更新日:2025/08/04
この記事のまとめ
企業のサーバーやネットワークといった基盤を構築・運用するインフラエンジニアは、IT社会を支える縁の下の力持ち的存在の職種です。IT業界の中でも安定性が高い職種であり、未経験からでもチャレンジしやすい点が魅力です。
しかし、「具体的にどのような仕事をしているのか」「やりがいはあるのか」などの疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、インフラエンジニアの仕事内容とやりがい、向いている人の特徴、未経験から転職を成功させるためのポイントを解説します。インフラエンジニアへの転職を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
インフラエンジニアは、ITシステムの基盤(インフラ)となる部分の設計・構築・運用・保守を担う技術者です。現代社会では、あらゆるビジネス活動がインターネットやITシステムに支えられており、それらを安定して稼働させるための「縁の下の力持ち」として不可欠な存在です。
職種は主に、ネットワークエンジニア・サーバーエンジニア・クラウドエンジニア・セキュリティエンジニアなどに分かれ、それぞれが専門性の高い業務を担当します。たとえば、ネットワークエンジニアは企業の通信ネットワークを構築・監視し、サーバーエンジニアはWebサーバーやデータベースサーバーの設計・保守を担当します。
クラウド技術の普及により、オンプレミスとクラウド双方の知識を求められる場面も増えており、技術の幅広さと深さの両方が求められる職種です。
インフラエンジニアは目立たない仕事を担当するものの重要度は高く、さまざまな面でやりがいを感じる職です。ここでは、インフラエンジニアとして働くうえでやりがいにつながる6つのポイントを紹介します。これから紹介するポイントが自分にとって魅力的だと感じるのであれば、ぜひインフラエンジニアへの転職を検討してみてください。
システム開発においてインフラエンジニアが担当する分野は、サーバーやネットワーク、データベースなどの基幹部分です。すなわち、インフラエンジニアの仕事がなければITシステムは稼働しません。
携わるプロジェクトによっては、金融やエネルギーといった大規模かつ社会的に重要な役割を果たすシステムを担当することもあります。システムを支える責任の重さ、社会全体に与える影響の大きさは、やりがいにつながる要素といえます。
インフラエンジニアの仕事では、サーバーやネットワーク、クラウド、仮想化、セキュリティといった多岐にわたる技術に触れられます。日々進化するテクノロジーをいち早く導入・活用できるポジションにあるため、最新技術の動向を学びながら仕事ができる点は大きなやりがいです。
また、システム全体を支える立場として、OSやデータベース、スクリプト言語など幅広い知識を求められるため、自然とスキルの引き出しも豊かになります。技術的な探求心を持つ人にとって、成長の実感とともに常に新鮮な刺激がある職業といえるでしょう。
インフラエンジニアは、システムトラブルや障害発生時の「最後の砦」として対応することも多く、復旧作業を通じて顧客や社内から感謝される機会が多い仕事です。特に、原因調査から復旧、再発防止策まで一貫して対応できたときには、大きな達成感があります。
こうした経験の積み重ねは、顧客との信頼関係を強固にし、長期的な関係構築にもつながります。表舞台に立つことは少ないものの、困ったときに頼りにされる存在がインフラエンジニアです。
ITインフラは、業種や規模を問わず、すべての企業にとって欠かせません。テレワークやDXの推進、クラウドサービスの普及などにより、インフラエンジニアの需要は年々高まっています。加えて、インフラは「止められない」業務であるため、景気や流行に左右されにくく、安定した需要が見込まれる分野です。
特に、金融機関の根幹システムのような、停止すると業務や社会に大きな影響を与えるシステムを支えるインフラエンジニアは長期的なキャリア形成を目指すうえで魅力的です。将来的にも高い安定性と専門性を両立できる職種といえるでしょう。
