株式会社フジテックス
代表取締役社長 一森 雄介
住 所 | 東京都新宿区大久保3-8-2 住友不動産新宿ガーデンタワー 13階 |
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URL | https://fjtex.co.jp/ |
――まず、ご経歴をお聞かせいただけますでしょうか。
私はフジテックスの創業者ではなく、新卒から叩き上げでキャリアを築き上げてきた人間です。
2003年に新卒で株式会社富士テック(現フジテックス)へ入社し、営業、マーケティング、商品開発、調達部門など業務を経験し、2020年4月より4代目の社長に就任しました。
――フジテックスに入社しようと思ったきっかけを教えてください。
就活中に参加した合同企業説明会で、たまたまフジテックスのブースに立ち寄り、そこで当時の人事担当者が就活生である私に親身に接してくれたのがきっかけです。
その際、「うちは商社なので、”これをやってはいけない”という制約はない。世の中のニーズを捉え、自由に商品やビジネスを立ち上げることができる会社だよ」というニュアンスの説明を受け、そこに面白さを感じました。
さらに商社ということで幅広い業界と接し、それぞれの分野ごとの課題やニーズに対して、多彩な商品を提案していけるような仕事内容にも強い魅力を感じ、入社を決めました。
――2020年4月より代表取締役社長に就任されたわけですが、どのような変化が起きましたか?
代表に就任してからこれまで副社長である塩塚と二人三脚で、良い部分は伸ばし、変える必要がある部分は積極的に改革を進める、というスタンスで経営を行ってきましたが、中でも最初に着手したのは自分たちの原点に立ち返ること、すなわち「企業理念に立ち返る」ことでした。
私が社長に就任した当時は売上規模が100億円の少し手前だったこともあり、会社の雰囲気としては売上や数値を優先し、利益至上主義的な雰囲気が色濃い部分がありました。
しかしそれではフジテックス本来の「私たちは、お客様により良い商品を提供します。」という企業理念から離れてしまう懸念がありました。
特に2020年4月は世界がコロナ禍という厄災の最中にあったこともあり、すべてのお客様が先行きの見えぬ国難に疲弊していた時期です。
そんな状況だからこそ、自分たちの存在意義は何か、何か役に立てることはないか、お客様の声を広く集め、考えました。そして企業理念に立ち返ることが大切だと考え、フジテックス本来のお客様に深く寄り添った営業スタイルへと修正を行いました。
そうした営業スタイルによって、お客様の潜在的なニーズやお困りごとにアプローチしやすくなり、結果的に売上も伸ばすことができました。この経験から、当社が追求すべきは企業理念である「お客様にとってより良い商品かどうか」であり、お客様に必要とされる商品を提供していけば、売上や利益は後から付いてくるということをまさに体感した出来事でした。
――フジテックスが展開する事業についてお聞かせください。
現在、販促事業、環境事業、物流事業の3つの主要事業を柱に、エネルギー事業、リユース事業、人材事業、健康事業、サニテーション事業の5つの成長事業を加え、8事業を展開しています。
第1に、高品質低価格のラミネートやロール紙、看板・サイン専用プリンター、POPやのぼり加工など、店頭販促に欠かせない資材や機器の企画・販売を行う「販促事業」。
第2に、粉砕機や木材チッパー、発泡スチロール溶融機、金属プレス機をはじめ、廃棄物のリサイクルに欠かせない機器やソリューションを提供する「環境事業」。
第3に、搬送ロボットや包装・梱包機械といった物流機器および物流ソリューションの提供を通じて、物流の現場を支援する「物流事業」。
これらの3つの主要事業で安定した収益を生み出し、それによって積極的に新たな事業展開を図っています。
そうして生まれた成長事業として、BtoB向けにリユースのパソコン・タブレットを提供する「リユース事業」、感染症対策用品や介護業界向けに衛生用品の企画・販売を行う「サニテーション事業」、医療機関向けにサプリメントの企画・販売を行う「健康事業」、太陽光発電のEPC事業者や工事会社向けにフェンスや防草シート等の資材の輸入・販売を行う「エネルギー事業」、環境エネルギー分野向けに人材紹介サービスを行う「人材事業」を展開しています。
――フジテックスの強みや特徴はどこにあるとお考えですか?
