物流サービスの営業職
物流業界において自社の物流サービスを法人向けに販売します。
物流サービスの営業職は、商品を顧客へ届ける物流業界において、
法人向けに物流サービスを販売する職種です。
とはいえ、物流サービスの営業職が具体的に何をするのか、
その仕事内容や特徴が分からないという方もいるでしょう。
仕事内容をイメージできないと、自分がその仕事に合っているのか的確に判断できず、
就職しても早期退職してしまうといったリスクが高まります。
ここでは、物流サービスの営業職の主な仕事内容や年収、キャリアパス、
就職・転職するときに必要なスキルや資格などを取り上げました。
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物流サービスの営業職とは?
物流サービスの営業職とは、物流業界において自社の物流サービスを法人向けに販売する職種です。物流サービスの営業職について知るために、まずは物流とは何かを理解しておきましょう。
物流とは、企業が自社商品(モノ)を顧客に届ける一連のプロセスを指します。自社で物流網を築くには、多くの人材と資金、労力が必要です。そのようなリソースを割けない企業が、物流業者にアウトソーシングするケースは少なくありません。物流サービスの営業職は、このモノを顧客に届けるプロセスにおいて必要なサービスを営業職として販売します。そのため営業スタイルは、主に法人向けの新規開拓および既存顧客営業です。
なお、物流は「流通」の中の一種です。流通を構成するのは「物流」のほかにも、「商流(取引の流れ)」「金流(お金の流れ)」があります。
物流の工程・機能6つ
物流には以下6つの工程・機能があり、それぞれの工程で物流サービスの営業職が販売する物流サービスが存在します。
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「輸送・配送」…商品を届けること。トラックや鉄道、空輸などを利用。
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「保管」…商品を倉庫などで保管すること。
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「荷役」…商品を倉庫に出し入れする作業。海外と輸出入をする場合は、通関手続きも。
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「包装・梱包」…商品を包装・梱包する工程。
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「流通加工」…商品に付加価値を与える工程。値札付け、小分け包装などの加工。
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「情報管理」…物流工程を管理・処理する倉庫管理システム(WMS)などのこと。
物流の5つの領域
物流には大きく分けて以下の5つの領域があり、それぞれ作業工程や目的が異なります。
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「調達物流」…商品を製造するための部品や原材料を輸送する物流
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「生産物流」…自社内で商品が移動する物流。工場間の輸送や、工場から本社への輸送など
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「販売物流」…顧客に商品を輸送する物流。注文を受け、倉庫から顧客へ届ける。
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「回収物流」…不良品や使用後の容器、包装などを回収する物流。
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「リサイクル物流」…リサイクルを目的とした回収の物流。空き缶や古紙など。
ロジスティクスとは?
物流と似たような言葉で「ロジスティクス」があります。ロジスティクスとは、物流(モノの流れ)の全工程を統合的に管理して最適な状態にすること。公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会では、物流とロジスティクスの違いを以下のように説明しています。
