更新日:2025/02/27
この記事のまとめ
SIerへの転職を目指しているものの、応募書類の志望動機欄をうまく書けずにお困りの方もいるのではないでしょうか。志望動機は、応募先企業に入社したいという意思を伝えるための重要な項目です。ライバルとの差別化を図るためにも、事前に盛り込んでおきたい内容を押さえておきましょう。
そこでこの記事では、これからSIer への転職を目指している方へ向けて、志望動機の書き方を例文とともに紹介します。応募した企業に自分の強みや魅力をアピールするためにも、この機会にチェックしておきましょう。
目次
応募書類の中でも志望動機は、応募先企業に入社したい意欲を伝えるための重要な項目です。魅力的な志望動機を書くには、応募した業界・企業についての正しい理解が欠かせません。まずは、志望動機を書くうえで覚えておきたい基本的な業界知識を紹介します。
SIerはシステムインテグレーターの略です。クライアントの要望に基づいてシステムを企画・設計・構築することを主な仕事としています。開発したシステムを納品するだけでなく、システム完成後のクライアントへの導入や運用、アフターサポートもSIerの仕事です。
SIerの種類はさまざまで、企業により得意としている分野が異なります。「コンサルティングと設計のみ」「開発のみ」など、全工程の中の一部分しか請け負わない企業もあります。
世の中には多種多様なSIerがありますが、親会社の有無や資本関係によって以下の5種類に分けられます。それぞれ担当する仕事の傾向が異なるため、志望動機を作成する前に違いを押さえておきましょう。
次々にシステムを開発することで経験を積める企業があれば、開発よりコンサルティングがメインの企業もあります。自分が目指す方向性と合致する企業を選択し、後悔しない転職を実現しましょう。
SIerは「ITゼネコン」とも呼ばれ、元請け企業と下請け企業で構成されるピラミッド構造が特徴的な業界です。どの位置に属するかで取引企業や業務内容が変わります。ピラミッドの上流工程に位置する大規模SIerはプロジェクトのマネジメントがメイン業務で、大手企業や官公庁が主な取引先です。一方、中堅・小規模SIerは大手SIerからシステム開発を請け負います。
大手SIerは開発工程に直接に携わることが少なく、プログラミングなどの開発実務を担当するケースは少ない傾向です。一方の中堅・小規模SIerはシステム開発が中心のため、マネジメント業務はほぼありません。
履歴書や職務経歴書に志望動機を書くときは、忘れずに盛り込んでおきたい要素がいくつかあります。ここでは、盛り込みたい5つの要素を具体的にチェックしていきましょう。志望動機を書くとき、書き終わって見直すとき、提出する前に最終チェックするときはいずれも、ここで紹介する要素が抜けていないか確認することをおすすめします。
SIerを選んだ理由を明確に記述しないと、説得力のない志望動機になります。IT業界の中で、なぜSIerを選んだのかを簡潔かつ明確に示しましょう。ITエンジニアやマネジメントといった前職や過去の経験からSIerを選んだのであれば、そのエピソードを盛り込むことで説得力が増します。SIerは企業によって業務内容が異なるため、応募した企業の仕事に沿った内容を意識しましょう。
SIerには大小問わず膨大な数の企業が存在します。SIerを選んだ理由とセットで、応募先企業を選んだ理由も明確にしましょう。どの企業にも当てはまる内容では、応募先企業で働きたい気持ちは伝わりません。
説得力のある理由を示すには、企業への理解が必要です。コーポレートサイトや会社説明会などで情報を収集し、企業の特徴や強み、魅力を知りましょう。そのうえで、自分がその企業にどのような形で貢献したいと思ったのかを盛り込めると効果的です。さらに、企業が求める人材の特徴と自分の共通点を盛り込み、企業にとって有用な人材であることを伝えましょう。
企業によっては高度なエンジニアリングスキルに加えて営業やマネジメントに関する知識も求められるため、関連する過去の経験を盛り込むこともポイントです。IT業界で働いた経験がない方でも、マネジメント経験を積極的にアピールすると評価される可能性があります。
