営業職の職種図鑑

クラウドサービスの営業職

クラウドサービスの営業職の男性

SaaSを企業に導入することを提案し、企業の課題を解決へと導きます。

クラウドサービスの営業職は、SaaSを企業に導入することを提案し、
企業の課題を解決へと導く職種
です。
SaaSとは「Software as a Service」の頭文字を取った言葉で、
その意味は「クラウド上にあるソフトウェアをインターネット経由で使えるサービス」のこと。
また、クラウドサービスの営業職は役割によっていくつかの職種に細分化されますが、
それぞれで特徴や仕事内容が異なります。
ここではクラウドサービスの営業職の主な仕事内容や年収、やりがい、キャリアパス、
向いている人や必要なスキル、資格などについてご紹介しましょう。

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クラウドサービスの営業職とは?

クラウドサービスの営業職とは?

クラウドサービスの営業職とは、「SaaSを企業に導入することを提案し、企業の課題を解決に導く」職種です。SaaSは「Software as a Service」の頭文字を取った言葉で、「サース」や「サーズ」と読みます。

そもそも、SaaSはどのようなものか簡単にご説明すると、これは「クラウド上にあってインターネットを介して利用できるソフトウェア」です。SaaSが登場する前は、ソフトウェアをパソコンやサーバーにインストールして使用する「オンプレミス型」が主流でした。しかし、オンプレミス型は導入費用が多額になったり、バージョンアップ対応への費用や手間がかかったりするデメリットがあります。そのデメリットを解消したのがSaaSです。

SaaSは導入が簡易で、月額費用(サブスクリプション)のビジネスモデルのため初期費用も安価で済むケースが多いのが特徴です。ランニングコストや運用する手間もかからないことが市場に受け入れられ、大きく規模を拡大しています。総務省のデータでも、世界のSaaSの市場規模は2014年の「287億ドル」から2019年には「763億ドル」となっており、5年間で約3倍弱も成長しています。クラウドサービスの営業職はさまざまなSaaSのプロダクトを企業に提案し、導入してもらうことによって課題解決する役割を担う仕事です。

クラウドサービスの営業職の仕事内容

クラウドサービスの営業職は役割が分かれており、それぞれ仕事内容が異なります。役割ごとに大きく3つの職種があるので、それぞれ解説していきましょう。

インサイドセールス

インサイドセールスは、マーケティングによって獲得した見込み顧客(リード)に対してアプローチし、商談アポまでつなげるのが役割です。主な仕事内容は、すぐに受注につながりそうな見込み顧客と、あまり受注の可能性が高くないリードとを判別して優先順位をつけます。受注可能性の高い見込み顧客に対し、電話やメールなどでアプローチし、商談のアポイントを取るという流れです。
逆に、あまり受注可能性の高くないリードに対しては、電話やメール、無料セミナーなどで定期的に情報提供をしたり、啓蒙活動をしたりして継続的にタッチポイント(接点)を持ちながら、商談化できるようにアプローチを続けることが欠かせません。このように、顧客の課題を顕在化していくことを「ナーチャリング」と呼びます。そして、成約の可能性が高まった段階で商談のアポを取ります。インサイドセールスの仕事内容としてはここまでとなり、実際の商談はフィールドセールスの担当です。

フィールドセールス

インサイドセールスが商談化した見込み顧客に対して、フィールドセールスは訪問やオンラインで自社SaaSを提案し成約させるのが役割です。いわゆる一般的な営業職の仕事内容が、このフィールドセールスと言っていいでしょう。見込み顧客の課題や状況をヒアリングし、PowerPointなどで作成した提案書を用いて、課題を解決できるような提案をしていきます。
予算やニーズ、決裁者や導入時期などをヒアリングしながら関係構築も同時に行い、競合他社との優位性を明確化して自社SaaSを導入してもらうまで営業を続けます。最終的に自社SaaSの受注が確定し、契約を交わすまでが主なフィールドセールスの仕事内容です。

カスタマーサクセス

無事に自社SaaSの導入が決定したら、顧客がSaaSを使いこなし、効果を最大限に感じてもらうために支援するのがカスタマーサクセスの仕事内容です。SaaSの料金体系は、ほとんどの場合、月額課金(サブスクリプション)であることが特徴となっています。そのため、SaaSを導入してもらった顧客に対して「続けていく価値」を感じてもらえないと、解約(チャーン)となって売上がなくなってしまうでしょう。そこで、カスタマーサクセスが顧客の成功を支援する、つまりSaaSの使いこなし方を教えながら、顧客に自社SaaSの本来の価値を享受してもらえるよう伴走していくのです。

