更新日:2024/05/31
この記事のまとめ
システム開発や運用をするSIerは、IT業界でも人気の高い職種です。ITに関する知識を必要とするため、未経験からの転職は難しいのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。
未経験からSIerへ転職するには、SIerの仕事内容や企業形態への理解が不可欠です。この記事では、SIerへの理解を深めると共に、未経験から転職するためのコツを紹介します。今後の転職活動にお役立てください。
目次
「ITスキルがないとSIerへ転職できないのでは?」と不安に思う人もいるかもしれませんが、ITスキルがない未経験者でも転職は可能です。これまでに培ったスキルが歓迎されることもあるため、未経験だからと諦めなくても構いません。ここでは、SIerに生かせるスキル、キャリアパスの流れや平均年収を紹介します。
SIerはさまざまなシステム開発に携わるエンジニア色の濃い仕事であるため、ITスキルがあったほうがよいでしょう。
ただし、クライアントとの交渉やプロジェクト管理をメイン業務とした企業もあります。その場合、ITスキルよりも営業経験やマネジメントスキルが重要となるため、ITスキルがなくても十分に活躍できるでしょう。
また、さまざまなシステム開発・運用に携わるため、他業界を知っていることは強みです。IT業界未経験者でも、現職で得た知識を生かせるでしょう。
SIerエンジニアに転職した場合、新人エンジニアとして経験を重ねて、クライアントとの交渉といった業務を経験します。その後、プロジェクトマネージャーへ昇格するのが一般的です。
これ以降のキャリアパスは、将来のビジョンによって変わります。より大きな仕事を求める場合は大規模のSlerへ、エンジニアとしてキャリアアップを目指すのであればSEや社内SEが主なキャリアアップ先です。
SIerは企画から構築、運用まで一括で手掛け、システム開発だけでなく運用開始後の管理にも総合的に携わる仕事です。幅広い知識が必要な職種であることから、平均年収は502万円とIT業界の中でも高めに設定されています。
年齢別に見ると、20代で424万円、30代で578万円と差が大きいのが特徴です。年齢に伴い経験を積み重ねてスキルアップすることで、高収入が見込めるでしょう。
SIerの業務内容にはさまざまなものがあり、企業には分類があります。また、SEやSES、自社開発企業と比較されやすいため、特に未経験者は業務や職種への深い理解が必要です。ここでは、SIerの仕事内容と企業分類、SEやSESとの違いを紹介します。
SIerの業務内容は、大きく分けると「ヒアリング」「企画」「設計」「開発」「運用」「サポート」です。
日本では、規模の大きなSIer企業が受注し、下請けである小・中企業と協力して仕事を進めるのが一般的です。そのため、どの工程を担当するかは自分の能力や立ち位置、 元請けや下請けによって異なります。企業により「コンサルタントに強い」「エンジニアリングで優れている」とそれぞれ特徴があります。
SIer企業は、主に企業を拠点とする「ユーザー系」、ハードウェアメーカーを拠点とする「メーカー系」、拠点を持たない「独立系」の3つに分類されます。ほかに、海外企業を資本とした「外資系」、経営戦略やコスト削減のための提案をする「コンサル系」が加わり、5つとなるケースもあります。
得意な分野や企業の成り立ちで分けられるため、希望する企業がどれに該当するのかをしっかりと把握しておきましょう。
SIerとSEは、どちらもシステム開発をすることに関しては変わりありません。ただし、SIerはクライアントへシステム導入する「企業」であるのに対し、SEは「人」を指します。
また、SESもSIerと比べられることが多い職種です。SESはシステム開発や運用、保守といった特定の工程に対して「人を派遣するサービス」を指します。SIerやSEよりも部分的な仕事が多いため、専門性が高いことが特徴です。
SIerは顧客から受注したシステムを開発する企業ですが、自社開発企業は自社で取り扱うシステムを開発する企業を指します。
即戦力を求めている企業が多いため、未経験からの転職は狭き門となるでしょう。また、関わるシステム開発が自社のものに限定されるため、幅広くスキルを身につけたいという人には向いていません。
SIerに限らず、理解が不十分なままの転職は失敗や後悔につながりかねません。特に、仕事内容が多岐にわたるSIerのような職種は注意が必要です。 ここでは、SIer未経験で転職する際に失敗しやすい原因を2つピックアップして紹介します。
SIer企業は、ユーザー系、メーカー系、独立系といった分類があり、元請けか下請けかによっても業務内容が大きく異なります。主な取引先にIT企業が多い場合は元請けがメインで、非IT企業が多い場合は下請けであることが特徴です。転職先を検討する際は、まずはSlerに対する理解を深めましょう。
理解度が低いことにより「思っていた仕事と違った」と後悔するかもしれません。自分がどのような仕事をしたいのかによって選ぶ企業が変わります。希望する企業の業務内容も事前に把握しておきましょう。
SIer未経験で転職する場合、スキル不足により思うように転職活動が進まないこともあります。スキルが不足していることは仕方ない部分もありますが、転職活動をしながらスキルや資格の取得も可能です。
