更新日:2022/04/01
ITパスポート試験は、ITを活用する「全ての社会人」を対象にした試験です。
未経験からIT業界で働きたい人や、未経験からITエンジニアを目指したいという人におすすめの資格となっています。
ITパスポート試験(通称「iパス」)に合格すると「ITパスポート試験合格」という資格が取得でき、ITの基礎知識から経営の基礎知識にわたる幅広い知識を持っていることの証明になります。
ここではITパスポート試験の内容やITパスポート試験合格が役立つ職業、難度、受験方法などを紹介します。
目次
ITパスポート試験は、経済産業省が認定する国家資格である「情報処理技術者試験」の試験区分のひとつです。
情報処理技術者試験の中でもエントリーレベル(最も難度が低いレベル)となっており、業界や職種にかかわらず、全ての社会人を対象に、ITの正しい理解や効率的活用をしてもらうことを目指して2009年4月に新設されました。
入門編の資格ですが、ITテクノロジーだけでなく、システム・ソフトウェア開発のマネジメント方法、企業コンプライアンスや経営戦略・マーケティングなど、幅広い分野の基礎知識を網羅した問題が出題されます。
難度が低いからあまり役に立たないと思っている方も少なくないですが、ITパスポート試験は国家資格ですので取得するデメリットは全くありません。
むしろ、ITテクノロジーからマーケティング・経営戦略など、幅広い分野の基礎知識を有している事の証明になるので、業種・職種、文系・理系に関係なく評価される資格です。
ITを活用していない企業を探す方が難しいこの時代に、基本的なITリテラシーを持っている事はメリットでしかありません。
クライアントがIT企業の場合や扱っている製品がIT機器の場合、説明できなくては売ることができません。
IT企業はもちろん、商社でも取得を推奨している企業が多くあります。
また、法律に関する内容も出題されます。
知らず知らずのうちに法令違反を起こす事のないように、資格を取得される事をおすすめします。
ITパスポート試験は、情報処理系の試験の中で入門編にあたると紹介しましたが、具体的にどの程度の難度なのでしょうか。
ITパスポート試験は、ITにおける基本的な知識が問われる試験のため、難度は高くありません。
過去1年で見ると合格率は50%前後となっており、比較的高い水準といえるでしょう(2018年8月現在)。
合格するには総合評価点と分野別評価点の両方で基準点を満たす必要があります。それぞれの基準点は以下の通りです。
・総合評価点の合格基準点:600点以上/1,000点(総合評価の満点)
・分野別評価点の合格基準点:ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の各分野において300点以上/1,000点(分野別評価の満点)
ITパスポート試験は、独学でも十分に合格できる可能性があります。
ITパスポート試験の公式サイトからは2009年度以降に行われた試験の全ての過去問がダウンロードでき、様々な参考書や試験対策サイトもあります。
これらを有効活用し、知識を暗記するだけでなく、過去問で問題形式に慣れておくことも重要です。
合格に必要な勉強時間の目安としては、IT職種の未経験者なら30~50時間程度です。
すでにITの勉強をしていたり、IT関連の仕事をしていたりする場合、勉強時間は20時間程度が目安になります。
社会人で働きながら勉強できるのかと心配になる方もいるかと思いますが、既に知っている内容も少なくありません。
ITパスポートはIT分野だけではなくマーケティングやビジネス用語など、社会人にとって当たり前といえる知識も含まれているので、ぜひ挑戦してみてください。
ITパスポート試験の出題数は100問で、試験時間は120分です。
出題形式は、コンピューター上に問題が表示される4つの選択肢の中から、1つの回答を選択するCBT(Computer Based Testing)方式です。
記述式問題はありません。
計算問題があるため、時間配分に注意する必要があります。
・ストラテジ系:35問程度
ストラテジ系の出題分野は、企業経営とITの知識を問われます。企業活動や法務、経営戦略、システム戦略などで構成されています。
・マネジメント系:20問程度
マネジメント系の出題分野は、システム開発やソフトウェア開発、プロジェクトマネジメント方法、システム監査を含むIT管理について問われます。
・テクノロジ系:45問程度
テクノロジ系の出題分野では、IT技術全般に関する知識を問われます。
ITの基礎理論(2進数やアルゴリズムなど)やコンピューターシステムに関する知識、データベース、ネットワーク、セキュリティなどについて出題されます。
2進数やアルゴリズムに関する出題には計算が必要になることもあります。
ITパスポート試験は、インターネットで申込みをします。
試験は全国107の会場で頻繁に開催されており、その中から希望する会場の希望の日程を申し込みます。
申込み可能な試験日は、「最短で翌日、最長で3ヵ月先まで」となっています。
メールで送付される確認票が受験票となり、紙の受験票は郵送されません。受験番号、利用者ID、確認コードを控えておくようにしましょう。
試験当日は、開始時間の30分前から受付が開始されます。確認票と免許証などの身分証明書を提示し、受験用PCに受験番号、利用者ID、確認コードを入力してログインします。
5,700円(税込)
ITパスポート試験合格の資格取得には、年齢制限や受験資格はありません。
試験が終了するとその場で採点が表示されるので、自分が合格ラインに達しているかすぐにわかります。
正式な合格発表は試験の翌々月に公式サイト上に掲載され、官報にも結果が掲載されます。
合格発表から約1週間後に合格証書が送付されます。
ITパスポート試験に合格すると、どのような場面で有利になるのでしょうか。ITパスポート試験が転職や仕事で役立つケースを3つご紹介します。
未経験からITエンジニアやプログラマーを目指して転職する場合、ITパスポート試験合格者は「未経験ながら基本的なIT知識は持っている」という印象を与えるでしょう。
「ITエンジニアになりたいけれど何から勉強すれば良いかわからない」という場合の、基礎固めに役立つはずです。
また、資格を持っていると実務経験が無くても、専門用語や基本的な仕組みを理解しているという証明になるので、未経験でも転職に有利になる傾向にあるようです。
ITパスポート試験に合格すると、IT系職種の中でもWebディレクターやWebデザイナーの転職時に有利になるといえます。
WebディレクターやWebデザイナーは、プログラマーやSEほど専門知識は求められないものの、基本的なITスキルや情報処理の知識を習得している必要があるためです。
ITパスポート試験合格は事務系職種の人にとっても、パソコンが操作できるだけでなく、セキュリティ対策やITの基礎知識があることの証明になるため、事務系職種の転職でも取得のメリットがあります。
ITパスポート試験の勉強は、企業活動における経営管理/法務といった企業経営の基礎知識と、ITの基礎知識を身に付けることができます。
独学でも合格できる可能性が高いのも魅力です。 ITパスポート試験合格は、未経験者や事務系職種などがIT職種に転職する際に有利に働きます。
実は、この資格取得者は採用する企業側にもメリットがあります。
例えば、事務職での採用であっても幅広い知識を持っている考えられるため、状況に応じてマーケティング部門や法務部門への異動も検討できます。
企業によっては「長く在籍できる人材」という見方もできるので、資格を持っていると双方にメリットがあります。
見方を変えると、他部門に異動できる人材という事は、転職する際の業種や職種の選択肢も広げられるという事にも繋がります。
ITパスポート試験に挑戦して情報処理の基礎知識をマスターし、仕事や転職に活かしてみてはいかがでしょうか。
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