前職の経験やスキル、どのような結果を残してきたのかを応募先企業で担当する業務と関連づけながら記述します。さらに、入社してからどのように活かせるのかを加えると、より魅力的な内容になるでしょう。
入社後は自分が有しているスキルを発揮し、企業に貢献することが求められます。したがって、入社後にどのようなことをやりたいのか、そのためにどのようなスキルを発揮できるのかを盛り込みましょう。
「大規模なシステムの開発経験を積み、貴社が注力している金融・エネルギー分野のDX化に貢献したい」のように、具体性があるとより効果的な志望動機に仕上がります。応募先企業のビジネススタイルやビジョンと自分のやりたいことがマッチしていれば、より魅力的な人材としてアピール可能です。
企業は自社で長く活躍して利益を生み出す人材を求めています。したがって志望動機には、将来のキャリアプランとそれを実現するためにどのように努力できるかを盛り込むとより効果的です。
たとえば、「大規模システムの開発経験を積みつつリーダー業務に挑戦し、いずれはプロジェクトマネージャーとして活躍したい」のように、具体的に言及できると働いている姿をイメージさせやすくなります。志望動機を書くときには、軸がブレないように自分が長期的にどのようなキャリアプランを考えているのかを明確にしましょう。
一口にSIerといっても、経営パターンによって「ユーザー系」「メーカー系」「独立系」に分けられ、それぞれ求める人材の特徴が異なります。そのため、応募した企業の特徴に応じて志望動機を書き分けることが大切です。ここでは、経営パターン別にどのようなポイントにフォーカスして志望動機を書けばよいかを例文とともに解説します。
ユーザー系企業では、マネジメント経験が重宝されます。これまでの自分の立ち位置や経験に加えて今後の目標を示しましょう。
【例文】
前職では、金融系システム開発のプロジェクトマネージャーを経験しました。プロジェクトマネージャーの実務では、チームを牽引するだけでなく後輩育成にも力を入れてまいりました。
この経験を活かし、大規模なプロジェクトを手掛ける貴社で自らの成長とともに全体の底上げにも貢献したいと考えています。
さまざまな業界と関わるメーカー系企業への志望動機は、エンジニアリングスキルに焦点を当てた内容がおすすめです。企業を選んだ経緯を加えることで、より深みのある志望動機になるでしょう。
【例文】
私はこれまで社内SEとして社内の円滑な業務遂行に貢献してきました。貴社の日常に欠かせないプロダクトに感銘を受け、エンジニアとしてより多くの方の役に立ちたいと考えるようになりました。
貴社のプロダクトに対する理念に強い共感を抱いています。これまでの経験を活かしながら、多くの方を支える貴社のシステム開発に携わりたいと思っております。
独立系企業は、親会社を持たないことから自由度の高いシステム開発が特徴です。「さまざまなシステム開発に携わりスキルアップを図りたい」など、入社後のプランや熱意を盛り込みましょう。
【例文】
私は前職で金融系のシステム開発に携わっていました。エンジニアとしてより多くのシステム開発に携わりたいと思っています。
貴社は金融をはじめ多くの業界のシステム開発をされていますが、中でも製造業に関連するシステムの開発に強い関心を抱いております。これまでの経験やスキルを活かし、エンジニアとしてステップアップをして貴社に貢献したいと考えております。
ITエンジニア経験者と未経験者とでは選考でアピールするポイントが異なるため、自分の状況に応じた志望動機に仕上げることが大切です。ここでは、ITエンジニア経験者がSIerに転職する場合と別業種からIT業界にキャリアチェンジするケースにおける志望動機の例文を紹介します。
ITエンジニア経験者は、これまでの経験を通じて習得したスキルや携わったプロジェクトの詳細を盛り込むと説得力が高まります。選考においても、即戦力として活躍するのに十分なスキルを有しているかが問われるためです。培ったスキルや経験を入社後にどのように活かせるかにフォーカスしましょう。
【例文】
