更新日:2025/10/21

この記事のまとめ
IT業界において、さまざまなシステムを設計・開発するITエンジニアをシステムエンジニアと呼びます。昨今はAIのような新しい技術の進歩が目覚ましく、システムエンジニアへの転職を考えているものの、将来性が気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、AI時代にシステムエンジニアの将来性を左右する要素と市場価値を高める方法を紹介します。キャリアプランを明確にしたうえでスキルアップに励めば、システムエンジニアとしてさらに活躍できるでしょう。
目次

全体的な市場環境を考慮すると、システムエンジニアの将来性は高いといえます。なぜそのようにいえるのでしょうか。ここでは、システムエンジニアの将来性が高いといえる主な3つの理由について解説します。
将来のことを正確に予測するのは難しいものの、下記の要素を総合的に踏まえると、システムエンジニアの将来性に関して過度に心配する必要はないといえるでしょう。
日本国内においてはITエンジニアの数が十分な水準に達しておらず、全体的に人手不足です。人手不足がすぐに解消する可能性は低く、しばらくこの状況が続くと考えられます。
特に高度なスキルを有する人材の市場価値は高いといえるでしょう。システムエンジニアとしての自分の価値を高めたいのであれば、さまざまな開発スキルを習得して活躍の幅を広げるのがおすすめです。
IT技術の進歩に伴い、多くの企業がDXを推進しています。DXはIT技術を活用して新たなビジネスを創出したり、業務改善を目指したりする取り組みの総称です。
いままではDXの面で後れを取っていた業界や企業でも、徐々にIT技術の活用が進んでいます。今後もIT技術の進歩とDX推進の流れが続くと考えられ、それに伴って高度なスキルを有するIT人材の需要が高まるといえるでしょう。
IT技術の進歩は著しく、次々に新しい技術が開発されています。既存の技術も常にアップデートされ、新たなシステムの開発に用いられている状況です。一例として、AIを用いた自動運転や予知保全、IoTシステムを活用したスマートホームが社会に浸透しています。
上記の状況に対応するには、最新の技術をシステム開発に活用できる人材が欠かせません。先進IT人材が不足している現状もあり、常に勉強を欠かさず最新の技術に対応できるシステムエンジニアの需要は高いといえます。

AI技術の急速な進歩により、システムエンジニアの将来性に対する不安が高まっています。実際にAIはコード生成や自動化において目覚ましい発展を遂げており、従来の業務プロセスを大きく変革しつつあります。ここでは、AIがどのような業務を自動化し、どう活用すれば生産性を高められるか、人間だからこそ担える領域はどこかを具体的に見てみましょう。
GitHub CopilotやChatGPTなどのAIツールは、現在多くのシステムエンジニアの業務を変革しています。コード補完や自動生成により、従来の4割時間短縮を実現した事例も報告されています。
実際に自動化されつつあるのは、関数の自動生成やエラー解析、仕様書の下書き作成といった定型的な作業です。特に実装段階の反復作業やボイラープレートコード生成において、AIは強力な支援ツールとして機能しており、システムエンジニアはより創造的で戦略的な業務に集中できる環境が整いつつあります。
現代のシステムエンジニアは、AIツールを戦略的に活用することで開発効率を劇的に向上させています。GitHub Copilotによるリアルタイム補完機能は、コーディング時間を大幅に削減しました。ChatGPTでは自然言語による要求仕様から直接実装可能なコードを生成でき、アルゴリズム設計の工数も短縮されます。
効果的な活用には、プロンプト設計の技術習得が重要です。「Reactでユーザー認証機能を実装」といった具体的な指示により、実用レベルのコードが瞬時に生成されるためです。デバッグ支援でも威力を発揮し、エラーログを解析して解決策を提案する機能により、問題解決時間が従来の半分以下になるケースも報告されています。
AI技術が急速に進歩する中でも、システムエンジニアには人間だからこそ担える重要な領域が存在します。AIが苦手とするのは、複雑な業務要件の整理や顧客との対話を通じた課題発見です。システム全体のアーキテクチャ設計では、保守性や拡張性を考慮した長期的な視点が必要で、単純なコード生成を超えた高度な判断力を要求します。
AIの発展は新たな職務も生み出しており、プロンプトエンジニアリングでは、AIから最適な出力を得るための指示設計が専門分野として注目されています。AIシステムの導入支援や運用管理も、技術的知識と業務理解の両方を持つシステムエンジニアだからこそ担える役割といえるでしょう。

