金融業界は、数ある業界の中でも上位の市場規模を誇り、就職・転職先としても常に人気の業界です。
一時はコロナ禍において採用活動が縮小されていた金融業界も、
現在は保険やフィンテック業界を筆頭に、求人数も回復傾向にあります。
金融業界と一言に言っても、銀行・証券・保険・リース・不動産金融など業種は様々で、
それぞれの役割や特徴も大きく異なります。まずは業種ごとの現在の転職市場や、
必要とされるスキルや求人ニーズを知ることから始めましょう。
金融業界の転職市場動向
JOB CHANGE MARKET TRENDS
総務省統計局の産業別就業者数・雇用者数によると、
金融・保険業界の就業者数・雇用者数はここ20年間140~170万人前後で推移しています。
景気の波もありますが、2016年以降は就業者数・雇用者数共に高水準を保っている状況です。
一方、マイナス金利政策や働き方改革の推進によって、
事業の収益力強化から業務量の改善まで、大きな課題に直面しているタイミングでもあります。
直近では大手メガバンクがAIを導入し、
数万人単位で大規模な配置転換を行う計画が発表されるなど、業界全体で大きな節目を迎えているとも言えます。

金融業界の転職市場の特徴
金融業界は、他業界に比べて新卒採用が盛んな業界です。そのため、中途採用の枠は少ないイメージがありますが、必ずしもそんなことはありません。中には保険業界など、未経験の中途採用も積極的に行っている業界もあります。
金融業界からの転職先としては、メーカーやコンサルティングファーム、人材業界など、他業界に転職される方も非常に多いのが特徴です。それだけ金融業界での経験やスキルは、他業界でも活かせるものがあるということです。
一方で、金融業界内で転職をされる方もいらっしゃいます。特に最近では、フィンテック業界など、金融業界の中でも異なる風土の会社が人気の転職先になっています。
また、金融業界の転職においては、半年後くらいを見据え、早めに転職活動を行う方が多いです。企業によっては引継ぎなどに時間がかかるパターンも多いですので、転職活動は計画的に進めたほうがよいでしょう。


コロナ禍においての採用市場の変化
金融業界全体の転職市場動向としては、新型コロナウイルスの影響により一時大幅に減少していた求人数も回復傾向にあり、企業の採用意欲が戻ってきています。
特に、金融業界の中でもいち早くWEB面接の導入に踏み切ったフィンテック・キャッシュレス業界。また、この不安定な状況下において保険の見直しのニーズが増加したことにより、保険業界の採用意欲も早期に回復しました。
現在は、その他銀行や証券会社などの採用においても、以前の活況だった採用活動に戻りつつある状況です。

