株式会社ネイブ
代表取締役 益隆司
						
 
						
						
						 
						
					
| 住 所 | 石川県加賀市弓波町二番地 | 
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| 業 種 | ものづくり・メーカー | 
| URL | https://www.neive.co.jp/ | 
 
							
						――御社の事業内容についてご紹介ください。
自動車の製造においてはドア、ボディや内外装部品などさまざまな製品をつくりますが、サイズ、位置などが図面どおりに正しく作られているかどうかを確かめる必要があります、そのための検査器具=検査ゲージを製作するというのがネイブの中核事業です。
弊社の製作工程は多工程に渡りますが、家を建てることをイメージしていただくとわかりやすくなるかと思います。家を建てる際は、まず設計図を書いて、架台となる基礎を造り、柱や壁などの部材を製作する工程を踏みます。弊社の工程も溶接で架台となる基礎を造り、様々な部品やパーツを立ち上げて組付け自動車部品に合わせたさまざまな種類の検査ゲージを製作しており、それぞれの工程に職人=専門家がいるという点が強みとなっています。
――御社の成り立ちと益さんが代表取締役になった経緯を教えていただけますでしょうか。
創業は平成2年ですでに35年の歴史があります。この歴史ある企業を大きく飛躍させる使命を背負って、今年2025年1月にネイブに着任し、8月に代表取締役に就任しました。
創業者は元々農家の方で、自動車検査ゲージの製作会社にも勤務されていたところから創業をしたと聞いています。その後息子さんに2代目社長を譲り、後継として私が3代目に就任しました。
私の前職は光学ガラスメーカーでしたが、そこでやりたいことはやり切ったという感覚がありました。退職して、さて次は何をしようと考えていた時に、ジャフコの担当者の方から、面白い企業があるから見てくれないかというお話をいただきました。
そこで視察に来たのですが、業種はかなり違うのに非常に前の会社と似ていると思いましたので、私の経験が役に立つ部分があるのではないかと感じたのです。
――光学ガラスメーカーと自動車検査ゲージの会社のどのような部分が似ていたのでしょうか
各工程に分かれて部門が構成されているというところや会社の規模、また、抱えている組織的な課題も似ていると感じました。
私はもともとデザイナー出身で、むかし店舗設計の仕事で培った工程管理に検査ゲージの製作工程も類似するところがありました。また、組織をデザインすることが事業を飛躍させるという考えがあり、そうした課題を解決することでネイブをさらに成長させることができると思い代表取締役に就任することを決断しました。
 
							
						――組織的な課題とはどのようなものだったのでしょうか。
以前は良くも悪くも職人集団でした。従業員は自分の仕事に集中して他の人の仕事にはあまり口を出さないし、経営者も現場、個人ごとに管理する方式だったのです。
もちろん、これは職人集団であれば最も効率的な組織であり、間違っていたわけではありません。しかし、事業が大きくなりにくい組織とも言えます。ネイブの技術を活かして事業を広げていこうというのであれば、職人集団から変わる必要があると考えました。
――何から変えていきましたか。
まず、組織の形を変えました。同じ製作工程で作業をしている10名ほどをチームとして定義して、工程上の前後関係にあるチーム3つ程度をグループとしました。そして、グループでディスカッションをする時間をとるようにしました。
それまでは自分の前工程、後工程の状態を明確に把握していなかったので、まずこれを知ってもらうというのが改革の最初の一歩でした。
――組織改革に対する従業員の方々の反応はいかがでしたでしょうか。
驚いたことに反発はなく、グループディスカッションをやるとほぼ全員が積極的に発言して熱を帯びてくるような状態になり、あっという間に従業員が生き生きとしてきました。
おそらくですが、みなさんは自分の担当する技術を追求するだけで本当にいいのかなという疑問を抱えながら仕事をしていたのではないかと推測しています。そこに、異業種から私という人間が来て組織改革をし、情報を共有することになり、皆さんのモヤモヤが解消されたのではないかと思います。
益氏が実施した組織改革によって、「ほぼ全員が積極的に発言して熱を帯びてくるような状態になり、あっという間に従業員が生き生きとしてきた」という。
 
 
							