たとえば、「プログラミングスクールへ通う」「プログラミング教材を活用する」といった方法でプログラミングを学びつつ、転職活動を進める人もいます。実務経験がなくてもスキルがあることをアピールできれば、目標に向けて努力していると面接時の評価も上がるでしょう。
SIerに未経験で転職する場合、エンジニアスキル以外をアピールポイントにしましょう。そのためには、企業がどのような人材を求めているのか、事前の情報収集が必要です。ここでは、SIer未経験でも転職に成功するコツや近道を紹介します。
業務に携わるうえで最低限必要な知識は身につけておきましょう。SIerの場合、どの企業を選ぶとしてもITに関する知識は必須となるため、転職活動中にITスキルや知識、資格の取得を目指すのが成功への近道です。
IT関連の資格は、民間を含めると相当な数があります。やみくもに取得するのではなく、やりたい仕事や事業内容に最も適した資格を選びましょう。
ITスキルも必要ですが、正しく情報の伝達ができるコミュニケーション能力も重要です。「システムを提案する」「プロジェクトメンバーと協力する」といった場面で必要となるスキルです。
正しい情報を伝達する「伝える力」以外に「聞く力」も必要です。人は自分の話を聞いてくれる人を信頼しやすくなります。聞く力を磨くことで、「クライアントの要望を理解する」「悩みや問題を聞き出す」といった場面で役立ちます。
伝える力・聞く力は、どちらもコミュニケーションにおいて非常に重要となるため、転職前にスキルを磨いておきましょう。
志望する企業の職場環境や待遇といった情報をできるだけ多く集めることも、転職を成功させるコツです。企業のホームページや口コミを徹底的に調べましょう。情報量が多いほど、自分と企業の相性や業務に必要な資格・スキルが把握できます。また、労働環境が大きく変わる場合、今後の働き方をイメージする際にも役立ちます。
自分で調べるほか、転職エージェントからより詳細な情報を得る方法もあります。自分に合ったやり方を模索してみましょう。
SIerはITに関わる仕事とはいえ、クライアントとの折衝やプロジェクト管理など、業務の本質はマネジメントです。そのため、マネジメント経験者はSIer未経験でも重宝されます。
同じく、営業経験者も有利です。業界は違っても、これまでに営業やマネジメントを経験した人は自信を持ってアピールしましょう。
さまざまな業界のシステム開発に関わるSIerは、異業界で培った経験やスキルが生かせます。クライアントが前職と同じ業界だった場合、クライアントと同じ目線に立つことで、抱えている問題に共感できるでしょう。
また、現職に資格制度があれば、積極的な取得がおすすめです。特定の分野に長けていることは大きな強みです。
SIer未経験でも、取得することでIT知識があると証明できる資格があります。少しでも転職を有利にしたいのであれば、転職前に取得することを検討してみましょう。ここでは、数あるIT関連資格の中から「基本情報技術者試験」「ITパスポート」「ファイナンシャルプランナー」の3つの資格について解説します。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家試験のひとつです。IPAの試験の中ではレベル3で、基本的なIT知識があることを証明できます。ITエンジニアに必要な基礎内容からマネジメント、ビジネスといった問題が出題されるため、広範囲にわたる知識を習得できるでしょう。
参考: 『基本情報技術者試験・情報処理安全確保支援士試験|独立行政法人情報処理推進機構』
基本情報技術者試験と同じく、IPAが主催する国家試験です。IPAの試験の中でも最も基礎的な資格で、難易度はレベル1です。ITに関する基礎知識が問われるため、IT技術者の登竜門とも呼ばれています。IT関連の企業で働く者としてぜひ取得しておきたい資格といえるでしょう。
参考 :『ITパスポート試験|独立行政法人情報処理推進機構』
保険関連のクライアントを抱えている企業の場合、持っていると有利な資格です。日本FP(ファイナンシャル・プランナーズ)協会と一般社団法人金融財政事情研究会の2団体が主催しており、国家資格と民間資格に分かれています。
国家資格である「FP技能士」は3級から1級まであり、民間資格には「AFP(2級FP技能士と同水準)」と「CFP(1級FP技能士と同水準)」があります。
参考 :『FP資格取得を目指す|特定非営利活動法人(NPO法人) 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会』
未経験でもSIerへの転職は可能です。まずは、SIerの仕事内容や企業の種類を理解しましょう。IT知識やスキルは、工夫次第で転職活動中に学べます。現在持っているスキルを伸ばし、可能な範囲でIT関連資格を取得するとよいでしょう。
マイナビITエージェントでは、IT企業に詳しいキャリアアドバイザーが一人ひとりに合った転職先を提案します。面接日程の調整や面接対策といったサポートで、在職中の方でも安心して転職活動を進められます。SIer企業への転職はマイナビITエージェントへご相談ください。
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