更新日:2022/09/27
この記事のまとめ
IT業界で、今や欠かせない職業となっているインフラエンジニア。
しかし、いったいどのような仕事をしているのか、知らない方も多いのではないでしょうか?
インフラエンジニアの仕事内容は多岐にわたります。
本記事では、インフラエンジニアに興味をお持ちの方や転職を考えている方に向けて、インフラエンジニアの仕事内容や必要な資格などについてご紹介します。
目次
エンジニアにもさまざまな種類があるため、「インフラエンジニア」としての役割がわからない方もいるでしょう。ここでは簡単にインフラエンジニアについて解説します。
インフラとは「インフラストラクチャー(Infrastructure)」の略で、日本語で「基盤」という意味になります。
例えば、電気・ガス・水道などのことをインフラといいますが、これは日常生活に欠かせない「生活基盤」という意味から、そう呼ばれているのです。
では、インフラエンジニアとは、どういう意味なのでしょうか?
ITの世界にとってのインフラは「情報システムを稼働させる基盤」のことをいいます。
それは、コンピューターなどの機材、ソフトウェア、通信回線など、私たちが「インターネット検索」や「メールの送受信」を使うために必要な、すべてのシステムのことを指します。
また、担当する分野で呼び方が異なり、「インターネット検索」などの部分を担うネットワークエンジニアと「メールの送受信」などを担うサーバーエンジニアに分けられます。
これらのITインフラを、顧客のニーズに応えて設計したり、正常に動いているのか点検したりする仕事を生業にするエンジニアのことを、インフラエンジニアと呼んでいるのです。
システムエンジニアは、ITシステムの開発をする仕事です。クライアントの要望を伺い、それに最適なシステムを開発していきます。
インフラエンジニアは前述のとおり、開発するための基盤を作ったり、ネットワークを使う環境を整備したりする役割です。システムを使うための下支えをする仕事なので、同じエンジニアでも仕事内容は大きく異なります。
言葉の意味が理解できたところで、ここからは、インフラエンジニアの具体的な仕事について、流れに沿ってご紹介します。
ITインフラの仕事は、作業が多岐にわたるため、エンジニア一人では決して成立しません。このため、通常はほかのエンジニア(複数人)と組んで、お互いに協力し合うプロジェクトチームを結成して業務を遂行していきます。
多くの人が一つのプロジェクトを円滑に進めるためには、情報を共有する「設計書」の作成が重要です。
設計書には、顧客の要望を聞きながらどのような機能を持たせ、どのような性能を実現するのかといったことを記していきます。
ほかにも、設計書の段階で綿密に計画しなければならないポイントが3つあります。
設計書を作成する際には、どのような内容(性能)で、どれくらいの予算(コスト)がかかり、どれくらいの期間が必要となるのかを考える必要があります。
性能に関して、想定されるトラフィック量やユーザー数などを基に、サーバーのスペックやネットワーク経路を設計します。
ITインフラは、一人ではとても対応しきれない規模になるので、他のサーバーエンジニアやネットワークエンジニアと連携して適切な設計書を作成します。
設計書が完成したら、実際にインフラを「構築」する作業に入ります。
ここでいう構築とは、私たちが日常生活の中で行っている「パソコンの設定」のようなものと考えてください。
新しいパソコンを購入したときには、自宅へ持ち帰り、ケーブル類をつなげます(機器の組み立て)。
さらに、インターネットに接続してソフトウェアをインストールしていくわけですが、この一連の作業のスケールを大きくしたのがインフラの構築となります。 作業の順序は、おもに以下のようになります。
構築作業には、「作業効率の高さ」や「ソフトウェアに関する知識」などが求められます。
そして、意外と必要なのが「体力」です。
ITインフラの機器は家庭用のパソコンなどとは比べようもないほど重く、かなりの重労働になります。
機器の組み立てや配線の接続において、物理的にサーバーをネットワークに繋ぐ作業なので、さまざまなインフラ機器の知識も必要となります。
家庭用では見ることのない機器や比にならないほどの大きさなので、機械が大好きな方は特に楽しいかもしれませんね。
一連の作業は大変ですが、とても意義のある仕事です。
あなたが構築したITインフラが企業を動かし、多くの人の生活を支えていきます。
そのやりがいの大きさは、計り知れないものでしょう。 しかし、これで仕事が完了したわけではありません。
実はここから、インフラエンジニアにとって重要な任務が始まるのです。
24時間365日稼働しているサーバーやパソコンなどのIT機器は、ハードウェアの故障、アクセス権限の設定ミス、操作ミスなどの人為的な問題、アクセス集中への対策など、インフラにまつわるトラブルは絶えません。
そこで、「ITインフラが正常に動作しているのか?」を、常に監視することもインフラエンジニアの大切な仕事です。
