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「リザーバコンピューティング」というテクノロジーの力で、一部に集中してしまうために起きる諸問題を解決したい

株式会社Quantum Core
代表取締役 CEO 秋吉信吾

「リザーバコンピューティング」というテクノロジーの力で、一部に集中してしまうために起きる諸問題を解決したい 「リザーバコンピューティング」というテクノロジーの力で、一部に集中してしまうために起きる諸問題を解決したい
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住 所 東京都品川区⻄五反田2-14-13
URL https://www.qcore.co.jp/
株式会社Quantum Core代表取締役 CEO 秋吉信吾
小学3年生のときに古いマイコン(※古いパソコンのことをそう呼んでいた)でプログラミングをはじめ、90年代にサーチエンジンに触れ感銘を受ける。その後大学院で高速検索アルゴリズムや機械学習・クラスタリング・統計モデルを活用したテキスト解析など自然言語処理の研究をした後、2010年にエキサイト株式会社に入社。多数のポータル関連サービスの開発保守や自然言語処理を活用した新規サービスの開発、検索エンジン導入プロジェクトなどを担当する。2012年ごろ独学で深層学習を学び、2014年にスタートアップスタジオを実践していたベンチャーキャピタルのMistletoe株式会社に入社。深層学習を活用した音声認識や画像認識、対話エージェントなどの研究開発を担当。その後、株式会社デジタルガレージを経て、2018年にQuantumCore株式会社を創業、代表取締役CEOに就任。
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リザーバコンピューティングは、少量のデータで計算可能な”夢のような技術”

私たちQuantum Coreのコア技術は、リザーバコンピューティングです。これは人工知能を実現する機械学習の一種です。人工知能の分野では、深層学習(ディープラーニング)が有名です。しかし、深層学習は学習に大量のデータを必要とし、大量の計算を必要とします。大量のデータをどうやって集めるのか、大量の計算をどうこなすのかという問題に直面して、エンジニアの方は相当に苦労をしているのが現状です。一方で、リザーバコンピューティングは、学習に必要なデータは少量でよく、計算量も少ない。夢のような技術なのです。

例えば、10人の会議の音声を、どの言葉を誰が話したかを判別するタスクを考えてみましょう。深層学習では、その10人の音声データを大量に用意して、数十時間を超える計算をさせて、ようやく判別ができるようになります。私たちQuantum Coreのリザーバコンピューティングでは、1人3秒程度、製品レベルの精度を出す場合でも10秒程度のデータでかまいません。しかも、計算は普通のPCを使っても1秒以内で終わります。会議をするときに、PCを1台置いておき、全員に挨拶や自己紹介をしてもらうだけで話者判別ができるようになり、自動的に議事録が作れるようになります。

なぜ、そんなことができるのでしょうか。深層学習は入力層、中間層、出力層と複層構造になったニューラルネットワークを学習させていきます。データを入力してみて、出力が正しい結果とずれていた場合は、その結果に基づいて中間層の重みづけを更新していきます。これが「学習」です。しかし、中間層の重みづけを修正する計算は複雑で、これを何万回、何十万回と繰り返さなければなりません。

一方で、リザーバコンピューティングは、中間層の重みづけを更新しません。ランダムな状態のそのままを利用します。最後の出力層に近い部分しか更新しない。これがリザーバコンピューティングの計算量が少ない理由です。

リザーバというのは溜め池(中間層)、小石(データ)を投げ入れて起こる波紋を観測

では、どうして中間層を更新しないで学習ができるのでしょうか。リザーバというのは溜め池のことです。溜め池に小石を投げ入れると波紋が起きます。小石が入力データ、溜め池が中間層、波紋を観測することが出力に相当します。小石は重さ、形状、材質といったさまざまな属性を持っていて、投げ入れると、その属性を反映した波紋が起きます。この波紋を観測して、そこから特徴抽出を行うのがリザーバコンピューティングです。波紋から特徴抽出を行うために多少の計算は必要ですが、溜め池そのもの(中間層)はそのまま使います。

小石Aを入れて、一定時間後に小石Bを投げ入れる。すると、AとBの特徴、さらにはAとBの時系列の関係性まで含んだ波紋が起きます。これを観測して特徴抽出すればいいのですから、リザーバコンピューティングは時系列データを扱うのに向いています。

深層学習の場合は、何万個もの小石を投げ入れて、溜め池の物理特性を変えていき、特徴抽出が可能になる状態に育てることから始めなければなりません。この学習プロセスに手間と時間がかかるのです。

リザーバコンピューティングは、1990年代後半ごろから研究されていましたが、精度が上がらず大きな成果を上げることができませんでした。深層学習に押されてしまっていました。しかし、私たちQuantum Coreは、ここが私たちの独自技術で、特許出願もしているところですが、入力する前に、データに一定の前処理をすることで、精度を大きく向上させることに成功しました。

私たちの独自技術について詳しくお話しすることはできませんが、常識的なデータサイエンティストでは、まずやらないアプローチを試したところ、突破口が開けたのです。

「今の段階ではパーソナルヘルスケアなど少ないデータを扱う分野に狙いを絞る」

秋吉社長は、リザーバコンピューティングについて、「時系列データの分析であれば、どのような分野にも応用できますが、今の段階ではパーソナルヘルスケアなど少ないデータを扱う分野に狙いを絞っています」と語り、その理由として、「ビッグデータがあれば深層学習も精度に関しては出せるが、少ないデータで精度が出せるのはリザーバコンピューティングだけであり、また例えばパーソナルヘルスケア分野は個人のデータを扱うので、データ量が少ない、時系列のデータが多いということからリザーバコンピューティングの長所を活かしやすい分野だからです」と話す。

