IT・エンジニアの職種図鑑

製品開発/研究開発

製品開発/研究開発の男性

新しい技術およびIT製品の開発を担当するポジション。ハードウェア・ソフトウェア双方の開発に関わります

  • 活かせる資格

    基本情報技術者試験(FE)、応用情報技術者試験(AP)など

製品開発/研究開発職とは、
市場のニーズを的確に読み取り、売れる製品をつくることがミッションです。
人知れず進めなければならない地道な作業もありますが、ITを活用して人々の仕事や生活を豊かにできる仕事は、大きな達成感を得られる魅力を持っています。

ここでは、製品開発/研究開発の仕事内容や必要なスキル・資格、
平均年収などをご紹介します。

製品開発/研究開発とは?

製品開発/研究開発とは?

製品開発者/研究開発者は、主にIT製品の開発と新技術の開発に関わる仕事です。ハードウェア・ソフトウェア双方の開発にも関わるため業務内容は幅広く、新たな時代を切り開いて最前線で活躍する職種の一つです。

それぞれの仕事の特徴は以下のとおりです。

製品づくりを担う「製品開発」

既存の技術を用いてユーザーが手にする製品をつくるのが製品開発の仕事です。製品開発が担う領域は、業務関連システムやアプリケーション、セキュリティシステム、自動車システム、ロボットなど多岐にわたります。ユーザーが「こんなアイテムがあればいいのに」「こんなことができればな」と考える、かゆいところに手が届く製品や、独自の発想力で「こんなアイディア思いつかなかった」と思わせるような製品を開発していきます。

開発・改良のための「研究開発」

研究開発は、製品化に至る前段階となる技術開発を行う仕事です。新製品開発を目的とする場合もあれば、既存製品の改良に向けた技術開発を担うこともあります。ユーザーに求められる製品が実現できるか否かは、研究開発の成果に左右されるといっても過言ではありません。したがって、企業の成長拡大は、いかに研究開発に投資できるかが鍵となります。

製品開発/研究開発の仕事内容

いずれも「開発」という言葉がついているため、これらの職種はひとくくりにされることが多いようです。しかし、その仕事の内容には、明確な線引きがあります。それを踏まえて、それぞれの仕事内容を紹介しましょう。

製品開発の仕事内容

製品開発の仕事はいくつかの工程から成り立っていますが、どのような製品開発を行うかにより細かな工程は異なります。ここでは、主な4つの工程について触れます。

企画の立案

製品開発は、企画の立案からスタートします。市場調査や競合調査、過去の販売実績などを踏まえ、ターゲット層や商品コンセプトを見定めていきます。企画部門が単独で設けられている企業は、製品開発と研究開発が連携しつつ内容を詰めて企画書を作成します。

設計

立案で固めたイメージ像を製品化するための設計を行います。その際は、制作工程やコスト、技術・品質面が実現可能であるか、客観的視点を持たなければなりません。

制作・検証テスト

設計が固まったら、実際に制作に入っていきます。その後、製品の品質や機能性に問題がないかテストを行います。場合によっては他部署の社員に試作品を使用してもらい、第三者目線で評価してもらう必要もあるでしょう。テストは基準値を満たすまで繰り返し行います。

商品化・運用

検証テストをクリアしたら、晴れて商品化・運用となります。

研究開発の仕事内容

製品開発が製品その物を作り上げるのに対して、研究開発は製品に使用する技術の開発が中心です。大学や研究機関で行われている基礎研究のようなものですが、企業での研究開発はその先の実用性や収益性を厳しく見定めたうえで進められますので、「やりたい研究ができる」とは限りません。

現在の研究開発では、スマホやタブレットなどで利用される高速通信技術、自動車の自動走行技術、人工知能とその関連技術などが注目されています。

さらに細分化される、開発のポジション

製品開発/研究開発は、内部的にさらにいくつかのポジションに分けられます。企業によって名称は異なりますが、それぞれのポジションによって役割が違います。自分が何をやりたいか、どうなりたいかを意識して、志望先を選ぶようにしましょう。

  1. 要素技術研究/製品研究開発

    「要素」とは、その製品を構成するあらゆる要素を指しますが、一般には「その製品を成り立たせている根幹となる技術」を指します。その技術の研究開発を行うのが、これらのポジションです。製品全体の性能を高めたり、コストダウンを図ったりするための大きな力となります。

