更新日:2023/05/09
この記事のまとめ
ICTシステムを動作させるには、サーバーやネットワークなどのインフラが欠かせません。これまでに積み重ねてきたITエンジニアとしてのスキルや経験を活かし、ITインフラの設計・構築・運用・保守に携わるインフラエンジニアへの転職を検討している方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、インフラエンジニアの業務内容や転職で役立つスキルを紹介します。インフラエンジニアが自分に向いた職業なのかを確認し、必要なスキルを習得したうえで転職を目指すとよいでしょう。事前にインフラエンジニアの業務内容を正しく理解しておくことで、転職後のミスマッチを避けられます。
目次
一口にインフラエンジニアといっても、その職種は大きく「サーバーエンジニア」「ネットワークエンジニア」「セキュリティエンジニア」の3つに分けられます。ここでは、それぞれのITエンジニアがどのような役割を果たすのかを紹介します。いずれもITインフラに携わる職種ですが、担当範囲が大きく異なるため、自分がどの分野を担当したいのかを明確にしましょう。
多くのICTシステムでは、データの保管や必要な処理を行うためにサーバーを設置しています。さまざまな分野で活用が進んでいるクラウドサービスもベンダーがサーバーを用意していることを考えると、欠かせない設備といえるでしょう。
サーバーの設計・構築・運用・保守に携わるのがサーバーエンジニアです。必要なスペックを見積もってハードウェアを調達したり、必要なソフトウェアをインストールしたりして使えるようにします。運用時は正常に動作しているかを常時チェックし、トラブルが発生したときは適切に対処するのが基本です。
P2Pをはじめとしたサーバーを使用しないICTシステムの形態もありますが、多くのシステムでサーバーが活用されていることを考えると、今後もサーバーエンジニアの需要は高いといえるでしょう。
ICTシステムを使用するには、ネットワークを構築してサーバーとクライアントが通信できるようにしなければなりません。必要な性能を備えたLAN(ローカルエリアネットワーク)やWAN(ワイドエリアネットワーク)を設計・構築し、適切に運用するうえで欠かせないのがネットワークエンジニアです。
設計段階では接続数や通信量を見積もって構成を決め、必要なネットワーク機器を調達します。運用時は正常に動作しているかを監視し、トラブルが発生したら都度対応する必要があります。適切なネットワークを構築するには、LAN・WANに関する広範な知識やネットワーク技術に関する知識が不可欠です。
ICTシステムとネットワークは切り離せない関係であるため、さまざまな場所でIT技術の活用が進んでいる時代においては需要が高い職種といえるでしょう。
さまざまなICTシステムを安全に稼働させるうえで欠かせないサイバーセキュリティを総合的に扱うのが、セキュリティエンジニアです。
特に機密情報や金銭に関する情報を扱うことが多いシステムは、外部から攻撃を受けるリスクがあります。不正アクセスやDDoS攻撃、サプライチェーン攻撃などの手法を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。システムが攻撃を受けて重要な情報が流出すると、社会に大きな影響をおよぼすとともに運用している企業の信用を大きく損ないます。
セキュリティエンジニアは最新の攻撃手法に対策し、貴重な情報資産を守ることが仕事です。そのためには、ITに関する全般的なスキルに加えて、暗号化やゼロトラストをはじめとしたセキュリティ技術に関する知見も求められます。サイバー攻撃がなくなる可能性は考えにくいため、今後もセキュリティエンジニアの需要が高い状態が続くと考えられるでしょう。
インフラエンジニアの職種にはサーバーエンジニア、ネットワークエンジニア、セキュリティエンジニアなどがありますが、いずれも需要が高く、将来性も期待できるといえます。ここでは、インフラエンジニアの将来性が期待できる理由について見ていきましょう。
現在、日本ではITエンジニアの絶対数が全体的に不足しており、今後もその傾向が続くと予想されています。インフラエンジニアもITエンジニアの一職種であることを考えると、高いスキルを有したインフラエンジニアの需要は今後ますます高まると考えられるでしょう。