AI時代でもシステムエンジニアの将来性を確保するには、技術面と非技術面の両軸でスキルアップが欠かせません。市場で求められる技術トレンドを押さえつつ、AIでは代替できない人間らしい価値を発揮することが重要です。ここでは、成長が見込まれる技術分野からビジネス貢献力を高めるスキル、国際競争での差別化戦略まで、実践的なアプローチを紹介します。
今後システムエンジニアの将来性を大きく左右するのが、需要拡大が見込まれる技術分野への対応力です。特に注目したいのが、クラウドコンピューティング市場の急成長です。
AIとクラウドサービスの統合により、リアルタイムデータ分析や自動化ツールの需要が製造業、金融サービス、小売業など幅広い分野で急増しています。ほかにも、5Gとエッジコンピューティングの普及が、低遅延処理を必要とする自動運転車や産業用IoT分野で新たな機会を創出しています。
さらに、DevOpsやコンテナ技術(Kubernetes、Docker)、サイバーセキュリティ分野も継続的な成長が予測される重要領域です。これらの技術を習得することで、システムエンジニアとしての市場価値が高まるでしょう。
システムエンジニアの将来性を高めるには、技術力だけでなく非技術スキルの向上が不可欠です。特に重要なのがビジネス理解力で、クライアントの業界知識や課題を深く把握することにより技術的な提案に説得力が生まれます。
コミュニケーション能力では、要件定義におけるヒアリング力が特に重要です。クライアントの潜在的なニーズを引き出し、専門用語を使わず分かりやすく説明する力が信頼関係を築きます。
問題解決能力については、技術的な課題だけでなく、プロジェクト全体を俯瞰した解決策を提示できるかが市場価値を左右します。これらのスキルを磨くことで、AIに代替されにくいシステムエンジニアへと成長できるでしょう。
国際競争が激化する中でも、日本のシステムエンジニアには独自の強みがあります。たとえば、日本の高品質なシステム開発と徹底した品質管理は、世界的に高い評価を獲得しています。
特に金融システムや製造業向け基幹システムでは、極めて低いエラー率と高い運用安定性が競争では優位です。また、製造業との密接な連携で培われた現場理解力も、グローバル市場での差別化要因です。システムエンジニアの将来性を確保するには、このような品質力を武器にアジア市場へ展開するといった戦略を進めるとよいでしょう。

システムエンジニアの活躍の場は広範囲に及び、キャリアパスも多岐にわたります。システムエンジニアとして働く方は実務でさまざまな経験を積みながら、どのようなキャリアを歩めばよいか考えましょう。以下で具体的なキャリアパスの例を紹介します。
IT業界におけるエンジニアとしてのキャリアは、プログラマーからスタートするのが一般的です。入社後はさまざまなシステムの開発経験を積み、その後、より上流工程を担当するシステムエンジニアにキャリアアップします。
そこからシステムエンジニアとしての経験を積み、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーにキャリアアップしつつ、システム開発の上流工程を担当します。
システムエンジニアとして十分な経験を積み、さらに活躍の場を広げるケースもあります。経営や資金調達などのビジネスに関するスキルを習得し、ITコンサルタントを目指すことも可能です。
ITエンジニアのスペシャリストを目指したいのであれば、より専門性が高いネットワークエンジニアやデータベースエンジニア、ITアーキテクトを目指してもよいでしょう。自分の興味・関心がある職を目指してキャリアアップに励むのがおすすめです。
正社員としてシステムエンジニアの経験を積んだ後に独立し、フリーランスのシステムエンジニアとして活躍する道もあります。
フリーランスのシステムエンジニアになると、仕事を自分で獲得する必要があるため、仕事が取れないと収入が減ります。一方、成功して次々と仕事を依頼されるようになれば、正社員時代より高い年収を得られるでしょう。
自宅でシステムエンジニアとしての業務を遂行するのが在宅SEです。在宅勤務でも、クライアントとの打ち合わせや物理的にシステムを見なければならないときがあります。しかし、常駐するタイプのシステムエンジニアと比べればオフィスに出社することは少なく、場所や時間に縛られにくい勤務形態です。
ただし、予定どおりに業務を進めるには高い自己管理スキルが求められます。この点が自分にとって大きな問題にならず、比較的自由度が高い働き方を実現したいのであれば、在宅SEという選択肢を検討してみてもよいでしょう。