インフラエンジニアは専門性が高く、技術力や経験に応じて年収を伸ばしやすい職種のひとつです。特に設計・構築フェーズを担える上流工程のインフラエンジニア、クラウドやセキュリティ関連の専門スキルを持つ人材は高く評価される傾向にあります。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、インフラエンジニアの平均年収は752万6,000円であり、他職種と比較しても高水準です。さらにマネジメントやスペシャリストへの道を歩むことで、年収1,000万円以上を目指すことも夢ではありません。
参照:システムエンジニア(基盤システム)|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省
インフラエンジニアの世界では、年齢や経歴に関係なく「スキル」が評価される文化が根づいています。そのため、日々の業務を通じて知識を深め、資格取得やプロジェクト経験を積むことで、着実にキャリアアップを目指せる環境です。
インフラ領域はクラウドエンジニア、セキュリティエンジニア、プロジェクトマネージャーなど多彩なキャリアパスが用意されており、自分の志向に合わせた成長が可能です。「手に職をつけたい」「技術者として長く活躍したい」という方にとって、やりがいと希望のあるフィールドといえるでしょう。
転職してからミスマッチに悩まないようにするには、事前に仕事内容を正しく知っておくことが欠かせません。ここでは、インフラエンジニアが担当する主な3種類の仕事を紹介します。転職を検討している方は、以下で紹介する仕事が本当にやりたいことであるかをチェックしておきましょう。
開発の初期段階では、要件定義や企画・設計を担当します。開発するシステムを動かすにはどのようなサーバー・ネットワークを構築する必要があるか、必要なハードウェアスペックはどの程度か、どのソフトウェアを使用するのが適切かを考え、設計に落とし込むのが仕事です。
ここで作成する設計書でシステムの仕様が確定するため、重要な工程といえます。システム開発の目的から仕様を決め、設計書を作成するスキルが求められる仕事です。
設計書が完成したら、そこに記載されている内容にしたがってITインフラを構築します。必要なハードウェアを調達してサーバーやネットワークを設計したり、通信回線を敷設・接続したりするのが主な仕事です。必要に応じてデータベースの構築やセキュリティ関連の業務も担当します。具体的にどのようなインフラを構築するかは、担当するシステムの種類や規模によって異なります。
システムの稼働がスタートしたら、インフラの運用・メンテナンスを担当します。稼働中は状況を監視し、トラブルが発生した場合は復旧作業を行うのが主な仕事です。アップデートがあるときはパッチを適用したり、新しい仕様に対応できるように設計を変更したりします。
さらに、ハードウェアの状況をチェックして故障の兆候が見つかったら交換するのも、システムを安定させるうえで重要な仕事です。運用がスタートした後も、インフラエンジニアはシステムを稼働させるうえで重要な役割を果たします。
インフラエンジニアはやりがいが大きい仕事ですが、厳しい面もあります。転職してからミスマッチに悩む結果にならないためにも、何が厳しいのかをここでチェックしておきましょう。インフラエンジニアへの転職を検討している方は、以下で紹介する4つのポイントが自分にとって致命的なデメリットになるか考えてみてください。
インフラエンジニアの仕事では、システムの稼働時間に合わせて夜間や早朝に業務が発生することもあります。特に24時間体制の運用現場では、シフト勤務や夜勤が必要となり、生活リズムが不規則になることもあるでしょう。深夜の緊急対応や、計画的な深夜メンテナンスの立ち会いなどがあると、体調管理やプライベートの調整が難しくなる場面も少なくありません。
一方で、シフト勤務ならではのメリットもあります。たとえば、平日の昼間に自由な時間を確保できるため、役所や病院へ行きやすい、空いている時間に買い物などがしやすい利点があります。また、通勤ラッシュを避けられ、ストレスの少ない移動が可能です。
ITインフラの設計・構築・運用を担当するため、自分の仕事がどのような成果を出したのかが分かりにくく、モチベーションが低下するケースもあります。担当したシステムを支えるインフラに不具合が発生せず、安定稼働していれば成果が出ているといえますが、実務でそれを実感することは少ないでしょう。
成果が見えにくい状況が続き、「自分の仕事が本当に役立っているのだろうか」と考えるようになってやりがいを見失う方もいます。