現職ではJavaを使用した業務系システムの開発を担当しており、プログラマーとして3年間開発業務に従事しています。最近はプロジェクトリーダーを任されることも多く、10人~15人規模のチームを統括する経験を積んできました。
その経験を活かしてより大規模なプロジェクトに携わりたいと思うようになり、大企業や官公庁のシステム開発を手掛けている貴社の求人に応募いたしました。入社後はこれまでのプログラマー経験を活かして開発に携わりつつ、企画・設計の経験を積んでプロジェクトマネージャーを目指したいと考えています。
ITエンジニア未経験者がSIerへの転職を目指すのであれば、現職の経験のうちSIerの仕事に活かせるものをピックアップしてアピールするとよいでしょう。自分で学習して扱えるようになったプログラミング言語や、制作したシステムがあればポートフォリオを作成し、併せて紹介することをおすすめします。
【例文】
私は現職で、法人向けの会計ソフトウェアの導入を勧める営業職として働いていました。しかし、以前から抱いていたエンジニアとしてIT業界で活躍するという目標を諦めきれず、未経験者にも幅広く門戸を開いている貴社の求人に応募いたしました。
エンジニアとして求められるスキルを習得するためにプログラミングスクールに通い、JavaとPythonを習得しています。貴社はJava・Pythonを活用したシステムの開発をメインとしているため、習得したスキルを活かしてエンジニアとして活躍できればと考えています。
将来的には開発経験を積みつつクラウドやIoT、インフラなどのスキルを習得し、フルスタックエンジニアを目指したいと考えています。
自分では効果的な志望動機に仕上がったと思っていても、応募先企業の選考担当者から見ると魅力的でないこともあります。意図せず効果的でない志望動機となることを避けるためにも、よくある失敗事例を参考に対策を講じましょう。ここでは、志望動機を書くときに陥りがちなNGポイントを2つ紹介します。
「入社後に勉強したい」という言葉は意欲があるように見えますが、即戦力を求めている企業にとっては効果的ではありません。企業は自社で何かを学ぶことを期待しているのではなく、収益を生み出すことを求めているためです。IT業界が未経験でも、これまでの経験やスキルを業務に活かして売り上げに貢献できることを伝えましょう。
希望する業務に経験をつなげることで、企業も戦力としてイメージしやすくなります。また、事前に学んだことや取得した資格も十分なアピールポイントです。
数多くの職種や企業がある中で「なぜSIerを選んだのか」「この企業がよい理由は何か」が不明瞭だと、ほかの職種や企業でもよいのではないかと思われる恐れがあります。また、SIerは企業により業務内容が異なるため、「自社のことを理解していない」「企業研究が不十分である」「このまま入社してもミスマッチになる」と判断されてしまうかもしれません。
企業理解を深めることや業務内容を正確に把握することは、入社したいという熱意を伝えるために重要です。SIerや企業を選んだ理由は、応募先企業にしっかりと伝わるよう明確にしましょう。
志望動機は200文字~300文字と短くまとめるものであるため、多くのポイントを盛り込みすぎると逆効果です。盛り込む要素が多すぎると一つひとつの要素を深掘りできず、説得力のある志望動機に仕上がりません。
そのため、自分が志望動機を通じて伝えたいことをひとつピックアップし、簡単なエピソードを交えて簡潔に書くのがおすすめです。ポイントをひとつに限定すると伝えたいことが明確になり、相手も理解しやすくなります。
応募先企業に強い魅力を感じたあまり、志望動機で企業の強みやビジョンを語りすぎてしまう場合があります。しかし志望動機は企業の強みや特徴を紹介するものではなく、自分がその企業に入社したい意欲をアピールする項目です。
企業の強みやビジョンに言及したのであれば、なぜそのように感じたのか、自分がビジョンを実現するためにどのような形で貢献できるのかに言及しましょう。「応募した企業の強みやビジョンを知った結果、なぜその企業に入りたいと思ったのか」にフォーカスすると、書いているうちに内容がずれることを防げます。
