更新日:2025/02/18
この記事のまとめ
ITの発展に伴い、システムの保守・運用を担うインフラエンジニアの需要が高まっています。しかし、インフラエンジニアは需要に数が追いついておらず、人手不足に悩まされている企業も少なくありません。そのような背景から未経験者を受け入れる企業も増えていますが、未経験からの転職に不安を抱く方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、未経験の方もインフラエンジニアに転職できる理由を解説します。未経験者の仕事内容や転職に有利となる資格も紹介しますので、インフラエンジニアへの転職を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
IT業界への転職は、どの職種であってもある程度の経験や知識が求められるのが一般的です。にもかかわらず、なぜインフラエンジニアは未経験の方も転職が可能なのでしょうか。はじめに、未経験者でもインフラエンジニアに挑戦できる理由を、インフラエンジニアを取り巻く背景とともに紹介します。
ITサービスの発展に伴い、システムの保守・運用に関する案件が増加しています。新しいサービスがリリースされるたびに、それらを安定的に運用するための人員が必要となりますが、インフラエンジニアの数は需要に追いついていません。
常時稼働するサーバーの場合、24時間体制の監視が必要です。保守・運用にはそこまで高度な専門知識や経験が求められないこともあり、既存エンジニアの負担と人手不足を補うために未経験者が求められていると考えられます。
IT系の技術職にはさまざまな種類があり、ITエンジニアを志望する人がインフラエンジニアを目指すケースはそこまで多くないのが現状です。
新卒の獲得に苦戦し、十分な人材が確保できない企業も多く、未経験者の中途採用に活路を見出そうとする傾向が強まっています。インフラエンジニアの求人に「未経験者可」が多いのは、そのような背景も一因として考えられます。
インフラエンジニアの基礎知識を学ぶ環境は年々変化しています。以前はサーバーやルーターを個人で調達するのは難しく、未経験者にとって学習のハードルが高い状況にありました。
クラウドや仮想環境が普及したことでサーバー構築やネットワーク設定を気軽に学べるようになり、書籍やオンライン学習教材も増えています。業務に携わる前から基礎知識を取得できるだけでなく、レベルに合わせた資格取得も可能です。
インフラは電気やガス、水道、通信回線などの生活設備、電車や道路などの交通設備といった、生活に欠かせない基盤の総称です。
ITにおけるインフラ(基盤)とは、ITサービスやシステムを正常に稼働させるために必要な環境(設備や施設・技術)のことです。たとえば、ネットワークやサーバーをはじめとしたハードウェアや通信に欠かせないネットワークなどが含まれます。
インフラエンジニアの仕事は大きく3つに分けられ、知識やレベルが上がるにつれて上流工程に携われるようになります。
転職後すぐに難しい業務を任されるわけではありませんが、キャリアパスの一例を確認しておきましょう。ここでは、インフラエンジニアの主な仕事内容と、未経験者が携わることの多い業務内容を紹介します。
ITインフラを専門に扱う職種をインフラエンジニアと呼びます。インフラエンジニアの仕事内容は、大きく以下の3つに分けられます。
いずれの仕事も、ITシステムを正常に稼働させるためには欠かせません。インフラエンジニアは情報化社会を根底で支える重要な職種のひとつといえるでしょう。
未経験者の場合、保守・運用業務から始めるのが一般的です。稼働しているシステムの監視や障害対応を担当し、アラート発生時の初動対応や問題の切り分けなど、ベテランエンジニアの指示にしたがいながら徐々に業務に慣れていきます。
経験とスキルを積んだ後は、システムの設計や構築にも携われるようになるでしょう。設計は小さなミスであってもほかの工程に影響を与えるため、サーバーやネットワーク、クラウドなどの知識が必要です。
インフラエンジニアに転職するときは、ネットワークやサーバーに関する知識やスキルが求められます。これからインフラエンジニアに転職しようと考えているのであれば、関連する別のITエンジニアとして経験を積んでから再び転職する方法もおすすめです。ここでは、インフラエンジニアを目指すときのキャリアプランを紹介します。
インフラエンジニアは、サーバーに関わる「サーバーエンジニア」とネットワークに関わる「ネットワークエンジニア」という2つの職種に分類されます。それぞれの仕事内容は以下のとおりです。
