更新日:2022/04/12
この記事のまとめ
一口に営業といっても、仕事の内容ややり方は業種・業態によってかなり異なります。営業の仕事の範囲は、「商品やサービスを売って業績を上げるための活動」全般にわたるためです。
この記事では、営業とはどのような仕事なのかを具体的に解説します。業種別の仕事内容、求められるスキルなども紹介しますので、参考にしてください。
目次
「営業の仕事」といって多くの方が思い浮かべるのは、顧客訪問や商談ではないでしょうか。確かにこれらは営業の仕事に欠くことのできない業務ですが、ほかにもやるべきことがたくさんあります。ここでは営業の目的から仕事内容を確認するとともに、「売る」という点では共通している販売職と営業職の違いについても説明します。
「営業」という仕事の目的は、商品やサービスを売って利益を上げることです。どれだけ売り上げを増やしても、利益を上げられなければ営業の役割を果たしたとはいえません。
顧客ターゲットの選定やアプローチの方法といった戦略の企画立案から、代理店などの販売ネットワークづくり、日常的な営業活動まで、仕事の範囲は多岐にわたります。「商品やサービスを売って業績を上げるための活動」全般が仕事の対象と考えればよいでしょう。
営業と販売は、商品やサービスを「売る」という点では共通しています。しかし、多くの企業が営業職と販売職が別になっていることからも分かるように、具体的な業務内容はかなり異なります。
その理由は、対象とする顧客の「購入意欲」の違いによります。営業は、主に検討段階までの購入意欲が低い顧客を対象にするため、売り込みをする「攻めの立場」が基本になります。これに対して販売は、主に購入したいと考えている顧客に対応するため「受けの立場」が基本です。
ここでは、業種ごとに営業の仕事内容を分かりやすく解説します。仕事の範囲は業種・業態によってかなり違い、それぞれに固有の業務もあります。業種ごとの特徴を把握しておけば、転職先の絞り込みがしやすくなるでしょう。
賃貸仲介の営業は、不動産の貸主と借主を結びつけるのが仕事です。店頭で来店者に接客する「カウンターセールス」が中心で、訪問営業をすることはほとんどありません。家賃を基準にした仲介手数料が売り上げとなるため、営業は取引件数が重視される傾向にあります。
売買仲介の営業は、不動産の売主と買主を結びつけるのが仕事で、売り仲介(元付業者)と買い仲介(客付業者)の2種類があります。営業というと買いたい人に売り込むイメージがあるかもしれませんが、元付業者では、「売りたい人(売主)探し」が重要な仕事になります。
不動産販売会社の営業は、新築の物件を販売する仕事です。モデルルームや内覧会、住宅展示場の来場者に対する営業が多く、訪問営業は基本的にありません。ただし、投資用物件の販売は、テレアポやセミナーなどによる営業が中心です。
また、土地の有効活用を提案する土地活用会社や既存物件の修繕・リノベーションを行うリフォーム会社の営業は、それぞれ所有者に働きかけて業務や工事を受注するのが仕事です。
広告営業の代表例として、アカウントエグゼクティブとメディアプランナーの仕事内容を紹介します。アカウントエグゼクティブの仕事は、広告・プロモーション全般に関する広告主との窓口役です。企画・提案から制作進行管理、効果検証といったフォローまでを一貫して担当しますが、具体的な仕事内容は会社によっても異なります。
メディアプランナーは、どのメディアを使って、どのように広告展開していくのがよいかを検討し、最適な戦略を提案するのが主な仕事です。広告に対する反響の大きさだけでなく、費用対効果の視点も組み込んで最適化の検討をするのがポイントです。
人材紹介の営業は、企業と求職者の架け橋になる仕事です。「採用」という成果に応じて報酬を受け取るビジネスモデルのため、主な営業対象は企業になります。このため、クライアント企業の採用サポートも営業の大切な仕事です。
人材派遣の営業は、登録スタッフの希望条件にマッチする派遣先企業を探して紹介するのが仕事です。「長期・大量」に派遣することが業績アップにつながるため、勤務開始後の登録スタッフや企業に対するフォローも、営業の重要な仕事になります。
このほか、人材関連には求人広告会社や研修会社、採用支援システムを提供する会社などがあり、営業の仕事内容は事業内容によってそれぞれ異なります。
商社営業の仕事は、顧客の要望に合った商品・サービスを取りそろえて提供するのが基本です。このため、担当分野全般にわたる幅広い知識と提案力が求められます。加えて、商品・サービスの調達先を開拓して安定供給できるようにすることも重要です。
商社には「総合商社」と「専門商社」の2種類があります。さらに専門商社は、総合商社系・独立系・メーカー系の3つに分けられます。こうしたタイプの違いにより、営業の仕事内容も異なる点に注意してください。
SaaSとは、インターネット経由でソフトウェアを提供するサービスで、基本的には月あるいは年単位の利用料金が売り上げになります。このためSaaS営業では、顧客に継続利用してもらうためのフォローアップが重視されます。
営業スタイルは、顧客訪問をせずに電話やメール、Web会議ツールなどを使って継続的にアプローチしていくインサイドセールスが主流です。移動時間や交通費をかけずに効率的にアプローチできるだけでなく、ターゲット・顧客も含めたSaaSのビジネスモデルと親和性が高いセールス方法といえるでしょう。