    ゼロからものを作り出すクリエイティビティ以上に、「もっと洗練されたものにするには、どうすればいいか」を常に考え続ける、粘り強さが重要になるポジションです。

  2. プロダクトマネージャー

    開発作業全体を統括するのがプロダクトマネージャーの仕事です。基本的に自分が手を動かすということはなく、SEが兼任する場合が多いようです。

    プロダクトマネージャーは開発作業全体を俯瞰して、スケジュールに無理がないか、作業に滞りが起こらないかをチェックしつつ、プロジェクトを進めていきます。また、仕様を決定する際には、不要な機能をそぎ落として開発期間の短縮を図ったり、当初のコンセプトからぶれることのないよう、方向性を明確にしたりすることなども大切な仕事です。

    開発作業全般に通じており、各工程間・スタッフ間での調整をとるバランス感覚なども求められるポジションといえるでしょう。

  3. 製品開発システムエンジニア

    ソフトウェアの企画から開発、さらに改良改善などを手掛けるポジションです。手掛ける案件の規模はまちまちですが、多くは何もないゼロの状態から開発に関わることになります。開発後のテストやクライアントへの導入支援までをカバーする場合には、先方の事情や環境に合わせた柔軟さも必要かもしれません。

    誰かの指示を受けて動くのではなく、自ら発想し、チームとして作り上げていくスタイルですので、クリエイティブ指向の強い人にとっては魅力的なポジションです。

製品開発/研究開発のやりがい

製品開発/研究開発は、主に以下のようなやりがいを感じられる仕事です。

  • 最新技術に触れながら新たな時代を切り開く最前線で仕事ができる

  • 新しいIT技術や製品を生み出し、世に送り出せる

  • 自分のつくった製品をユーザーに愛用してもらえる

  • 会社の利益に直接的に貢献できる

  • チームでクリエイティブな仕事ができる

開発工程では、時に困難な出来事やトラブルに見舞われることもありますが、そのぶんやりがいを感じるタイミングも多いでしょう。

製品開発/研究開発に必要なスキルや知識

製品開発/研究開発に必要なスキルや知識

製品開発/研究開発の仕事には、以下のようなスキルや知識が役立ちます。今からでも身につけることは十分可能ですので、未経験から製品開発/研究開発職を目指す際には頭に入れておきましょう。

必要なスキル

製品開発/研究開発として働くなら、最低でも以下の4つのスキルを身につけておくべきです。自分がどの程度のスキルを備えているかチェックしてみましょう。

コミュニケーションスキル

製品開発/研究開発は、コミュニケーションスキルが求められる仕事です。開発は社内外問わず多くの人と関わりながら進めていくことになります。したがって、関係部署と連携し円滑に業務遂行するためのコミュニケーションスキルは欠かせません。

プレゼンスキル

制作した企画を伝えるためのプレゼンスキルも製品開発/研究開発に不可欠な能力です。完璧な企画ができたとしても、経営層に受け入れてもらえなければ、製品化は実現しません。製品の魅力はもちろん、利益やコストなど経営的な視点も盛り込み、ロジカルなプレゼンテーションを展開できるスキルを身につけておくべきでしょう。

発想・企画力

発想・企画力は、製品開発/研究開発でおおいに役立つスキルの一つです。すでに世に存在する製品も、原点を紐解いてみると開発者の思いつきから作られたケースも多くあります。固定観念にとらわれない柔軟な発想力や企画力は社内でも重宝されるでしょう。

情報収集力・分析力

製品開発/研究開発の仕事には、情報収集力・分析力が必須です。世の中のニーズを正しく理解して売れる製品をつくるために、日々アンテナを張り情報を敏感にキャッチしなければなりません。併せて、入手した情報を適切に見極める分析力も求められます。情報収集力と分析力、両方を兼ね備えていることが、製品開発/研究開発として成果を出すうえで重要なスキルです。

分野によって必要となる知識は異なる

製品開発/研究開発に必要な知識は、携わる業界の分野によって大きく異なります。すべてを網羅するのは難しいため、まずは自分が目指す業界に役立つ知識から取得していきましょう。

