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AIを活用し不動産管理や建築の世界にITの風吹きこむ、
日本の住環境をさらに快適なものに変革

株式会社THIRD
代表取締役 井上 惇

AIを活用し不動産管理や建築の世界にITの風吹きこむ、日本の住環境をさらに快適なものに変革 AIを活用し不動産管理や建築の世界にITの風吹きこむ、日本の住環境をさらに快適なものに変革
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住 所 東京都新宿区四谷4-25-13 濱庄ビル2F
URL https://third-inc.co.jp/
株式会社THIRD代表取締役 井上 惇
大学時代のNPO団体立ち上げをきっかけに起業に興味を持ち、その思いを実現するために外資系ITベンダー(DBエンジニア)、外資系投資銀行(金融商品設計・マーケティング)、外資系証券会社(創業メンバー)、企業再生/経営コンサルティングファーム(不動産コンサルティングチームリーダー)とIT、ファイナンス、経営コンサルといった領域でキャリアを重ねた後、2017年夏に株式会社THIRDに参画、代表取締役社長に就任。これまで培ったすべてのキャリアを融合し、不動産管理や建築工事の世界を改革へと導くSaaSサービスを展開する。
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ITエンジニアから金融の世界へ--当初から起業志す

――まずはこれまでのご経歴をお聞かせください。

大学卒業後、日本オラクル株式会社に入社し、ITエンジニアとして、DB高速化やBIシステムの開発などを手がけました。

そもそも、なぜITエンジニアなのかというと、大学時代に米国のカリフォルニアで国際的なリーダーを育成することをミッションとした「CVS Leadership Institute」というNPO団体を起業したことがきっかけとなります。

幼少期を英国で過ごしたこともあり、もっと国際的な舞台で活躍できる人材を増やしていくべきだとの考えを強く持っている中で、米国留学中に現地で活躍している日本人コンサルタントと知り合う機会があり、その思いを伝えたところ「じゃあ、一緒にやってみようよ」と共感してくださったことでNPOを起業しました。

その中でNPO運営と併行して、日本の大手食品メーカーが買収した香港の食品会社のERP導入のコンサルティングなども経験する機会があったのですが、そこで「ITの凄さ」を目の当たりにすることとなりました。

――どのような凄さでしょうか?

もともとの信用商売文化もあり、当時の香港の会社の会計は製造業にも関わらず直接原価も不明瞭な“どんぶり勘定”が当たり前で、それを日本の会計基準に合わせる必要がありました。標準原価を設定し、ERPのパッケージ導入を通じて日本の会計基準に適合させたところ、これが効果てきめん。あらゆる部分において“見える化”が実現し、これまでになかった戦略的な製造計画を立てられるようになったのです。このとき、「次に起業するならITだ!」という思いが自分の中に生まれましたね。

――それで日本オラクルへ?

そうです。世界に冠たる大手ソフトウェアベンダーであり、DBやアプリケーションはもちろん、サン・マイクロシステムズを買収したことでサーバーなどハードウェアも含めたトータルなソリューションを提供できる点でITを学ぶには理想の会社でした。

その中で私は既存DBの高速化とBIツール開発などに携わりました。そこで約4年間にわたってITエンジニアとして開発業務を経験し、自分なりにITを理解できたと感じたことで、金融業界へと新たな活動の場を移しました。

――なぜ金融業界を志そうと?

もともと私は起業志向が強く、仕事を考える上でも「起業に近づくための経験を積むことができる仕事」を重視していたのですが、起業を行うためにはお金の流れを理解するとともに、安定した経営を行うためにはさまざまなマーケットの相場観や長期目線でのマーケット展望なども併せて身につける必要があると感じたからです。

そこでタイミングよく外資系投資銀行に入社することができ、主にデリバティブ部門にてオプション取引向けの商品開発に携わりました。

特に私が担当したのがセミプロのような個人投資家に対するリスクヘッジ向け商品の開発ということで、膨大な銘柄の株をリアルタイムで分析し、その統計データをもとに金融工学を駆使しながら値付けを行っていくという、無から有を生み出すような商品開発を学ぶことができました。

併せて総合的なマーケットビューや相場の動き方、長期目線でのマーケット展望なども学ぶことでき、非常に実り大きな経験と知見を得ることができましたね。

――そこで証券マンとしてのキャリアを積んだ後、新たなフィールドへと活動の場を移すことになる訳ですね。

金融業界で4年間ほどオプション取引向けの商品開発を手がけたことでさまざまなマーケットの動きや全体的なお金の流れが理解できました。特にマーケットにひもづいた業界がどういう仕組みで動き、その中でどんな変数が影響してビジネスが動いていくのか、といったことを理解できたことが後に大きな武器になっていくことになります。