物流営業は、企業の物流に関する課題・要望をヒアリングして、ニーズに合った自社の物流サービスを提案するのが仕事です。多くの顧客が物流企業に期待するのは、単に輸送や保管といった個別業務をまとめて請け負うだけでなく、物流業務全般にわたる課題を解決することです。
このため、営業にも物流関連の知識だけでなく、顧客が抱える課題を掘り下げて本質的な解決策を提案するコンサルティング営業のスキルが求められるようになっています。
医薬品の営業は、大きくMR(医療情報担当者)とMS(マーケティング・スペシャリスト)呼ばれる2種類に分かれます。
MRは製薬会社に所属し(あるいは派遣され)、効果や副作用のリスクといった自社の医薬品に関する情報を医療従事者に提供するのが主な仕事です。基本的に「薬の販売」はしないのが特徴です。一方、MSは医薬品卸売会社に所属し、複数の製薬会社から仕入れた医薬品を医療機関に売り込むのが主な仕事です。
このほかに医療機器の営業もあります。医療機器の営業は、販売から導入後のサポートまでを一貫して担当し、時には治療や手術に立ち会う場合もあるといった特徴があります。
消費財営業は、食品や日用雑貨関連の商品を流通系企業に売り込むのが仕事です。このため、店舗で商品を魅力的に見せるための陳列方法の提案や、POP・パネル・キャラクターグッズのようなツール作成など販売企画的な業務も行います。日常的に購入してもらう商品を扱うため、商品説明や企画・提案には徹底した消費者目線が求められます。
基本的に消費者向けの販売には関わりませんが、店舗に出向いてパネルやPOPの配置を考えるといった販売支援をすることもあります。
対象となる顧客や利用する手法によって、営業の仕事はいくつかの種類に分けられます。種類によって部署や担当を分けている会社も少なくありません。また、特定の種類のウエートが高い業種もあります。転職先を選ぶ際には、こうした点も頭に入れておくとよいでしょう。
一般消費者に製品やサービスを売り込むのが個人営業です。顧客に直接働きかけるため、信頼関係を築ければスピーディーに商談を進められるほか、継続的に取引できる可能性が高いのも特徴です。
企業・団体が対象の法人営業では、まとまった取引が期待できます。ただし、交渉担当者と意思決定者は異なることが多く、取引規模が大きくなるほど社内調整などのため契約まで時間がかかる傾向があります。
新規営業は、言葉どおり取引実績のない新しい顧客を獲得するのが仕事です。ゼロからスタートするため難易度は高い一方で、成功した場合には高く評価されるでしょう。
これに対して既存営業は、すでに取引のある顧客をフォローしていくのが仕事です。特に既存営業のウエートが高いのは、継続的に使用する消耗品や定期的に交換・メンテナンスが発生する商品を扱っている場合です。
内勤営業とは、顧客訪問などはせずに社内で営業の仕事を行うことで、2つのタイプがあります。ひとつは、店舗の来店客に対して営業活動をするもので「カウンターセールス」と呼ばれています。もうひとつは、社内にいながら電話やメール、Web会議ツールなどを使って営業活動を完結する「インサイドセールス」と呼ばれるものです。
営業の仕事は、戦略の策定に始まり納品、アフターフォローに至るまでいくつものステップを踏んで進んでいきます。ここでは、その基本的な流れを紹介します。それぞれのステップで行う業務を見ることで、営業の仕事内容の幅広さも理解できるでしょう。
営業の仕事のベースとなるのが「営業戦略」です。営業戦略とは、「目標達成に向けて顧客ターゲットを設定し、どのような手法・ツールを使って販売するかを考える」ことです。これに対して、手法やツールの使い方を含めて「実際にどのように売るかを考える」のは販売戦術です。混同しないよう注意しましょう。
営業戦略の策定にあたっては、まず以下のような作業を行います。
これらの作業の結果を踏まえて、営業戦略を策定します。このとき、シンプルで誤解が生じない内容にすることもポイントです。
営業戦略が決まったら、アプローチ先を決め、具体的に営業していきます。営業戦略に基づいて、効率的な営業活動ができるようチームとして営業戦術を組み立てるのがポイントです。
たとえば、まずは既存顧客の中からアプローチの対象になり得る人数を洗い出します。目標達成の見込みが立てば、最初は既存営業主体でリソースを配分していく戦術が考えられます。逆に目標達成が厳しそうであれば、新規営業にもある程度リソースを投下していくことを考える必要があるでしょう。
アプローチして、アポイントが取れた顧客とは商談を行います。商談の前にカタログをはじめとする商材の営業資料を用意するのはもちろんですが、商談にあたってのガイドライン・フレームといったことを決めておくのも大切です。
たとえば、商談でよく話題になるのは「値引きの有無」です。最終的には見積作成・決済というステップを踏むにしても、購入数量や金額に応じて可能な値引き幅の目安をあらかじめ決めておけば、経験の浅い営業担当者でもある程度スムーズに商談が進められるでしょう。
商談がまとまったら、商材を手配します。出荷や発送業務を別部署が担当している場合は、品番・数量・納期の間違いがないか十分に確認して、ミスは絶対ないようにすることが大切です。