障害が起きたときは原因の発見に努め、手早く復旧を行います。
ほかにも、サーバーの負荷などを見ながらキャパシティ管理も行います。
初期設計時のITインフラの稼働予測と、実際に稼働してからの使用容量を比べて、インフラが不足していればサーバーの容量を増やし、余っていれば削減するなどの管理を行います。
また、一時的なアクセス集中が予測される際にも対応が必要になります。
インフラエンジニアの仕事は、主に3つに分けられます。
企業によってはさらに細分化されていたり、役割を兼任したりすることもありますが、あくまで目安としてご覧ください。
ネットワークエンジニアは、システムを利用するためのネットワーク環境を設計・構築・運用します。
パソコンでデータを送受信するのには、個別のパソコンを繋げるネットワークが必要です。快適な通信環境を保つために、ネットワークエンジニアが活躍します。
サーバーと端末やサーバー同士をLAN、ルーターでつなぐなど物理的な機器に触れる機会が多い仕事です。
セキュリティエンジニアは、ネットワークやシステムに対する外部攻撃を防止するのが仕事です。セキュリティソフトを導入したり、サイバー攻撃を受けないような仕組みを整えたりします。
テレワークを導入する企業も増えている今、セキュリティの強化は大きな課題の一つ。セキュリティエンジニアの活躍の幅も広がっています。
サーバーエンジニアは、Webサーバーやファイルサーバーの構築・保守・管理を行います。サーバーの使用用途に合わせてどのくらいの性能が必要か考えたり、障害が起きたときの対応を行ったりするのが仕事です。
その他、サーバー機器の設置や定期チェックも行います。
インフラエンジニアにとって資格を取得することも大切ですが、仕事をするうえでそれ以上に大切な、スキルや知識もあります。
インフラエンジニアに求められるスキルは以下の3つです。
インフラエンジニアにとって、「ITに関する知識」「機器を組み立てる作業効率の高さ」「設計書を作成する文章構成力」は必要ですが、何より大切なのは「コミュニケーション能力」です。
インフラエンジニアの仕事はチーム戦。メンバーとこまめに連絡を取り、力を合わせて取り組まないと、目的は達成できません。
また、顧客の求めていることをしっかり聞き取り、トラブル発生時に正確な状況を伝える際にも高いコミュニケーション能力は必須です。
ITインフラのトラブルが発生したとき、必ず確認することになるのがハードウェアやソフトウェアのマニュアルです。
日本の製品であれば問題ありませんが、海外製品の場合はほぼ英語で書かれています。
そのような場面で技術的な文章を読み解く「英語力」があれば、トラブルをすぐさま解決することができます。
また、インターネットで閲覧可能な技術情報の多くは英語サイトですから、日頃の業務においても英語力は欠かせません。
コミュニケーション能力と同じように、マネジメント力も重要です。プロジェクト全体を把握し、メンバーのスケジュール管理やフォローを行い、先頭に立って周りを引っ張っていく力が必要です。
インフラエンジニアに求められる知識は主に以下の3つです。
インフラエンジニアは、名前のとおりインフラをどのように整えるか設計する必要があります。そのため、インフラを構成するサーバーやネットワークの知識が必要です。
ハードウェアのスペックや設定の方法、ネットワークの構築方法などを事前によく理解しておかなければいけません。
最近は、物理的なサーバーを利用せず、クラウドサーバーの使用も増えています。クラウドサーバーとは、インターネット上で利用できるサーバーのこと。
クラウドサーバーを希望するクライアントも増えているため、AzureやAWSといった代表的なサービスの知識は今後必須になってくるでしょう。
ネットワークを利用するときには、セキュリティ対策が必須です。トレンドマイクロが2019年に実施した調査では、組織のセキュリティトラブルによる平均年間被害総額は約2.4億円にのぼっています。
経済的損失が大きくなるため、セキュリティを守るための知識は広く求められます。
インフラエンジニアはネットワークやサーバーに関する知識が必要であるため、難しい職種です。しかし、未経験からでもインフラエンジニアになることは可能です。
未経験者がインフラエンジニアになるには、とにかく知識と経験を積むことが大切です。ゆえに、未経験でも募集しているネットワークエンジニアかサーバーエンジニアとして就職しましょう。
企業での実務を通して、実績や知識、経験を積み重ねることが未経験からインフラエンジニアになる近道です。
また、将来的に重宝されるのはネットワークエンジニアとサーバーエンジニアの両方の仕事ができるエンジニアです。どちらかを先に始めたとしても、最終的に両方の仕事ができるようになると良いでしょう。
実は、「インフラエンジニア」と名前がついている資格は存在しません。しかし、漠然と「インフラエンジニアになりたい」と転職を希望しても、技術や知識が乏しければ受け入れてもらえないでしょう。