まずはサーバーかネットワークに関する職種の中から未経験者を募集している企業へ転職、実務を担当しながら知識と経験を積み、培ったスキルや経験を活かしてインフラエンジニアへの転職を目指すルートも選択肢のひとつです。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニア、それぞれの職種で得られる主な知識や経験は以下のとおりです。
サーバーエンジニアになると、多くの運用実績が得られます。予算や環境に合わせたサーバーの設計や構築、運用が求めらます。なお、条件や仕様はシステムによって異なるのが一般的です。
案件ごとに異なる条件をクリアしたり、トラブルを解決したりすることで、柔軟な判断能力を磨けます。また、速度と安定を重視するサーバー関連の仕事は「効率のよさ」も大切な要素ですが、これも経験を重ねるうちに磨かれていきます。
システム運用前の「設計」「構築」から、運用後の「監視」までを通して得られる膨大な知識は、インフラエンジニアとしての大きな武器となります。
実務未経験からインフラエンジニアを目指すのであれば、現場で活躍するために複数のスキルを習得する必要があります。ここでは、インフラエンジニアに求められるスキルを4つ紹介します。これらのスキルはインフラエンジニアとして活躍するうえで欠かせないため、積極的に習得しましょう。
ITシステムを運用するには、ユーザーの要求に基づいて処理を実施し、結果を返すためのサーバーが必要です。サーバーの設計・構築・運用・保守においては、以下のようなスキルが求められます。
サーバーに関するスキルにはさまざまなものがあるため、継続的に学習することが大切です。
ITシステムには単独で動作するスタンドアローンのシステムは少なく、外部と通信しながら運用するのが一般的です。通信に必要なネットワークを設計・構築するのもインフラエンジニアが担当します。そのため、ネットワーク関連のスキルも学ぶ意識が重要です。具体的には、以下のスキルが含まれます。
ネットワーク関連の知識は、ネットワーク環境を整えて安全に運用するために必要です。自身の市場価値を高めるためにも、積極的に学習するようにしましょう。
開発するITシステムによっては、サーバーやネットワーク、データベースといったインフラを自前で用意せず、クラウドサービスを利用することがあります。そのため、クラウドサービスに関する知識・スキルも必要です。
これまでオンプレミスで運用していたシステムをクラウド化するケースもあることを考えると、主流のクラウドサービスに関してはひととおり学習しておくほうがよいでしょう。クラウドサービスを使いこなせれば、携われるプロジェクトの数もその分増やせます。
インフラエンジニアもITエンジニアのひとつであるため、プログラミングスキルが必要です。サーバープログラムの設計・構築を担当したり、ネットワークを制御するプログラムを構築したりすることもあるでしょう。
プログラミングスキルは、今後別分野のITエンジニアに転職してさらなるキャリアアップを目指すときにも求められます。プログラミングスキルの習得にはある程度の時間がかかるため、日々学習に励みましょう。
インフラエンジニアとして活躍する際に必要なスキルは、エンジニア関連のスキルだけではありません。さまざまなビジネスで必要とされるポータブルスキルも求められます。ここでは、ポータブルスキルの中からインフラエンジニアが特に習得しておきたい3つのスキルを紹介します。
インフラエンジニアの仕事は、チームメンバーや別のチームと力を合わせて取り組まないと目的を達成できないため、チームでの進行が基本です。
システムの開発中にはトラブルが発生するケースもあります。トラブルが発生したときは適切に対処しなければならず、関係するITエンジニアと連携しながら原因を特定して修正作業を進める必要があります。
また、顧客の求めていることをしっかりとヒアリングすることも大切です。ヒアリングが不十分だった場合、適切な設計や構築が難しくなり、プロジェクトの成功を妨げる要因になります。チーム・顧客それぞれとの意思疎通をスムーズにするためにも、コミュニケーション能力が必要です。
扱う機器には海外製品も多く、マニュアルが英語で書かれているケースも少なくありません。トラブルが発生したときにソフトウェアやハードウェアのマニュアルを見る必要があることを考えると、ある程度の「英語力」は必要です。
日頃の業務においても、導入機器の情報や保守方法を調べる際に英語が必要になることもあるでしょう。これらの状況を考えると、インフラエンジニアにとって英語力は欠かせないスキルのひとつといえます。
インフラエンジニアの仕事には、上流工程を担当するITエンジニアとともにクライアントの要望をヒアリングし、要望を設計に落とし込むこともあります。そのため、相手の要望を的確に把握するためのヒアリングスキルや、ニーズに合ったシステムを提案するための提案力が必要です。