“「物流」は、包装、輸送、保管といった諸機能の総合的管理であるのに対し、ロジスティクスは、その「物流」に加え、調達や生産といった分野を管理の対象とする、より上位の統合化を志向した概念であると考えられます。”
物流サービスの営業職の仕事内容
物流サービスの営業職の仕事内容は、物流をアウトソースしたい既存および新規企業に対して、自社の物流サービスを販売するための一連の作業です。具体的には、荷主の課題やニーズのヒアリング、運行ルートの選定や調査、Word・Excel・PowerPointを使用した提案資料や見積書作成、契約を取るための商談、契約書の締結手続き、倉庫など関係各所との調整といったものがあります。顧客企業の物流を、いかに安全・正確・迅速に、かつ低コストで委託する提案ができるかが物流サービスの営業職の仕事内容のポイントです。
また、物流サービスの一例として注文のあった商品の出荷などを支援する「受注業務サービス(受発注管理システム)」や、商品を出荷する際に加工する「流通加工業務サービス」があります。そのほかにも、倉庫内の商品の検品やピッキングなどをする「倉庫業務サービス(倉庫管理システム)」、自社物流センターから商品をトラックなどで運ぶ「配送業務サービス」など。これらの物流サービス・ソリューションを顧客に最適な形でコンサルティングし、契約を取るのが物流サービスの営業職の仕事内容です。
近年では「3PL(サードパーティー・ロジスティクス」といって、物流業務を丸ごと受託するケースが増えてきました。企業にもよりますが、物流サービスの営業職は3PLとして提案をおこなうケースは多いでしょう。なお、2PL(セカンドパーティー・ロジスティクス)は物流業務の一部のみ委託すること、1PL(ファーストパーティー・ロジスティクス)は自社だけで物流業務を担うことを示します。
物流サービスの営業職のやりがい
物流は、商品を届けるために無くてはならないものです。災害時に物流がストップし、物が届かなくて困った記憶のある人は少なくないでしょう。また、ものづくりをしているメーカーも、原材料や燃料などの物資が届かないと生産がストップしてしまい事業が成り立ちません。このような物流という社会生活に欠かせないインフラを担っていることは、物流サービスの営業職のやりがいになるでしょう。
また、物流に課題を持っている顧客に対して最適な解決策を構築し、様々な機関と調整して、実際にそれが実現したときの喜びは大きいはずです。特に営業職は顧客企業の変化を目の当たりにでき、感謝の声も直接聞くことができます。そのため、工場スタッフなどの他職種と比べても、よりやりがいを実感しやすいでしょう。
物流サービスの営業職に向いている人
物流サービスの営業職は、協調性のある人や多くの人と関わりながら仕事をしたい人に向いています。なぜなら、それぞれの物流工程において、たくさんの人と調整をしながら仕事をする必要があるためです。
また、物流は各工程が密接に関連しながら成り立っています。一つのミスでスムーズにモノが流れなかったり、大きなトラブルになったりする危険性があるため、それを構築する物流サービスの営業職には責任感が欠かせません。一つ一つの仕事を丁寧に最後まで考え抜き、やり切る責任感のある人は物流サービスの営業職に向いているでしょう。
さらに、論理的に考え効率よく考えるのが得意なことも物流サービスの営業職に適した要素です。物流をアウトソーシングする企業のニーズの1つがコスト削減。このコスト削減を実現するには、論理的に考えて効率的な物流を構築しなければならないからです。
物流サービスの営業職に必要なスキル・資格
物流サービスの営業職に必須の資格はありません。ただ、持っていると業務上で役に立つ資格があります。求められるスキルと合わせ、ここでご紹介しましょう。
コミュニケーションスキル
多くの人と調整、やり取りする物流サービスの営業職には、コミュニケーションスキルが欠かせません。顧客の課題やニーズをヒアリングしたり、顧客に最適な物流サービスを構築するため倉庫部門や配送部門と調整したりするのは、すべて正確なコミュニケーションによって成立します。
提案力
物流サービスの営業職は物流領域において顧客に最適なソリューションを提案し、導入・契約を取り付けるのがミッション。そのため、提案力は重要なスキルの1つです。顧客の課題に寄り添った提案内容の構築や、わかりやすく効果的な提案資料の作成、商談時に相手に納得してもらえるような説明など。これらを総合した提案力は、物流サービスの営業職に必須のスキルといえるでしょう。
論理的思考力(ロジカルシンキング)