似たような職種に「カスタマーサポート」がありますが、仕事内容は異なります。カスタマーサポートは基本的に受け身で、顧客から問い合わせがあったら対応するというスタイルです。一方でカスタマーサクセスは、顧客がつまずく可能性のあるポイントを先回りして支援します。これらの活動を通して解約率を下げる、つまり自社SaaSの契約を更新してもらい継続率を維持するのがカスタマーサクセスの仕事。また、上位のプランに変更してもらったり(アップセル)、オプションや別商品を契約してもらったり(クロスセル)して売上を拡大していくのもカスタマーサクセスのミッションです。

クラウドサービスの営業職のやりがい

クラウドサービスの営業職のやりがいには、どのようなものがあるのでしょうか。まず挙げられるのは、顧客との窓口として直接やりとりをするので、「顧客企業の良い変化」を目の当たりにできることでしょう。「いままで非効率だった作業が自社SaaSを導入することで効率的になり残業が減った」「見えなかったものが可視化され会社の課題が浮き彫りになり効果的な改善策が打てた」など、顧客企業が良い方向に変化していくのがわかり、それが大きなやりがいに繋がるはずです。

また、SaaSは比較的新しいビジネスモデルのためベンチャーやスタートアップ企業が多く、「会社がどんどん成長していくのに携われること」もやりがいになるでしょう。会社の成長に比例して自身の役職も上がっていきやすかったり、自身の成長速度が上がったりすることも、クラウドサービスの営業職のやりがいの1つといえそうです。

クラウドサービスの営業職に向いている人

クラウドサービスの営業職に向いている人に共通して言えることは、「顧客目線」を持ち、顧客に貢献したいと思えること。なぜなら、顧客の状況や課題をヒアリングし、改善できるような提案をするのがクラウドサービスの営業職の仕事内容だからです。

また、クラウドサービスの営業職としての役割によって異なる点もあります。インサイドセールスなら電話やメールで見込み顧客とやり取りするため、電話で話すことが得意、メールで文章を作ることが得意な人は向いているでしょう。フィールドセールスであれば、客先訪問やオンラインで顧客と対面して商談をしていきます。そのため、表情や身振り手振りなどを使ったコミュニケーションで、相手に好感を持ってもらえるような対応ができる人は向いています。カスタマーサクセスならば顧客ともっとも長く付き合っていく職種のため、こまめな連絡や気遣い、改善提案などを通して継続的な関係構築ができる人は向いているでしょう。

クラウドサービスの営業職に必要なスキル・資格

クラウドサービスの営業職にとって、必要なスキルはどのようなものがあるのでしょうか。結論として、クラウドサービスの営業職になるために必要な資格は特にありません。しかし、持っておいたほうが有利になる資格やスキルはありますので、具体的にご紹介します。

クラウドサービスの営業職に必要なスキル

  1. ヒアリング力

    クラウドサービスの営業職に必要なスキルとして、ヒアリング力が挙げられます。自社SaaSの導入につなげるには、顧客の状況や課題を正確にヒアリングできる力が欠かせません。顧客の話を傾聴したり、的確な質問で気づきを与えたりして潜在的なニーズを顕在的なニーズに変えていくためには、顧客の状況や課題をヒアリングするスキルは必須といえるでしょう。

  2. 提案力

    顧客の課題を解決(ソリューション)していくクラウドサービスの営業職にとって、提案力は非常に重要なスキルです。状況や課題をヒアリングし、その課題が解決できるような提案をしなければ、自社のSaaSを導入してもらうことに繋がらないからです。わかりやすく納得性のある提案書をPowerPointなどで作成し、「これなら自社の課題を解決できそうだ」と思ってもらえるような提案をするスキルが求められます。

  3. 関係構築力

    クラウドサービスの営業職のなかでも、カスタマーサクセスの職種は関係構築力が特に必要な職種です。顧客が自社SaaSを継続利用している間、ずっと支援し続けるのがカスタマーサクセスの仕事。そのため、顧客のことを考えて密なコミュニケーションと的確な情報提供をしながら、顧客との関係を構築・継続していくスキルが求められます。

  4. 分析力

    クラウドサービスの営業職には顧客のSaaS導入前と導入後の状況を数値で把握し、分析するスキルが必要です。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の手段としてSaaSが用いられるケースが多い中で、数値を分析して顧客の課題発見や解決ができるスキルは、クラウドサービスの営業職にとって必須といえるでしょう。

  5. SaaSのビジネスモデルへの理解

    SaaSというビジネスモデルは、比較的最近でてきたものです。そのため、特有の仕組みで成り立っていたり独自の単語を使ったりするため、それらをしっかり理解していないと顧客にも自社にも利益をもたらすことができません。SaaSビジネスのバイブルともいえる書籍で「The Model」がありますが、これらの書籍を読むことで、SaaSビジネスへの理解を深めることが必要でしょう。

