更新日:2024/07/08
一口に営業職といっても「法人営業(BtoB)」と「個人営業(BtoC)」の2種類があり、それぞれ、仕事の流れはもちろんのこと、求められるスキルや待遇は異なります。
営業職を目指す人は、自分の適性に合った職種を選ぶためにも、ぜひ、その違いを知っておきたいところです。ここでは、法人営業と個人営業の違いを、「仕事の流れ」「持っていると有利な能力」「待遇やキャリアプラン」の3つを中心にご紹介します。
目次
法人営業も個人営業も、営業職である以上、「自社の製品やサービスを顧客にアピールし、契約を獲得するのが仕事」であることは同じです。ただし、対象とする顧客層が違いますので、どちらを選ぶかで営業方法は大きく異なります。それぞれの仕事の流れは次のようになっています。
法人営業における、新規開拓を行う際の仕事の流れは以下のとおりです。併せて、実際に営業先となる顧客や、商談を成立させるためのポイントもご紹介します。
法人営業の顧客は企業や団体です。商談相手はその中の担当者となりますが、中小企業の社長自ら話を聞いてくれるような場合を除いて、商談相手が決裁権限を持っていることはまれです。ほとんどの場合決裁をもらうまでには、担当者の上司や、金額によっては部長、社長など複数人の承認決裁を必要となります。このため、いきなり契約が取れることはほぼないといっていいでしょう。
何度か訪問する中で相手の情報を収集し、「この商品・サービスを利用することで顧客はどのようなメリットを得られるのか」「顧客の課題をどのように解決できるのか」など、「具体的にどのような利益をもたらせるか」についてプレゼンを実施します。相手方の社内で検討された結果、契約が決まるというのが法人営業の仕事の流れです。
顧客から「こんなことで悩んでいる」と相談してもらえるような強い信頼関係を築くことと、キーマンを見抜いて効果的なプレゼンを行うことの両方が求められます。また、プレゼンに必要な企画を考える、営業資料を作る、契約後のアフターフォローをするといったことも業務のひとつです。
個人営業の場合も、まずは電話でのアポとりや飛び込み営業などできっかけを作り、顧客を訪問することに変わりはありません。ただし、法人営業との違いは、個人営業ではほとんどの場合、「目の前の顧客=商談相手=決裁権者」だということです。お金も会社の物ではなく個人の物なので、その人が「気に入った!」と思ったなら、その場で契約してくれることもあります。契約の成否には、商品の良し悪しだけでなく、顧客からの好感度や信頼が大きく影響します。
先にご紹介したとおり、法人営業のポイントは「複数の決裁権者に対し、具体的に商品・サービスのメリットを示すこと」、個人営業のポイントは「目の前の1人の信頼を勝ち取ること」と、それぞれ違います。
ここでは、法人営業・個人営業を行う上で持っていると有利な能力について、それぞれ代表的なものをご紹介します。
法人営業では効果的なプレゼンが重視されますが、プレゼンの前提になる相手のニーズや困り事を的確につかむには、担当者と信頼関係を築いていく必要があります。相手の立場になって考え、相手の話を引き出すコミュニケーション能力は、法人営業にとって必須のスキルといえます。
企業にとって、商品・サービスを購入するかしないかの判断基準は、担当者の感情ではなくメリットの有無となります。ですから、法人営業のプレゼンにおいては、商品・サービスを導入するメリット・デメリットを明確にし、簡潔に先方に伝えることが重要になります。
簡潔でわかりやすい説明であるほど、担当者が社内で説明がしやすくなり、相手社内での部長決裁、社長決裁なども取りやすくなりますので、論理的に考え、伝える力は重要な能力となるでしょう。
法人営業は、場合によっては相手企業に出向き、複数の関連部署の担当者や決裁権者の前で直接プレゼンを行う場合があります。聴衆の中には、商品・サービスに反対の人がいる可能性もありますので、ここで賛成意見を増やせるかが法人営業の腕の見せ所です。
営業の際に使う資料の作成はもちろん、営業先の企業内で会議のデータや書面作成など、パソコンを使った事務仕事も意外と多いのが法人営業という仕事です。誰でも見やすく、わかりやすい資料を、効率良く作るパソコンスキルは、法人営業にとって必要な能力のひとつです。
法人営業にも必要なコミュニケーション能力ですが、個人営業では、少々狙いが違います。個人の顧客から契約をもらうには、論理的に商品・サービスのメリット・デメリットを伝えるだけではなく、感情面でも「この商品がほしい」「この人から買いたい」と思ってもらう必要があります。ですから、顧客と円滑にコミュニケーションがとれ、信頼してもらえるだけのコミュニケーション能力は個人営業に欠かせない能力です。
個人宅への訪問営業やテレアポは断られるほうが圧倒的に多く、コンスタントに結果を出すには、毎月多くの新規顧客と接触し続ける必要があります。法人営業でもある程度同じことがいえますが、断られてもめげずに、毎月努力を続ける根気強さは、必要なスキルといえます。
報酬については、個人営業よりも法人営業のほうが年収にして数十万円高い傾向があります。1件あたりの取扱金額が大きいことなどがその理由となっています。ただし、基本給は少なめで、契約件数やアポ件数の実績に応じて報酬を上積みする成果報酬型を採っている企業も多く、報酬額は業界や取り扱う商品によっても違いますので、必ずしも法人営業の年収のほうが高いということではありません。
最後にキャリアプランの違いについて紹介しておきましょう。キャリアプランについては、法人営業も個人営業も選択肢は以下の4つです。
この中で「転職」を選んだ場合、法人営業と個人営業ではその経験を活かせる職業が違ってきます。代表的なものをいくつかご紹介します。
顧客の抱える課題に解決策を示し、その解決を助ける仕事です。顧客の課題を聞き出すヒアリング力や提案力が必要とされますので、法人営業経験者向きの仕事だといえます。
営業部門がうまく目標を達成できるように、戦略立案や目標設定、バックアップなどを行う仕事です。情報の収集・分析能力が求められるのに加え、顧客とのやりとりで鍛えたコミュニケーション能力は、営業社員のモチベーションの維持にも活かすことができます。感情でのやりとりを得意とする個人営業経験者であれば、社員とのやりとりも円滑に行えます。
「誰にどんな商品をどうやって売るか?」を考える、企業の根幹を支える仕事です。顧客のニーズを聞き出し、商品やサービスの提案を行ってきた力が活きてきます。
同じ営業でも、法人営業と個人営業にはさまざまな違いがあるため、どちらか一方ではうまくいかなくても、もう一方では大きな成果を出す人もいます。これから営業職に就く人は、自分の適性やスキルを考えて、より自分に合いそうな職種を選びましょう。
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