システムエンジニアに転職し、自分の市場価値を高めるにはさまざまなスキルを習得する必要があります。ここでは、システムエンジニアとして活躍するのに欠かせない4つのテクニカルスキルを紹介します。
これからシステムエンジニアを目指す方だけでなく、すでに開発現場で活躍していてさらなるキャリアアップを実現したい方もチェックしておくとよいでしょう。
ITシステムの開発に携わるには、プログラミングスキルの習得が欠かせません。一口にプログラミングといってもさまざまな言語が用いられるため、自分が目指す分野で使われている言語を学びましょう。分野別によく使われているプログラミング言語は以下のとおりです。
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プロジェクトによってはほかにもさまざまな言語を使用するため、順番に学ぶとよいでしょう。すでに習得している言語と近いものから学ぶことで、扱える言語を効率的に増やせます。
ITシステムを設計・開発・運用するにあたって、データベースは欠かせない存在です。そのため、データベースについても体系的に学びましょう。
データベーススキルの具体例には、データモデリングに関連するスキルやSQL関連のスキル、主要なデータベースを構築・運用するスキルが含まれます。現職でデータベースを扱う機会があれば、そこから知識を深めるとよいでしょう。データベースについて学習できる市販の書籍もあります。
クラウドサービスを活用したITシステムの開発も盛んに行われています。クラウドサーバーやデータベース、開発プラットフォームといったさまざまなサービスが提供されており、開発工数・コストの削減や最新技術の活用を目的として幅広く使用されているのが現状です。
たとえば、AWS・Microsoft Azure・Google Cloudの3つはさまざまなプロジェクトで活用されています。クラウドについて学ぶときは、上記の3つを優先的に学習するとよいでしょう。
各クラウドベンダーはスキルレベルを証明できる資格を運用しています。学習の一環として、ベンダー資格の取得を目指すのもおすすめです。
情報資産の強奪を目的として、サイバー攻撃を仕掛ける団体や個人が存在します。場合によっては、国家によるサイバー攻撃が行われるケースもあります。
攻撃者からシステムを守るには、強固なセキュリティが欠かせません。そのため、システムエンジニアにはサイバーセキュリティに関する高度なスキルが求められます。
攻撃手法は日々変化しており、常に最新の技術を調査して適切な対策を講じる必要があります。日頃からサイバーセキュリティに関心を持ち、最新の脅威や主流となっている対策法を含めたセキュリティ関連の知識を学びましょう。

