株式会社Synspective 代表取締役 CEO 新井元行|求人・転職エージェント

「持続可能な未来をつくる」ために
小型レーダー衛星を開発、
グローバルに事業展開へ

株式会社Synspective
代表取締役 CEO 新井元行

「持続可能な未来をつくる」ために
小型レーダー衛星を開発、
グローバルに事業展開へ 「持続可能な未来をつくる」ために
小型レーダー衛星を開発、
グローバルに事業展開へ
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住 所 東京都中央区 銀座1-15-4 銀座一丁目ビル7F
URL https://synspective.com/
株式会社Synspective代表取締役 CEO 新井元行
米系コンサルティングファームにて、 5年間で15を超えるグローバル企業の新事業/技術戦略策定、企業統治・内部統制強化などに従事。その後、東京大学での開発途上国の経済成長に寄与するエネルギーシステム構築の研究を経て、サウジアラビア、バングラデシュ、ラオス、カンボジア、ケニア、タンザニア、そして日本の被災地等のエネルギー、水・衛生、農業、リサイクルにおける社会課題を解決するビジネスを開発、展開。衛星からの新たな情報によるイノベーションで持続可能な未来を作ることを目指し、2018年にSynspectiveを創業。東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻 博士(工学)。
更新

世界でもトップをいく衛星事業の誕生

地球観測衛星として長い歴史を持つのが光学衛星です。光学衛星が撮影した画像は、肉眼で見えるものに近く『Google Earth』の画像に代表されるように、一目で分かりやすいという利点があります。

しかし、夜間や雲に覆われている場合は撮影できないのが難点です。地球の半分は夜、昼でも平均的に半分は雲に覆われているとすれば、光学衛星で撮影できるのは地球全体の約四分の一となります。

こうした光学衛星の弱点を補えるのがSAR(Synthetic Aperture Reader)衛星です。日本語では「合成開口レーダー」と呼ばれています。

光学衛星で使用される可視光よりも、SAR衛星で使用されるマイクロ波の方が波長が長く、雲を透過するため地表面を観測することができ、衛星自体がマイクロ波を照射するので夜でも地表面を観測することができます。つまり「いつでも、どこでも」観測できるのが大きなメリットです。

大きなメリットがあるにも関わらず、今までSAR衛星が商用利用化されなかった理由が2つあります。アメリカで商用利用が解禁されたのが2016年でまだ歴史が浅いということと、SAR衛星の小型化が技術的に難しかったことです。要であるマイクロ波のアンテナの小型・軽量化、高出力化、その結果発生する熱の制御などを、バランスよく実現した上でコンパクトにする必要がありました。

特に精度の高い観測を要求されると、比例してマイクロ波のアンテナは大きく重くなり、2007年にドイツが打ち上げた世界初の商用SAR衛星『TerraSAR-X』は重量1.2トンを超え、コストも100億円を超えるものでした。この重量だと打ち上げにも100億円規模がかかるため、つまり1機レーダー打ち上げるのに合計で200億円以上かかっていました。

小型・軽量化が難しいとされていたSAR衛星ですが、日本政府が主導するImPACT(革新的研究開発推進プログラム)の小型SAR衛星開発プログラムでは、「地上分解能1メートル、重量100キログラム、コスト5億円」を目標に開発が行われていました。ImPACTの技術開発の成果を活用して、「持続可能な未来をつくる」ための社会インフラとして社会実装する会社として2018年の2月に当社を立ち上げました。

最初は、すこし未来に行き過ぎている技術で簡単には事業化できないのではないかと思ったのですが、事業環境や技術の優位性などを詰めていくなかで、私が大事にしてきた「持続可能な未来をつくる」ために重要な技術だということがわかったのです。

小型化により広がる衛星ビジネスの可能性

従来、人工衛星は国や政府が防衛・学術利用を目的として自ら使うことを前提に、JAXAやNASAに依頼して人工衛星を使ってきました。

その中でまず、軌道上から写真を撮る光学衛星が小型化に成功して、米国の『Digital Globe』や、日本でも『アクセルスペース』など、民間企業が自分たちで衛星を打ち上げて使うようになったんです。そうしたデータがマーケットにも出てくるようになると、その解析によりソリューションを提供する事業者が現れ、政府系だけでなくいろいろな産業に利用されるようになってきました。

ただ、小型SAR衛星は前述の理由で事業化されていませんでした。小型SAR衛星ビジネスは、いまがまさに黎明期と言えます。世界でもフィンランドの『ICEYE(アイサイ)』という企業やシリコンバレーの『Capella Space(カペラ・スペース)』、国内では九州大学の『QPS研究所』などがトライしているところで、つい先日(日本時間2018年12月4日午前3時32分)も『カペラ・スペース』が1号機をSPACE XのFalcon 9(ファルコン9)で上げたばかりです。

