更新日:2024/02/05
日本語で製造業とも呼ばれる「メーカー」は、その名のとおり、ものづくりの担い手のことです。誰もが名前を知っているような有名企業も多く、就職・転職のどちらにおいても人気の業界のひとつとなっています。
メーカーにはどのような種類があり、どのような職種があるのでしょうか。ここではメーカーの特徴や商社との違い、募集の多い職種、メーカーに転職する際に押さえておきたいことなどをまとめてご紹介します。
目次
製品の製造を行う企業全般をまとめてメーカー業界というように、メーカー業界の分野は多岐にわたります。そのため、メーカー業界とは何かについて、しっかりと把握できていない方もいるでしょう。
ここでは、メーカー業界に含まれる具体的な職種のほか、メーカー業界の将来性について解説します。メーカー業界について理解を深めていきましょう。
メーカーとは、原材料などを加工することで何らかの製品を生産し、提供する企業のことです。その範囲は非常に広く、自動車から化学製品、食品、日用品、アパレルまで、すべてメーカーというくくりになります。
例外として、不動産は「建築・建設業界」、ITソフトやアプリケーションの制作は「IT業界」の分類です。 それら以外の製品を生産する企業は、すべてメーカー(製造業)と考えて構いません。
元来、日本のメーカー業界は品質の高さから世界的に注目され、とても高い競争力を誇っていました。しかし、近年は競争力の低下が叫ばれています。その背景には、人材や材料にかかるコストの高騰。さらには、技術力の高い人材の高齢化や海外進出による退職、人材不足が重なっています。
また、以前に比べて短期間での納期を求める案件が増えていることもあり、設備保全の徹底も課題のひとつでしょう。設備が故障したときの被害が、これまでよりも甚大になっているためです。
以上の課題を解決するべく、多くのメーカーではAIやloTといったIT技術を導入し、業務の効率化を進めています。これに伴い、製品の製造にあたって必要な知識や技術は日々アップデートされているため、共に成長できるポテンシャルを持つ人材がより必要とされていくでしょう。
メーカーと呼ばれる企業は幅広く、素材だけを作るメーカーや、組み立てだけを行うメーカーなど、製造工程の一部のみを担当するメーカーも数多くあります。製造工程を上流・中流・下流の3つに分類することで、メーカーの仕事を捉えやすくなるでしょう。
「鉄鉱石から鉄を作る」「珪砂(けいさ)や石灰などを混ぜ合わせてガラスを作る」というふうに、さまざまな製品の元となる素材を作るのが素材メーカーです。鉄やガラスのほか、ゴム、樹脂、化学素材、非鉄金属、紙などを作っているメーカーが素材メーカーにあたります。
素材メーカーが作った素材を使って、製品に欠かせない部品を作る企業が部品メーカーです。たとえば自動車の場合は、ボディやタイヤなどの各種部品を製造するメーカーが部品メーカーにあたります。
素材や部品を加工したり組み立てたりして、消費者がお金を出して購入する製品を作る企業が加工メーカーです。自動車や家電、食品、アパレルなど、テレビCMや広告で知られている企業の多くが加工メーカーにあたります。
研究・開発・生産・最終加工まで、すべての工程を自社で一貫して行う企業が総合メーカーです。大手の化粧品メーカーや医薬品メーカーなどでよく見られます。そのため、総合メーカーも知名度の高い企業が多いでしょう。
また総合メーカーでは、幅広い商品を取り扱い、独自のブランド力を重視します。それぞれの企業が自社の特色を生かした製品開発を行っているのも特徴です。
メーカーは作っている物だけではなく、顧客層の種類からも「BtoB型」と「BtoC型」に分類できます。ここではそれぞれの特徴を押さえていきましょう。自身がやりたいと考えている仕事内容はどちらなのか、転職先企業を絞る際の目安にもなります。
BtoB型とは、企業を顧客として製品を作っているメーカーで、素材メーカー・部品メーカーの大部分が相当します。
