更新日:2024/03/19
この記事のまとめ
あなたは、プログラマーとエンジニアの違いを明確に答えられますか。それぞれ職種として認知している人は多くても、その違いをずばり明言できる人は意外に少ないかもしれません。
ここでは、プログラマーとエンジニアの仕事の違いや必要なスキル、資格、向いている人の特徴などをご紹介します。
目次
混同されがちなプログラマーとエンジニアですが、定義を見ればその違いは一目瞭然です。まずはプログラマーとエンジニアの定義について理解しておきましょう。
プログラマーをひと言で表現すると「実際にプログラミングをする人」です。エンジニアの作成した設計書に従い、プログラミング言語を用いてコーディングしていく仕事で、システム開発における下流工程を担います。
プログラマーの仕事の詳細については以下の記事をご覧ください。
IT業界におけるエンジニアとはIT知識をもつ技術者の総称であり、広い意味ではプログラマーもエンジニアに含まれます。
エンジニアには専門分野によっていくつかの職種がありますが、その中で最も一般的なエンジニア職といえば、「システム開発を取り仕切る人」であるシステムエンジニア、通称SEと呼ばれる仕事です。
システムエンジニアは、主にシステム開発での上流工程を担います。詳細は以下の記事でもご紹介しています。
続いて、プログラマーとエンジニアの主な仕事内容をご紹介します。
プログラマーは、プログラミング言語を用いたプログラミング業務に従事します。プログラマー自身が企画や設計を行うことはなく、システムエンジニアが作成した設計書に基づきコーディングを行います。そのため、JavaやPerl、PHPなどのプログラミング言語の習得は必須です。
コーディング完了後は、作成したシステムが正常に稼働するかのテスト作業も担います。万が一バグなどの不具合を発見した場合は、再度コーディング作業に戻り修正を施します。
エンジニアはシステム開発の責任を一貫して担うポジションですが、メインの業務領域は、クライアントの要望を要件定義としてまとめ、それらを実現するための設計書を作成する部分となります。いくら完璧なプログラミングが行えても、クライアントの目的や求める成果を汲み取れていなければ意向に反するシステムができあがってしまうため、非常に重要なフェーズです。
エンジニアはプログラマーの上位職にあたるため、自ら手を動かしプログラミングを行う機会よりも、プロジェクト全体を取り仕切りクライアントと現場の架け橋のような役回りを担う機会のほうが多くなります。
厚生労働省が公表した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、エンジニアやプログラマーが属するソフトウェア開発技術者の平均年収は523万円となっており、比較的高水準であることがうかがえます。
ただし、プログラマーとエンジニアの月収を比較するとギャップが生じている様子がわかります。「令和元年賃金構造基本統計調査」に掲載されている※月収額を見てみると、プログラマーが約35万円であるのに対してシステムエンジニアが約47万円と、12万円程度の開きがある状況です。
この開きの主な要因として考えられるのは、業務や責任の領域の違いです。プログラマーはコーディング作業に従事しますが、エンジニアはクライアントとの折衝やプロジェクト進行、管理など、より多くの業務と責任を担います。そのため必然的にプログラマーよりもエンジニアの方が評価される要素が多く、年収に反映される形となります。
※(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他の給与額/12カ月で算出
参照:
プログラマー‐職業詳細│職業情報提供サイト(日本版 O-NET)
システムエンジニア(業務用システム)‐職業詳細│職業情報提供サイト(日本版 O-NET)
賃金構造基本統計調査
プログラマーとエンジニアに必要とされるスキルはそれぞれ以下のとおりです。
すべてを完璧に網羅することは難しいため、地道に勉強を続けたり実務で携わったりする中で徐々に身につけていきましょう。
プログラマーに必要なスキルは、主に以下のようなものです。
コーディングやテストを担うプログラマーにとって、プログラミング言語は最も重要なスキルです。エンジニアが作成した設計書をもとに作業を進めますが、自らも論理的思考をもつことで、より質の高いプログラミングが行えます。
さらに、携わるプロジェクトが変わってもプログラマーの仕事は基本的に単調な作業の繰り返しとなるため、いかに集中力を持続させ、ミスなく作業を進められるかも重要です。
エンジニアに必要なスキルは主に以下のようなものです。
エンジニアは、クライアントの希望を漏れなくヒアリングし、的確に理解する力が必要です。プログラミングを含めたIT技術はもちろん必要ですが、マネジメント的な要素を多く求められることになるでしょう。クライアントの利益のために良質な提案ができるエンジニアほどクライアントからの信頼を獲得でき可能性が高まります。
プログラマーとエンジニアの仕事に就くうえで必須となる資格はありません。しかし、実務をこなすうえでは相応のスキルや知識が求められるため、実務に活かす意味でも、周囲への証明の意味でも、余力があるタイミングで資格を取得することをおすすめします。
一般的にプログラマーに必要といわれる資格は以下のとおりです。
ひと口にプログラマーといっても、企業やプロジェクトにより扱う言語は異なります。そのため、まずは最もよく使用する言語に関する資格を目指すのが良いでしょう。ITを体系的に学びたい初心者の場合はITパスポートもおすすめです。
プログラマーが持っていると有効な上記の資格はエンジニアとしても役立つものですが、エンジニア向けには他にも次のような資格が有効となります。
プログラマーと同様、実務に関係のある資格から目指すのがおすすめです。転職活動の際に担当者に確認してみても良いでしょう。
プログラマーやエンジニアに向いている人には、いくつかの特徴が見られます。
自分に該当する箇所があるか確認してみましょう。
プログラマーに向いているのは、以下のような特徴を持っている人です。
プログラマーの仕事は、ものづくりが純粋に好きな人や、好奇心旺盛で成長意欲が高い人に向いている仕事です。納期前などは激務をこなす場面も出てくるため、長くプログラマーを続けるには自分なりの目的意識が必要でしょう。
エンジニアに向いているのは以下のような人です。
エンジニアは、クライアントやプロジェクトメンバーと直接コミュニケーションを取る立場です。コミュニケーションにストレスを感じず、多くの人との関わることを仕事の醍醐味と感じられるタイプの人に向いているでしょう。また、エンジニアはゼロからものを生み出す過程に深く携われることから、ものづくりが好きな人もやりがいを感じながら仕事に取り組めるはずです。
IT技術の進歩や必要性が高まる一方で、IT人材の不足が懸念されています。2020年度からは小学校でのプログラミング教育が必修となったものの、技術革新を先導するIT人材の誕生までにはまだ時間を要します。この現状を受け、政府はIT人材の生産性向上や供給力の強化、離職の低減などの対策を打ち出しました。
加えて、ユーザー企業(ITベンダー以外の企業)の動向も活発化しており、IT人材やスキルの強化・蓄積のための内製化を強化している状況です。
上記の流れから推測しても、今後もしばらくは、プログラマーやエンジニアの需要は高い状況が維持されると考えられています。
混同されやすいプログラマーとエンジニアですが、それぞれに明確な役割をもっており、双方がいなければシステム開発が成立しない重要な役目を担っています。
また冒頭でも触れたように、エンジニアは情報技術産業に携わる技術者の総称であるため、システムエンジニアのほかにも、ネットワークエンジニアやデータベースエンジニア、サーバーエンジニア、プロジェクトマネージャーなど、複数の職種が存在します。それぞれ仕事内容や担う役割は異なるため、エンジニア職を目指す際には、自分に合った、また自分が興味を持てる職種を探してみましょう。
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