インフラエンジニアの経験を活かして別のエンジニアに転職したり、マネジメント層を目指したりする際にも、ヒアリングスキルや提案力が求められます。どのようなキャリアを選ぶにしても必要になることが多いため、普段からスキルアップに励みましょう。
インフラエンジニアは未経験でも転職可能ですが、内定獲得率を上げたり、ライバルに差をつけたりするためには資格があると有利です。インフラエンジニアに適した資格はいくつかあるため、レベルに合わせて資格を選びましょう。ここでは、インフラエンジニア未経験者におすすめの資格を4つ紹介します。
未経験からインフラエンジニアを目指す人におすすめしたい資格のひとつが「オラクルマスター」です。世界的に普及している「Oracle Database」の技術力を証明する資格で、販売元である日本オラクル社が認定試験を実施しています。
オラクルマスターは世界的な評価を受けていることから業界内の認知度は高く、転職に有利となるだけでなく、キャリアアップにも役立ちます。ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナの4つのグレードがあるため、まずはスタートラインの「ブロンズ」を目指しましょう。
「情報処理の促進に関する法律」に基づき、情報処理技術者としての知識や技能が一定水準以上であることを認定する国家試験が「情報処理技術者試験」です。その区分のひとつに「ネットワークスペシャリスト試験(NW)」と「データベーススペシャリスト試験(DB)」があります。
どちらも独立行政法人情報処理推進機構が行っており、資格を取得すればネットワークやデータベースに精通していることを証明できます。
LinuCレベル1は、LPI-Japanが主催する「Linux技術者認定」のひとつです。資格を取得することでLinuxサーバーの構築や運用、トラブルシューティングなどの知識があること証明できます。
受験資格は設けられていませんが、Linuxに関する基礎知識が必要です。また、LinuCレベル1は出題範囲の異なる「101試験」と「102試験」の両方に合格しなければ取得できません。LinuCレベル1に特化した教科書も販売されているため、学習材料として活用してみましょう。
CCNAは、シスコシステムズ社が主催する「シスコ認定試験」のひとつです。シスコ認定試験のうち難易度は下から2番目で、受験資格に制限はありません。
CCNAの取得で証明できるのは、ネットワークエンジニアとしての専門性に加え、実機を使用した実践的なスキルです。初心者向けの資格ではあるものの、合格率は20%〜30%ほどといわれており、シスコ社の実機経験がない場合は難易度が上がる可能性があります。
インフラエンジニアを含めたITエンジニアは需要に比べて供給が少なく、人手不足が深刻です。また、この状況がすぐに改善する可能性は低いと考えられています。転職後も継続的なスキルアップに励むことで自身の市場価値を高められ、さらなるキャリアアップを目指せるでしょう。
クラウドサービスの普及により、多くの企業が簡単にサーバー環境を導入できるようになりました。AIやIoTをはじめとした多くの技術の背景には、それらを動かす基盤となるITインフラがあるため、今後はさらに需要が高まるでしょう。
転職を検討している方にとって、年収水準は重要な情報ではないでしょうか。厚生労働省が2023年に実施した調査によると、インフラエンジニアを含むシステムエンジニアの平均年収は684万9,000円です。
スキルアップすることでさらなる年収アップを実現できる可能性が高まります。より高い年収を目指したい方は、転職後もスキルアップに励むことが大切です。
インフラエンジニアは慢性的な人手不足を抱えていることから、未経験者の中途採用枠を設ける企業が増えています。未経験者は高度な知識を必要としない「保守・運用」の仕事から始めることが一般的です。継続的なスキルアップの必要性を理解し、学習意欲を持ち続けることが成功の秘訣といえるでしょう。
年収を上げたい、スムーズにキャリアアップしたいという場合は、オラクルマスターやCCNAといった資格を取得しておくことをおすすめします。資格アピールの仕方を知りたい方や、自分に合う転職先を見つけたいという方は、マイナビITエージェントにぜひご相談ください。
関連記事:マイナビITエージェント
IT業界
インフラエンジニアの6つのやりがい|厳しさや適性を判断するポイントも紹介
IT業界
インフラエンジニアになるには?担当分野や必要なスキル、転職のコツを紹介
IT業界
インフラエンジニアが「きつい」といわれる理由|向いている人の特徴3選