「SIerには将来性がない」といわれる5つの理由|将来性を見極めるには?|求人・転職エージェント

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更新日:2025/04/17

IT業界

「SIerには将来性がない」といわれる5つの理由|将来性を見極めるには?

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この記事のまとめ

  • SIerの将来性がないといわれる理由として、「多重請け構造」「クラウドサービスの普及」「優秀なエンジニアが定着しにくい」などが挙げられる。
  • 大規模なシステムの開発プロジェクトを請け負っている企業や、エンジニアにとって働きやすい環境を整えている企業も多いため、すべてのSIerに将来性がないわけではない。
  • 将来性の高いSIerを選ぶには、企業研究を徹底するか、ITに特化した転職エージェントの無料サポートを受けるのがおすすめ。

SIerには、給与や福利厚生が充実している点や、システム開発の幅広い経験が積める点など、多くのメリットがあります。一方で、「将来性がない」といわれることも少なくありません。SIerへの転職を検討している方にとって、将来性は大きな判断材料のひとつといえるでしょう。

この記事では、SIerの将来性がないといわれる理由を解説します。また、SIerに転職するメリット・デメリット、将来性の高い企業の特徴も紹介しているため、転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

目次

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SIerとは

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SIer(エスアイアー/エスアイヤー)とは、クライアントのシステム開発や保守運用などを請け負う企業のことです。「システムの統合」を意味するSystem Integrator(システムインテグレーター)の頭文字と、「~をする人」という意味のerを組み合わせて「SIer」という言葉が作られました。

SIerが広まった背景には、かつて経済産業省が実施していた「SI(システムインテグレーション)登録制度」があります。SI登録制度はシステム開発を遂行できる技術や実績を備えた企業を認定する制度のことで、これにより、システム開発にかける資金やノウハウのない企業がシステムの外注化を進められるようになりました。なお、2011年3月末で「SI登録制度」は廃止されています。

「SIerには将来性がない」といわれる5つの理由

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SIerは将来性がないといわれることも少なくないため、SIerへの転職を迷っている人もいるのではないでしょうか。そこでここからは、SIerに将来性がないといわれる5つの理由を紹介します。ネガティブな情報をしっかりと押さえておくことで、将来性があるSIerを見分けられるようになるでしょう。

1.多重請け構造

SIer業界では、大手SIerが仕事を受注し、下請け企業や孫請け企業に実務を任せる多重請け構造が広くみられます。下流になるほど納期はタイトとなり、必然と業務内容も多くなることがあります。また、下請け企業ほど開発費用が圧縮されるため、末端で働くエンジニアの給料が低くなることも問題です。

このような実情から待遇に不満を抱いて辞める人は多く、体調を崩して休職・退職してしまうケースも少なくありません。人材不足が懸念されるIT業界では、社員が定着しづらいSIerの将来性が危ぶまれているのが現状です。

2.クラウド化の波

これまでのSIerでは、サーバーやネットワーク、ハードウェア、OSなど企業のニーズに合わせてシステムをアレンジして開発するスタイルが主流でした。しかし現在はシステム開発に関わるさまざまなクラウドサービスの普及に伴い、システムを一から開発するのではなく、インターネット経由で必要なサービスを利用する企業が増えています。

クラウド型のサーバーを利用すると、オンプレミスのサーバーには欠かせなかったハードの運用・保守の必要はありません。ハードの運用・保守はSIerが請け負う主要業務のひとつです。クラウド化が普及することによってSIerの定期的な収入源が失われてしまうため、その将来性が懸念されています

3.優秀なエンジニアが定着しにくい

多重請け構造で業務を回す大手SIerは、実際に業務を担当するエンジニアを雇用しない傾向にあります。実務をこなすエンジニアは下請け企業や孫請け企業で働くことになりますが、過酷な労働環境や待遇面での不満などから、優秀なエンジニアから先に離職してしまうのが現状です。

さらに業務範囲が限定されていることから、エンジニアとしてのスキルアップが難しい現場も多くあります。そのため、エンジニアとしての成長を目指すやる気のある人は、スキルアップできる別の職場を探すことになるでしょう。