システムエンジニアとしてキャリアアップするには、ITに関するスキルだけでなくビジネススキルも欠かせません。企業がシステムを開発・導入する背景には、経営課題の解決や新たな事業の展開など、ビジネスの創出が密接に関係するためです。
システムエンジニアとして長期的に活躍し続けるためにも、以下で紹介する3つのスキルを高めるとよいでしょう。
日々の業務において、クライアントの要望を満たすのに役立つシステムの提案を担当するケースがあります。相手にシステムを提案するときは「そのシステムがなぜ役立つか」「導入するメリットは何か」を伝えなければなりません。
このような状況で求められるのが、プレゼンテーションスキルです。プレゼンテーションスキルは相手に必要な情報を明確に伝え、納得させるために欠かせない複合的なスキルを指します。具体例は以下のとおりです。
上記のスキルはプレゼンテーション以外でも発揮する機会が多く応用が利くため、日頃から意識して習得を心掛けるとよいでしょう。
システムエンジニアは開発チームをまとめることもあり、マネジメントスキルが求められる仕事です。マネジメントスキルは企業のリソースを管理・運用するスキルの総称で、以下が含まれます。
上記のスキルは、いずれリーダーやマネージャーにキャリアアップするときに高く評価されるでしょう。将来的なキャリアプランとしてプロジェクトマネージャーやITコンサルタントを掲げているのであれば、特に意識する必要があります。
システムエンジニアとしての市場価値を高め、さらなるキャリアアップを実現するにはコンセプチュアルスキルが欠かせません。コンセプチュアルスキルは物事の本質を見極めるスキルの総称で、含まれるスキルは以下のとおりです。
高度なコンセプチュアルスキルは、ITコンサルタントにキャリアアップするときに求められます。将来のキャリアアップを実現するためにも、早いうちから意識しましょう。
転職を決断するための材料として、年収水準は大切な要素です。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、システムエンジニアの平均年収は574万1,000円です。
ただし、システムエンジニアはスキルレベルが年収に大きく影響する仕事で、これまでの経験や有しているスキルによっては平均より大幅に高い年収を得られる可能性があります。同調査の年齢別の年収を見ると、45歳~49歳が最も高く、737万9,800円です。したがって、スキルレベルを高めて年収アップを目指すのも現実的な選択肢といえるでしょう。
参照:システムエンジニア(受託開発) - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)

システムエンジニアとしてキャリアを積むには、どのような企業に就職すればよいのでしょうか。システムエンジニアが活躍する企業は、大きく以下の3つに分けられます。ここでは、就職先の種類別にどのようなキャリアプランが描けるかを紹介します。
システムエンジニアの就職先として代表的な会社は、コンピューター関連のメーカーやシステム開発会社、ソフトウェア開発会社です。上記の企業に転職した場合、ソフトウェアやシステムの設計・開発を担当します。
開発を手掛ける企業では、常駐SEとしてクライアントのオフィスに出向いて開発作業に従事するケースもあります。IT業界全体が拡大傾向にあり、クライアントや開発案件の数も多いため、将来性は高いといえるでしょう。
さまざまな業界でDXが進んでいることもあり、多くの企業がシステムの開発やメンテナンスを依頼できる企業を探しています。一般的な企業でも情報処理部門を設置し、システムの運用やメンテナンスなどを担当する社内SEと呼ばれるエンジニアがいます。
社内SEは業務効率にも影響する重要な仕事で責任もあり、やりがいを感じられる職種です。ただし、習得できる技術は社内システムをはじめとした特定のものに限られ、経験を積んでキャリアアップを目指したい方にとっては、満足できない環境の可能性があります。
IT業界が全体的に人材不足傾向であることも影響して、ITエンジニアを派遣する企業があります。未経験者に対して門戸を開いている企業も多く、システムエンジニアを目指しやすい環境です。
まずはIT派遣会社でシステムエンジニアの経験を積み、より条件がよい企業ややりたいことができる企業に転職するのもひとつの方法です。開発経験を積みつつスキルアップし、担当できるシステムの幅が広がれば、自分の市場価値も高まります。
未経験からシステムエンジニアになる方も少なくありません。しかし、システムエンジニアは頭を使うハードな仕事であるうえ、常に勉強が必要で体力も使います。
未経験から目指すこと自体は可能ですが、スキルを習得するのに一定の勉強が求められることを意識しましょう。勉強が苦痛ではなく、ITに関するスキルに興味・関心がある方に向いています。
転職は若手ほど有利です。システムエンジニアを目指したいのであれば、可能な限り早く転職することをおすすめします。ただし、30代以降でも不可能ではないため、チャレンジしてみてもよいでしょう。

IT業界は全体的に人手不足で、システムエンジニアの需要が高まっています。今後はDXが進み、AIのような新しい技術のニーズも拡大すると予想されるため、将来性に期待できる仕事のひとつです。これからシステムエンジニアを目指す方や現役のシステムエンジニアは、将来性について過度に心配する必要はないでしょう。
むしろ、スキルアップに励んで自分の市場価値を高め、さらなるキャリアアップを目指すのがおすすめです。システムエンジニアへの転職を検討しているのであれば、ぜひマイナビITエージェントにご相談ください。
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