論理的思考力(ロジカルシンキング)は、物流サービスの営業職にとって重要なスキルの1つです。なぜなら、仕事上で主に2つの場面で論理的思考力が必要になるから。1つは企業の物流を安全・確実・効率的に構築する場面、もう1つは担当者に提案をする場面です。ロジカルに説明することで、相手に納得してもらいやすくなるでしょう。
貿易関連の資格
物流サービスを利用する企業の中には、海外へ輸送するところもあるでしょう。その際に貿易関連の資格や知識があれば、より現実的で顧客に寄り添った提案ができるはずです。
貿易関連の資格には、国家資格である「通関士」や、「貿易事務検定」があります。通関士は合格率10%~15%の難関資格ですが、貿易事務検定であれば基本的な内容のC級で合格率は50~60%ほど。これら貿易関連の資格は物流サービスの営業職として、持っておいて損はない資格といえるでしょう。
物流技術管理士
物流サービスの営業職に役立つ資格に、物流技術管理士があります。物流技術管理士とは、物流やロジスティクスのシステムを総合的に管理するスペシャリストです。物流におけるシステムの設計やスケジュール、分析および改善をおこなうための専門的知識や技法を学ぶことができます。顧客に最適な物流システムの構築や、信頼性の獲得に大いに役立つ資格といえるでしょう。
物流サービスの営業職の年収
マイナビエージェントの調査によると、物流業界全体の平均年収は「395万円」となっています。年代別では20代で「368万円」、30代で「477万円」です。
物流サービスの営業職の就職/転職先・活躍の場
物流サービスの営業職の就職先は物流企業です。だだし、物流企業といってもさまざまな種類が存在します。一般消費者にも馴染みの深いトラック運送系企業の他にも、鉄道系企業、海運系企業、空運系企業、宅配系企業、倉庫系企業など。これらの物流企業が、すべて物流サービスの営業職の就職先です。
また、転職先は同業他社のほか、同じ物流企業の別種類の企業に転職するケースも考えられるでしょう。あるいは、法人営業の経験を活かせる別業界への転職や、物流のノウハウを活かせるメーカーの物流部門への転職もあり得ます。
物流プロセスを俯瞰して見られる物流サービスの営業職は、企業内の別部門・別職種でも活躍できるでしょう。例えば輸送部門の配送センターなどのドライバー職や、保管部門の倉庫での倉庫システム管理などが挙げられます。
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物流サービスの営業職のキャリアパス
物流サービスの営業職のキャリパスは営業職としてキャリアアップしていくほか、物流企業の別部門・別職種への異動、メーカーなどの物流部門や別業界の法人営業への転職が考えられます。
営業職のキャリアアップは法人営業として実績を積むことで、リーダーや課長、部長などと昇進していくこと。別部門や別職種への異動は、例えば営業職からドライバー職、倉庫管理、フォークリフトを使った荷役などです。
転職する場合は、メーカーなどの物流部門や物流業界で培ったノウハウを発揮するキャリアパスもあるでしょう。また、法人営業の経験・スキルを軸にすれば、他業界の法人営業職のキャリアパスも考えられます。
物流サービスの営業職に転職する際の志望動機
物流サービスの営業職の選考を受ける際の志望動機は、3つの軸で考えると良いでしょう。それは、「なぜ物流業界なのか」「なぜその物流企業なのか」「なぜ営業職なのか」です。
「なぜ物流業界なのか」という軸では、物流業界の特徴や現状を理解したうえで志望動機を考える必要があります。例えば、コロナ禍で物流の需要が増大しているためより社会の役に立てると考えたから。あるいは、日々の生活や経済活動になくてはならない物流業界にやりがいを見出したからなど。自身の物流業界に対する個人的な思いやエピソードなどがあれば、より相手に伝わる志望動機になるはずです。
「なぜその物流企業なのか」は、企業ごとの研究が欠かせません。どのような事業モデルで、何を強みにしているのか。また、企業理念は何なのかなどを調べて、自身の考え方ややりたいこととの共通点を見つければ志望動機につなげやすいでしょう。
そして「なぜ営業職なのか」は、人と接することが好きで顧客と直接やり取りできる営業職を志望した、自身の強みであるコミュニケーションスキルを活かした職に就きたいと考えたからなどが考えられます。
物流サービスの営業職に転職されたい方へ
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