一般消費者向けの広告を出すことはほとんどないため、名前が知られている企業は少ないでしょう。しかし、特定分野に関してトップクラスの技術を持っていたり、世界で大きなシェアを占めていたりする企業も存在します。
BtoC型とは、一般消費者を顧客として製品を作っているメーカーで、加工メーカーの一部が相当します。作っている物がイメージしやすく、製品や会社名に親しみを持つ人が多いため、学生の就職活動で高い人気があります。
メーカーと混同されやすい業種に「商社」がありますが、メーカーの仕事はものづくり、商社の仕事は貿易と卸業(国内での販売)というように両者はまったくの別のものです。
ただし、商社は国内外に張り巡らせたネットワークを生かして、メーカーの部品調達や営業のサポートを行うことが多くあります。そのため、メーカーとの違いが分かりにくく、混同されることが多々あるでしょう。
メーカーが募集する主な職種には、営業、商品企画、研究開発、生産管理、製造、広報、資材調達などがあります。ここではそれぞれの仕事内容について、簡単にまとめました。
メーカーの営業は、自社の製品を売り込むのが仕事です。素材メーカーや部品メーカーであれば、製品を作る材料を必要とする加工メーカーなどを顧客企業に売り込みます。
加工メーカーであれば、商社や小売チェーンなどを相手に自社製品の提案・販売を行うのが一般的です。メーカーの営業が一般消費者に直接営業することはほとんどありません。
商品企画とは、市場の動向を調査・分析し、新しい製品の提案や既存製品の改良を行う仕事です。企業規模によっては、マーケティングと商品開発を兼ねることもあります。メーカーの花形といわれ、就職市場でも人気の高い職種です。
研究開発部門では企業を支える技術の研究・開発を担い、商品企画部門と連携しながら、新製品の開発や既存製品の改良を行います。素材メーカーでは、基礎研究に力を入れている企業も多いでしょう。
生産計画に基づいてきちんと製品を出荷できるように、生産量や品質を管理するのが生産管理の仕事です。生産スケジュールの策定も行います。
製造は、工場などの生産ラインで、実際に製品を作る仕事です。
広報は、企業および製品のイメージアップのための活動を行います。
資材調達では、製品の生産に必要な素材を国内外から買いつけを行います。独自のルートで仕入れるほか、商社と連携する場合も多くあるでしょう。
メーカー業界に転職を考えているのなら、業界としての魅力について押さえておきましょう。ここでご紹介する魅力に強く引かれる方ほど、メーカー業界に向いているかもしれません。
ただしメーカー業界は分野が幅広いため、業界を細分化した場合には、さらなる魅力が見つかるでしょう。転職したい業種が絞れた場合には、改めてその業種についても調べることをおすすめします。
多くのメーカー業界は経営が安定している傾向にあります。なぜなら、メーカー業界の利益になるものはあくまで素材や部品であるため、景気や消費者からの評判などによって売れ行きが左右されづらいためです。特に素材を製造する上流工程メーカーは、安定性に優れているでしょう。
なお、すべての工程を担う総合メーカーでは、この理論が通用しません。とはいえ、総合メーカーでは時世に関係なく売れやすい商品を扱うことが多いため、やはり安定性には期待が持てます。
メーカー業界を含め、労働組合に現業職が多い業界にはホワイト企業が多いといわれています。現業職は企業利益の要であるのに対し、高いキャリアアップを望みづらいという背景があるためです。昇給やボーナス増額、残業時間の削減といった待遇改善のため、労働組合が尽力してくれるでしょう。
近年では、産休や育休といった制度を積極的に取り入れるメーカー企業がニュースになることも増えています。
メーカー業界の中でも営業や商品企画など、顧客目線に立って戦略を練る必要がある職種では、マーケティングスキルを磨けるでしょう。
なおBtoC型に限らず、BtoB型のメーカー企業であっても、近年はマーケティングスキルが求められるようになってきました。まだまだマーケティングに対する意識の弱い企業も多いメーカー業界だからこそ、向上心の強い方であれば著しいスキルアップを望めるでしょう。