運用を担当するインフラエンジニアは、ルーティンワークが多くなる傾向にあります。システムの監視やアップデートパッチの適用など、決まった業務を担当することが多いためです。ルーティンワークが苦手な方には、仕事が苦痛になりやすい環境といえるでしょう。
インフラエンジニアとして働くうえでルーティンワークは避けられないため、「毎日同じことを繰り返すことになってもやり遂げられるだろうか」と自問自答してみることをおすすめします。
インフラエンジニアに限らずITエンジニア全般に共通する点ですが、長期間現場で活躍し続けるには最新技術について学習し、使えるようになる必要があります。日々新たな技術が登場したり既存の技術がアップデートされたりする環境であり、きちんと学習していないと実務で使いこなせなくなるためです。
最新技術を扱えなければ、自分の市場価値が下がります。一方で技術に興味があって積極的に学習できる方にとっては、担当できるプロジェクトの幅が広がって活躍しやすくなるのがメリットです。
転職を検討しているときに忘れずにチェックしておきたいポイントのひとつが、自分がインフラエンジニアに向いているかどうかです。ここでは、インフラエンジニアの適性がある人に共通する特徴を3つ紹介します。インフラエンジニアへの転職を検討しているのであれば、自分が以下に該当するかチェックしておきましょう。該当するポイントが多いのであれば、インフラエンジニアに向いている可能性が高いといえます。
運用業務を担当するインフラエンジニアは、システムの監視やメンテナンスといったルーティンワークが多くなります。そのため、根気強く似たような作業を繰り返せる人に向いています。
また、開発段階でもインフラの構築や設定など、根気強さが求められる作業が多くあるのが特徴です。インフラエンジニアに限った話ではありませんが、ITエンジニアとして活躍するには根気強さや高い集中力が求められます。
インフラエンジニアとして活躍し続けるには最新技術を使えるようになる必要があり、自発的な学習が欠かせません。そのため、自ら進んで技術について学べる人に向いています。技術に興味がある人や学習するのが好きな人は、インフラエンジニアの適性があるといえるでしょう。一方で学習を苦痛に感じる人や技術にあまり興味を持てない人にとっては、厳しい環境になりかねません。
インフラエンジニアとして働いていると、発生した不具合に対処するために臨機応変な対処が求められるケースがあります。ほかにも、予想していたとおりにシステムが動作せず、設計の変更や調整が必要になることも少なくありません。
そのようなときに何が最善か考えて実行するには、柔軟性と対応力が求められます。自分で考えて臨機応変に対応できる人に向いている仕事といえるでしょう。
自分にとってインフラエンジニアが向いている職種かをより正確に判断するために、向いていない人の特徴についても見ていきましょう。自分に当てはまる部分が多いのであれば、いったん立ち止まって本当にインフラエンジニアへ転職するのが最適かを考え直してみてください。
勉強が嫌いで自分から進んで学習に取り組むのが難しいと感じるのであれば、インフラエンジニアとして働くことをつらいと感じる可能性があります。現場で活躍し続けるには最新技術を扱えるようになる必要があり、一定の学習が欠かせないためです。
勉強が嫌いであったりITインフラ関連の技術に興味を持てなかったりすると、すぐに最新技術に対応できなくなって業務の幅が狭まりかねません。自分の市場価値を下げる結果にもつながるため、注意が必要です。
同じ作業を繰り返すことに苦痛を感じる人や、集中力を維持するのが難しい人もインフラエンジニアへの適性が低い可能性があります。システムの監視・運用をはじめとして、インフラエンジニアの仕事にはルーティンワークも多いためです。
同じことを繰り返すのではなく常に新しいことに取り組みたいと考えている人は、システム開発を担当するITエンジニアを目指したほうがよいでしょう。
インフラの構築ではなくシステムの開発に携わりたいと考えている人にとっても、インフラエンジニアはおすすめの職ではありません。インフラエンジニアはその名のとおりITインフラを扱う職種で、開発に携わるケースは少ないためです。
そのため、システムの開発に携わりたいと考えているのであれば、プログラマーやシステムエンジニア、アプリケーションエンジニアといった開発系の職種を目指すことをおすすめします。
これからインフラエンジニアに転職しようと考えている方は、事前に必要なスキルを習得し、即戦力として活躍できる状態にしておくことが大切です。習得しておくとよい代表的なスキルには、以下があります。