エンジニアとしてのキャリアアップを目指す優秀な人材が定着しにくいという現状も、SIerの将来性が危ぶまれる理由のひとつです。

4.高コストのビジネスモデル

SIerが掲げてきたビジネスモデルは、コストのかかる大規模なシステム開発を行い、その後は運用・保守で収益を上げていくというものでした。しかし、必要最小限のシステムを開発してコストを抑える「スモールスタート」がトレンドになっています。システム開発後、状況に応じて必要な機能を拡張していき、より実用性を高めていきます。

高コストの古いビジネスモデルでは実際の需要とはマッチしないため、将来性が感じられないという意見も少なくありません

5.グローバル展開が難しい

収益源が国内市場に限られてしまうと、そのうち頭打ちになってしまうでしょう。需要のある海外へ進出することにより、大きく業績を伸ばしてきたIT企業も少なくありません。

しかし、SIerというビジネスモデルは日本独特のものです。海外ではシステム開発から運用・保守まですべてを外注するというスタイルはほとんどみられません。多くは自社に情報システム部門を保有しており、外注するのは業務のごく一部です。

従来型のビジネス構造をそのまま海外市場には適用できずにグローバル展開が難しい点も、SIerの将来性が危惧されているひとつの要因です。

将来性があるSIerの特徴

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SIerの将来性を危ぶむ声がある一方で、将来性が期待されるSIerが存在するのも事実です。将来性のあるSIerには、5つの特徴があります。SIerの転職先を探す際には、この5つの特徴に当てはまるかどうかを慎重に検討するとよいでしょう。

大規模なシステム開発を扱える

規模の大きなシステムはクラウド化が難しいため、新たなシステム開発だけでなく、既存システムのメンテナンスにおいてもSIerの存在が欠かせません。特に官公庁や金融機関などからの大規模なシステム開発の発注は定期的に発生することから、こういったクライアントを抱えるSIerには将来性があるといえます。

大型プロジェクトはセキュリティが重視される案件が多く、信頼と実績がある企業に発注されることがほとんどです。大規模なシステム開発で実績を積んできたSIerはクライアントからの高い需要が見込めるため、安定した環境で働けるでしょう。

DX戦略に絡める

現在、さまざまな業界・業種でDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んでいます。しかし、事業部門ごとに別々のシステムが構築されている、システムの過剰なカスタマイズによりブラックボックス化してしまっているなど、既存システムに関わる問題も浮上しています。

新たなDX需要を取り込むだけでなく、既存のシステム開発に関わったSIerとして新たなパッケージソリューションの導入に取り組めれば、今後も大きな受注を見込めるため将来性も大きいです。

企業の経営改善方法を提案できる

クライアントの要望どおりにシステムを開発するだけでなく、企業の経営上の課題を見つけ、それを解決するようなサポートまでできるSIerを「コンサル系SIer」といいます。

現在、コストの削減や業務の効率化など、クライアントの業務改善に貢献できるSIerの需要が高まっています。システム開発に加えてITコンサルタントとしての実績も豊富なSIerであれば、将来性にも大いに期待できるでしょう。

新たなビジネス展開を創出できる

古いやり方に甘んじるのではなく、新たなビジネスやサービスを創出できるSIerは今後も需要が見込めるでしょう。大手SIerの下請けであった中小SIerが、自社サービスを開発して収益を伸ばしたケースはその一例です。

また、海外決済システムのプラットフォームを構築することにより、海外向けの新たなビジネスモデルを立ち上げたSIerも存在します。従来型のビジネスモデルを脱却し、新たなビジネスを展開できるSIerには将来性が十分あります。

人材を大切にする

「辞めたら新しい人材を採用する」のではなく、職場環境や業務、待遇を見直し、人材を育てようとするSIerが増えてきました。人材を大切にする企業であれば優秀なエンジニアが定着しやすく、時代の変化に合わせた新たなサービスを開発できるようになるでしょう。将来性にも期待ができます。

SIerの将来性が不安ならエンジニアとして市場価値を高めよう

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SIer業界は、クラウドの普及やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、大きな変革期を迎えています。従来の受託開発中心のビジネスモデルでは競争が激化し、将来性に不安を感じるエンジニアも少なくありません。

しかし、エンジニアとしての市場価値を高めると、今後のキャリアをより安定させることが可能です。ここでは、どのようにして市場価値を高めればよいのか解説します。

専門性を高める

特定の分野に精通することで、ほかのエンジニアとの差別化を図り、企業やプロジェクトでの需要を高められます。まず、プログラミングスキルの強化が基本です。特に、PythonやJava、Go言語などの人気の高い言語を習得することで、携われる開発案件の幅が広がります。

