更新日:2024/03/19
この記事のまとめ
現代社会においては、さまざまな分野でITシステムが活用されています。多種多様なITシステムを動かすにはサーバーやネットワークといったITインフラが不可欠であり、それを支えるインフラエンジニアの需要も高まっています。
将来性が期待できるインフラエンジニアへの転職を検討している方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、実務未経験からインフラエンジニアへ転職する方法を紹介します。
目次
インフラという言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。私たちの身の回りでは、電気やガス、水道などの生活基盤を指します。
それでは、ITにおけるインフラ(基盤)とは何を指すのでしょうか。簡単に説明すると、ITサービスやシステムを正常に稼働させるために必要な環境を指します。たとえば、ネットワークやサーバーをはじめとしたハードウェアや通信に欠かせないネットワークが含まれます。
ITインフラはインフラ(基盤)と呼ばれるだけあって、ITの世界で欠かせないものです。ITインフラを専門に扱う職種をインフラエンジニアと呼びます。インフラエンジニアの仕事内容は、大きく以下の3つに分けられます。
いずれもITシステムを正常に稼働させるためには欠かせない仕事です。情報化社会を根底で支える重要な職種のひとつといえるでしょう。
インフラエンジニアに転職するときは、ネットワークやサーバーに関する知識やスキルが求められます。そのため、未経験者がいきなりインフラエンジニアになるのは難しいといえるでしょう。
これからインフラエンジニアに転職しようと考えているのであれば、関連する別のITエンジニアとして経験を積んでから再び転職する方法がおすすめです。ここでは、インフラエンジニアを目指すときのキャリアプランを具体的に紹介します。
インフラエンジニアは、サーバーに関わる「サーバーエンジニア」とネットワークに関わる「ネットワークエンジニア」という2つの職種に分類できます。それぞれの仕事内容は以下のとおりです。
まずはサーバーかネットワークに関する職種の中から未経験者を募集している企業へ転職し、実務を担当しながら知識と経験を積むとよいでしょう。そこで培ったスキルや経験を活かし、インフラエンジニアへの転職を目指すのがおすすめです。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニア、それぞれの職種で得られる知識や経験については以下のとおりです。
サーバーエンジニアになると、多くの運用実績が得られます。予算や環境に合わせたサーバーの設計や構築、運用が求められる仕事ですが、条件や仕様はシステムによって異なるのが一般的です。
案件ごとに異なる条件をクリアしたり、トラブルを解決したりして柔軟な判断能力を磨くことは経験となって身につきます。また、速度と安定を重視するサーバー関連の仕事は「効率のよさ」も大切な要素ですが、これも経験を重ねるうちに磨かれていきます。
システム運用前の「設計」「構築」から、運用後の「監視」までをとおして得られる膨大な知識は、インフラエンジニアとして欠かせない武器のひとつとなります。
実務未経験からインフラエンジニアを目指すのであれば、現場で活躍するために複数のスキルを習得する必要があります。ここでは、インフラエンジニアに求められるスキルを4つ解説します。これらのスキルはいずれもインフラエンジニアとして活躍するうえで必要なため、意識して身につけるとよいでしょう。
ITシステムを運用するには、ユーザーの要求に基づいて処理を実施して結果を返すためにサーバーが必要です。サーバーの設計・構築・運用・保守においては、以下のようなスキルが求められます。
一口にサーバーに関するスキルといっても上記のようにさまざまな内容が含まれるため、継続的に学習する必要があるでしょう。
さまざまなITシステムの中で単独で動作するスタンドアローンのシステムは少なく、外部と通信しながら運用するのが一般的です。通信に必要なネットワークを設計・構築するのもインフラエンジニアが担当します。そのため、ネットワーク関連のスキルも学ぶ意識が重要です。具体的には、以下のスキルが含まれます。
ネットワーク関連の知識は、必要なネットワーク環境を整えて安全に運用するために必要です。自身の市場価値を高めるためにも、積極的に学習するとよいでしょう。
開発するITシステムによっては、サーバーやネットワーク、データベースといったインフラを自前で用意せず、クラウドサービスを利用することがあります。そのため、クラウドサービスに関する知識・スキルも必要です。
これまでオンプレミスで運用していたシステムをクラウド化するケースもあることを考えると、主流のクラウドサービスに関してはひととおり学習しておいたほうがよいといえるでしょう。クラウドサービスを使いこなせれば、その分携われるプロジェクトの数を増やせます。
インフラエンジニアもITエンジニアのひとつであるため、プログラミングスキルが必要です。サーバープログラムの設計・構築を担当したり、ネットワークを制御するプログラムを構築したりすることもあるでしょう。
プログラミングスキルは、今後別分野のITエンジニアに転職してさらなるキャリアアップを目指すときにも求められます。プログラミングスキルの習得にはある程度の時間がかかるため、日々学習に励みましょう。
インフラエンジニアとして活躍する際に必要なスキルは、エンジニア関連のスキルだけではありません。さまざまなビジネスで必要とされるポータブルスキルも求められます。
そこでここでは、ビジネスシーンで必要とされるポータブルスキルの中からインフラエンジニアがとくに習得しておきたい3つのスキルを見ていきましょう。
