資格を紹介します。資格を取得することにより、銀行や証券会社への就職や転職に有利になるだけでなく、普段の生活でも役に立つでしょう。金融業界への転職を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
これから金融業界に関する資格取得を目指している方は「どのような資格があるのか」「自分の目的に合った資格なのか」を事前に把握しておくとよいでしょう。難易度や取得に要する時間も変わるため、適切な資格選びが重要です。ここでは、金融業界の資格の種類や難易度について解説します。
金融業界の資格は「業務独占資格」「企業で働くために必要な資格」「知識の習得や転職に有利な資格」の3つに分けられます。業務独占資格は国家資格の分類のひとつで、資格を持っている人だけが独占的に業務を行える資格です。金融業界では、税理士や公認会計士が業務独占資格に該当します。
また、業務独占資格とは別に、企業で働くために必要な資格もあります。金融商品の販売営業には証券外務員の資格が必要です。ほかにも、ファイナンシャルプランナーや日商簿記などを取得することで、就職や転職活動に有利になる資格もあります。
金融業界にはさまざまな資格があり、中には一定期間の実務経験が必要なものや、技能検定のように資格を取得するために必要な資格もあります。難易度の高低差は幅広く、難易度が低ければ転職に不利、難易度が高ければ有利とは限りません。資格取得には膨大な勉強量や時間を要するものもあるため、目的に合わせて適切な資格を選ぶことが大切です。
資格を取得することで金融業界への転職が有利になるだけでなく、キャリアアップにつながったり資格手当がついたりといったメリットがあります。また、転職先によっては、業務を行ううえで特定の資格が必要になることもあるため注意しましょう。ここでは、資格を取得するメリットについて詳しく解説します。
資格を取得することは専門知識の証明やアピールポイントになり、転職やキャリアアップで有利になります。また、業務独占資格や特定の資格がなければ業務を行えない仕事もあるため、転職先に求められる資格を選ぶことが重要です。
とはいえ、金融業界にはさまざまな種類の資格があります。どの資格を取得すればよいか迷ったら、ファイナンシャルプランナーや日商簿記といった、汎用性の高い資格を選ぶのも選択肢のひとつです。
金融業界に限らず、資格を持っていれば資格手当が支給される職場があります。資格は専門知識の証明になるため、積極的に資格を取ってアピールするとよいでしょう。
金融業界の資格は幅広く、転職先の業務に生かせる資格を取得するのがポイントです。企業によっては資格取得に必要な教材費を負担してくれるところもあります。給与アップを目指している方は積極的に資格を取るとよいでしょう。
金融業界の資格にはさまざまな種類があり、ステップアップしたいのか、独立や海外勤務を目指すのかで取得したほうがよい資格も変わります。また、一定の実務経験や学歴といった受験資格を満たさなければ受けられない資格もあるため注意しましょう。ここでは、資格選びのポイントをケース別に紹介します。
税理士やファイナンシャルプランナー1級のような特定の資格には、一定期間の実務経験が必須です。一方、実務経験がなくても取れる資格もあるため、受験要項をしっかりと把握して取得を目指しましょう。
金融業界の資格の難易度はさまざまですが、比較的合格率が高い資格を優先的に取るのがポイントです。特に、取得に時間を要しない資格を選べば、短期間で複数の資格取得を目指せます。知名度が高い資格であれば、勉強方法やコツといった情報がネット上にあるため、未経験でも挑戦しやすいでしょう。
現在勤めている職場でステップアップを目指すのであれば、すでに取得している資格の上位の等級を取得するとよいでしょう。たとえば、簿記検定やファイナンシャル・プランニング技能検定のように1級〜3級に分かれている資格です。
上位資格はより専門的な知識を求められ、難易度が高く合格率は低くなりますが、その分企業へのアピールや評価につながります。勤務先によっては資格を取得するために必要な受験費用や研修費を負担してくれる場合があるため、確認してみるとよいでしょう。
独立や開業を目指す方は、信頼性に長けた国家資格を取得するのがポイントです。中でも、業務独占資格を取得していれば、独立開業に有利になります。また、ファイナンシャルプランナーや中小企業診断士といった資格もおすすめです。
海外勤務を目指すのであれば、TOEICやIELTSのような語学関連の資格を取得するとよいでしょう。海外で金融関連の仕事に就きたい場合、米国公認会計士や米国税理士といった資格があると有利です。
