更新日:2023/06/19
この記事のまとめ
IT企業にはどのような特徴があるのか、よく分からない方もいるでしょう。事実、一口にIT企業といってもそれぞれ展開している事業分野は異なるため、IT企業に勤めた経験がないと理解しにくいと感じる場合があります。
そこでこの記事では、IT企業の特徴やIT業界の業種について、一般的な定義を解説します。業界で求められる能力や資質についても紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
IT企業と聞くと、「デジタル技術を用いた高度で専門的なサービスを提供している会社」といったイメージを持っている方もいるでしょう。おおむね間違ってはいませんが、一口にIT企業といっても仕事内容は多種多様であり、特徴もさまざまです。ここでは、IT企業とはどのような企業なのか、具体的な特徴を紹介します。
IT企業とはハードウェアやソフトウェア、情報処理システムといったサービスを提供する企業のことです。アプリケーションの開発や光ファイバー回線の設置など、それぞれが得意とする分野のサービスを展開しています。ITは生活インフラの一種であり、各業界はIT企業との提携やサービスの利用を積極的に行っています。社会的なニーズは今後も増えていくでしょう。
IT業界には主に5つの業種があります。
インターネット分野は、ホームページの作成やECサイトの開発、SNSの運営といったサービスを提供しています。ソフトウェア分野では文字どおりソフトウェアの開発・運営を行いますが、自社商品か請負開発かで仕事の流れが変わります。
IT業界でいうハードウェアとは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器の開発から販売までを担う業種です。ネットワーク回線につないで利用することが多いため、通信業界との親和性が高いのも特徴のひとつです。
情報処理サービス分野の「処理」には、システムの開発や設計、運用、コンサルティングなど幅広い意味が含まれています。クライアントの課題解決に向けて、情報処理の側面から一括して提案・実行する仕事です。
マイナビエージェントの業種別平均年収ランキング【2020年版】によると、IT業界全体の平均年収は390万円です。また年代別の平均年収を見ると、25歳~29歳で367万円、35歳~39歳で454万円とキャリアを積み重ねることで年収の増加も期待できます。
なお同調査によると、IT業界で最も平均年収が高いのはハードウェアベンダーで499万円、続いてSIer・ソフトハウス(ユーザー系)で473万円となっています。
IT企業への転職に対して、ハードルの高さや難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、IT化が進む現代において、IT企業への転職には多くのメリットがあります。ここでは、IT企業へ転職するメリットを5つ紹介します。
IT企業で働くことで専門的なITスキルを身につけられ、自分の市場価値を高められるのがメリットです。職種や分野によって必要となるITスキルが異なる場合もありますが、プログラミングやセキュリティーに関する技術などはほかのIT企業や他分野であっても活かせるケースがあります。
そのため別の企業へ転職する際にも、積み上げたキャリアとスキルをアピールし、転職を有利に進めることが可能です。
IT業界はフレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方を取り入れている企業が多くあります。特にエンジニア職の場合はパソコンひとつで仕事が完結することが多いため、好きな場所、好きな時間で働けるのが魅力です。
フレックスタイム制を活用すれば、通勤ラッシュの時間帯を避けられ、子どもの送り迎えもしやすくなるでしょう。リモートワークであれば出退勤の時間を趣味や休息の時間に充てられます。また場所に制約がないことで、リラックスした環境で仕事ができるのもメリットです。
大手企業や歴史のある企業では、年数に応じた評価や報酬体系を取っている傾向にあります。これによって確実なキャリアアップは見込めるとしても、若いうちから年収を上げるのは難しいでしょう。しかし、IT企業は実力主義・成果主義の文化が強く、スキルを磨いて成果を出し続けることで、若手でも年収を上げられます。未経験からスタートしても、いずれはベテラン層を超える年収を実現することも可能です。
IT企業は革新的な技術やサービスの開発に注力しており、創造的な仕事に取り組む機会が多くあります。人工知能(AI)やブロックチェーン、クラウドサービスなど、ITに関する技術やサービスも日々変化しています。IT業界で働くには、常に情報やスキルをアップデートしなくてはいけない大変さはありますが、その分仕事内容は刺激的で大きなやりがいも感じられるでしょう。
ルーティンワークが苦手な方にとって、ITエンジニアは向いている職種といえます。
ITエンジニアやWebデザイナー、テクニカルライティングなどは、経験を積んで独立することが可能です。IT関連の仕事は実店舗を持つ必要がなく、基本的にパソコンがあれば仕事の獲得から納品まで完了します。独立すれば自ら仕事を獲得しなければいけないことや、自己管理の大変さも感じるでしょう。しかし、働き方は会社員時代よりも自由になり、自分の裁量次第で多く稼げます。