金融業界の
業種別転職市場動向
JOB CHANGE MARKET TRENDS BY INDUSTRY
金融業界には、銀行・証券・保険・リース・不動産金融など様々な業種があります。
ここでは、各業種ごとの転職市場動向や求人ニーズをみていきましょう。
銀行
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銀行業界の特徴
銀行業界は、大きくメガバンク(都市銀行)、地方銀行、信託銀行、政府系金融機関、信用金庫・信用組合・農協、ネット銀行などに分けることができ、それぞれ取り扱うエリアや融資額などが大きく異なります。
AIやFinTechの煽りを受け、特に個人向けのサービス(住宅ローン、カードローン等)は商業銀行からネット銀行へシェアが移行しつつあります。
多店舗展開をする商業銀行が店舗網の削減に伴う人員削減が行われる中、店舗を持たないネット銀行については今後の成長余力が認められ、ローン全体のネット銀行のシェアもまだまだ高く無い水準であるころから、今後もこの構図はしばらく続くものと考えられます。
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銀行でのキャリア
メガバンクやメガ信託の金融専門職は、高い能力と専門性が求められるため、より規模の大きい同業他社へのキャリアアップ採用が主流です。
特にM&A経験者、ファンド出身者は高いニーズがあります。営業職では、NISAを追い風に個人向けにリスク性商品の提案を行うリテール営業や、住宅ローン営業の求人が増加しています。
またマイナス金利政策などの影響で地銀の再編も進み、メガバンクの規模・業容に負けないメガ地銀も誕生。地元企業のビジネスマッチングなど、地域の活性化を担う求人(地元の地銀への転職)など選択肢も広がっています。
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経験者・未経験者の求人ニーズ
設立間も無いフィンテック(FinTech)スタートアップでは、責任者のポストで金融業界の実務経験者のニーズが高いです。
一方で、金融機関の新規事業では、異業種からのスペシャリストが求められる傾向もあることから、異業種からの転職も含めた金融業界への人材流動化がより一層進んでいます。
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事務職の求人ニーズ
近年は事務職の採用が減少傾向にありますが、資産管理信託銀行においては高度な事務を行う事務職の採用を積極的に行っており、地銀、証券出身者などに人気の転職先となっています。
資産管理信託銀行は、日本の国家予算の数倍の預かり資産を管理する、金融業界の中の縁の下の力持ち的存在であり、ここ2~3年、事務系総合職の中途採用を更に活発化している動きがあります。 銀行、証券営業出身者や、金融業界以外で事務経験のある方など異業界出身者にも門戸が開かれている企業もあります。
証券会社
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証券業界の求人ニーズ
証券会社は、新卒採用が盛んなため、中途採用の枠はそれほど多くありません。ただ、近年はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)と呼ばれる、証券会社に所属しないファイナンシャルアドバイザーが集まる会社に転職する事例も増えています。
IFAでは、利益やノルマに捉われず、より公平性を持ってお客様のためのアドバイスができるといったことや、給与体系としてインセンティブの比重が高く、実力に応じて高い報酬を期待できるといった特徴があります。
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証券会社で必要な資格
証券会社に転職するにあたっては、一種外務員資格や2級FP技能士を持っていると良いとされています。
2級FP技能士は必ずしも全ての会社で必須の資格というわけではないものの、お客様のライフプランニングの分析やアドバイスをしていくにあたっては、心強い知識になるからです。
企業によっては、入社後に資格取得の補助があったり、資格手当を付与しているところもあります。
保険会社
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保険業界の採用状況
保険業界は、コロナ禍の不安点な社会情勢の中でもお客様からのニーズが大きくは下がらず、また営業手法をこれまでの対面のみからWEBも取り入れていく方法に大きく変えたこともあり、いち早く採用活動が復活した業界です。
また、金融業界の中でも、業界未経験の方が多く活躍している業界でもあります。そのため、これまで異業種にいた方でも、キャリアチェンジをしてこられる方が多数いるのが特徴です。
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保険会社の営業職の特徴
保険の営業職というと、BtoC(個人)向けの営業をイメージされる方が多いかもしれませんが、中にはBtoB(法人)向けの営業もあります。
代理店営業がその一つで、経営者をクライアントにしている税理士事務所や銀行などに対して営業を行う職種です。近年は代理店営業の採用も活発な傾向があり、金融機関出身者などに人気の転職先になっています。
数ある保険会社の中から自社の保険商品を勧めてもらうために、自社の商品の魅力を代理店に伝える説明能力、コミュニケーション能力、間接営業として代理店に動いてもらうためのマネジメント能力などが磨かれます。
リース・クレジット
・信販・不動産金融
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リース・クレジット・信販業界の
求人ニーズリース・クレジット・信販業界の採用ニーズは、それほど波があるわけではなく、常に一定数の求人が出ています。
リース業界については、メーカーの子会社などでの採用が多く、働き方や風土もメーカーに近い要素があります。そのため、金融業界の中でも、少し違った風土を求めている方に人気の業界です。
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不動産金融の求人ニーズ
不動産金融の採用ニーズは、常に一定数あります。比較的高度な知識が必要とされる業界のため、金融業界出身者のキャリアステップとしても人気があります。
活かせるスキルとしては、信託銀行などで、お客様の資産管理や不動産売買の経験などがあると、不動産関連の知識を活かせる場合があります。
金融業界の年収・働き方
INCOME ・ WORK
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CHECK1 金融業界の年収
安定したイメージのある金融業界では、福利厚生の充実した企業も多く、結婚など、環境の変化をきっかけに転職をされる方も多くなっています。
年収レンジも他業界と比較して高い傾向にあるため、自分の予想以上の年収の提示を受けることも珍しくありません。
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CHECK2 金融業界の働き方
金融業界での働き方は、残業時間もそれほど多くない企業が多いのが特徴です。平均的な残業時間は多くても20~30時間というところが多いですが、決算期などは業務が集中し、忙しくなる場合があります。
一方で、コンサルティングファームなどはプロジェクトによって、多忙な時期が続く場合もあります。
金融業界への転職に
向いている方
APPROPRIATE
ここでは、実際にどのような方が金融業界に転職されることが多いのかをご紹介します。
ご自身の転職活動の参考にしてください。
安定した業界で、一生もののスキルを身につけたい方
宿泊・飲食施設などのサービス業や消費財・流通小売業で接客や店舗マネジメントの経験を積まれた方や、Slerで金融システムの設計・開発に携わっていた方、事業会社で経営企画や財務の重要ポストで経験を積まれた方、中堅企業の役員ポストで営業やマーケティング、人事面などの統括経験を持っている方、公務員の安定した環境からもっと仕事の幅を広げ年収アップを目指したいという方のチャレンジングな動機まで、様々な業種・業界・役職で得た知識・経験値をもとに金融業界への転職を希望される方も少なくありません。
共通しているのは現在の職場で「キャリアアップ」「規則正しい生活」「労働環境」を将来にわたり総合的に考えた際に、最良の選択肢として金融業界での転職が選択肢に入ってくる傾向があります。金融業界も変化が必要なタイミングでもあるため、このような異業種で経験を積まれた方々の価値も評価される傾向にあり、多くの方がより良い条件を持った金融業界の職場に転職成功するケースも増えてきています。

