グラフィックデザイナー

「グラフィックデザイナー」とは、ポスターや書籍、商品のパッケージなど、平面デザインを制作する職種です。クライアントからの依頼内容をもとに、より美しく、より印象的にデザインするのが主な役割です。イラストを描くイラストレーターと混同されがちですが、グラフィックデザイナーは企画から制作まで幅広く関わる点で異なります。また、ゲーム業界にもグラフィックデザイナーがいますが、こちらはキャラクターやアイテムなどのデザインをデジタルデータ化する仕事になります。

イラストレーターはイラストを描くことに特化している職種です。一方、グラフィックデザイナーは案件の企画段階から携わり、プロモーションメッセージを伝えるためにデザインを制作していきます。

WebデザイナーはWebサイト全体のデザインや使いやすさを考慮したレイアウトの構築に特化しています。そのため、ポスターや商品パッケージなどをデザインするグラフィックデザイナーとはスキルが異なります。

アートディレクターはグラフィックデザイナーの上位ポジションであり、グラフィックデザインや広告などの表現に関して責任を持つ人です。自ら手を動かすことはありませんが、デザイナーから上がってきたデザインを確認・修正し、クライアントの依頼に沿った制作物となるよう現場をコントロールします。

グラフィックデザイナーは、グラフィックデザイン業務に実際に関わる職種です。求人によって業務内容は異なることもありますが、基本的な業務の流れについて紹介しましょう。

グラフィックデザインの依頼を受けたら、まずクライアントと打ち合わせを行います。コンセプトやターゲット層、クライアントの要望などを聞き、制作物のイメージを組み立てます。先方から言われた通りにするだけでなく、デザイナーとしての専門知識をもとにアドバイスをするのも重要な役割です。

ヒアリングをもとに、デザインを制作します。一人で作業することもあれば、イラストレーターなどとチームを組んで作業することもあります。完成したらクライアントに提出し、意見を聞きます。この時、イメージを擦り合わせるために複数のデザインパターンを提示することもよくあります。

デザインのチェックをしてもらい、気になる部分があれば適宜修正を行います。

クライアントからのOKがもらえればデザインの完成です。印刷する場合は入稿用のデータに変換してから印刷会社に渡します。PCの画面で見るのと紙の印刷物では色味が異なりますので、イメージ通りの色にするために微調整を行います。完成品に問題がなければ最終納品となります。

パソコンに向かって黙々とデザイン作業をするイメージがあるグラフィックデザイナーですが、ただデザインができれば良いというわけではありません。では、グラフィックデザイナーとして活躍するにはどのようなスキルや知識が必要なのでしょうか。

グラフィックデザイナーはクライアントや印刷会社などたくさんの人と関わりますので、コミュニケーション能力は必須です。

時代とともに流行は変化します。クライアントが求めるデザインやユーザーが喜ぶデザインなど、最新のトレンドをキャッチする情報収集能力もなくてはならない要素です。

デザインを考えるだけでなく、自分のデザインの意図や良さを伝えるためのプレゼン能力も必要なスキルです。クライアントに直接プレゼンテーションを行うこともあるので、どのように考えてそのデザインにしたのかなど、しっかりと意図を伝える必要があります。

デザイナーとしての技術やセンスが求められるのはもちろんですが、写真やフォント、色彩などの専門知識も必要です。また印刷工程の知識も必要となります。

ポスターや広告などを作成する際に必要なのは、デザインに関する知識です。セオリー通りであることがすべてではありませんが、構図や色使いのある程度の常識を知っておくことで、デザインのバリエーションは大きく広がります。

グラフィックデザイナーには、デザインスキルに加えて「想像力」「アイディアを生み出す力」「伝える力」が必要です。そのため向上心があり、常に新たなことを学んでいく姿勢がある人に向いている仕事といえます。想像力やアイディアを生む力を養うためには、世の中で起きているあらゆる事象に関心を持つことが求められます。

また、制作したクリエイティブの意図を伝えることはもちろん、クライアントからの要望を理解するためのコミュニケーション能力も求められますので、人と接することが好きな人にも向いているといえます。

厚生労働省のデータでは、グラフィックデザイナーの平均年収は478万円となっています。ほかの職種と比べて高い水準とまではいえませんが、これはデザイン料金の低価格化が進んでいることが要因の一つといえるでしょう。

ただし、実力主義の業界なので、技術さえあれば若いうちから高収入を狙うことも可能です。

グラフィックデザイナーとしての知識やスキルを示すことができる認証制度です。今日のデザイン業務のほとんどはDTPによって行われていますので、これからグラフィックデザイナーとしてスキルを磨きたいのであればぜひおすすめしたい資格です。

IllustratorやInDesign、写真加工用のPhotoshopなどの操作技術を証明するためにおすすめの資格です。日本語での試験は廃止されており、受験は英語のみの試験となっているため注意しましょう。

色にまつわる基本的な知識や配色技法などを幅広く学習することができます。

Illustratorの操作技術を証明できる検定試験です。

「スタンダード」と「エキスパート」の2つのコースがあり、スタンダードは実技・実践が求められ、エキスパートではさらに知識の試験が実施されます。

Photoshopの操作技術を証明できる検定試験です。

Illustratorと同様に「スタンダード」と「エキスパート」の2段階があります。試験に関しても、スタンダードでは実技と実践試験、エキスパートではさらに知識試験が実施されます。

グラフィックデザイナーになるためには、いくつかの方法があります。具体的に見ていきましょう。

グラフィックデザイナーは未経験でも挑戦しやすい職種です。グラフィックデザイナーになるには主に以下の3つの方法があります。

グラフィックデザイナーは広告代理店やデザイン事務所、一般企業の広告・宣伝部門などで働くほか、フリーランスで活躍することも可能です。紙媒体のデザインは縮小傾向にありますが、インターネット広告など電子媒体の需要は増えています。マルチな知識を持つグラフィックデザイナーの需要は今後も下がることはないでしょう。

グラフィックデザイナーのキャリアパスとしては、アートディレクターやブックデザイナー（装丁家）があります。

グラフィックデザイナーとして活躍した後の流れとしては、一般的にアートディレクターにキャリアアップするケースが多いようです。アートディレクターはグラフィックデザイナーの上位にあたる存在で、制作現場におけるリーダーとして制作物進行からクオリティまでの責任を負います。

装丁専門の装丁家（ブックデザイナー）になるというキャリアパスもあります。表紙のデザインが売れ行きに影響する可能性もあり、オリジナリティや独創的なデザインが求められます。非常に狭き門ですが、高収入が期待できる職種です。