コンサルタント会社で不動産の世界での現場の大切さ学び、THIRDへ合流

さらに次なるステップとして「実際の事業の“手触り感”に触れ、事業課題や経営課題を踏まえた企業支援を学んでみたい」という思いが強くなり、経営・企業再生コンサルティング会社へと転職しました。

それが株式会社リヴァンプという、元株式会社ファーストリテイリング取締役副社長の澤田貴司さん、元株式会社ファーストリテイリング代表取締役社長で現株式会社ロッテホールディングス代表取締役社長の玉塚元一さんの2人によって設立された会社で、私は主に不動産業界の経営コンサルティングに携わりました。

中でもメインに手がけたのが大手不動産デベロッパーの中期経営計画の立案やそれに基づいた実行支援などで、さまざまな不動産のプロジェクトを経験しました。例えば建築コスト削減や、既存施設の再生支援などを担当し、気がつけば不動産セクターのコンサルティングチームの責任者になっていました。

――そこではどんな経験をされたのでしょうか?

リヴァンプは「泥臭く現場に入っていく」というスタイルが徹底されており、それによって現場に足繁く現場に通ってでしか見えてこないような課題キャッチが行えるようになったことやそれにもとづく解決策を考えられるようになったことですね。

単に「経営改革の計画書を作成して、それをクライアントに実行していただく」ではなく、私たちコンサルタントが積極的に現場に入り込み、計画を現場レベルでフィットさせていくような現場目線を大切にしたコンサルティングを学ぶことができました。

創業者の澤田さんは「経営改革の変数は現場にしか落ちていない」という哲学にもとづき、それをメンバーにも徹底させていました。

実際に私も、不動産デベロッパーの経営改革に携わる事で、用地取得から施工、管理まですべてにわたって関わり、机上では決して見えてこない現場ならではの課題や問題といった改革につながるいくつもの“変数”を見つけることができました。そしてこの経験が現在の仕事に直接的に結びついていくことになります。

――現場レベルでどのような課題が見えてきたのですか?

不動産業界は非常に大きなマーケットですが、そのプロセスの多くはアナログ的かつブラックボックス化されています。不動産の計画業務や用地買収などはその最たる例であり、従来の経営コンサルティング目線では決してその全容を把握することはできませんし、そこに潜む現場レベルの課題なども見えてきません。

これに対し、リヴァンプは徹底的に現場に入り込んでの実態把握を基本としているので、“改革の変数”となるものをいくつも見つけることができました。

たとえば建築コスト削減を実現するにあたり、当初はどうしてもコンサルタント視点がでしか課題発見にアプローチすることができず、結果を出すことができませんでしたが、あるとき大手ゼネコンで現場監督の経験がある方と一緒に仕事をする機会があり、その方の現場にグイグイ入り込んでいくコンサルティングを通じて、自分がどうやっても実現できなかった建築コスト削減をいともかんたんに達成する様を目の当たりにして、「これはすごい!」と感じましたね。

――それまでに得た全ての知見を活かすべく、THIRDの一員となるわけですね。

そうです。リヴァンプを退社後、とある縁でTHIRD創業者の方からお声がけをいただいたのがきっかけです。その方はご高齢であり、一線を退くことを考え、後継者として私にお声がけしてくださったのです。

THIRDは、発注者の立場に立って建設プロジェクトのコスト削減を行うコンストラクションマネジメント事業を主軸とする建設コンサルティング会社であり、施工管理を担う現場監督の集団を擁していることから、前職で培った「経営改革の変数は現場にしか落ちていない」という哲学にもとづいたスキルを発揮できる場面が多々あるだろうと感じて入社しました。

入社後は私の武器である「経営コンサルティング、投資の概念、建築コスト削減」の3つを統合した不動産の経営コサルティングを手がけることからスタートしました。手がけたプロジェクトはカプセホテルの開発やタワーマンション開発などを筆頭に、大規模なものでは渋谷PARCOの再開発のコンストラクションマネジメントなども手がけました。

不動産経営コンサルティング事業は軌道に乗り、経営コンサルティングチームなども発足させることができ、事業基盤もしっかりと固まってきた中で、ある一つの大きな「経営改革につながる変数」が見えてきたことが大きな転機となりました。