また、クラウド技術(AWS、Microsoft Azure、GCP)や、AI・データサイエンス、セキュリティ分野の知識を深めることで、より高度なプロジェクトに関わるチャンスが増えるでしょう。さらに、システムアーキテクチャやインフラ設計の知識を持つことで、エンジニアとしての価値をいっそう高められます。特にDX推進が進む中で、企業のシステム全体を設計・最適化できる人材は高く評価される傾向にあります。

ポータブルスキルを身につける

ポータブルスキルとは、特定の業界や職種に依存せず、どの職場でも通用するスキルのことを指します。ITスキルだけでなく、これらのスキルを身につけることで、キャリアの選択肢が広がり、市場価値をさらに高めることが可能です。

たとえば、コミュニケーションスキルは、チーム開発や顧客折衝の場面で重要です。システム開発の上流工程ではクライアントとの要件定義や提案の機会が多いため、分かりやすく説明する力が求められます。また、マネジメントスキルはプロジェクトマネージャーやリーダーなどのポジションを目指すうえで必要なスキルです。

資格を取得する

資格の取得はスキルの証明につながり、キャリアアップや転職時の強みになります。また、資格手当による給与アップにも期待できます。以下は、SIerにおすすめの資格です。

  • ITパスポート試験:ITの基礎知識を証明できる資格で初心者向け
  • 基本情報技術者試験:プログラミングやネットワークの基礎知識を身につけられる
  • 応用情報技術者試験:より高度なシステム設計やプロジェクト管理に関する知識を証明できる
  • セキュリティマネジメント試験:情報セキュリティの基礎知識を習得でき、サイバー攻撃への対応力を高められる
  • プロジェクトマネージャ試験:プロジェクト管理能力を証明できるうえに、マネジメントスキルの向上に役立つ
  • マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS):Microsoft WordやMicrosoft Excelなどのスキルを駆使して業務の効率化を図れることを示せる
  • 中小企業診断士試験:経営やコンサルティングの知識を習得でき、IT戦略の立案にも役立つ

資格取得は、単なるスキルの証明にとどまらず、自己研さんの姿勢を示すものでもあります。市場価値を高め、将来のキャリアの選択肢を広げるために、積極的に取得を目指しましょう。

SIerへ転職するか悩む方向け|転職するメリット

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転職は人生の大きな決断です。SIerの将来性が高いとはいえ、転職するかどうか悩むのも無理はありません。転職を検討する際は、SIerのメリット・デメリットを整理してみるとよいでしょう。ここでは、SIerへ転職するメリットを3つピックアップして紹介します。

給料・福利厚生が充実している

企業や職種によって待遇は異なりますが、一般的にSIerは給与水準が比較的高く、福利厚生も充実している傾向にあります。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査の結果」によると、システムエンジニア(受託開発)の平均年収は557万6,000円です。スキルや経験しだいでは、さらなる年収アップも可能です。

また、多くのSIer企業では、各種手当(住宅手当・家族手当・資格手当など)を支給しているほか、研修制度や資格取得支援が整っている場合が多く、スキルアップを図りながら安定した収入を得られます。

参照:システムエンジニア(受託開発)|職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省

システム開発の幅広い経験が積める

大手企業や官公庁のシステム開発を手掛けるSIerでは、大規模な案件に携われるのが魅力です。また、SIerの案件は多岐にわたるため、金融・医療・製造・流通など、さまざまな業界のシステムに関与するチャンスがあります。特定の業界に特化した知識や技術を身につけられるため、将来的にキャリアの選択肢が広がります。

IT以外のスキルも身につく

SIerでの業務は、単にシステムを開発するだけでなく、顧客との折衝やチームマネジメントなど、IT以外のスキルも必要とされます。プロジェクトの進行管理やクライアントとの要件調整などを担当する機会も多く、コミュニケーション能力や交渉力が鍛えられます。業界や職種を問わず役立つポータブルスキルは、将来的に他業界への転職や独立を考えた際にも大きな武器となるでしょう。

SIerへ転職するか悩む方向け|転職するデメリット

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SIerへの転職には魅力的なメリットが多くあるものの、デメリットも存在します。ここでは、SIerへ転職するデメリットを2つ紹介します。入社後に「思っていた仕事と違った」との後悔を防ぐためにも、デメリットをしっかりと把握し、転職するかどうか慎重に検討してみてください。