金融業界といっても職種によって業務内容は多岐にわたります。中には、難易度が高く受験資格が必要な資格もあるため、自分が目指している職種に合わせて適切な資格を選ぶことが重要です。また、試験に合格しても、登録するには一定期間の実務経験が必要になるケースもあるため注意しましょう。ここでは、金融業界への転職に役立つ資格を紹介します。
ファイナンシャル・プランニング技能検定は、税・年金・投資・不動産といったお金に関する幅広い知識の検定資格です。1級〜3級に分かれており、それぞれ学科試験と実技試験があります。3級は合格率が高く比較的簡単といわれていますが、級が上がるにつれて難易度が高くなるため、しっかりとした準備が必要です。
試験は日本FP協会と金融財政事情研究会の2つの団体が実施しています。どちらで申し込んでも学科試験は同じ内容が出題されますが、実技試験は試験内容が異なるため注意しましょう。合格率は日本FP協会のほうが高い傾向があります。金融財政事情研究会の実技試験は、特定の分野を選ぶ形式のため難易度が高いものの、より実践的な知識を得られるでしょう。
日商簿記検定は、企業の経理や会計担当、公認会計士、税理士を目指す方に役立つ資格です。取得することで、経営管理や経営分析といった企業から求められるスキルを習得できます。
簿記初級・3級・2級・1級があり、級が上がるごとに難易度が上がるため入念な対策が必要です。1級を取得すれば税理士試験の受験資格を得られることから、公認会計士や税理士を目指している方の登竜門ともいえます。
ちなみに、令和3年2月28日に実施された試験の合格率は、1級が7.9%、2級が8.6%、3級が67.2%です。2級から急激に難しくなりますが、その分、実践的なスキルが身につくでしょう。
アクチュアリーとは、保険・年金・企業の資産運用といった数理業務のプロフェッショナルとして、さまざまな職場で活躍する資格です。統計学を駆使し、保険商品や金融商品を設計します。アクチュアリーを取得している方は少ないため、企業から重宝されるでしょう。
第1次試験と第2次試験に分かれており、第1次試験では「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」および「会計・経済・投資理論」の5科目から選んで受験します。5科目すべて合格した方のみ第2次試験に進める仕組みです。
高等専門学校の卒業者や大学3年以上の者といった受験資格があり、誰でも受験できるわけではありません。また、合格率の平均が第1次試験で15%〜20%という難関資格です。準会員になるのにかかる平均年数は約5年で、正会員になるには約8年と長い時間をかける必要があります。
ビジネス会計試験は、財務諸表に関する知識や分析力といったビジネスパーソンに必須の知識が身につく資格です。会計情報を通じて企業の状況を把握し、分析に役立てられます。
試験は1級〜3級に分かれており、3級と2級はマークシート方式、1級はマークシート方式および論述式です。試験内容は、財務諸表の構造や読み方のような基礎知識から会計情報に関する知識や財務諸表の分析まで幅広くあります。
必要な受験資格はなく、どの級からでも受験可能です。また、2つの級を同時に受験しても構いません。令和3年3月14日に実施された試験の合格率は、3級が67.7%、2級が51.5%、1級が24.4%で、2級までは比較的難易度が低いといえるでしょう。
電子会計実務検定とは、パソコンソフトを用いた電子会計スキルを問う検定試験です。電子会計システムを導入している企業で活躍できるため、金融業界の就職や転職に役立ちます。
試験では「弥生会計」「勘定奉行」「会計王」「PCA会計」の4つの会計ソフトが用いられ、1級〜3級のどの級からでも受験可能です。1級は電子会計情報を活用して経営に携わる者、2級は会計実務および財務責任者、3級は企業の経理担当者や一般社会人、学生を対象としています。
受験資格がなく誰でも受験できますが、簿記の会計の知識に加えてソフトの活用方法や分析力が求められるため、簿記の理論や知識を学んでおいたほうがよいでしょう。
所得税法能力検定とは、所得税における税務処理の知識や計算を問う検定試験です。源泉徴収や確定申告、税務署への提出書類作成など、個人事業主や新入社員が身につけておきたいスキルが学べます。
試験は1級〜3級があり、各級とも全科目100点満点中70点以上が合格ラインです。所得税の仕組みや給与所得金額の計算法令、源泉徴収に関する文章問題や計算問題が幅広く出題されます。受験資格は必要ありません。
令和3年2月7日に実施された試験の合格率は、3級が約84%、2級が約83%、1級が69%で、比較的取得しやすい資格といえるでしょう。
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題や企業戦略について診断やアドバイスをする専門家です。経済産業大臣が登録する国家資格に該当します。経営コンサルタントを目指している方は取得したほうがよいでしょう。