						――事業にもいい影響が出始めていますか
ネイブという会社は元々社内から新しいことを生み出す力を持っています。例えば、製造管理のITシステムは他社に先駆けて社内で開発をして使っています。そのため工程管理がしっかりしていて、納期をきちんと守れる会社として業界では知られています。その結果、大手自動車メーカーのほとんどと取引があります。
また、同業他社はメーカーの系列のようになっていることが多いのですが、系列になると、メーカーは「あそこは納期に関しても無理を聞いてくれる」ということになりがちです。そのため、A社の仕事を優先し、B社の仕事は次にということが起こりえます。
一方、ネイブはメーカーの系列ではないですから、どのメーカーの仕事も同じようにこなして信頼されやすくなっており、この信用の積み重ねが幅広いメーカーと取引できるという財産になっています。
私の仕事は、このネイブが持つ技術力、自発性、信用力をもっとうまく活用して事業領域を広げていくことです。
――事業はどのように広げていく計画でしょうか
まずは検査ゲージ製作という祖業を大切にし、そこから広げていこうと考えています。例えば、メーカーに打ち合わせなどでいくと、現場には検査ゲージ以外のさまざまな設備・治具があります。どれも専門的なもので、市販されているものは利用できないことが多く、自社内でつくるか、協力会社に発注をして作っているわけです。自動車メーカーでは会社は違ってもどこもこの様な設備・治具を使っていることが多いです。
これは、幅広い自動車メーカーと取引のあるネイブに有利な状況といえます。検査ゲージを製作するための形状データを併用し、設備・治具の製作に展開できるため、検査ゲージと合わせた販路を獲得しやすいという利点があります。
もうひとつは海外製品の受注です。海外にも自動車メーカーはたくさんあって、必ず検査ゲージを必要としています。日本では検査ゲージに樹脂を使うことが多いのですが、海外では金属を使うことが多いなどの違いがありますので、新しい技術開発を行っています。日本の検査ゲージの精度は高いですから、海外メーカーからも広く必要とされると思っていまして、現在は、東南アジアのメーカーにアプローチをしようとしている最中です。
さらに、スタートアップ企業の方とも提携をしたいと考えています。自動車ではないのですが、あるスタートアップ企業が野菜農園の支援事業を運営していて、野菜の収穫に必要な移動運搬設備に参入する機会をいただきました。そうしたスタートアップ企業の方というのは、事業を軌道に乗せようと一生懸命なところがあり、そういう方々と連携をするのは、私たちネイブにとっても非常に刺激になっています。自動車とは関係のない業種でも、地元でも遠方でも、そこはこだわりなく提携先を広げていきたいと考えています。
 
							
						――ネイブではどのような人材を求めているでしょうか
組み立て部門で若い人材が必要です。現在従業員数は94名ですが、平均年齢が45歳前後となってきています。技術部門は職人肌の方々が多いので、育成に時間がかかることが多く、部門によっては一人前の仕事ができるようになるまで数年はかかります。
そうした意味で、仕事に夢中になれて、探究心の強い方が向いていると思います。職人は一人前になると管理職の仕事もこなさなければなりませんが、今弊社の中ではほとんどがプレイングマネージャーです。自分で技術の仕事もし、管理もします。やはり、一生、職人でいて技術を追求していきたいという人が多く、そういう気持ちは大切にしたいと思っています。
それと、前述したように海外展開が重要になってきていますから、英語ができ、海外事情に明るい営業職の方が必要です。業界の知識は入社してからでも学べますので、海外営業の経験がある方にぜひネイブに加わってほしいですね。
――今後の上場を視野に入れた目標を教えてください
今はまだ目標を公表する時期ではないと思っています。新しい事業に適応する組織づくりをまさに行っている最中ですから、実現の根拠がない絵空事になってしまいます。
それよりは、目の前のことをしっかりとやり、小さくてもいいから変革の成果を従業員に体験してもらいたい。それを積み重ねていけば、目標というのは自然にできてくるものだと思っています。目標を持たないというのではなく、今はまだ公表すべき時期にはないと考えています。
従業員からは、変革のスピードが早すぎるとよく言われますが、このスピード感で会社を引っ張っていくのが今の最適な方法と考えていますので、意図してスピードをあげています。
こうしたやり方で成果が現れ始めた時に、私たちネイブの目標を掲げるのであれば、取引先からも信用してもらえますし、従業員も腹落ちをして、全員でその目標に向けて走れるようになると思います。
――本社を加賀温泉に置いているのには、何か理由があるのですか。
加賀温泉が創業者の地元なんです。実はこの場所には多くのメリットがあります。まず小松空港まで車で約20分、北陸新幹線の加賀温泉駅までは徒歩約10分と交通の便がものすごくいい。
さらに、大手メーカーとの打ち合わせが必要になると、メーカーの方も加賀温泉という場所に魅力を感じてご来社いただけることが多いので、このことも弊社にとって大きなメリットです。弊社の製造現場を見ていただくことで、信頼をしていただくことができますし、泊まっていただければ、加賀の美味しいものを食べ、加賀のお酒を飲みながら深い関係づくりをしやすいという面もあります。
私たちネイブの強みは、高い技術力と自主開発力と信用力です。他社との関係では、加賀温泉に拠点を置くことで、強みを活かすこともできています。こうした強みを活かして、日本のものづくりを海外にも広げていきたいと考えています。
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