更新日:2025/05/15
この記事のまとめ
SIerはIT業界の中でも特にニーズが高まっており、就職や転職希望者も増えている人気の職場です。その一方で、従来のIT業界へのイメージから「SIerで働くのはきつい」「心身ともに重労働」という声もあり、転職を迷ってしまう方もいるでしょう。
そこで本記事では、SIerの転職を検討している方向けに、SIerはきついと言われる理由や、多忙になりがちな理由、転職を避けたほうがよいSIerの特徴、SIerで働く魅力や向いている人の特徴をまとめました。
目次
SIerで働くのはきついと言われている理由は、労働環境や待遇の問題など複数あります。何も知らないままSIerに転職すると後悔する可能性があるため、きついと言われる理由をきちんと把握しておきましょう。
ここではSIerで働くのはきついと言われる主な理由を5つご紹介します。
SIerに限らず、IT業界は元請けから下請け、さらにその下層の孫請けへと業務が流れる多重下請け構造となっています。
このうち、SIerは元請けや上位層に位置するケースが多いですが、実際のシステム開発では下請けに混じって、現場のSEを管理することも少なくありません。
下請け企業の中にはベテランSEも多いことから、自分よりもスキルや経験が豊富なSEを管理するプレッシャーに悩まされ、きついと感じるSIerも多いようです。
SIerは要件定義やシステム設計、予算作成などの上流工程を担当する機会が多いため、ヒアリング力や提案力、進捗管理などのスキルが重視される傾向にあります。
一方で、プログラミングをはじめとする技術的な部分は下請けが担う仕事というイメージが強いため、高い技術力を持っていても適正な評価を受けられない可能性があります。
そのため、元々高い技術を保有している方や、技術面に興味・関心が強い方は、なかなか評価されない労働環境に不満を感じることもあるかもしれません。
SIerは顧客企業へ派遣され、常駐して業務をこなすケースが多くあります。
その場合、派遣された従業員は一時的に顧客の管理下に置かれることになるため、適切なマネジメントを受けられないと遅延やトラブルが頻発する原因となります。
結果的に成果物の納品が遅れた場合、チームメンバー全員が責任を負わされることになり、評価が下がってしまうケースも少なくありません。
プロジェクトが終わっても、再びほかの派遣先に常駐することになるため、心身に負担がかかってきついと感じる人も多いようです。
SIerに限らず、IT業界は慢性的な人手不足に陥っているため、人材の育成や教育まで手が回らない企業は少なくありません。
そのため、業務内で分からないことや疑問点があれば、その場でチームリーダーに教えを請う
スタンスになりがちですが、肝心のリーダーも業務に追われて忙しいため、質問しづらかったり、回答を後回しにされたりする可能性があります。
疑問点や不明点を独学で補うには限度があるため、現場についていけないことにつらさを感じる人もいます。
SIerのシステム開発はまず要件定義からスタートし、顧客の要望やニーズを反映させたシステム設計を行いますが、当初の計画のままプロジェクトが進行するとは限りません。
中には、途中で要件変更を要求してきたり、納期の短縮を迫ってきたりする顧客もいます。
現場はその都度振り回されますが、顧客第一主義の観点から、容易に「難しい」「できない」と断ることもできないため、慢性的にプレッシャーを感じる人も少なくないようです。
SIerがきついと言われる理由には、従業員一人当たりの負担が大きく、多忙になりやすい要素も含まれます。SIerが忙しくなりやすい原因は、IT業界全体の課題である人材不足のほか、短納期や急な仕様変更など多岐にわたります。
ここではSIerが多忙になりやすい主な理由を5つまとめました。
SIerを含むIT業界は慢性的な人材不足に陥っています。
経済産業省が公開している資料によると、IT人材は2019年にピークを迎えた後、退職者が入職者を上回り、ますます人材が不足すると予想されています。
人手不足が慢性化すると従業員1人当たりの業務負担が重くなり、常に多忙になりがちです。中には過重労働が原因で離職が相次ぎ、人手不足がより深刻化する悪循環に陥っているケースもあるようです。
一方で、SIerのニーズは企業のDX推進などにより年々高まっていることから、今後ますます多忙になる可能性が高いと考えられています。
SIerの成果物の納期は打ち合わせによって決定されますが、顧客のニーズが優先されるため、短納期に設定されるケースも少なくありません。
また、元の納期にゆとりがあっても、途中でタスク遅延などのトラブルが発生した場合、後半のスケジュールに余裕がなくなることもあり得ます。
納期を延ばすのは最終手段となるため、残業や休日出勤で足りない分をカバーすることも珍しくなく、SIerのエンジニアが多忙になる原因の一つとされています。
顧客の中には、途中で機能の追加や仕様の変更を要求してくるところもあります。
特にシステム開発事情にあまり詳しくない顧客の場合、「少しの変更なら納期を延ばさなくても対応できるだろう」と考えることが多く、現場に大きな負担がかかりがちです。
「システムの仕様変更は規模の大小に関係なく手間がかかる」と説明しても理解してもらいにくいため、結果的に短納期のまま対応せざるを得ないこともあります。
なお、仕様変更は一度に留まらず、二度、三度と発生することもあり、イレギュラーへの対応が増えるほど従業員の負担も増加していきます。
SIerが請け負うシステム開発の難易度はさまざまで、中には複雑なシステムの開発を任されることもあります。複雑なシステム開発はシンプルなものより高度な知識と経験、技術力を求められるのはもちろん、それなりの時間も要します。