「ある1つの商品を起点に取引が始まり、そこからお客様のビジネス環境に合わせて最適なソリューションを提供しながら、バリューチェーン全体を俯瞰し、お客様の課題を解決できるようなトータルな提案が行える」という点でしょうか。
たとえば、販促事業ではラミネートに必要な機器やフィルム等の販売だけでなく、業務用プリンター機器やサプライ、後工程のカッティング機や展示するためのパネル、什器まで一貫してご提案しています。さらにはバックヤードや物流資材の提供までワンストップで販促全体に必要な商品をソリューションとして提供していくことができます。
そこに、物流事業や環境事業、その他事業を絡ませることでより深いレベルでのトータルサポートを行っていけることも当社の強みだと言えます。
――それぞれの事業の業界でのポジションという点ではいかがでしょうか?
販促事業で言えば、業務用ラミネート機器とフィルムの販売は業界でもリーディングカンパニーであり、また大型のポスター印刷やCAD用プリンターも毎年1,000台以上販売しており、国内の業務用プリンターを扱う代理店の中でもトップ3に入ります。
サプライ品である大判プリンター専用紙の販売においても、マーケットシェアの30%以上を堅持しており、これも国内でトップクラスです。街中や商業施設、公共施設などで見かけるポスター用紙の多くは当社が提供させていただいているものが多く、ポスター作成の際に欠かせない校正用紙などにおいても大きなシェアがあります。
環境事業においても、30年以上前から全国の廃棄物処理業や排出事業所に向けて、粉砕機や木材チッパー、発泡スチロール溶融機、金属プレス機などを納入しており、これまで5000件以上の実績と経験、ネットワークがあります。最近ではコロナ禍において、WEBセミナーなどを定期的に開催し、補助金情報や法改正情報等、今お客様が必要としている情報提供にも注力しており、業界内での確固たるポジションを確立しています。
――なぜ、ここまでシェアを伸ばすことができたのでしょうか?
いずれも商社としての機能と強みをフルに活かしているからです。
お客様のニーズや動向を先読みし、国内外の仕入れ先を独自に開拓して調達を行うことはもちろん、上流であるメーカーに対して原材料や仕入れ交渉を行い、それを元に提携先の工場で加工を行い、ユーザーに提供するまでの流れなども自在にコーディネートすることができています。
また、販路に関しても全国主要都市に営業拠点と物流拠点を配置し、基本的には代理店を介さず、WEBマーケティングとインサイドセールスも活用しながら、対象者であるエンドユーザーにダイレクトに販売する方法を採っております。
つまり、お客様にとって徹底的に無駄な商流を省いた最適な仕入れの実現とそれを独自の販路を活用することで、より良い商品を高品質かつ低価格で提供しています。
一森社長はフジテックスについて、「社会に大きな変化があったタイミングでそれに呼応したビジネスをいち早く立ち上げていくのが当社のスタイル」と語った上で、「時代の変化すべてが当社にとっての転機になっていく可能性がある」と語る。
――事業展開における「テーマ」はありますか?
当社では「事業を通して、社会の一翼を担う。」というミッションのもと、外部環境の変化を先読みし、お客様の「環境改善」に貢献することをテーマに、事業展開を行っています。
近年、企業の社会的使命として環境保全や環境負荷低減に取り組んでいますので、持続可能な社会の実現のために、商品の企画・開発を行う際にも、可能な範囲で再生原料を用いたり、繰り返し使えるような機能性を持たせたりするなどして、サステナブルな商品の提供を心掛けています。
自然環境という観点で、当社にはリサイクルシステムや効率的な廃棄物処理のソリューション提供を行う「環境事業」や、太陽光発電をトータルに支援する「エネルギー事業」、PCなど情報機器を再利用して提供していく「リユース事業」、環境エネルギー分野に向けた人材紹介サービスを提供する「人材事業」など、SDGsやサステナブルな社会の実現に直接的に関わる事業部門を有しています。
そして、「環境」と聞くと、自然環境に対する負荷低減など環境保全的なイメージを思い浮かべがちですが、当社では「環境」を広義で捉え、たとえば販促事業の領域で言えば「売り場環境を豊かにしたい」という観点で様々な商品やサービス、それらを組み合わせたソリューションを提供し、お客様のビジネス環境そのものを包括的に支援していくような取り組みに力を入れています。
それ以外にも、少子高齢化により人手不足が深刻化する物流現場を支援する「物流事業」では省人化やCO2削減、省エネルギー化の実現をはじめとした環境的な課題を解決に導くソリューションの提供を行っていますし、「サニテーション事業」では感染症対策商品やオフィスや施設の衛生環境を向上させる商品などを提供している点で、これも環境に大きく関わるビジネスです。
また、医療機関向けサプリメント、健康機器を取り扱う健康事業なども、「人生 100年時代」におけるヘルスケアソリューションを提供するという意味で環境に深く密接したビジネスだと言えますね。
――これまでの事業展開の中で転機となったものはありますか?