SAR衛星のビジネスはまだ始まったばかりですが、すでに非常に大きなマーケットの需要が見込まれています。市場は口を開けて待っている状態で、いくらでもサービスを投入できるため、まだ当面競合や競争は起きないでしょう。まずは光学衛星と同様に、マーケットにデータを大量に供給して利用を定着させることが必要です。

データ利用の面では、すでに防衛・インテリジェンス、防災などで各国政府に向けて画像データをそのまま売れる市場があります。それだけでもビジネスとして成り立つため、他社はいまのところそうした形での事業化を進めているようです。選択と集中の必要なスタートアップとして妥当な選択です。

ただ、データ販売だけでは「持続可能な未来」をつくっていくために世界を変えて行くというところまではなかなかつながっていかない。また、SAR衛星の画像データは、Google Earthなどの写真とはちがい、白黒のレントゲン画像みたいなイメージです。肉眼で見る画像とは全然ちがうので、なにが映っているのかわかりにくい。そこで、データの分析をして必要な情報を取り出すという、ひと手間ふた手間が必要になってくるんです。

ですので、当社では企業や政府などに、機械学習を利用したデータ解析を含むソリューションを提供し、直接エンドユーザーに働きかけていくことを事業のドメインに設定しています。これらソリューションについては当社の衛星データのみならず、他衛星、あるいはユーザーの持つビッグデータの解析も行い、ユーザーの課題を解決していきます。

つまり、われわれの事業は大きく2つあり、ひとつは小型SAR衛星コンステレーションの構築です。衛星のハードウェアを自社で開発して、製造会社と組んで量産し、ロケット会社と契約して実際に打ち上げ、常時、地球全体を観測できるようなシステムを組んでいくことです。最終的には25機の衛星の打ち上げを目指しています。

もうひとつの事業は、そのコンスレテーションや他衛星、あるいはユーザーから手に入る大量のデータを、機械学習を使って分析し、ソリューションとして提供するものです。

このように、衛星ハードウェアの開発から、画像の解析、ソリューション提供までを一気通貫で手がけることにしました。ここまでのワンストップサービスを提供するのは技術的に難しいことが多く、現在、すべてカバーすることができているのは世界中でも当社のみで、大きな強みになっています。

「持続可能な未来」をつくっていくために世界を変えて行く

新井社長は、「持続可能な未来」をつくっていくために、「衛星データ販売だけでなく、企業や政府などのエンドユーザーに向けてソリューションとして提供し、直接働きかけて行くことを事業のドメインに設定しています」と話す。

「持続可能な未来」をつくっていくために世界を変えて行く

鉱山や農地などの観測や、都市開発やインフラ開発のモニタリングも

SAR衛星の数をたくさん打ち上げることで、地球全体のデータを、夜でも曇天でも関係なく、高頻度で取れるようになります。また、物理的に行くことができない、あるいは非常にコストがかかる場所の情報も簡単に取れるようになります。

企業向けソリューションとしては、たとえば鉱山開発では非常に広域にわたり、地滑りなどのリスクを抱えながら掘っていかなければならないのですが、それを毎日レーダー画像を取得・分析して、リスクを把握しながら進めていけるようになります。

ある企業が全世界に鉱山を持っていたとすれば、それぞれにセンサーを置いてデータを集めてオペレーションしていくことは大きな負担になりますが、衛星コンステレーションを使って観測ができれば、全地球上にばらばらに存在する鉱山管理も一元化できるようになるんです。

さらには、全地球のすべての鉱山オペレーションを観測していけば、全世界の鉱物資源生産量の把握・予測もできるようになると考えています。

また、鉱物資源だけでなく農地を見ることで穀物の取引量などを予測したり、小売りチェーンの駐車場に止まっている自動車の台数をカウントして売上を予測したりするなど、さまざまな産業分野に応用できるポテンシャルを持っています。

そうした経済活動の定点観測だけでなく、政府や行政機関による都市開発や点在しているインフラ開発プロジェクトなどのモニタリングも可能になります。

たとえば新興国などのODAベースでのインフラ開発では、数千ヵ所にもなると数人の政府関係者だけでの日次管理は不可能ですが、1日1回、衛星から撮影した画像を機械学習で処理していけば、数人の担当者だけで日次予算管理をすることもできるようになります。