IT企業で活躍できる職種は数多くあります。サービスを開発する職種もあれば、ユーザーの安全性を担保する職種、企業の戦略を考えて経営をサポートする職種など、さまざまです。どのような職種があるのかを知ることで、IT企業への理解が深まるでしょう。
プログラマーは、設計書に基づいてシステム開発をする職種です。開発に必要なプログラミング言語は多数あるため、知識と技術をアップデートし続ける必要があります。正確さも大切ですが、スピードも重要です。部分的なバグや修正依頼が入ってスケジュールが厳しくなったときでも、納期に間に合わせる調整力が求められます。
システムエンジニアは、システム開発における設計を担当する職種です。企業が抱える課題をヒアリングし、解決に向けて最適なシステムの提案をします。クライアントとのコミュニケーションだけでなく、開発チームメンバーとの連携も重要です。プロジェクトが円滑に進行するための管理やサポートも担当します。
ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計から運用・保守までを担う職種です。通信トラブルが起きたときには、迅速な対応が求められます。特に常時運用が必要なサービスの場合、通信トラブルが大きな損失につながる恐れもあります。慎重に作業を進めるのが得意な方に向いている仕事といえるでしょう。
セキュリティエンジニアは、サービスやサーバーのセキュリティーを守る職種です。システムを安全に運用するため、サイバー攻撃を防ぐ技術力が求められます。日頃からセキュリティー強化のための学習が欠かせず、障害対応時には原因調査も必要です。
セールスエンジニアは、クライアントに自社システムの説明や質問対応などの技術的サポートをする職種です。営業担当者とともに行動することが多く、仕様の詳細だけでなく注意点も伝えます。クライアントの課題解決に向けて最適な施策を提案し、自社サービスへの信頼を獲得する役割があります。
ITコンサルタントは、ITの観点からクライアントの課題を解決へ導く職種です。経営戦略や企業方針を考慮して、最適なシステムやサービスの利用を提案します。ITコンサルタント自らがシステム開発のプロジェクトに参加するケースも珍しくありません。システムエンジニアとともに要望を洗い出し、要件定義や設計を担当します。
Webデザイナーは、Webサイトの使いやすさや見やすさを整える職種です。色面構成だけでなく、マークアップ言語やプログラミング言語を用いたコーディングを任せられることもあります。デザイン力に加え、クライアントが何を求めているのか理解する能力も必要です。見た目がきれいでも、コンセプトに沿っていないデザインは求められません。
テクニカルライティングは、Webシステムや家電製品の仕様などに関する技術的な文書を作成する職種です。知識のないエンドユーザーでも理解できるよう、簡潔かつ分かりやすく書く必要があります。特に仕様書段階のマニュアルは専門用語が多く、難解な説明文であることも少なくありません。用語を説明し直したり、新たな説明を追加したりと、さまざまな調整が求められます。
営業はクライアントの課題や悩みを解決できる自社商品を提案する仕事です。自社商品はシステムであったりソフトであったりと、企業によって異なります。受注から制作・納品までのうち、スケジュールは制作側にしか分からないことも多いため、詳細を確認したうえで提案することが大切です。予算も同様です。アフターフォローも見据えた、余裕のある提案をしましょう。
IT企業への転職を考えるにあたり、立ちはだかるのがスキルの問題です。いったいどのようなスキルが求められるのかが気になる方もいるでしょう。そこでここでは、IT企業への転職で求められるスキルについて解説します。
最低限のIT知識は欠かせません。特に未経験からスタートする場合、IT企業の現場で使われる用語はできる限り押さえておきましょう。円滑なコミュニケーションの妨げになってしまうためです。分からないことがあった場合でも、基本的には自分で調べて対処する必要があります。転職後、一定期間はチームメンバーや上司からサポートを受けられることもありますが、いつまでも周囲の方には頼れません。
業務へ積極的に取り組める姿勢もスキルのひとつです。中にはタイトな納期で進行する案件もあるため、消極的な関わり方をしていると作業に追われることがあります。チームプレーで進行する以上、円滑に進めるための努力は一人ひとりがする必要があります。判断力や決断力の精度を高めるためにも、積極的に業務へ取り組むスタイルを身につけましょう。
IT関連の資格を取得している方は、選考で有利に働くことがあります。実務に直結する資格もあれば、豊富な知識を有する証明につながる資格もあるためです。ここでは、IT企業への転職に活かせる資格を5つ紹介します。
基本情報技術者試験は、IT技術者に必要な基礎力を身につける試験です。応用情報技術者試験は設計・開発・運用にいたるまで、より高度な能力を問う上位試験です。いずれもIPA(情報処理推進機構)が主催しており、午前と午後に150分ずつの試験時間が設けられています。
基本情報技術者試験の合格率は約50%ですが、応用情報技術者試験になると大幅に落ちるため、上位資格まで狙う場合は相応の試験対策が必要です。
ITストラテジスト試験は、ITを活用した事業の戦略構築スキルを身につける資格です。調査・分析から計画・設計・展開にいたるまでひととおり学び、ビジネスを成功に導くコンサルティング能力の習得を目指します。主催はIPAです。
