エメラダ株式会社
代表取締役社長兼CEO 猪野 慎太郎
住 所 | 東京都港区南青山7-1-5 &CALM minamiaoyama 304 |
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URL | https://emerada.co.jp/ |
——まず、貴社の事業内容を教えていただけますでしょうか。
私たちエメラダは、金融機関向けに金融業務を効率化するSaaS群を提供しています。
具体的には、金融機関と取引のある中小企業の日々の資金管理を効率化し、金融機関と中小事業者が情報共有、コミュニケーションが取れるポータルサービス「エメラダ・キャッシュマネージャー」、口座情報からAIで信用リスクを予測し信用評価や顧客分析をする「エメラダ・アナリティクス」、金融機関向けの業務効率化システムである「エメラダ・スマートバンク・アシスタント」、企業間決済をスムーズに、柔軟性を持たせる「エメラダ・ペイメント」、金融機関と取引のある中小企業の入出金明細や残高などの金融情報を統合する「エメラダ・リンク」の5つのサービスを中心に提供しています。
すでに多くの信用金庫、地方銀行を中心に導入をいただき、クレジットカード業界との提携など、ノンバンク金融機関にも広がっている状況です。
今、日本の金融市場が抱えている最大の課題が信用創造のキャパシティを増やすことができない事です。金融機関は預金者のお金を預かり、事業を拡大したい事業者に貸出します。これにより、100万円のお金が200万円も300万円もの働きをすることで経済が成長をしていきます。ところが、今の日本はこの信用創造が増えづらい状況になっています。
この問題のボトルネックになっているのが、金融機関の業務が抱える課題であると捉えています。例えば、私が経験した原体験のうちの一つですが、事業を拡大するために資金が必要で、金融機関に融資を申し込むと、融資が実行されるまで半年ほどかかる場合もありました。事業計画書を提出して、決算書も提出して、何度も説明をして、それで借りられるのが5,000万円ほど。当社のようなスタートアップ企業でも数ヶ月で消費してしまうような金額です。半年かけて、1ヶ月か2ヶ月で使い切ってしまう額しか借りられないという状況は、まったくサステナブルではないと考えています。
金融機関の担当者に問題があるわけでもありません。皆さん、一生懸命、地域の事業者の役に立ちたいと頑張られています。
しかし、情報収集して、それを噛み砕いて最終判断をしなければならず、多くのプロセスがオフラインを前提として構築され、最終的な判断も属人的になりがちなため、担当者の能力に依存してしまいがちなのです。
——個々人の問題ではなく、業務プロセスが問題ということなんですね。
地域には資金を必要としている企業があり、金融機関は役立ちたいと考えている。しかし、人手が足りなくて、業務効率がなかなか改善できないために、本来資金が提供される機会が失われている。これで信用創造のキャパシティが限定され、ひいては日本は経済大国であるのに、その潜在能力に見合った成長ができないという問題につながっています。
金融機関も属人的な業務の進め方に課題を感じています。しかし、大手金融機関を除けば、さまざまなシステムを開発するハードルが高すぎるのです。システムを開発しようとなると、ウォーターフォール型の開発で、要件定義できる能力を持つ人材が求められ、その要件に従い予算と人材を用意してと、巨大なプロジェクトになっていきます。多くの中堅金融機関はそれだけの予算と人材を確保することが難しい。仕方なく、人力で頑張るしかないというのが今の状況なのです。
それなら、誰か別の人が要件定義をしてシステムを開発して各金融機関に提供できれば、金融機関の業務の進め方はがらりと変わります。私たちエメラダは、まさにこの役割を担うべく事業を行っています。
——貴社のサービスの特長を教えていただけますでしょうか。
私たちのプロダクトの最大の強みはデータ収集の仕組みと予測精度です。例えば、エメラダ・アナリティクスは、中小事業者の金融データから、その事業者がデフォルトを起こす確率を高い精度で算出します。その背景にあるのが、提携している金融機関から提供していただいた数十万社以上の顧客データです。このビッグデータを教師データとして機械学習し、予測しています。教師データの規模が大きいということが精度が高い理由の根拠のひとつです。
何%の精度なのかと言われると、前提条件によって異なり、具体的な数値を出すことは誤解を招くことになるためできませんが、私たちエメルダの機械学習モデルのAR値(Accuracy Rate)は特定の条件下で高い数値を維持しています。
他社の機械学習モデルのAR値は非公開であることが多いので、断言することはできませんが、金融業界の機械学習モデルの中ではトップクラスのAR値を実現していると自負しています。
猪野社長は、自らが起業しようとした際の経験から、「金融市場は合理的に動いておらず、このままだと日本経済は成長しない」と感じ、同じ志を持つメンバーが集まるエメラダに参画したと話す。
——猪野社長がエメラダに参画した経緯を教えてください。