メーカー業界に転職する前に知っておきたいことがあります。それは、「年功序列の企業もある」ことと「刺激が少ない」ということです。
これらはときにデメリットになることもあり得ます。自身の求める仕事像からかけ離れている場合には、改めて自身に向いた業界かを検討し直してみましょう。
メーカー業界には創業年数の長い企業が多く、昔ながらの社風が残っている企業も珍しくありません。そのため、年功序列の影響が色濃く出ている企業もあるでしょう。
年功序列の傾向がある企業では、勤続年数が長くなるに連れ、収入が上がりやすいのが特徴です。その反面、勤続年数が短いうちや若いうちは成果に対して正当な評価を得づらい恐れがあります。
メーカー業界は企業利益が景気に左右されにくいため、収入が安定しやすいのがメリットです。また、労働組合に現業職が多い傾向にあることから、待遇面でも安定を得やすいでしょう。
しかし、安定していることは刺激の少なさにもなり得ます。安定しているからこそ、努力や成果が高く評価されにくいといった影響もあり得るでしょう。どちらについても、仕事に対する意欲の低下につながりかねません。
一口にメーカーといっても、国内向けの食料品メーカーと海外からの注文が多い精密部品メーカーでは、たとえ同じ職種でも仕事内容が異なります。メーカーへの転職を考えるなら、その企業の特徴や企業の求める人材と、自分の能力ややりたいことが合致しているかどうかの確認が欠かせません。
転職を希望するメーカーの特徴を把握したい場合、次の3点をチェックしてみるとよいでしょう。
1.製品
メーカーが作っている製品は何か。その製品は素材、部品、加工のどの段階にあたるのか。
2.顧客層
企業が製品を販売する相手は、ほかのメーカーか、商社や小売チェーンか。また、国内か海外か。
3.企業が持つ技術
その企業の強みは何か。企業独自の技術を持っているか。
たとえば、素材メーカーである鉄鋼メーカーと、加工メーカーである自動車メーカーを比較してみましょう。前者の顧客は素材として鉄を必要とする部品メーカー、後者の顧客は国内外の車のディーラーや販売店、商社です。
前者には今までにない新しい素材を開発したり、需要を先取りした製品を開発・販売したりといった、世の中に新しい製品やヒット商品が生まれるきっかけを提供できるおもしろさがあるでしょう。
一方、後者には、世界を相手にマーケティング戦略を練ったり、自社の製品が直接世の中で使われることを実感できたりする点が醍醐味といえます。
メーカーが求める人材や仕事内容は、製造している物や、対象とする顧客によって大きく異なります。企業研究をしっかり行うことが、メーカーへの転職の成功や、企業の中で自身の経歴や能力を生かすことにつながるでしょう。
しかし個人で行う企業研究には限界があります。そこでおすすめしたいのが、マイナビエージェントの活用です。
マイナビエージェントには各業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍しているほか、各企業とのやりとりを密に行い、情報を蓄積しています。企業の詳しい仕事内容や社風に至るまでお伝えできるため、企業研究がよりスムーズかつ実りのあるものになるでしょう。
メーカー業界はものづくりの根幹に関わる仕事であることから、収入や待遇面の安定性に優れています。景気が大きく変動しやすい昨今においては、魅力的な業界だといえるでしょう。
しかし、メーカー業界には多くの企業が存在しているほか、職種もさまざまです。自身に合った転職先を探したいと考えているのなら、まずは業界を絞る必要があります。
「メーカー業界が気になる。けど、自分に何が向いているのかが分からない」というお悩みを抱えているのであれば、どうぞマイナビエージェントをご利用ください。マイナビエージェントでは、スキルの棚卸しからお手伝いし、ぴったりの転職先探しをサポート致します。
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