試験は午前に選択式、午後に記述・論述式の構成で組まれており、試験時間は5時間あるためややハードに感じる方もいるでしょう。ただし受験資格に学歴や年齢の制限もないため、ITの専門家として活躍したい方であれば誰でもチャレンジできます。
データベーススペシャリストの資格試験もIPAが主催しています。データベースの企画から運用・保守にいたる実践的なスキルの取得を証明する資格です。ユーザーには見えにくい部分ですが、データベースは縁の下の力持ち的な存在であり、システムのパフォーマンスに欠かせません。
試験は午前2部、午後2部の計4部で構成されています。選択式問題と記述式問題があるため、それぞれの傾向に合わせた対策をしましょう。合格率は平均10%台と低く、難関資格ではありますが、その分チャレンジする価値は高いといえます。
情報セキュリティスペシャリスト試験では、システムの脆弱性を評価し、適切な施策を打ち出すスキルの習得を目指します。IPAが主催しており、午前に選択式問題、午後に記述式問題が出題されます。幅広い視点からセキュリティーの安全性を考えるため、システム開発における企画から運用・保守までの全フェーズに関する知識が欠かせません。ネットワークやデータベースといった開発環境の知識も押さえておく必要があります。
Oracle認定Javaプログラマは、日本オラクル社が主催するJavaプログラマーに向けた資格試験です。試験内容・難易度がゴールド・シルバー・ブロンズと3段階に分かれており、プログラマーのレベルを判定するうえで役立ちます。
ブロンズでは入門知識を問う問題が中心ですが、シルバーになると開発初心者としての実践力も問われます。ゴールドは中・上級者向けです。設計書の意図を正確に理解し、ひとりでも率先して機能実装ができるレベルの知識が求められます。
基本的に転職では即戦力が求められることが多いため、自分のスキルやキャリアが活かせる仕事を選ぶのがセオリーです。IT企業未経験の場合は、自分のスキルやキャリアでアピールできる部分が少ないため、ポイントを押さえて転職活動を進めましょう。ここでは、IT企業未経験者が転職を成功させるためのポイントを5つ紹介します。
IT企業は即戦力を求める傾向にあります。どうしても入社したい企業がある場合は別ですが、経験者のみの応募に未経験者が挑んでも勝率は低いでしょう。まずは経験を積むという意味で、未経験者でも応募可能な企業を選ぶことをおすすめします。
未経験者を受け入れている企業であれば、研修制度が充実している可能性が高いでしょう。常に案件を抱えているケースも多いため、キャリアを磨くには最適の転職先ともいえます。
未経験者でもプログラミングの知識はあったほうが選考で有利になる確率が上がります。現場によってはすぐに役立つため、入社前にスキルを高めておきましょう。ひとつのプログラミング言語を習得しておくと、違う言語を学習する際の学習コストが下がりやすいメリットもあります。プロジェクトが変わっても迅速に対応できる人材になれるでしょう。
異業種からの転職では、「なぜIT業界を選んだのか」を注意深く見られるため、きちんと志望動機を作り込むことが大切です。IT業界を選んだきっかけが説得力に欠けていると、「入社意欲が低い」「すぐに辞めてしまうのでは」と思われてしまいます。
志望動機を作る際は、自分の経験や具体的なエピソードを交えると説得力が生まれるでしょう。また、数あるIT企業の中でも「なぜ応募先企業を選んだのか」も大切なポイントです。企業研究を入念に行い、他社との違いや応募先企業独自の強みを見つけましょう。志望動機の完成具合は採用に大きく影響するため、時間をかけて丁寧に作成することがポイントです。
ITエンジニアやWebデザイナーとしての必要な知識・スキルは、本やネットなどで独学できます。しかし、独学だと分からない部分や難題にぶつかった際に、挫折してしまうケースも少なくありません。スクールに通うことで、分からないことがあれば講師に質問できるため、挫折せずに学習を進められるでしょう。また、カリキュラムに沿って体系的に学べるため、独学よりも早くスキルを習得できる場合があります。
転職はひとりで進めることも可能ですが、未経験の業界・職種への転職は簡単ではありません。転職の成功率を上げるために転職エージェントのサポートを受けるのもおすすめです。転職エージェントでは求人の紹介や応募書類の添削、面接対策のアドバイスなど、無料で転職をサポートしてくれます。
また希望する条件に合った求人をピックアップして紹介してくれるため、自分で求人を探す手間を省くことができ、在職中でも転職活動がしやすくなるでしょう。
IT企業とは、情報技術に関連する業務やサービスを提供する企業のことを指します。一口にIT企業といっても、インターネットやハードウェア、通信など分野はさまざまです。
IT企業への転職には「手に職をつけられる」「実力次第で年収を上げられる」などのメリットがあります。しかし、IT企業への転職が不安な方も多いでしょう。転職活動をスムーズに進めたい方は、ぜひマイナビITエージェントにご相談ください。マイナビITエージェントでは、IT業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたの転職活動を丁寧にサポートいたします。
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