開発スキルが身につきにくい場合がある

SIerによっては開発業務よりも、顧客との調整やプロジェクト管理、事務的な業務が中心となるケースがあります。特に、上流工程を担当することが多い大手SIerでは、要件定義や設計などの業務に従事する機会が多く、実際のプログラミングやシステム開発に携わる時間が限られることもあるでしょう。

そのため、「最新技術に触れたい」「より高度な開発スキルを身につけたい」と考える人は、SIerよりも自社開発企業やスタートアップなどの環境のほうが適している場合があります

年功序列制度が定着している場合がある

SIerの中には、古くからの企業文化が根づいているところも多く、年功序列の風土が残っている場合があります。特に、大手SIerや長年の実績を持つ企業では、勤続年数や年齢が昇進・昇給に影響を与えるケースが少なくありません。

年功序列には安定したキャリア形成や、長期的な雇用の保障などのメリットもあります。しかし、キャリアアップのスピード感や自身の成長を重視する人にとっては、評価基準や昇進の仕組みが合わない場合があるため、企業文化をよく理解したうえで転職を決断することが大切です。

SIerへの転職を成功させるには

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将来性のあるSIerがどのような企業なのかが分かったとしても、どのようにすれば転職を成功させられるのかが分からない方もいるでしょう。ここでは、SIerへの転職を成功させるうえで押さえておきたいポイントを4つ紹介します。

転職の目的を明確にする

転職を成功させる最初の一歩は、自分の目的に合った企業を見つけることです。目的がはっきりしていなければ、給与や待遇のみに目がいってしまうでしょう。「キャリアアップしたい」「ライフスタイルに合った働き方をしたい」「家族との時間を大切にしたい」など、転職目的は人それぞれです。

SIerをステップとしてキャリアチェンジを目指すケースも少なくありません。転職活動を始める前に、まずなぜ転職したいのかを明確にし、その目的を実現できるSIerを探しましょう。

企業研究を徹底する

将来性のある企業を選ぶためには、徹底した企業研究が欠かせません。企業ごとに事業領域や開発環境、働き方は異なります。一次請けなのか、それとも下請けの企業なのかによっても、プロジェクトの裁量権や業務のやりがいが大きく変わります。

また、企業文化や働き方を理解することも重要です。たとえば、リモートワークの導入状況や、残業時間の実態などを把握すれば、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。

さらに、企業研究を徹底すれば、志望動機に説得力を持たせられます。「なぜその企業を選んだのか」「どのように貢献できるのか」を具体的に伝えることで、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。

入念に選考対策する

優れたスキルや豊富な経験を持っていても、選考対策が不十分では、採用担当者に適切に評価してもらえない可能性があります。また、「選考対策が不十分=準備不足」と捉えられ、入社意欲が低い応募者というマイナスな評価をされる恐れもあります。そのため、SIerへの転職を成功させたいのなら、書類選考や面接に向けた準備を徹底することが重要です。選考対策では、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

  • 履歴書の志望動機欄は、使い回せない(志望先企業にしか通じない)内容にする
  • 職務経歴書は見やすいレイアウトに整え、実績・経験は、数字や具体的なエピソードを交える
  • 面接対策は、定番の質問に対する答えを準備する、逆質問を用意する

転職エージェントの無料サポートを受ける

転職活動をスムーズに進めるためには、転職エージェントの無料サポートを活用するのも有効な手段です。転職エージェントは業界に精通しており、求職者に適した企業を紹介してくれます。特に、非公開求人を保有していることが多く、自力では見つけられない優良企業の求人に応募できる可能性があります。

また、履歴書や職務経歴書の添削サービスもあるほか、面接対策や模擬面接を実施してくれるエージェントも多いため、選考対策を万全にできる点もメリットです。

まとめ

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SIerは、多重請け構造やクラウド化の波によって、「将来性がない」といわれることがあります。しかし、大規模な開発プロジェクトを請け負っている企業や、エンジニアが働きやすい環境を整えている企業も多いため、求人の選び方によっては安定して働くことが可能です。

「どのような求人を選べばよいのか分からない」「将来性の高いSIerへの転職を成功させたい」といった方は、マイナビITエージェントにご相談ください。IT業界に精通したキャリアアドバイザーが、あなたのスキルや経験、希望に合った求人を紹介し、転職の成功をサポートいたします。

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