それがコンストラクションマネジメントを通じて経験した建設業界特有の「多重請け構造」です。この業界には元請けとなるゼネコンがいて、その下にサブコン、孫請け、ひ孫請けといった多重構造があるのですが、実はその狭間で仲介マージンを取るだけの業者が介在していました。

そうした業者の代わりに我々の現場監督がコンサルタントとなって現場に入り、会社をまたがる事で発生する非効率な事務作業やコミュニケーションの改善、計画の策定や施工図面の作成、職人さんの手配など施工をリードしていく役目を司ることで、元請けさんと孫請さんとをダイレクトに施主と結ぶ構造へ工事案件の効率化を行うというものです。

「不動産業界の課題を解決する仕組みを提供するSaasビジネス立ち上げ」

アナログな作業の自動化を進めた結果、「自分たちが想像していた以上の改善効果を生み出すことができた」ことがきっかけとなり、THIRDをSaaSビジネスの主軸とした会社へと進化させたという。

AIを活用し不動産管理や建築の世界にITの風吹きこむ--日本の住環境をさらに快適なものに変革

CSOの今村氏がキーマンとなり、AIを活用したSaaSサービスが一気に加速

――そこから現在のSaaSビジネス主軸の事業スタイルへと進化していく訳ですね。

そうですね。あるカプセルホテルを建設するに際し、当社でカプセルの研究開発から施工までを一気通貫で手がける機会があったのですが、その中で竣工検査や1年点検などビルメンテナンス業務も併せて担当する必要が生じました。

しかしこれが徹頭徹尾アナログな世界で(笑)、連絡は電話が基本でデータのやりとりは“紙”が中心。それによって本業のコンサルティング業務が大きく圧迫され、「ビルメンテナンスはここまでアナログな世界なのか」と唖然としましたね。

そこでまずは報告書の作成だけでもデジタル化してみようと思い、私がExcelでマクロを組んで報告書の自動作成システムを作ってみたころ、これが効果てきめんで、これまでボトルネックとなっていた部分が一気に改善されました。

「これはすごいぞ」ということでその他のアナログ的な作業に関しても自動化を進めた結果、自分たちが想像していた以上の改善効果を生み出すことができ、これがきっかけとなって本格的に不動産業界の課題解決につながる仕組みを提供していく会社、すなわちSaaSビジネスを主軸とした会社へと進化を遂げていくことになります。

――まずはどのようなSaaSサービスから着手したのですか?

最初にIT投資したのが『工事ロイド』の開発です。

これは設備の修繕工事にまつわるさまざまな工事会社の見積もりをAIが分析し、自動で適正価格を算出するAIを用いたSaaSサービスです。開発当初はAIではなく、すべてロジックで自動化を試みたのですが、まぁこれが上手くいかない(笑)。

そこで一旦『工事ロイド』の開発を保留し、不動産管理の業務オペレーションをAIで効率化する『管理ロイド』の開発にピボットすることにしました。

――そして『管理ロイド』でAI活用が一気に進むわけですね。

そのキーマンとなったのが、当社の現CSO(Chief Scientific Officer/最高科学責任者)である今村(=今村安伸氏)です。

Googleが主催する世界最大のAIコンペプラットフォーム「Kaggle」にて、最高位の称号である「Kaggle Grandmaster」を得るほどのAIを知り尽くしたスペシャリストであり、業界内でも有名な人物だったので、AIまわりの開発を依頼したところ、予想を遥かに超えるものを作ってきてくれた。それで私が口説き落とすかたちで(笑)社員として入社してもらいました。

今村のおかげで『管理ロイド』の機能性や完成度が一気に向上し、SaaSサービスとしての提供が実現しました。さらにそこで確立したAIの開発基盤を用いて、棚上げになっていた『工事ロイド』もすべてAI化で刷新することができ、これもSaaSとしてのサービス提供が実現しました。

今村はCSO で、CTO(Chief Technical Officer/最高技術責任者)ではありません。一般的にAI関連の開発はCTOが率いる開発部門が手がける場合が多いのですが、当社はAIが持つ可能性の大きさに期待し、研究・開発なども含めてその可能性を追求していきたいとの思いから、AIを専門的に扱うCSO部門を設けたのです。

それによって、自前でAIの開発基盤を有することができ、既存サービスのブラッシュアップはもちろん、新たなAIサービス開発などの場面でも他社にくらべて大きなアドバンテージをもって進めていくことができます。

一般的には「AIを活用する」となったらGoogleの「google vision API」のような大手が提供する外部のAIサービスを、APIを通じて自分たちのシステムに実装することが多いと思うのですが、当社の場合はそれと同様のAIプラットフォームを自前で有しており、AIに関連した特許なども取得しています。

THIRDのサービスは何を変えていくのか

――THIRDのAI-SaaSによって何が変わると思いますか?