「今の段階ではパーソナルヘルスケアなど少ないデータを扱う分野に狙いを絞る」

独自技術によるリザーバコンピューティングを事業会社に提供するビジネスを展開

私たちQuantum Coreは、この独自技術によるリザーバコンピューティングを事業会社に提供するビジネスを展開しています。まず、事業会社様とPoC(実証実験)をさせていただいて、効果を確かめていただいてから、ライセンス供与やサブスクリプションを提供するというビジネスです。

現実の機械学習案件は、画像認識の領域を除けば、実は深層学習は向いていません。同種のデータが都合よく何万件もそろっているということはほとんどないからです。事業会社が機械学習にトライをしても、まずデータ不足に陥ります。その限られた条件の中でなんとかしようとするので、精度が上がらないということになります。私たちのリザーバコンピューティングであれば、「今あるだけのデータで、まず試してみませんか?」ということができます。機械学習を導入したい企業、また一度導入したけど失敗したと感じている企業からの強い手応えを感じています。

私たちのリザーバコンピューティングは、時系列データの分析であれば、どのような分野にも応用できますが、今の段階ではパーソナルヘルスケア分野など少ないデータを扱う分野に狙いを絞っています。例えばパーソナルヘルスケア分野は個人のデータを扱うので、データ量が少ない、時系列のデータが多いということからリザーバコンピューティングの長所を活かしやすい分野だからです。ウェアラブルデバイスをつけていただき、その振動データから、寝ている、歩いている、自転車に乗っている、フィットネスをしているなどの行動を自動判別して、自動ログを取ることができます。介護、看護などの領域でも活用が進むかもしれません。対象者が寝ている、寝返りを打っているなどの行動を自動記録したい時、カメラを使って画像解析で行う方法も考えられますが、プライバシーの問題から避けられがちです。振動データのみから、行動を判別できるリザーバコンピューティングが向いています。

もうひとつは製造業への応用も進んでいます。製造ラインにさまざまな計測センサーを導入して、製造プロセスの異常値を検出し、故障などを予測したいというニーズがあります。しかし、センサーを入れたのは最近のことなので、1ヶ月分のデータしかないというようなことも多いのです。リザーバコンピューティングなら、直近1ヶ月のデータでも、異常値を検出する仕組みが作れます。

センサーというのは経年劣化をします。センサーを交換すると、以前の数値とそれ以降の数値にはずれが生じます。古いセンサーデータを元にシステムを構築して、それを新しいセンサーで計測すると思わぬ問題が生じることがあります。そうならないように、継続的にキャリブレーションをかけ続けて、補正していく必要がありますが、このようなキャリブレーションの基準としてもリザーバコンピューティングが有効です。

一部に集中してしまうために起きる問題は「波動の乱れ」、最適分散させれば解決可能

私たちQuantum Coreは、リザーバコンピューティングのコア技術により、3人で起業しました。私とCTO(開発)、CRO(研究)の3人です。ここにビジネスサイドを任せられる方を現在探しています。開発、研究、ビジネスが揃うことで、企業としての形が整うことになります。

同時に、開発エンジニアも採用しなければなりません。事業として、WebAPIのサブスクリプションサービスを考えていますが、現在のAPIはテスト用のもので、本格運用に耐えるものにリプレイスする必要があります。デプロイから運用まで任せられるウェブエンジニアが必要です。

また、データの前処理ができるデータサイエンティストも必要です。リザーバコンピューティングに合う形に加工する業務を担当していただきたいです。

このような必要な人材を確保して、今年度中に8人体制になることを想定しています。また、外部に強力メンバーもいますので、合わせて15人から16人体制になります。

Quantum Coreの事業では、センサーデータ、特に周波数の形になっているデータを扱うことが多くなります。信号処理の知識や経験がある方が入ってきやすいと思います。

リザーバコンピューティングは、計算量が少ないので、ラズベリーパイのようなマイコン上でも問題なく扱えます。それだけでなく、より小さなチップ上で動作させることが可能です。例えば、腕時計であるとか、乾電池で動作するようなデバイスであるとか、製造ラインに組み込む制御機器などでも可能です。このような小さなデバイスで、人工知能関連技術が扱える可能性があるというのは、今のところリザーバコンピューティングだけです。安価なセンサーで複雑な問題が解ける。メモリーサイズ数十Kの領域まで人工知能関連技術を組み込むことができる。私たちQuantum Coreはそこに挑戦をしていきたい。

私たちは、テクノロジーの力で世の中の波動を均していきたいと考えています。朝夕の通勤ラッシュ、週末の道路渋滞、保育園の待機児童の問題。このような問題は波動の乱れなんです。絶対的なリソースが不足しているのではなく、一部に集中してしまうために問題が起きているのです。この波動を均して、最適分散させれば解決できる問題です。

深層学習は素晴らしいテクノロジーですが、現実には、画像解析以外の領域ではなかなか応用できないという壁に直面しています。言い換えれば、私たちの世界はまだ画像しかAI化されていないということです。私たちQuantum Coreは、深層学習がAI化できていないすべての領域をAI化していきたい。この世界をAI化し、社会課題を解決していきたい。それが私たちQuantum Coreの究極の目標です。

この大きな目標に向かって、一緒に走ってくれる方に、Quantum Coreに加わってほしいと思っています。

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