なぜ応募した企業に入社したいのかが伝わらないような志望動機や、どのように貢献できるのかが分からない志望動機はNGです。NGな志望動機の例文を以下でひとつ紹介します。
【例文】
私は貴社を志望したのは、現職の開発経験を活かしてさまざまなシステムを開発できるためです。現職ではプログラマーとしてコーディングを担当しています。入社後はさまざまなスキルを学び、より貢献できるエンジニアになりたいと考えております。
上記の例文は具体性がなく、なぜ応募先企業を選んだのかも不明瞭です。経験者であれば、「貴社はJavaを使用した大規模システムの開発がメインであり、現職で培ったJavaのスキルを発揮して売り上げに貢献したいと考えています」「大規模システムの開発経験を積みつつリーダーやマネージャー業務に挑戦し、いずれはプロジェクトマネージャーとして最前線で活躍したい」のように具体的に書くようにしましょう。
IT業界でも人気の高いSIerへの転職では、ライバルの存在も意識しましょう。企業に目を留めてもらうには、オリジナリティーがある志望動機が必要です。ここでは、他者と差別化を図るためのコツをピックアップして紹介します。
応募する企業でSIerとして活躍するのに必要な技術や知識を事前に勉強しておきましょう。企業により得意とする分野が異なるため、その企業の業務内容に合った技術や知識の見極めが必要です。専門知識を身につけることで仕事の幅も広がり、入社後に即戦力になれるとアピールできます。新たなスキルを学ぶ場合は、必要に応じてITエンジニア向けのスクールを活用するとより効率的に学べるでしょう。
IT業界は進歩が速く、トレンドの技術が急速に変化する可能性があります。そのため、常にアンテナを張って主流になっている技術や新たに登場した技術を積極的に学ぶことが大切です。たとえば、オンプレミスで運用するのが一般的だったシステムをクラウド化する流れがあります。ほかにも、AIを活用して以前は人間が担当していた業務を自動化しつつ、さらなるクオリティーアップを目指す動きも見られます。
IoTを活用したシステムも次々開発されていることを考えると、担当できるプロジェクトの幅を広げるためにも意欲的に学ぶことが大切です。転職した後も、常に先進技術の学習を怠らないようにしましょう。先進技術を駆使できることは、ITエンジニアとして活躍するうえで大きな武器になります。
OB・OG訪問はリアルな情報を得るチャンスです。やりがいやキャリアプランといった志望動機の作成に役立つヒントを得られるでしょう。ただし、転職時のOB・OG訪問は、新卒時のように学校から紹介してもらえません。Web上でOB・OG訪問ができるサービスもあるため、ぜひ活用してみましょう。現場のリアルな状況を知ることは、ミスマッチを防ぐうえでも有効です。
自分ひとりで転職活動を進めるのが難しい、不安だと感じているのであれば、早い段階で転職エージェントに相談することをおすすめします。転職エージェントは転職市場の状況や選考に突破するコツを知っているため、より有利に転職活動を進められるでしょう。
応募書類の添削や模擬面接も受けられるため、志望動機の書き方で悩んでいる方や書き上がった志望動機が効果的かチェックしたい方にも向いています。
SIerへの転職で志望動機を書くときは、自分がSIerとして働きたい理由や応募した企業を選んだ理由、発揮できるスキルなどを簡潔に盛り込むことが求められます。自分の入社意欲を魅力的にアピールするためにも、基本的な書き方を学んでおきましょう。
自分で志望動機を考えるのが難しいと感じていたり、転職に関して不安を感じていたりするのであれば、ぜひマイナビITエージェントにご相談ください。マイナビエージェントはIT業界に特化しており、多くの経験を積んだキャリアアドバイザーが転職を成功させるために全力でサポートします。
関連記事:マイナビITエージェント
IT業界
インフラエンジニアの6つのやりがい|厳しさや適性を判断するポイントも紹介
IT業界
インフラエンジニアになるには?担当分野や必要なスキル、転職のコツを紹介
IT業界
インフラエンジニアが「きつい」といわれる理由|向いている人の特徴3選