不動産や建築工事の世界において、これまでどこか不透明だった見積もりを、透明性の高い適正価格で示せるようになった、という点が挙げられます。

たとえば従来の建築工事の見積書では、詳細が明記されず「一式」という項目にあらゆる部材や作業費が詰め込まれていたり、部材の型番が明記されたりしていても、普通の人はそれがどんなものなのかが分かりませんし、ネットで調べても出てこないなどの不透明さがありました。

そういった見積もりを『工事ロイド』に読み込ませると、AIが解析した上で査定を行い、瞬時に適正価格を算出します。AIを用いているので工事会社ごとにバラバラな見積もりフォーマットも正しく読みとって処理することができ、さらに解体工事を意味する「解体」「めくり」「剥がし」と各社によって異なる表記の揺らぎも正しく理解し、処理することができます。

これによって、たとえば60万円の見積もりが実は40万円だった、といった適正価格が判明するほか、さらにそこで算出された金額で工事を発注したい場合は、THIRDの現場監督が工事の段取りをサポートするような発注支援まで行っていくことができます。

一方、『管理ロイド』はAIで不動産管理業務を効率化するサービスであり、点検や検針、清掃報告などを読み込ませることで、事務所に戻ってからの報告書作成業務をまるごと削減することが可能です。

不動産管理の世界は思った以上にペーパーワークなどアナログな作業が多く、それがかさみすぎて本来業務に注力できない現状があります。こうした課題に対して、『管理ロイド』を通じて不動産管理実務のペーパレス化、労働生産性改善、遠隔監視などを実現し、単純業務を削減する事で本来業務に高いレベルで注力することが可能となります。

それゆえ、『管理ロイド』は経営コンサルタントの方々に経営改革を実現するためのツールとして活用いただくケースが多い傾向にあります。そういった意味では、我々は単にSaaSサービスを提供する会社ではなく、お客様の経営改善を実現する会社だと思っています。

――THIRDでは、どのような人々がサービスを作り、支えているのですか?

AIを積極的に開発する会社ということで、AIエンジニアの採用に力を入れています。

当社で「THIRD プログラミングコンテスト」というプログラミングコンテストを主催しているので、そこに応募してきたAIエンジニアの中から優秀な人材に対してオファーを出しての採用活動を中心に行っています。

もちろん、AI開発部以外にもIT開発部やコーポレート部、コンサルティング部、コンストラクションマネジメント事業部と幅広い領域があり、随時募集を行っています。

その際、THIRDの価値・魅力をつたえていくにあたっては、人間が生活を営む上で欠かせない、衣食住の「住」の世界をよりよい方向へと導くビジネスである点を強くアピールしています。

日々、私たちが利用するオフィス環境、住環境は、警備や製造、設備管理はじめいろいろな裏方的な役割の人々に支えられ快適な生活を実現してくれています。

『管理ロイド』や『工事ロイド』といったAI-SaaSサービスを通じてそうした方々が負担に感じる周辺業務を削減し、本来業務に集中できる環境を実現することで人や社会に貢献するのが私たちのビジネスであることを求職者の方々にアピールしています。

また、「異なる領域のプロフェッショナルたちと競演できる」という点も積極的にアピールしています。

当社はAIエンジニアだけでなく、ITエンジニア、プロダクトマネージャー、経営コンサルタント、そして現場監督が一つのチームとなり、それぞれがプロフェッショナルとして有機的に連携しながらブレイクスルーを生み出していくような文化が根付いています。

普通の会社では現場監督とAIエンジニアが連携してプロジェクトを進めていく、というような場面はないと思いますが、THIRDではそれが当たり前にあります。

加えて、これまで誰もが目を向けてこなかった課題解決に向けたサービスを提供していることから、我々が収集しているデータは唯一無二であり、それを活用することで他の業界にもアプローチしていくことができる可能性の大きさなどもアピールポイントとしています。

不動産管理は日本最大のメンテナンス産業と言っても過言ではなく、そこのノウハウやデータが蓄積されてきているので、それを他の産業の課題解決に発展させていくことも視野に入れています。こうした点にもTHIRDの魅力を感じていただければうれしいですね。


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