上記のスキルをまとめて短時間で習得するのは現実的ではないため、学習計画を立てて順番に学ぶのがおすすめです。インフラエンジニアへの転職を目指している方は、現職の業務や自発的な学習を通じてスキルアップに励みましょう。
インフラエンジニアは、IT業界未経験者でも転職可能です。しかし、経験者と比べるとアピール材料が少ないことから、入念な準備とポイントを押さえた転職活動が欠かせません。ここでは、未経験からインフラエンジニアになるために押さえておきたいポイントを5つ紹介します。
未経験者は、まずITに関する基本的な知識を身につけることが重要です。たとえば「IPアドレスとは何か」「OSにはどのような種類があるのか」「ネットワークはどう構成されているのか」といった、ITインフラの基本構造を理解しておくことで、採用面接でも自信を持って話せるようになるでしょう。
採用担当者は、未経験者であっても「自分で調べて学べる人か」「現場でのキャッチアップが可能か」を見極めようとしています。まずはインターネット上の無料学習サイトや書籍を活用し、用語や仕組みを体系的に学ぶところから始めてみましょう。
未経験での転職活動において、資格の取得は「学習意欲」や「最低限のスキル」を証明する武器になります。資格があれば、実務経験がなくても基礎知識を習得していることの裏づけとして採用担当者に安心感を抱いてもらえます。インフラエンジニアを目指す人に特におすすめなのは、国家試験である「情報処理技術者試験(基本情報・応用情報)」です。
また、OSやサーバーに関するスキルを証明できる「LinuCレベル1」、ネットワークの基礎をカバーできる「CCNA」、データベースの知識を示せる「ORACLE MASTER(オラクルマスター)」などの資格も、事前に取得しておくと転職時のアピール材料として使えます。複数の資格を組み合わせて取得できれば、即戦力に近い評価が得られることもあるでしょう。
独学が難しいと感じる場合は、専門のITスクールを活用するのもひとつの手段です。インフラ分野に特化したカリキュラムを提供しているスクールであれば、効率的にスキルを習得できるだけでなく、実践的な演習環境も整っていることがほとんどです。
また、スクールによっては履歴書の添削や面接対策、企業紹介など転職活動をサポートしてもらえます。特に「どのように転職活動を進めればよいのかが分からない」未経験者にとって、スクールの伴走支援は大きな安心材料になるでしょう。短期間で集中して学び、早期に現場デビューを目指す方におすすめです。
未経験者が選考でアピールしたいポイントは、これまでの実績ではなく「ポテンシャル」です。つまり、将来性、知識の吸収力、努力の姿勢などを自己PRや志望動機にしっかり盛り込むことが重要です。
また、「なぜインフラエンジニアを志望するのか」「なぜその企業を選んだのか」を志望動機で明確に示すことも大切です。具体的には「ITインフラの安定性を支える仕事に魅力を感じた」「クラウド技術の進化に対応できる技術者になりたい」など、自分が目指すキャリアビジョンとインフラエンジニアの職種がどう結びついているかを言語化できるようにしましょう。
転職活動を効率よく進めたい場合は、IT業界に強い転職エージェントを活用するのがおすすめです。転職エージェントとは、希望条件に合う求人の紹介や、面接日程の調整、履歴書や職務経歴書の添削など、転職活動全体をサポートしてくれるサービスのことです。
特に未経験者の場合は、どの企業が受け入れに前向きかを見極めるのが難しいため、業界に精通したキャリアアドバイザーの存在は頼りになります。また、非公開求人の紹介や、企業とのパイプを活かしたマッチングも期待できることから、ひとりで転職活動を進めるよりも成功率が高まります。無料で利用できる点も大きなメリットです。
インフラエンジニアは未経験からでも目指しやすい職種ですが、転職を成功させるには事前準備が欠かせません。基礎知識の習得や資格取得、スクールの活用など、自分に合った方法で段階的にスキルを積み上げていくことが大切です。
未経験からIT業界を目指す方には、マイナビITエージェントの利用もおすすめです。インフラエンジニアを含むIT職種に特化した転職を支援しており、未経験者向けの求人紹介やキャリア相談にも対応しています。相談のみの利用も可能なため、お悩みの場合はお気軽にお問い合わせください。
関連記事:マイナビITエージェント