更新日:2025/04/17
この記事のまとめ
SIer(システムインテグレーター)業界で活躍するにはITスキルと専門知識が求められますが、未経験者や異業種からの転職も十分可能です。その際、資格を取得しておくと、スキルの証明になり、転職活動を有利に進められます。とはいえ、どのような資格を取得すればよいのか、悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、SIer転職に役立つおすすめの資格7つを試験合格のポイントとともに解説します。資格を取得して転職の成功確率を上げたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
SIer(システムインテグレーター)への転職にあたって、資格は必須ではありません。しかし、取得することで転職を有利に進められるメリットがあります。SIerはプロジェクトの要件定義、設計、開発、運用・保守など多岐にわたる業務を担うため、専門知識やスキルが必要です。未経験者や異業種からの転職者にとっては、資格がスキルの証明となり、採用時の評価につながります。
また、資格取得によって給与がアップする点もメリットです。資格取得を奨励している企業では、取得者に対して資格手当を支給することがあります。たとえば、応用情報技術者試験に合格すると、毎月数千円~1万円程度の手当がつくケースがあります。
転職のために資格取得が有効とはいえ、どのような資格を取得すればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。資格取得には時間や労力がかかるため、適切な資格に絞って取得を目指すことが大切です。ここでは、SIerへの転職を有利にする資格を7つピックアップして紹介します。転職先で求められるスキルを考慮して、資格取得を目指してみてください。
IPAが実施する国家試験で、経営やITに関する基礎知識を有することを証明する資格です。専門的なスキルを問う試験ではなく、IT系資格の入り口に位置づけられています。
何も資格を取得していない方はITパスポート試験からスタートし、上位資格にステップアップするとよいでしょう。ただし、SIerに転職するのに十分なスキルを証明できる資格ではないため、ITパスポート試験をゴールに据えるのはおすすめできません。
IPAが実施する国家試験のひとつで、ITを活用して課題を解決する力やシステム開発に必要な基礎知識を有することを証明する資格です。試験に合格すると、指導を受けてシステムの設計・開発・運用を行うのに必要なスキルを証明できます。
ITエンジニアの登竜門ともいわれる試験です。ITパスポート試験よりは難易度が大幅にアップしますが、エンジニアとしてキャリアアップしたいのであれば積極的に合格を目指しましょう。エンジニア向けの上位資格を目指す方のファーストステップとしても最適です。
ITパスポート試験や基本情報技術者試験と同様に、IPAが実施する国家試験のひとつです。基本情報技術者試験の上位資格に位置づけられており、ステップアップするときに目指す資格として向いています。
資格を取得することで、システムの開発・運用・保守現場の方針を理解したうえで技術的な課題を解決し、業務を遂行できるレベルのスキルを習得していることが証明できます。
情報セキュリティマネジメント試験(SG)は、IPAが実施する国家試験のひとつです。ITを活用する企業の従業員や管理者が、適切なセキュリティ対策を講じ、情報漏えいリスクを軽減できるようにすることを目的としています。
試験の内容は、情報セキュリティの基本概念、リスク管理、セキュリティポリシー、法規制、サイバー攻撃の手法や対策などです。試験に合格すると、情報セキュリティに関する基礎的な知識を有することを証明できます。
マネジメントスタッフとしてシステム開発プロジェクトに携わるのに必要なスキルを有することを証明する国家試験です。IPAが主催する国家試験のひとつで、プロジェクトマネージャーを目指すのであれば合格しておきたい試験です。
試験に合格するには、プロジェクト全体の計画を立てて適切にマネジメントし、結果を次のプロジェクトに活用するスキルが必要です。試験は年に1回実施されるため、計画的に学習して合格を目指しましょう。
MOSとも呼ばれる試験で、オデッセイコミュニケーションズが実施する資格です。この資格では、以下のMicrosoft Office製品を使用するのに必要なスキルを有することを証明します。
Microsoft Office製品は多くの企業で使用しているため、十分なスキルを証明できれば、課題解決策の提示に役立つでしょう。中小企業診断士試験と同様に直接開発業務に直結するわけではありませんが、取得しておくと役立つ場合があります。
一般社団法人中小企業診断協会が実施する国家試験で、試験に合格すると経営に関するコンサルタントに必要な知識を証明できる国家資格・中小企業診断士を取得できます。経営やマーケティングで役立つ資格ですが、SIerで働くエンジニアにも取得する価値があります。
SIerではシステム開発を通して経営課題の解決を目指すことも多く、クライアントをサポートするのも仕事です。中小企業診断士の資格を取得すれば、課題を適切に分析し、効果的なシステムを提案できます。
働きながら資格取得を目指す場合、限られた時間を有効活用して効率的に学習を進める必要があります。特に、資格を取得してから転職活動を始める場合は、転職のタイミングを逃さないよう、一度の試験で合格を目指しましょう。ここでは、試験に合格するための勉強のコツやポイントを紹介します。
SIerへの転職に向けた資格試験では、「満点を取ること」が目的ではなく、「合格すること」が最終ゴールです。試験によっては、70%程度の正答率で合格できるものもあります。限られた時間を有効活用するためにも、合格ラインの得点取得を目指した効率的な学習を心がけましょう。
試験対策としては、難度の高い問題にこだわりすぎず、合格に必要な範囲を重点的に押さえることが大切です。特に、試験には頻出問題や基本的な概念を問う問題があるため、基礎を確実に理解し、得点しやすい部分を優先的に学習しましょう。
資格試験を受験する際には、まず試験の出題範囲や科目、配点、出題数をしっかり把握することが重要です。これを怠ると、試験の全体像をつかめず、学習の優先順位を決めるのが難しくなります。たとえば、配点が高い科目を重点的に学習すると、より少ない労力で高得点を狙うことが可能です。