インフラエンジニアの仕事はチームメンバーや別のチームと力を合わせて取り組まないと目的を達成できないため、チームとして進める形が基本です。また、顧客の求めていることをしっかりとヒアリングすることも大切です。ヒアリングが不十分だと適切な設計や構築が難しくなり、プロジェクトを成功に導くことは難しいでしょう。
システムの開発中には、トラブルが発生するケースもあります。トラブルが発生したときは、適切に対処しなければなりません。まずは状況を正確に把握し、関係するITエンジニアと連携しながら原因を特定して必要な修正作業を進めます。互いの意思疎通をスムーズにするためには、コミュニケーション能力が欠かせません。
扱う機器には海外製品も多く、マニュアルが英語で書かれているケースも多々あります。ITインフラのトラブルが発生したときにソフトウェアやハードウェアのマニュアルを見る必要があることを考えると、ある程度の「英語力」が必要です。
日頃の業務においても、導入機器の検討や保守の方法などを調べる際の技術情報の多くが英語で書かれていることもあるでしょう。これらの状況を考えると、インフラエンジニアにとって英語力は欠かせないスキルのひとつといえます。
インフラエンジニアの仕事には、上流工程を担当するITエンジニアとともにクライアントの要望をヒアリングして、要望を設計に落とし込むことが含まれるケースもあります。そのため、相手の要望を的確に把握するためのヒアリングスキルや、ニーズに合ったシステムを提案するための提案力が必要です。
インフラエンジニアの経験を活かして別のエンジニアに転職したり、マネジメント層を目指したりする際にもヒアリングスキルや提案力が求められます。どのようなキャリアを選ぶにしても必要になることが多いため、普段からスキルアップに励みましょう。
インフラエンジニアは「働きながら目指す」職種ですが、同じインフラエンジニアを目指しているライバルに差をつけ、キャリアアップと同時に待遇もよくするためには資格の取得が有効です。ここでは、転職で役立つ可能性が高い資格を3つ紹介します。
未経験からインフラエンジニアを目指す人におすすめしたい資格のひとつが「オラクルマスター」です。これは、世界的に普及しているデータベースソフト「オラクル」に関する技術を有していることを証明する資格で、販売元である日本オラクル社が認定試験を実施しています。
オラクルマスターは世界的な評価を受けている資格で業界内の認知度は高く、転職に強いことはもちろん、その後のキャリアアップにも役立ちます。まずはスタートラインの「ブロンズ」の取得を目指し、その後、実務経験を積みながら「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の順にステップアップするとよいでしょう。
経済産業省が「情報処理の促進に関する法律」に基づき、情報処理技術者としての知識や技能が一定水準以上であることを認定する国家試験が「情報処理技術者試験」です。その区分のひとつに「ネットワークスペシャリスト試験(NW)」と「データベーススペシャリスト試験(DB)」があります。
どちらも独立行政法人情報処理推進機構が行っているもので、資格を取得すればネットワークやデータベースに精通していることを証明できます。
インフラエンジニアへの転職を考えており、転職先を幅広い選択肢から探したい人におすすめの資格が「LPIC(エルピック)」です。この資格は、オープンソースOSの代表格であるLinuxを扱ううえで十分なスキルを有することを証明するものです。
Linuxはサーバーや組み込みシステムなどで幅広く用いられているOSです。合格者はLinux技術者としてのスキルがあると認定されるため、IT企業だけでなく導入例の多い公的機関への転職も有利になると考えられます。
インフラエンジニアを含めたITエンジニアは、需要に比べて供給が少なく人手不足が深刻な職種です。この状況がすぐに改善する可能性は低いと考えられています。転職後も継続的なスキルアップに励むことで自身の市場価値を高められ、さらなるキャリアアップを目指せるでしょう。
クラウドサービスの普及により、多くの企業が簡単にサーバー環境を導入することが可能になりました。また、AIやIoTをはじめとした多くの技術の背景には、それらを動かす基盤となるITインフラがあります。そのため、今後はさらに需要が高まると考えられるでしょう。
転職を検討している方にとって、年収水準は気になる情報ではないでしょうか。2022年に厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」によると、インフラエンジニアの平均年収は660万4,000円です。スキルアップに励めば、さらなる年収アップを実現できる可能性もあります。より高い年収を目指したい方は、転職後もスキルアップを欠かさないようにすることが大切です。
ITシステムを運用するには、ハードウェアやネットワークといったインフラを整備する必要があります。そのため、ITインフラ全般を担当するインフラエンジニアは需要が高い職種のひとつといえます。必要なスキルを学習しつつ、サーバーやネットワークに関係する職種を通じて経験を積むことで、未経験からでもインフラエンジニアへの転職を実現しやすくなるでしょう。
実際に転職するときには、自分に合った企業を探すことが大切です。これから転職しようと考えている方は、ぜひIT業界に強いキャリアアドバイザーが在籍しているマイナビITエージェントにご相談ください。一人ひとりのスキル・経験を活かせる転職先をご紹介します。
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