私は、大学を卒業後、証券会社に就職をしました。経済学は「人間は合理的な判断をするもの」という前提で考えます。一方で行動経済学は「人間には感情があり、非合理的な判断もする」という前提で考えます。
私も行動経済学の考え方は正しいと考えていますが、金融市場は一定のレベルまでは合理的であるべきだと考えています。ところが、現在の金融市場には情報の非対称性があるため、あまりにも合理的に機能していないと感じていました。
むしろ、意図的に合理的ではない相手によって提供する情報を変える、いわゆる「相対取引」を行うことで、自社の利益を確保していることが多々あると感じていました。これだと金融市場は合理的には動かず、日本経済は成長していかないと感じていました。
そこで、公平で透明な金融市場を構築したいと考え、起業することを決意しました。ところが、大手金融機関やベンチャーキャピタルに行って話をしてもなかなか理解していただけない。
審査というより尋問を受けているような気分になり、「私が起業できないという事は日本の損失になるのではないか」と大きな疑問を感じました。公平で透明でチャレンジが推奨されるような金融市場をつくらないと、起業家は潰されてしまうという思いは今でも変わっていません。
その時、エメラダと出会い、ここであれば自分がやりたいことを実現できると感じて入社しました。その後、私がPM/POをしている事業がエメラダの中核事業に育ってきたため、CEOを務めることになりました。
——今後の貴社のビジョンはどのようなものでしょうか。
当面の目標は、より多くの金融機関の方にエメラダのサービスを使っていただくことです。現在は信用金庫と地方銀行が中心になっていますが、ノンバンク業界にもサービス対象を広げている最中です。
現在は5つのサービスを提供していますが、構想の5%程度しか実現できていません。残る95%の実現を急ぎ、10年後か20年後かはわかりませんが、売上高1兆円超えをねらえるポジションにいることが中長期目標です。
今後、リーチしていかなければならないと感じている分野は主に2つあります。
一つは決済の分野です。ここも多数のプレイヤーが複雑に絡み合い、非効率的になっています。もう一つはプラットフォーマーになるということです。
例えば、エメラダのサービスを利用する中小事業者は、特定の金融機関だけを使っていても、その信用力がプラットフォーム内でディスクローズされ、他の機関からも自由に資金調達ができる、そんなプラットフォームを構想しています。
——エメラダの現在のメンバー構成や働き方を教えていただけますか。
現在、弊社の人員体制は、エンジニアが約25人、営業は4人、また、導入していただいている金融機関に対してコンサルティングとサポートを提供するアカウントマネージャーが6人となっています。今後は、目標から逆算して従業員数を増やしていきたいと考えています。
ぜひ弊社に参加していただきたいのが、各セクションのリーダーとなれる方です。エンジニアリングを統括するCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)、社内文化を統括し採用活動を行うCHRO(チーフ・ヒューマンリソース・オフィサー)は、私が兼任しているのが現状で、これを変えていかなければスケールの限界に突き当たることになります。そのため、各分野で「その分野で、私よりも優秀な人」はたくさんいるはず。そういった方にきていただきたいです。
仕事の仕方はフルリモートです。コミュニケーションを取るために出社するメンバーもいますが、私は出社の有無について何か言ったことは一度もありません。必要があるときにだけ出社するというのが基本です。ですので、東京以外に在住の方でも、業務に差し支えがない限り、住んでいる場所は問題ではありません。
また、コラボレーションツールは便利なために使っていますが、基本はSlackやNotionを介した非同期的な働き方をしています。そのほうが集中しやすいということもありますが、私の中では10年後にはグローバル企業ではそれが当たり前の働き方になっていると思っているので、今からその働き方をしておきたいという理由です。
——最後に、貴社への入社を目指す方へのメッセージをお願いします。
採用の条件は「仕事が好きな方」です。夢の中でも仕事をしている、夢にまで仕事のことが出てくるというような方に手を挙げていただきたいです。他の人に対して「私は仕事が好きです」と堂々と言えるというのはそういうことだと思っています。
フルリモートですので、コアタイムを除けば働く時間に関しては自由です。ただし、成果を出す人はやはりえてして時間をかけているという思いがあります。
私たちエメラダのビジョンは「あまねく人に金融の自由を」で、社内のスローガンは「世の中に影響を与えるものを残そう」です。私たちのウェブサイトに、ビジョンや企業カルチャーの説明も掲載しています。期待値は高いですが、エメラダのビジョンやカルチャーに共感できる方にはぜひ手を挙げていただきたいと思います。
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