クラウドサービスの営業職に必要な資格

  1. ウェブ解析士

    クラウドサービスの営業職になるのに資格は必要ありませんが、取っておくと有利になる資格は存在しますその1つがウェブ解析士です。
    クラウドサービスの営業職では、Webマーケティングの知識が必要になるケースもあります。そのWebマーケティングの知識を体系的、網羅的に学べるのがウェブ解析士です。合格率60%~70%でそれほど難易度も高くない資格といえるので、取っておくとクラウドサービスの営業職としても有利に働くでしょう。

  2. 業種・職種に応じた資格

    SaaSと一口にいっても、さまざまな業種・職種をターゲットにしたプロダクトがあります。自社SaaSがターゲットにしている業種・職種に応じた資格を取得すると、有利に働くケースはあるでしょう。
    例えばHRテックのような人事領域をターゲットにしたSaaSなら、人事系の資格(採用力検定、キャリアコンサルタント、産業カウンセラーなど)を取得するのが効果的です。また、経理・労務系のSaaSなら社会保険労務士や簿記検定、衛生管理者など。Salesforceなどの営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)、マルケトなどのマーケティングオートメーション(MA)のSaaSであれば、マーケティング関係の資格(ウェブ解析士、マーケティング・ビジネス実務検定、マーケティング検定など)を取得するといったことです。自社SaaSがターゲットにしている業種・職種に応じた資格を取得すると、知識や信頼性が深まり有利に働くでしょう。

クラウドサービスの営業職の年収

マイナビエージェントの調査によると、IT営業全体での平均年収は「472万円」となっています。

SaaSはまだ出てきたばかりのビジネスモデルのため、今後企業も市場も大きく伸びることが予想されます。会社や業界の拡大に比例して年収や役職も上がっていくとすれば、クラウドサービスの営業職は高年収が狙いやすい職種といえるでしょう。

クラウドサービスの営業職の就職/転職先・活躍の場

クラウドサービスの営業職として業務をする場合、就職・転職先として考えられるのはSaaSのプロダクトを持っているすべての企業です。現在、SaaSの事業は業界・業種を問わず、多くの企業が開発に乗り出しています。例えば人事(HR)の領域であればHRテックのSaaS、金融業界であればフィンテックのクラウドサービスの営業職やマーケティング領域のSFAやMAツールのSaaS、業界や業種が不問のビジネスチャットやグループウェア、社内SNSなどのSaaSなど。これらのSaaSを扱う企業のすべてが、クラウドサービスの営業職の就職先、転職先として活躍できる場といえるしょう。

また、クラウドサービスの営業職は顧客のニーズをヒアリングし、自社SaaSを通して課題解決に導く仕事です。そのため、組織課題を解決するコンサルタント職への転職も可能性としてあり得るでしょう。

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クラウドサービスの営業職のキャリアパス

クラウドサービスの営業職のキャリアパスについて、縦と横の両面から解説します。まず縦のキャリアパスとして、営業部門のリーダーやマネージャー、部長、事業責任者とキャリアアップしていく道が考えられるでしょう。これに対して横のキャリアパスは、クラウドサービスの営業職の中で細分化された職種間の異動も可能です。例えばインサイドセールスからカスタマーサクセスへ、カスタマーサクセスからフィールドセールスへ、といった形が考えられます。

さらには、クラウドサービスの営業職からマーケティング職へというキャリアパスも考えられるでしょう。特にインサイドセールスはマーケティングと密接に関わってくる職種のため、マーケティング職へのキャリアパスは十分にあり得ます。

クラウドサービスの営業職に転職する際の志望動機

クラウドサービスの営業職に転職する際の志望動機には、以下3つの軸があります。それぞれについて、詳しく解説しましょう。

  1. なぜSaaSなのか

    「これからの市場の伸び」「クラウドサービスの営業職のインサイドセールスやカスタマーサクセスなど特徴的な仕事内容へのやりがい」などが志望動機として考えられます。

  2. なぜその業界・業種なのか

    「自身の興味・関心」や「これまでの経験」とリンクさせると志望動機になるでしょう。

  3. なぜその企業なのか

    「企業のミッション・ビジョン・バリュ・パーパスへの共感」や「その企業のSaaSプロダクトに対して魅力を感じていること」などが挙げられます。

これらの軸を、自身のビジョンやキャリア軸と絡めて志望動機を考えていくようにしてください。そうすば、より具体性を持って志望動機が相手に伝わるはずです。

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よくあるご質問

クラウドサービスの営業職は、顧客の課題をSaaSという「インターネットを介してクラウド上のソフトウェアを利用できるサービス」を用いて解決する営業職です。インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスに分かれます。

可能です。テレアポの経験があればインサイドセールス、新規営業経験があればフィールドセールス、既存深耕営業の経験があればカスタマーサクセスとの親和性が高いでしょう。営業未経験でもポテンシャル採用をしている企業はあります。

大企業から、スタートアップ・ベンチャー企業まで幅広い企業で活躍できます。SaaSのビジネスモデルは、多くの業種の企業で新たに立ち上がっているからです。