更新日:2025/02/27
この記事のまとめ
インフラエンジニアを目指すうえで、資格の取得は大きな武器となります。転職活動や業務に活かすには、資格選びが大切です。インフラエンジニアに適した資格は複数あるため、どの資格を取得すればよいか迷う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、インフラエンジニアに適した資格を未経験から目指す場合とキャリアアップを目指す場合に分けて紹介します。夢や目標に近づくために、自分にぴったりの資格取得を目指しましょう。
目次
インフラエンジニアの仕事は多岐にわたり、上流工程になるほど高度な知識が求められます。実務経験がなくても、資格があることで応募先企業に基礎知識を備えた人材と理解してもらえるため、ここで紹介する6つの資格にチャレンジしてみましょう。
ITパスポート試験は、IPA 独立行政法人 情報処理推進機構が主催する情報処理技術者試験の一区分で、信頼性の高い国家試験です。試験に合格すると、ITに関する基礎的な知識があることを証明できます。試験にはセキュリティーやネットワークなど、インフラエンジニアの基本ともいえる内容が含まれています。
情報システムやネットワーク、データベースといったITの基礎知識が体系的に身につくため、未経験者の採用に際して取得を推奨している企業もあるほどです。
情報セキュリティマネジメント試験では、情報セキュリティーに関連する基本スキルが問われます。難易度はそれほど高くありません。国家試験であるため信頼度が高く、転職においても武器になり得る資格といえるでしょう。
セキュリティーに関連する知識はインフラエンジニアに必要不可欠です。セキュリティーシステムの構築や管理に必要な専門スキルには及ばないものの、セキュリティエンジニアを目指す方のやる気や学習意欲をアピールする材料となるでしょう。
国家試験でもある基本情報技術者試験は、ITエンジニアにとって基本的な資格で、「ITエンジニアの登竜門」ともいわれています。ITエンジニアに欠かせないプログラミング言語・システム・ネットワーク・データベース・セキュリティーの知識がくまなく身についていることをアピールできます。
応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の上位資格で、こちらも国家試験です。設計・開発・運用・保守、プロジェクト進行など実務者レベルを想定しているため、面接で即戦力となることをアピールできます。
CCNAはネットワーク機器大手のシスコ社が提供する試験で、ネットワークエンジニアの基礎的な知識とスキルを認定します。試験範囲はネットワークやセキュリティー、自動化まで幅広く、取得することでネットワーク構築・運用に必要な知識を証明できます。
難易度はITパスポートよりやや高めですが、ネットワークの基本をしっかり学習すれば未経験者でも取得可能です。ネットワーク領域に力を入れたい人にもおすすめです。
LinuCレベル1は、Linuxシステムの基本操作とシステム管理に関する知識・スキルを認定する資格です。仮想マシンやコンテナを含むLinuxサーバーの操作・運用・管理、クラウドセキュリティー、オープンソース文化の理解を証明できます。
ITパスポートと同等レベルではありますが、LinuCレベル1は「101試験」と「102試験」の2つに合格しなくてはなりません。Linuxサーバーの構築・運用を目指すのであれば、必須の資格といえるでしょう。
インフラエンジニアの経験がある方は、キャリアアップのために上位資格の取得を目指しましょう。インフラエンジニアにはさまざまなキャリアパスがあり、目指すキャリアによって適した資格が異なります。将来どうなりたいかをイメージしながら、自分に合う資格を探してみてください。
ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験に含まれる国家試験です。ネットワーク分野のプロフェッショナルとして、自分の力で業務上の課題を発見・解決できる知識を身につけている証明になります。
試験に合格するには、規模が大きくセキュリティーの高いネットワークシステムを目的に応じて構築・運用するスキルが必要です。ネットワーク分野を目指すインフラエンジニアは、取得しておきたい資格のひとつです。
データベーススペシャリスト試験は、データベースに特化した高度なスキルを証明する資格です。専門性が求められる国家試験で難易度も高いため、転職時の大きなアピールポイントとなります。
パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築し、運用するうえで必要な知識やスキルを十分に持っていることを強みとして押し出せるため、ビッグデータの活用を重視する企業から好印象を持たれるでしょう。
CCNPはシスコシステムズ社が提供する認定資格「CCNA」の上位資格で、ネットワークの設計・実装・運用に加え、トラブルシューティングに必要な知識とスキルを証明できます。試験は「エンタープライズ」「セキュリティ」「コラボレーション」「データセンター」「サービスプロバイダー」「CyberOps」「DevNet」の7分野に分かれており、どの試験も「コア試験」と「コンセントレーション試験」の2つに合格する必要があります。
CCIEは、シスコ認定試験における最上位の資格です。大規模ネットワークの設計や基盤の構築の知識に加え、実技試験による技術力も証明できます。試験は「エンタープライズインフラストラクチャー」「セキュリティ」「コラボレーション」「データセンター」「エンタープライズワイヤレス」「サービスプロバイダー」の6分野に分かれており、どの試験も筆記試験とラボ試験(実技試験)に合格する必要があります。
いずれの試験も難易度はCCNAよりも高く、CCNPは中級者、CCIEは上級者におすすめです。
情報処理安全確保支援士試験に合格すると、情報セキュリティーに関する知識やスキルがあることを証明する国家資格「情報処理安全確保支援士」の登録資格が与えられます。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の中でも、難易度の高い試験です。
サイバーセキュリティーに関する専門的な知識や技能を活用し、セキュリティエンジニアやセキュリティコンサルタントなど、さらなるキャリアアップを目指せます。
LinuCレベル2はLinuCレベル1の上位資格で、仮想環境を含むLinuxのシステム設計、導入・保守・トラブルシューティングの知識を証明できます。中級者向けの試験で、初心者にはハードルが高いものの、LinuCレベル1を取得しないとレベル2は取得できません。LinuCレベル1と同じく、2つの試験に合格する必要があります。
LinuCレベル3は、LinuCレベル2の上位資格です。試験は「300試験」「303試験」「304試験」の3つがあり、いずれかの試験に合格することで取得できます。
LinuCレベル2の保有が受験の前提条件で、難易度もレベル2より高めです。インフラエンジニアとしてより高度な領域で活躍したい方は挑戦してみましょう。
AWS認定 PROFESSIONALは、AWS(Amazon Web Services)の高度な専門知識を証明する最難関レベルの資格です。「AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナル」と「AWS認定DevOpsエンジニアプロフェッショナル」の2つがあり、それぞれ試験内容が異なります。
AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナルは、複雑で多様な環境でのAWSアプリケーション設計やデプロイ、手動プロセスの自動化の知識が求められます。一方、AWS認定DevOpsエンジニアプロフェッショナルは、AWSプラットフォームに関する高度な開発知識と運用知識、技術的知識が必要です。難易度はCCNPと同程度で、中級者以上の人におすすめです。
オラクルマスター(ORACLE MASTER)は、「Oracle Database」の管理スキルがあることを証明できる資格です。資格は「Bronze DBA」、「Silver DBA」、「Gold DBA」、「Platinum DBA」の4段階に分かれており、下位の資格から取得する必要があります。なお、初めから「Silver DBA」の取得を目指すことも可能です。
インフラエンジニアに転職する際、必要な資格はありません。しかし、資格を取ることで知識やスキルを証明でき、未経験でも有利に転職活動を進められます。ここでは、インフラエンジニアを目指す人が資格を取得する4つのメリットを紹介します。
IT業界では、基本的に学歴や資格よりもスキルや実績が重視されます。インフラエンジニアも同様です。資格がなくてもスキルさえあればインフラエンジニアになれます。しかし、未経験からインフラエンジニアを目指す場合、スキルを証明する実績がありません。そこで意味を持つのが資格です。
資格があれば、自分の持つスキルや知識のレベルを客観的に証明できます。実務経験がなくても扱える業務の種類が明確であれば、採用後の働きをイメージしてもらいやすくなり、転職を有利に進められるでしょう。