やりがいはありますが、トラブルやエラーも頻発しやすく、従業員1人当たりの負担も大きくなりがちです。
さらに規模の大きなプロジェクトになると、長期的に忙しい状態が続くため、疲労やストレスが慢性化する人もいます。
SIerが請け負う業務はプログラミングだけでなく、要件定義から企画立案、設計、導入サポートや運用保守まで多岐にわたります。さらに、顧客との打ち合わせや報告作業など、開発以外の業務に追われることも少なくありません。
場合によっては、一度に複数のタスクを抱えることもあり、休む暇がほとんどない状態に陥る人もいるようです。
業務効率化やマネジメントの体制が整っている会社なら、一人当たりの業務負担を軽減することも可能ですが、そうでない場合は多忙な毎日を送る可能性が高いでしょう。
経営方針や労働環境は会社によって大きく異なります。SIerへの転職を希望するのなら、志望先の企業を下調べし、無理なく働ける職場かどうか。将来性はあるか、などをチェックしておきましょう。
ここでは転職を避けたほうがよいSIerの特徴を3つご紹介します。
若年層の従業員または中堅社員が少ない場合は、若手の離職率が高いと考えられます。
新卒や中途採用者が定着しない会社は、給与が低い、評価体制に問題がある、若手にばかり負担がかかるなど、労働環境や待遇に問題を抱えている可能性があります。
従業員の年齢層は、コーポレートサイトや書籍をチェックしたり、企業訪問で質問したりすれば調べられるため、転職先を探す際は、従業員の年齢層に極端な偏りがないかどうか事前に確認しておきましょう。
多重下請け構造では、下層のSIerほど開発や製造、テストなどの下流工程の業務を請け負うことになります。
下流工程のほうが単純な業務量が増えるうえ、中には業務のほとんどを下請けSIerに回す上層SIerもおり、業務負担が大きくなりがちです。さらに、下層になるほど単価もどんどん下がっていくため、従業員の不満も生じやすい傾向にあります。
特に孫請けにあたる3次請け以下のSIerほど労働環境や待遇が下がる可能性があるため、何次請けの企業か事前に確認することが大切です。
IT業界は日進月歩で進化しているため、新技術を採り入れる体制や風土が整っているかどうかは企業の成長や発展を左右するポイントです。
新技術に対応できない職場の場合、時代に取り残される可能性が高く、今後ますます激化することが予想されるIT業界の競争に勝ち抜くのは難しいでしょう。
コーポレートサイトや会社案内などの資料をチェックし、その企業がこれまでどのような経緯を辿って成長・発展を遂げてきたか。今後どういうビジョンを描いているのかなどを下調べし、将来性のある企業か否かをきちんと見極めることが大切です。
SIerで働くことにはいくつかの注意点もありますが、一方で、ただきついだけの職場ではありません。社会的ニーズの高いSIerで働くことは、収入や転職のしやすさ、やりがいなどの面でさまざまなメリットがあります。
ここではSIerで働く魅力を3つに分けて説明します。
SIerは国や自治体、大手金融機関などから受注することも多数あります。これらのプロジェクトは規模が大きくなるケースが多く、かつ単価も高めに設定されているため、経営基盤はかなり安定しています。
また、SIerが請け負うのはシステム開発だけでなく、その後の運用や保守も任されることが多いため、継続案件も少なくありません。
以上の理由により経営が安定しているSIerは比較的待遇のよい求人を多く出しており、スキルや経験によっては入社後から高年収を期待できるでしょう。
前述のとおり、SIerは社会的ニーズが高いうえ、慢性的な人手不足に陥っています。そのぶん一度に採用する人数も多いため、採用される確率も比較的高めです。
中には未経験OKとしている求人もあり、異業種からの転職を目指している方がチャンスをつかめる確率も少なくありません。
もちろん、ITに関する基礎的な知識を保有しているに越したことはありませんが、高い技術や経験が求められるほかの技術職に比べれば転職しやすいところが利点です。
元請けSIerが官公庁や金融、医療機関などから請け負う案件の多くは、大規模かつ社会インフラを支えるシステムの開発です。
たとえば国や自治体なら税金や社会保険料の監理システム、金融ならクレジットカード決済や債券管理のシステム、医療機関なら健康診断管理や医療支援システムなどの開発に携わるケースも少なくありません。
こうした国民や市民の生活に直結する重要なシステムの開発・運用・保守に携わることは大きな社会貢献につながるため、やりがいを感じながら働けるでしょう。
SIerの業務は多岐にわたるため、働く人にもさまざまなスキルが求められます。適性のない方がSIerで働くと、悩んだり挫折したりする可能性が高くなるため、自分がSIerの仕事に向いているかどうか、一度チェックしてみましょう。
SIerに向いている人の主な特徴は以下のとおりです。
SIerは個人ワークもありますが、顧客から要望をヒアリングしたり、チームメンバーと連携したりする場面も多いため、コミュニケーションスキルは必須です。また、システム開発には筋道を立てて物事を考える能力や、突発的な変化・アクシデントにすぐ対応できる能力なども求められます。
SIerは多重下請け構造になっていることや派遣先に常駐しなければならない点などから、働くのがきついイメージが定着しています。その背景には、慢性的な人材不足や短納期のプロジェクト、急な仕様変更などさまざまな要因があります。
特に3次以下の下請けや、年齢層に偏りのあるSIerは労働環境が過酷な可能性が高いため、SIerへの転職を検討する際は求人の探し方に注意が必要です。
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