過去問を解くことで、試験の出題傾向を把握できるだけでなく、頻出テーマを特定しやすくなります。また、自分の得意分野や苦手分野を客観的に分析できるため、重点的に対策したほうがよいポイントが明確になります。
たとえば、繰り返し出題される問題があれば、確実に得点できるように重点的に学習し、苦手な分野は基本をしっかり押さえたうえで対策を講じることが重要です。さらに、試験本番に近い環境で過去問を解くことで、時間配分の感覚を養えます。
知識を確実に定着させるためには、インプットだけでなくアウトプットを重視することも大切です。単にテキストを読んだり講義を受けたりするだけでは、知識は短期間で抜け落ちてしまいます。そこで、知識をインプットしたら積極的に過去問などを解き、自分の理解度を確認しながら学習を進めるようにしましょう。また、学んだ内容を他人に説明することも、知識の定着には有効です。
学習効率を高めるために、テキストだけでなく動画や音声教材を活用することもおすすめです。動画や音声教材による学習は、通勤時間やちょっとした空き時間を有効活用できる点が大きなメリットです。たとえば、電車の中でスマートフォンを使って講義動画を視聴すると、視覚と聴覚を使って理解を深められます。
SIerへの転職を有利に進めるうえで資格の取得や試験の合格は有効な手段です。とはいえ、SIerへの転職では資格よりも「身につけたスキル」が重視される傾向にあります。資格を取得していても、以下で挙げているスキル・知識がないと転職は難しくなります。
SIerには、システムに関する深い知識が必要不可欠です。具体的に求められる知識には以下のようなものがあります。
【IT全般に関する知識】
クライアントの課題を解決するシステムを考えて、適した開発言語や手法を選ばなければなりません。適切なシステムを提案・開発するには、システムに関する広範な知識が必要です。
論理的思考力はロジカルシンキングとも呼ばれ、問題解決に欠かせないスキルです。具体的には、目の前にある物事の状況を整理し、解決に導くためのルートを矛盾なく設計する能力を指します。
システム開発の現場では、要件定義・設計の段階で工程が矛盾せず欠陥のない設計書を提示する必要があります。この際に論理的思考力が求められるため、SIerへの転職を目指すなら積極的に鍛え上げたいところです。
システム開発は一定期間で体系的に業務を進めます。プロジェクトには期日があるのが一般的で、工数を正確に見積もって期日までに終わらせるためのスケジューリングをしなければなりません。プロジェクト遂行能力として求められるスキルの一例は以下のとおりです。
これらのスキルをマネジメントスキルと呼びます。マネジメントスキルを習得していることをアピールできれば、SIerへの転職で有利に働きます。また、開発はチームで進めるのが基本であるため、コミュニケーションスキルも欠かせません。
IT業界への転職を目指す際、資格がないと不利だと考える人もいるでしょう。しかし、実際には資格を持っていなくてもSIerへの転職を成功させている人は多くいます。重要なのは、実務に役立つスキルを習得し、それを適切にアピールすることです。ここでは、資格がなくてもSIerへの転職を有利に進める方法を紹介します。
独学でITスキルを習得することは可能ですが、初心者にとってはハードルが高く、途中で挫折してしまう人も少なくありません。特に、プログラミングやシステム開発の知識をゼロから学ぶ場合、適切な教材選びや学習の進め方が分からず、効率が悪くなりがちです。
その点、スクールに通えばITスキルを体系的に学ぶことができ、学習のペースを維持しやすくなります。また、疑問点が生じた際には講師に質問できるため、自己学習よりもスムーズに理解を深めることが可能です。さらに、多くのスクールでは資格取得支援や就職サポートを提供しており、転職活動では大きなアドバンテージとなるでしょう。
いくら優れたスキルを持っていても、採用担当者に適切に伝えられなければ、内定にはつながりません。特にSIerの選考では、技術スキルだけでなく、論理的思考力やコミュニケーション能力も重視されます。そのため、履歴書や職務経歴書の作成、面接対策など、選考準備をしっかり進めることが重要です。
まず、履歴書や職務経歴書では、自分の強みや学習意欲を具体的にアピールすることが大切です。たとえば、「独学でPythonを学び、Webアプリを開発した経験」「スクールで実践的な開発プロジェクトに取り組んだ実績」などを記載すると、実務未経験でも採用担当者にポテンシャルを伝えやすくなります。
面接対策では、具体的なエピソードを準備しておきましょう。SIerの面接では、これまでの学習経験やプロジェクトへの取り組み姿勢を問われることがあるためです。さらに、想定される質問に対する回答を的確に伝えられるようにしておくことで、選考通過の可能性が高まります。
転職エージェントを利用すると、業界の最新情報や適切な企業の紹介を受けることができ、効率的に転職活動を進められます。転職エージェントのメリットのひとつは、自分の市場価値を正確に把握できる点です。キャリアアドバイザーとの面談を通じて、どのようなスキルや経験が評価されるのかを把握でき、それを基に転職戦略を立てることが可能です。
また、企業ごとの選考ポイントを熟知している転職エージェントから履歴書の添削や面接対策のアドバイスを受けることで、採用される可能性をより高められます。
SIerへの転職を成功させるためには、専門的な資格を取得することが有利に働きます。特にIT業界未経験者は、「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」といった国家試験の合格を目指すとよいでしょう。ただし内定を勝ち取るには、資格取得や試験の合格だけでなく、選考対策をしっかりと進めることも大切です。
マイナビITエージェントでは、SIerへの転職をサポートしています。IT業界に精通したキャリアアドバイザーが、あなたのスキルや希望に合った企業を紹介します。選考対策もしっかりバックアップしますので、お気軽にご相談ください。
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