インフラエンジニアとしての経験を積み、日々スキルアップに励めば自身の市場価値を高められます。さらなるキャリアや年収アップを目指そうと考えているのであれば、スキルを磨いて企業から必要とされる人材となる意識が重要です。
IT技術は社会の隅々まで浸透していますが、システム化が遅れている企業や機関も残っています。今後はシステム化が遅れていた企業においても、IT技術の活用が進むと考えられるでしょう。ITの活用が進めば、それを支えるインフラの重要性も高まります。インフラエンジニアがいなければサーバーやネットワークをはじめとしたインフラが構築できないため、需要が高い状態が続くと予想されるでしょう。
技術面の進歩が速いのもIT業界の特徴です。新たな技術の開発や既存技術の改良が活発に行われており、それに伴って新たなタイプのシステムが登場しています。AIを活用したチャットボットや画像生成などに触れたことがある方も多いのではないでしょうか。
今後も続々と新たな技術が開発されると考えられており、開発した技術を活用したシステムがビジネスに応用されるでしょう。その過程では最新技術に対応できる人材が不可欠なため、高度なスキルを有する人材の需要が高まるといえます。
IT業界でインフラエンジニアとして活躍するうえで求められるスキルのひとつが、開発に欠かせないスキルです。ここでは、将来有望なインフラエンジニアになるために習得したい4つのスキルを紹介します。プログラミングスキルやITに関する全般的な知識に加えて、以下で紹介するスキルを習得しておくと転職時に有利に働くでしょう。
IT業界では、AIやIoTといった新しい技術の活用が進んでいます。AIを活用した自動運転や翻訳サービス、チャットボットなどを利用したことがある方も多いでしょう。IoT領域では、センサーをネットワークに接続してデータを自動収集し、分析することで得られた知見をビジネスに活用する動きがあります。
上記の分野は、今後も進歩すると考えられるでしょう。IoTデバイスで収集したデータをAIシステムが活用するなど、組み合わせて利用するケースもあります。今後の技術の進化に対応するためにも、AIやIoTをはじめとした最新技術を学ぶように努力しましょう。ブロックチェーンやXRなど近年注目を集めている技術についても学習することをおすすめします。
サーバーやデータベースなどの必要なリソースを自分で調達するのではなく、クラウドを利用する流れも加速しています。システム開発においては、AWSやGoogle Cloudなどを活用するケースも多いでしょう。
オンプレミスのシステムをクラウドに移行したり、それぞれのメリットを活かす目的でシステムごとに使い分けたりするケースもあります。さまざまな案件に対応するためにも、クラウドを活用するうえで必要なスキルを習得しておくとよいでしょう。
ネットワークに携わる場合は、通信技術に関する知識やスキルが求められます。5G通信やWi-Fi 6などのメインで使用されている現行の通信技術についてはマスターしておきましょう。
さらに、6G通信やWi-Fi 7、シングルペアイーサネットといった開発中の最新規格についても学習することをおすすめします。技術の進歩に伴って新しい規格に移り変わることが予想されるため、時代の流れに応じて適切に新技術を習得することが大切です。
多くのICTシステムを安全に運用するには、高いレベルのセキュリティが欠かせません。セキュリティを確保する目的で強固な暗号化方式や高度な認証技術が使用されています。さまざまなセキュリティ技術を学ぶことで、目的に応じて適切なセキュリティ施策を講じられるようになるでしょう。
サイバーセキュリティ関連の知識・スキルはセキュリティエンジニアとして活躍する場合は特に重要ですが、それ以外のエンジニアとして働くときにも求められます。攻撃者が用いる手法は日々進歩していることを考えると、適切に対処するには高度なスキルが必要です。
開発現場でインフラエンジニアとして活躍するには、エンジニアに求められるスキルに加えてビジネススキルも欠かせません。インフラエンジニアとしてキャリアアップするためにも重要なスキルなため、積極的に習得に励みましょう。ここからは、より有用な人材として成長するうえで欠かせない4つのビジネススキルを解説します。
インフラエンジニアは、別の業務を担当するITエンジニアやディレクターなどとチームを組んでプロジェクトを進めます。チームの一員として働くには、意思疎通を図るための基本的なコミュニケーションスキルが不可欠です。ヒアリングスキルや洞察力、表現力、交渉力をはじめとした基本的なコミュニケーションスキルを高めるように努力しましょう。