外部の会社、特に海外に発注すると、納期をはじめとする受注確認に時間がかかる場合もあります。納期がなかなか確定しないと、顧客が不安になってキャンセルしかねません。顧客・発注先双方へのこまめなフォローを忘れないようにしましょう。
納品については、配送日や配送業者が確定した段階で顧客に連絡しましょう。配送日が指定されていたり、設置・テストが必要だったりするものの納品については、関係者への連絡・確認も忘れてはいけません。
納品が確認できたら、請求業務も迅速に終えましょう。請求書の間違いは厳禁なので、必ずダブルチェックします。また、法人顧客の場合、締め日に遅れると入金が延びてしまうので確認は必須です。
営業の仕事は、「商品・サービスを売ったら終わり」ではありません。顧客の信頼を高め、アップセルやクロスセルにつなげるためのアフターフォローが欠かせません。
アフターフォローの基本的なアプローチは「商品やサービスについて、分からなかったり、困ったりしている点がないか」を確認することです。電話やメールでのコンタクトでも問題ありませんが、できれば一度は訪問したほうが顧客のニーズを引き出しやすいでしょう。
個人任せにすると、仕事の状況によって適切なタイミングでアフターフォローができない場合もあります。チームで情報を共有したり、カスタマーサービス部門と連携を取ったりといった工夫も大切です。
仕事が多岐にわたる営業には、さまざまなスキルが求められます。ここでは、業種に関わらず営業で働くには欠かせないスキルとして、「ビジネスマナー」「コミュニケーション」「スケジュール管理」の3つについて、詳しく説明します。
身だしなみや挨拶の仕方、名刺の授受、電話応対といったビジネスマナーは社会人が身につけておくべき基本ですが、営業ではより厳格さを求められる傾向があるので注意しましょう。
商談後にお礼のメールを送るのも基本的なマナーです。特に営業では、その後の信頼関係や取引に支障を来さないような気配りが大切です。たとえば、下記のような点です。
営業に求められるコミュニケーションスキルの中で、特に重要なのは以下に挙げる3つです。
品質や価格に優位性があっても、希望納期に間に合わなければ受注できません。営業には、生産部門や納入業者などの関係者と交渉してスケジュールを組み立て、計画どおりに進むよう管理する能力が求められます。
納入・設置後に調整・テストが必要な設備機器やシステムの場合には、トラブルに備えた余裕を見込むことも必要です。関係者に厳しい日程を要求しなければならない場合もあるため、日頃からコミュニケーションを取って良好な関係を築いておきましょう。
希望の営業職に転職するには、リサーチにより自分の目的に適う業界・企業を探し、そこで発揮できる自分の強みをしっかりアピールすることが大切です。自分のスキルに不足している部分があれば、資格取得などの方法で補いましょう。
同じ営業職でも、業界が変われば仕事内容が大きく異なることがあります。自分の目的にかない、経験・スキルを生かせる転職先を探すうえで、業界研究は欠かせません。
業界研究は情報収集から始まります。経済・産業全般や業界および企業の最新動向を知るには、新聞・ニュースサイトや雑誌、企業・業界団体のWebサイトが役立ちます。仕事内容や待遇といった転職後の働き方を具体的にイメージするのには、就職・転職関連の情報サイトや転職イベント、口コミサイトなどを利用・閲覧するのがおすすめです。
研究によってメリットとデメリットを理解したうえで業種を絞り込めば、転職に失敗するリスクを減らせるでしょう。
社会人経験を転職活動にいかに生かせるかも重要なポイントです。自分では強みだと思っていることも、相手が評価できる形で伝えられなければアピールポイントになりません。それを確認するには、5W1Hのような情報や思考を整理するためのフレームワークを使って言語化するのがおすすめです。
5W1Hでは、自分の強みに関連するエピソードを「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰に)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」にあてはめて言語化します。多面的な分析ができ、強調すべき点や不足している要素が明確になるでしょう。伝える内容に具体性や深みが増せば説得力がアップします。
業界研究や強みの確認を通じて、スキルアップの必要性を感じることもあるでしょう。営業職に限った話ではありませんが、働きながら体系的な知識・スキルを身につけるのはなかなか大変です。その意味では、資格取得を目指して勉強するのもスキルアップのひとつの方法です。
営業職に役立つ資格としては、以下のようなものが挙げられます。
働きながら転職準備を進めるのはなかなか大変です。いくつもの業界を徹底的にリサーチして、自分に適した転職先を探すのは時間がかかります。また、「強みの確認」といった自己分析を客観的に行うのは難しいと感じることもあるでしょう。そうしたときには、転職エージェントを利用するのもひとつの方法です。
マイナビ営業エージェントは、営業職の専任チームを編成しています。さまざまな業界の営業職に精通したキャリアアドバイザーが、お客様の要望を聞きながら転職を徹底的にサポートします。営業職への転職をお考えの方は、気軽にご相談ください。
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