未経験からインフラエンジニアを目指す場合、どこから学習すればよいか悩むこともあるでしょう。資格取得を目指すことで体系的に知識を習得でき、全体像を理解したうえで実務へ取り組めます。
インフラエンジニアとして何を目指すかがはっきりしないうちは、特定領域の学習を深めるより初歩的な資格取得を目指しながら基礎スキルを固めるのが得策です。基礎が固まると目指す道も定まるため、次の学習の方向性が見えてくるでしょう。
資格を取得すれば、自分がインフラエンジニアとしてどの立ち位置にいるのかがはっきりします。資格の難易度はそれぞれ異なるため、初級レベルを取得したら中級レベル、上級レベルとランクを上げていけば、キャリアアップを目指せるでしょう。
スキルレベルが上がれば、特定領域のスペシャリストを目指すのか、フルスタックエンジニアになるのか、マネジメント職を視野に入れるのかといった複数の選択肢が見えてきます。理想とするキャリアの実現に必要な資格を選ぶことで、目標達成までの時間が縮まるでしょう。
資格は知識やスキルを目に見える形で示すため、転職活動では自分の強みをアピールする材料になります。未経験からインフラエンジニアを目指す場合、高いスキルや実績は期待されていません。しかし、資格取得で本気度や学習意欲を示せれば、ポテンシャルの高さから採用につながりやすくなります。
インフラエンジニアとしてのキャリアアップを目指した転職の場合、自分の市場価値を押し上げる大きな武器になるでしょう。取得した資格で自身のスキルレベルや専門性の高さを客観的に証明すると、よりよい待遇を提示する企業に転職できる可能性が高まります。
資格の取得にはメリットがあるとはいえ、資格であれば何でも構わないわけではありません。「インフラエンジニアを目指しているのか」「すでに働き始めているのか」「スキルアップを目指すのか」「キャリアアップを目指すのか」といった立ち位置や目標によって挑戦する資格は異なります。ここでは、資格を選ぶポイントをケースごとに解説します。
未経験からインフラエンジニアを目指す場合は、ITに関わる全般的な知識や応用が利くスキルの習得を目的とする資格が最適です。
インフラエンジニアは、ネットワークエンジニア・サーバーエンジニア・クラウドエンジニア・セキュリティエンジニア・データベースエンジニアなど、専門領域の異なる職種に枝分かれしています。未経験からインフラエンジニアとして働く場合には、どの職種を目指すのか明確に決まっていないケースも少なくありません。
IT全般に関する資格を目指して学習することで、ITインフラの重要性や基本知識を習得できます。その中で、自分の目指す方向性を見いだせるでしょう。
インフラエンジニアの中でも特定の職種への転職に向けて学習している人やすでにその領域で働き始めている人は、特定領域やスキルに特化した資格の取得を目指しましょう。資格取得によりスキルレベルを証明でき、即戦力としてどのような働きができるのかを示せます。
高いスキルや専門性を証明し、特定領域でのスペシャリストやマネジメント職としてキャリアアアップしたい場合には、上位資格を目指しましょう。難易度だけで決めるのではなく、認知度や信頼度の高い資格を選ぶとキャリアアップや転職の際に大きな武器になります。
特に、国家資格は説得力のあるアピール材料となるでしょう。ベンダー資格やベンダーニュートラル資格の場合には、取り扱う内容や認知度、評価をしっかりと確認することが重要です。
資格を取得するには、受験する試験に向けた学習が必要です。インフラエンジニアに関する資格試験を初めて受ける場合、どのように学習すればよいか悩むこともあるでしょう。ここでは、インフラエンジニアの資格取得に向けた学習方法を紹介します。
自分のペースで勉強したい人や空いた時間を有効活用したい人におすすめなのが、市販の本や参考書を使った学習方法です。ITインフラの基礎から応用まで体系的に学べる書籍は豊富にあり、レベルに合わせた参考書を選べます。
これからインフラエンジニアを目指す方の中には、転職活動を始める前に資格を取りたい方もいるでしょう。現在の仕事と資格の勉強を両立するには、時間だけでなく気力も必要です。本を使った学習方法は好きな時間に好きなところまで学習できるだけでなく、繰り返し読み返せるため、未経験者には特におすすめです。
本を使った学習方法と並んでポピュラーなのが、学習サイトや動画を利用する方法です。インターネット上には豊富な無料コンテンツがあり、インターネット回線と閲覧できるデバイスがあれば基本的にお金はかかりません。有料の学習サイトは機能やコースが増えるため、より深く学習したい場合に利用しましょう。