さらに、途中で報告者の介在がなくダイレクトな情報が管理者に届くため、買収や賄賂などの不正防止にも役立ちます。

新興国や途上国などではGDPの数%にも上るとみられる不正をなくすことで、投資効率を改善し、ひいては持続可能な開発を促進することにもつながっていくはずです。

また、日本の国勢調査のようなしっかりした統計データが取れない国でも、衛星画像を使って人口分布をダイナミックに推計し、道路をどこに作るべきかとか、災害リスクも踏まえて電力プラントなどのインフラをどこに置くべきかという議論もできるようになります。

そしてSAR衛星は、ハリケーンや台風などが来ているときでも地上を観測することができるので、その情報提供により人命救助の初動の早さは全然ちがってきます。

いまはハリケーンが去ってから被害状況を確認して、ようやく救援に動き出しますが、ハリケーンが起こっている最中に地上の状態が把握できれば、生存率も飛躍的に上げるはずです。そういうところでも使えるようにしていきたいですね。

ただ、防災のような収益性が見込みにくい分野はスタートアップの立ち上げ時期には取り組みにくいので、最初は企業や政府へ向けた個別の経済活動の効率化に取り組み、途中で事業ポートフォリオを変えつつ、より社会性の高い領域にシフトしていこうと考えています。

かつてない“宇宙ビジネス”という新しい産業を生み出すために

先のワンストップサービスを提供するためには、SAR衛星そのものの開発ができるエンジニアだけでなく、衛星のセンサーを使ったデータから情報を引き出すリモートセンシング、種々のデータを機械学習を使って解析できるデータサイエンティンスト、ユーザーの業務がわかっており技術営業できるエンジニアなど、いろいろな分野のエンジニアが必要になってくるのですが、最初の段階で国内のトッププレイヤーを採用できたことは、とても大きかったです。

そのおかげで、立ち上げの難しいところを乗り越えて来られました。

2019年1月現在、直接雇用している社員は20名ほど、そのうちエンジニアは約15名で大半がソリューション開発のためのエンジニアです。衛星システムの開発は、JAXAや東大などと共同開発を進めていますので、実態としては社員以外にも多くの技術者が関わっています。

将来本格的に衛星が稼働するころには120名ほどが適正な規模だと考えています。

衛星のハードウェアの開発では、SAR機能を担うミッション部と、衛星のプラットフォームに該当するバス部に分かれていて、ミッション部ではSAR周辺の開発ができるRFエンジニアや、それを支える電気系のエンジニア、あと、アンテナ展開やバス部などの機構・熱解析を行うための機械系のエンジニアなども必要です。

ソリューション開発に関しては、いわゆるデータサイエンティストと、リモートセンシングの技術者、それから顧客側の要求をきちんとくみ取って提案できるコンサルタント人材、さらにクラウドでサービスを提供するためのネットワークエンジニアも必要になってきます。

また、ビジネス開発系の人材も求めています。最近では宇宙ビジネスに関する話題もニュースによく出てきますが、新しい事業の立上げというよりも、まさに新しい産業の立ち上げ期とも言えるほどで、注目度もすごく高いんです。そのなかで全体観をもって動けるような人が必要です。衛星は国境に関係なく回っているので、つねにグローバルなマーケットを見なければいけないこともあり、国際的な連携やマーケティングも自由にできなければならないですね。

サプライチェーンなどもこれから築いていくところで、それも国内だけで完結するものではないので、海外プレーヤーとの協業が前提です。したがって、いかなる役割でも英語は必須です。それと、いろいろな国の商習慣にも幅広く対応していけるような柔軟性も必要だと思います。

宇宙産業、とくに小型SAR衛星ビジネスはいままで存在していなかった領域ですから、これをやればうまく行くという事例がない状態です。

その割に金額的な規模感は大きいです。技術者にしてもビジネス開発にしても共通するのは、新しいこと、リスクの高いことに躊躇せず、いろいろ試行錯誤をしていくことが大切です。とは言ってもそれぞれに専門家はいるので、教えてもらえることも多いですから、素直に吸収していけるような資質も必要です。

今、一緒にチームを組んでやっているメンバーはみんな、全体観を持って自立的に動ける人ばかりですね。課題が見つかれば、とりあえず自分で動く、誰かに聞く、頼む、といったことを全員が個別にやっており、その個々人が集まった結果、組織としてうまく機能している状態です。

このネットワーク型組織は、まさに産業そのものを立ち上げるようなタイミングに向いていると思います。私にも答えはわからない中で、各自がいろいろやって来た実験結果を持ち寄って、私自身もチームのメンバーの1人として、みんなとディスカッションしながら前に進んで行こうという組織になっています。

いいか悪いかは別にして、そういう文化を持った人たちによって、ボトムアップでうまく組織ができ上っているところがあるので、そういう働き方や文化といったものを大事にしてくれる人が増えるといいなと思っています。

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