専門性を活かし、さらなるキャリアアップ目指したい方
就職活動時に思い描いた仕事のイメージとかけ離れ、実際の職務に限界を感じたという仕事内容のミスマッチで転職を検討する方、就業時間の長期化が理由で家族との時間も優先できるワークライフバランスを重視した職場へ転職を検討する方、組織体質が古く年功序列な風土から新たな取組みや実績を評価してもらえるベンチャー気質の強い職場で更に成長するための転職を検討する方、地方から首都圏のような大きなマーケットでよりキャリアアップできる職場で転職を検討される方など転職動機・理由は様々ですが、職場におけるミスマッチが一番の原因であれば、同じ金融業界で一定の経験・キャリアを武器に転職活動を始める選択肢があります。
また、現在の業界に対する先行きの不安からより規模の大きい同業他社や同業界のより上流の職種への転職を行う方も増えています。金融業界以外でも、よりスピード感や主体性を持って働きたいという方は金融の知識が必要な事業会社へのジョブチェンジやフィンテック(FinTech)系スタートアップで希望の職場を探すという選択肢もあります。

金融業界の転職での
よくあるご質問
FAQ
- Q金融業界はまったくの未経験なのですが、大丈夫でしょうか?
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A異業種出身者を積極的に受け入れている企業もございますので、未経験者でも転職可能です。
例えば、接客や店舗マネジメント、事業会社の重要ポストでのキャリアをお持ちの方は、よりコンサルティング的な商品提案をする求人案件で高く評価される可能性があります。
また、業界の動きとしてIT化も課題であるため、新規事業における個人向けウェブサービスの企画や開発経験のキャリアなども、十分にアピールできるポイントとなりえます。
資格面では、銀行業務検定試験、二種外務員資格、ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)などの資格があれば、未経験や異業種の方でもアピールポイントの一つになるでしょう。またグローバル化の波もあるため、TOEICなどの点数よりも実務的な英語力もポイントとなってきます。
- Q業界の詳しい話を聞きたいのですが、教えてもらえますか?
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Aキャリア面談にお越しいただけましたら、金融業界の基本的な情報から、サイト上には掲載されていない情報までお答えすることが可能です。
マイナビ金融エージェントでは、金融業界専任のキャリアアドバイザーが担当させていただきます。キャリアアドバイザーはその業界の出身者が多いため、実際に体験しないとわからない、業界のリアルな情報をお伝えすることが可能です。
また、マイナビエージェントでは、実際に各企業に訪問し、ヒアリングを行っているため、企業の中にいる人の人柄や職場の空気感など、求人票の情報だけでは伝わりきらない情報をお伝えできます。
- Q情報が多すぎて、自分に合う企業が分かりません。
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Aまずはご自身の志向や適性を理解したうえで、情報収集をしていきましょう。
多くの方が転職サイトやハローワークに登録したり、転職イベントに参加したりといった行動をとると思いますが、これらの方法で情報収集を行っていくと、あまりにも求人情報が多いことに気が付くはずです。特に転職サイトは、様々な企業からスカウトメールやオファーメールが大量に届きます。
情報が多いこと自体は悪いことではありませんが、転職したい仕事の希望条件が明確になっていないまま情報が増えてしまうと、いろいろな情報に目移りしてしまい、無駄に時間ばかりが過ぎて、なかなか自分に最適な転職先を見つけられない事態に陥ることもあります。
マイナビ金融エージェントでは、ご相談に来られた方お一人おひとりの将来の目標と、業界出身者ならではの豊富な経験・知識から、あなたにベストマッチするキャリアプランをご提案します。
- Q自分の強みや、アピール方法が分かりません。
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Aまずは、志望する企業が「どのような人材を求めているのか」を知ることから始めましょう。
企業が転職者に求めることとしては、「実務能力」「人間性」の2つに分けられます。未経験での転職の場合は、経験が浅く実務能力が十分ではないことも多くありますが、中には人物重視で求人活動をしている企業もありますので、アピールの方法次第で評価が上がる可能性があります。
ただし、自分ひとりで集められる情報には限界があります。特にその会社で働く人の人柄や社風、職場環境といったリアルな情報は集めにくくなっています。マイナビ金融エージェントでは、実際に各企業に訪問し、鮮度の高い情報を集めているので、ミスマッチを防ぎながら、確度の高いアピールポイントの発掘を行うことができます。
金融業界の転職に
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CASES
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