実際の業務で企画や要件定義に携わるときには、プレゼンテーションスキルが求められます。提案後の調整や交渉でも求められるスキルのひとつです。
プレゼンテーションスキルには、ロジカルシンキングや説得力、対応力が含まれます。どのように論理を展開したら相手を納得させられるか、交渉を進められるかを考えましょう。さまざまなプレゼンテーションを通じてスキルを高めることをおすすめします。
特定の目的を達成するために必要なリソースを調達し、適切に運用するスキルの総称がマネジメントスキルです。
インフラエンジニアとしてのキャリアが長くなると、要件定義や設計といった上流工程に携わるケースもあるでしょう。そのようなときには、必要なリソースを適切に見積もって調達するスキルが求められます。プロジェクトがスタートしてからは、リソースを適切に運用して予定どおりに業務を進められるようにしなければなりません。
マネジメントスキルは、インフラエンジニアからのキャリアアップ時にも重視されます。将来的にさらなるキャリアアップを考えているのであれば、重点的に強化しましょう。
インフラエンジニアとしてのキャリアを活かして、いずれはITコンサルタントなどのコンサル職を目指そうと考えている方もいるのではないでしょうか。コンサル職を目指す方は、コーチングスキルを磨くことにも注力しましょう。
コーチングスキルには、相手から信頼を得るスキルや継続力、対応力などが含まれます。基本的なビジネススキルに共通する部分もありますが、これらのスキルを相手の可能性を引き出すために活用することが重要です。
インフラエンジニアへの転職後にどのようなキャリアを目指せるのかが気になっている方もいるのではないでしょうか。そこでここでは、インフラエンジニアが目指せるキャリアパスを3例紹介します。キャリアパスの方向性には、ITエンジニアとして技術のスペシャリストを目指す道と管理職を目指すルートがあります。自分の目標を明確にし、適切な職種を選びましょう。
開発プロジェクトでクラウドサービス(クラウドサーバー、データベースなど)を利用した経験があり、十分なスキルを備えているのであればクラウドエンジニアを目指せます。クラウドエンジニアは、クラウドサービスを活用したシステムを開発したり、インフラを構築したりするときに基本的な設計や構築に携わる職種です。
システムが完成した後は、運用と保守に携わります。クラウドエンジニアになるには、クラウドサービスを活用するうえで必要なスキルや知識が求められます。
ITエンジニア職の経験があれば、フルスタックエンジニアを目指す道も開かれます。フルスタックエンジニアはシステム開発に関連するあらゆる工程をひとりで担当する職種で、エンジニア業務における幅広い知識とスキルが必要です。
ITエンジニアの人材不足が続いている昨今にあって、ひとりでさまざまな業務を遂行できるフルスタックエンジニアの需要はさらに高まるでしょう。担当分野が増えて激務に陥りやすいデメリットがあるものの、多くの分野に対応できるエンジニアのスペシャリストを目指したいのであればおすすめです。
特定の企業の経営課題をIT技術によって解決を目指す職がITコンサルタントです。課題を解決するためにどのようなシステムが有用かを考え、開発や導入、運用をサポートします。
ITコンサルタントを目指すのであれば、ITに関する広範な知識とスキルに加えてビジネスや経営に関連する知識も必要です。経営について学んだり、コーチングスキルを高めたりするなどビジネスパーソンとしてのスキルを磨くように努力しましょう。
ITシステムにおいて欠かせないサーバーやネットワークを担当するのが、インフラエンジニアです。ほかのITエンジニアと同様に人材不足に陥ることが想定されていて、将来有望な職種のひとつといえます。ITエンジニアの経験やスキルを活かしてインフラエンジニアに転職しようと考えている方は、必要なスキルを学びつつ技術面における最新のトレンドもマスターしましょう。
実際に転職するときは、自身のスキルや経験を高く評価してくれる企業を選ぶことが大切です。転職に不安を感じているのであれば、プロのキャリアアドバイザーに相談するとよいでしょう。マイナビITエージェントでは経験豊富なキャリアアドバイザーが、経験やスキルを発揮できる転職を全力でサポートいたします。
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