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働きながら身に付けられる企業もあります。

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製品開発/研究開発におすすめの資格

開発職で特に必要となる資格はありませんが、関連する資格として「基本情報技術者試験(FE)」や「応用情報技術者試験(AP)」があります。

いずれも国家資格であり、毎年春と秋に試験が行われます。近年の合格率はいずれも約20%と決して高いとはいえませんが、自分の能力を測る機会として挑戦してみるのも良いでしょう。資格手当を設定している企業もありますので、持っておいて損はありません。

情報技術の分野は政府主導で人材育成が図られているため、他にも関連する資格がいくつもあります。将来どのようなエンジニアを目指すのか、そのために必要なスキルは何かを考えたうえで、これらの資格取得も検討してみましょう。また、企業によっては「第二種電気工事士」や「危険物取扱者」の資格が優遇されるケースもあります。

製品開発/研究開発の年収

製品開発/研究開発全般の平均年収は、477万円です。20代で409万円、30代で523万円となっています。日々進化する最新技術を追いかけ、知識や経験値をアップデートし続ければ、年収アップも不可能ではありません。独創的な発想やそれを形にするクリエイティビティに磨きをかければ、社内で唯一無二のポジションを築き、年収にも好影響を及ぼすでしょう。

なお、開発職の中でもIT・インターネット・通信業界に限定すると全体の平均年収は50万円アップし、542万円になります。20代で496万円、30代で595万円と、全体的に底上げされている状況です。
IT関連は高度な技術と知識が求められるため、本人の経験やスキルがそのまま収入に反映されやすい点が高水準の要因とみられます。

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製品開発/研究開発のキャリアパス

製品開発/研究開発は、概して高給で待遇もよく、人気の職種です。そのため、さまざまな部署で経験を積んだエンジニアが、最終ゴールとして目指すポジションでもあります。もちろん、経験を活かすことで、さらなる転身を図ることも可能です。

特定領域に特化するために転身する

たとえば、アプリ開発に特化した「アプリケーションエンジニア」、サーバーの構築と運用を専門とする「サーバーエンジニア」、ネットワーク全体の構築と管理を担当する「ネットワークエンジニア」は、いずれも製品開発/研究開発の経験を存分に活かせる職種です。
ただし、年収については見劣りしてしまうケースもあるでしょうから、十分な検討が必要でしょう。

ITコンサルに転身する

これまでに培ってきたスキルを活かし、コンサルティング業務を手掛けるという選択肢もあります。経営的な視点が必要ですが、クライアントが抱える問題や課題を、自分が持つITスキルによって解決していく醍醐味は、この職種ならではのものでしょう。

このように、エンジニアにとって一つのゴールとも考えられる製品開発/研究開発にも、その後のキャリアパスは用意されています。「自分はどこを目指すのか、どうありたいのか」をしっかり見極めて、行く道を選んでください。

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この記事の監修者


この記事の監修者

藍田 敬之

株式会社マイナビ所属。キャリアアドバイザー歴15年。IT領域専任アドバイザー。SE、IT営業経験を踏まえ、「入社してみたら違った」を撲滅すべく、日々アドバイスを心がけています。

株式会社マイナビ所属。キャリアアドバイザー歴15年。IT領域専任アドバイザー。SE、IT営業経験を踏まえ、「入社してみたら違った」を撲滅すべく、日々アドバイスを心がけています。

よくあるご質問

  • 製品開発と研究開発の違いは何ですか?

    ユーザーが使う最終的な製品づくりを担うのが製品開発で、その前段階である技術開発を行うのが研究開発です。

  • IT業界での製品開発/研究開発の仕事は何ですか?

    製品開発は、既存の技術を用いて新たなツールの開発を行ったり、OSバージョンアップによる製品のカスタマイズ対応などを行ったりします。
    研究開発は、製品に使用する技術の開発が主な仕事です。現在では高速通信技術や人口知能関連などが注目されています。

  • 製品開発/研究開発に必要な資格やスキルはありますか?

    必須となる資格はありませんが、知識量や技術力の証明にもなるので資格取得をおすすめします。
    また、すぐには利益にならないので、研究する事によって何が得られるのか、道中のトラブル対応をしながらと、コミュニケーション能力や進行管理能力も欠かせません。