小さな画面で活字を見るのが苦手な人や解説が欲しい人には、動画共有プラットフォームを使った学習方法がおすすめです。無料サービスであればお金もかからず、短時間で集中的に勉強できます。
独学に不安がある人や質問できる環境が欲しい人は、ITスクールを検討しましょう。ITスクールはカリキュラムに沿って学習を進められるだけでなく、質疑応答により疑問点をその場で解決できます。
また、現役エンジニアの講師から直接指導を受けられるため、実践的な知識やテクニックを身につけやすいのもメリットです。スクールによっては、オンライン受講にも対応しています。費用がかかることはデメリットですが、短期間で効率的に学習できるという点は3つの方法の中でも優れているといえるでしょう。
インフラエンジニアを目指すのであれば、どのような業務を行う職種か、どのような種類があるかを理解することが大切です。ここでは、ITインフラの概要と併せて、インフラエンジニアの種類や年収、将来性について解説します。
「インフラ」は上下水道・電気・ガス・道路・鉄道など、私たちの生活を支える基盤のことです。情報システムの基盤となるIT環境が「ITインフラ」で、サービスやシステムを正常に稼働させるうえで欠かせません。
ITインフラにはサーバー・ストレージ・ネットワーク・パソコンといったハードウェア、データベースや開発フレームワークなどのミドルウェア、それらに伴うアプリケーションが含まれます。なお、この記事における「インフラ」は主に「ITインフラ」を指します。
インフラエンジニアは取り扱う領域によっていくつかの職種に分かれます。代表的な職種と業務の概要は以下のとおりです。
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厚生労働省による令和5年賃金構造基本統計調査と、インフラエンジニアを含むシステムエンジニアの平均年収は684万9,000円です。年齢別に見ると25歳〜29歳は約511万円、30歳〜34歳は約627万円となり、キャリアアップに伴う年収の増額が見込めます。
インフラエンジニアとしての経験を積み上げるだけでなく、新たなスキルや知識を身につけて専門領域を広げれば、より需要の高いインフラエンジニアとして高収入を狙えるでしょう。
参照:システムエンジニア(基盤システム) - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
インフラエンジニアは実力がものをいう職種です。未経験から始めても知識や経験を積み上げることで実力を評価してもらえるため、キャリアアップも目指せます。ひとりで作業する場面が多いことから、煩わしい対人ストレスが少なく、自分のペースでスキルを磨ける点も魅力のひとつです。企業への貢献度が高く、やりがいを感じられる点もメリットといえるでしょう。
インフラエンジニアとして活躍するには、資格を取るだけでなく上手に活用することが重要です。未経験からインフラエンジニアを目指す場合と実務経験があるインフラエンジニアが転職する場合では、適した資格だけでなく資格の活用方法も異なります。ここでは、資格を転職に活かす方法を解説します。
国家資格もベンダー資格も、資格自体が知識やスキルの範囲を示しています。応募先企業が必要とする業務範囲にマッチする資格であれば、高く評価してもらえるでしょう。
たとえば、Linux技術者認定資格を保有している場合、サーバー構築の経験はなくてもLinux運用の業務はできます。応募先企業がその分野の人材を必要としていれば、資格が大きな強みと見なされるでしょう。転職先を探すときは、応募先企業がどのような人材を必要としているかを見極めることが大切です。
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転職エージェントは企業の内情に通じているため、資格が活かせる企業を紹介してもらえます。非公開求人も扱っており、求人サイトだけでは巡り合えない企業への応募も可能です。キャリアアドバイザーとの面談では、自分では気づけなかった強みやアピールポイントを教えてもらえるでしょう。
インフラエンジニアの仕事は資格がなくてもできますが、転職やキャリアアップを考えるのであれば関連資格を取得したほうがよいでしょう。インフラエンジニアに適した資格は数多くあり、レベルやキャリアパスによって選択肢が異なります。
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