中小企業診断士になるには、まず第1次試験に合格しなければなりません。その後、第2次試験に合格して実務経験や補習を受ければ登録できます。第2次試験を受けず、養成機関が実施する養成課程を修了することで登録も可能です。
令和2年度に実施された試験の合格率は、第1次試験が42.5%、第2次試験が18.4%でした。第2次試験は筆記試験だけでなく口述試験もあるため、面接対策をしておくとよいでしょう。
社会保険労務士は独占業務を行うのに必要な国家資格で、企業の人事や労務管理といった人材に関するエキスパートです。業務内容は社会保険に関する助言や年金の相談と幅広く、多岐にわたります。
年に1度実施される試験で、合格基準点が合格発表日に公表されるのが特徴です。労働基準法や労働安全衛生法、国民年金法といった8科目から択一式と選択式で出題されます。
また、試験を受けるには受験資格が必要です。「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つが審査されます。合格率は10%以下で難関資格といえますが、社会保険労務士として独立開業を目指す方には必須の資格です。
税理士は税に関する専門家として、顧客の税の相談や具体的な税額の計算・代行を担います。業務独占資格の国家資格で、税理士として独立開業を目指している方には必須の資格です。
試験は会計学や税法といった5科目について出題されます。試験の合格には全科目60%以上取る必要がありますが、一度に5科目受験する必要はなく、1科目からでも受験可能です。
令和2年度に実施された税理士試験の合格率は20.3%と約5人に1人が合格しており、極端に低くはありません。試験合格後、税理士として登録するには2年以上の実務経験が必要です。
公認会計士は、企業の税務・会計・コンサルティングといった幅広い業務を担当する監査や会計のエキスパートです。独占業務の国家資格であるため、公認会計士として独立開業を目指している方は避けて通れません。
試験は短答式試験と論文式試験があります。短答式試験は4科目、論文式試験は5科目と範囲が広いため、スケジュールを立てて効率よく学ぶとよいでしょう。
令和2年公認会計士試験の合格率は10.1%でした。出題範囲が広く膨大な勉強量が必要な難関資格ですが、受験資格はありません。資格難易度は税理士よりも高いものの、誰でも挑戦できる国家資格です。
金融業界への転職を目指す方の中には、どの資格を取得すればよいか悩んでいる方もいるでしょう。金融業界には「銀行」「証券」「保険」という3つの業界があり、業界ごとに求められる資格は異なります。ここでは、業界別におすすめの資格をリストアップしました。資格選びの参考にしてみてください。
銀行業界を目指している方には、ファイナンシャルプランナーや証券外務員の資格がおすすめです。ファイナンシャルプランナーは、税・年金・資産運用といったお金に関する幅広い知識が身につけられます。
証券外務員は株式や投資信託の知識を学べ、金融商品の販売が可能です。金融商品を扱う銀行が増えているため、取得しておくとよいでしょう。
また、銀行業務検定もキャリアアップの際にはおすすめの資格です。取得すれば、銀行業務の基礎知識や技能の証明になります。それぞれの資格の詳しい内容はこちらでご確認ください。
証券業界を目指している方には、証券外務員や証券アナリストの資格がおすすめです。証券外務員の資格がなければ、金融商品の販売や勧誘はできません。
証券アナリストは、金融・投資のプロフェッショナルであることを証明する資格です。企業の財務分析をし、投資価値を評価、市場の調査・分析といった業務がある証券会社や投信会社で活躍する資格といえるでしょう。投資に関する知識を深めたい場合、投資診断士という資格もあります。それぞれの資格の詳しい内容はこちらでご確認ください。
保険業界には、生命保険会社や損害保険会社があります。保険業界で必須となる資格は保険募集人です。保険の勧誘や販売は、保険募集人の資格がなければできません。資格体系はさまざまで、生命保険と損害保険を販売するのに必要な資格は異なります。
キャリアアップとしておすすめの資格がファイナンシャルプランナーです。保険や住宅ローンといったお金に関する幅広い知識を身につけられます。それぞれの資格の詳しい内容はこちらでご確認ください。
金融業界には銀行や証券、保険といった業界があり、携わる業務によって求められる資格も異なります。資格を取得するには時間や勉強が必要となるため、転職先に合わせた資格を見極めることが重要です。また、資格の難易度は幅広く、実務経験や受験資格が必要な資格もあります。受験要項はしっかりと把握しておきましょう。
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