そこで必要になるのが、インフラエンジニアの仕事に活かせる資格です。
ITに関する資格は数多くありますが、その中でも保有していることで「一定の知識があることを証明できる」ものを3つご紹介します。
一つでも持っていると、転職の際に有利に働く可能性がありますので、ぜひ取得を目指してください。
「CCIE」は、アメリカのコンピューターネットワーク機器開発会社「Cisco Systems社」が認定するベンダー資格。
正式名称は「Cisco Certified Internetwork Expert Routing and Switching認定」で、ネットワーク資格の最高位として知られています。
難度は高いですが、取得できればエキスパートレベルのスキルを持っているネットワークエンジニアであることを証明できます。
カナダのNPO法人Linux技術者認定機関「LPI」が認定する世界最大規模のLinux技術者認定試験が「LPIC」です。
レベル1~3の3段階で、最も難しいレベル3は、分野が3つ用意されています(Mixed Environment、Security、Virtualization & High Availability)。
日本でオープンソースソフトウェアを導入している半数以上の企業が、Linuxを利用しているという調査結果(2016年、IDC Japan株式会社調べ)もありますので、ぜひ取得しておきたい資格です。
アメリカのソフトウェア会社「Oracle Corporation」が認定する、オラクル社製品の知識を証明する資格「ORACLE MASTER」。
知名度が高く、世界で通用する資格となっています。
専門分野ごとに多数の認定資格があり、おもなものとしてDatabase/Enterprise Management、Java/Middleware、Applications、O/S・H/W・仮想化、Oracle Cloudがあり、それぞれがさらに細分化されています。
まずはご自分の得意とするジャンル、使用しているハードウェア(ソフトウェア)の資格から取得し、少しずつ周辺のものに手を広げるといいでしょう。
紹介した資格以外にも、インフラに関わる資格は数多くあります。
なども人気の資格です。転職前にどの資格を取ろうか悩んでいる方は、求人情報を確認してみるのも良いでしょう。実際に企業が求めている資格をとることで、採用の可能性が上がります。
インフラエンジニアは広く深い専門知識を持っているため、管理職やプロジェクトマネージャーを目指す事はもちろん、ネットワークエンジニアからサーバーエンジニアへの転職やITコンサルタントを目指す事もできます。
管理職やプロジェクトマネージャーはチームのまとめ役で、ITインフラの管理を担う人のことを指します。業務内容は複数の専門家が集まるチームを一つにまとめ上げ、ITインフラを構築することです。
このポジションは大きな責任を背負うことになりますが、自分のまとめあげたITインフラが企業を動かし人々の生活を支えているので、やりがいがあります。
指導した後輩が成長することでこのポジションならではの達成感を得ることもできます。
ITスペシャリストとはインフラエンジニアとしての知識と技術を突き詰めた人のことを指します。また、情報の移り変わりの早いIT業界では常に最新の情報を持っていないと生き残れないので、このポジションは特に最新の情報を収集する必要があります。
自分の腕一つで顧客を満足させるこのポジションはほかの二つのポジションと比べて、「個人のやりがいを」感じるでしょう。毎日の自分の成長がこの仕事のやりがいです。
ITコンサルタントとはIT業界で培ってきた知識や経験を生かしてアドバイザーの役割を担う人のことを指します。顧客のニーズや課題に沿って、IT関連だけではなく、経営戦略のアドバイスをします。そのため経営の知識なども必要になります。
このポジションは多くの案件を抱えることができるので、さまざまな分野の人と一緒に仕事をすることができます。さまざまな案件を引き受けることで、自分がITインフラを支えていると実感し、やりがいを感じることでしょう。
また、どのようなキャリアパスを描きたいか、他にも選べる道があるのか気になる方は、IT職種をまとめた「IT・Webエンジニア職種の図鑑」も参考にしてみてください。
インフラエンジニアは、システムの基盤を作る仕事であり、縁の下の力持ちともいえます。現代のネットワークやシステムを動かすには、インフラエンジニアの活躍が不可欠です。
インフラエンジニアとしてこれから活躍したいと考えている方は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。自分にあった仕事探しを支援してもらえるため、希望の条件で転職しやすくなるでしょう。
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