もともと当社はラミネート機器とフィルムの販売からスタートし、そこから派生的に環境事業や物流事業と事業の多角化を進めてきましたが、どの事業も発足の背景には、必ず大きな社会変化がありました。
例えば、現在のリユース事業の前身である中古事業はリーマンショックの中で発足しました。その時期はかつてないほどに景気が冷え込み、さまざまな生産工場が操業を止めたり、廃業により設備機器を手放したりするような状況が加速していました。
一方で「設備を導入したいけど新品を導入するほどの資金がない」という企業も多く、その両方のニーズに応えるかたちで中古の生産設備を取り扱う中古事業が立ち上がりました。
また、東日本大震災の際には、震災発生翌日に対策本部を設置し、すぐにフランスのメーカーと交渉を行い、業務用の放射能検知器を調達して震災復興の現場へと供給する復興事業をいち早く立ち上げました。被災されたお客様が困っていることは何か、追及した結果でした。
さらに汚染された泥土を封入するフレコンバッグや、瓦礫など災害廃棄物を破砕する機械なども取り扱い、復興支援の一助を担ってきました。
直近では、2020年4月に立ち上げたサニテーション事業は、コロナ禍初期に立ち上がった事業であり、マスクやアルコール消毒薬など感染症対策商品を取り扱い、海外の仕入れネットワークなども活用することで、全国的なマスク不足や消毒薬不足の解消に少なからず貢献できたと思います。
このように、社会に大きな変化があったタイミングでそれに呼応したビジネスをいち早く立ち上げていくのが当社のスタイルでもあります。
そういった意味では、時代の変化すべてが当社にとっての転機になっていく可能性があると言えるでしょう。
――フジテックスの社風についてお聞かせください
「商人としてのマインドが強い会社」でしょうか。
当社には現在8つの事業部がありますが、それぞれの事業部の営業担当は事業部の壁を超えて全事業の商品を自由に提案することができ、またそれを実現するための横の連携の制度や仕組みがあります。当社の営業はまさに商人のようにお客様に対して、自身の事業部が扱う商品提案にとどまらず、他の事業部の商品も組み合わせ、あらゆるお客様の課題を包括的に解決へと導くような発展性に富んだセールスを行うことができます。
このように8つの事業部が有機的に連携し合い、お客様の課題に対してトータルなソリューションを提供していくクロスセルの文化が自然に浸透していることがフジテックスの社風であり、また商社としての醍醐味だと言えます。
また、時代や社会の変化を敏感に察知し、いち早くそこから生まれるニーズに対応する事業を展開していく事業モデルなので、営業担当が「こんなことをやりたい。」と声を上げれば、それを元にすぐに商品化やサービス化、事業化を実現できるようなボトムアップ文化もあります。現にリユース事業を中心になって進めたのは入社3年目の若手社員なんです。
――3年目の若手の方が新規事業を立ち上げたのですか?
はい。もちろん他部門のサポートや経営陣、マネージャーの協力もありますが、まずは所属部署でしっかり結果を出し、それを継続していくことができれば、若手であっても新規ビジネスを創出する機会があります。新規事業に限らず、顧客起点の商品開発というレベルであれば、入社1年目でも新商品を生み出す例は当社では決して珍しくはありません。
例えば、入社1年目の新入社員が環境配慮型の再生材100%の業務用ゴミ袋を商品化しましたが、これは担当している顧客の声をもとに、市場調査やメーカー開拓を行い、新しく取扱いを開始したものです。
このように「世の中が必要としている」、「お客様が必要としている」といったものを営業担当者が主体的に動くことで、実際に商品化できるのは当社で働く大きな魅力の1つだと思います。
――その他にフジテックスならではの文化はありますか?
現在、従業員数150名、取締役4名と適度な規模感の組織につき、大手企業に比べても、意思決定やビジネス化に至るスピードが極めて速いので、社会変化にいち早く適応することができ、常に時流に乗った未来志向のビジネスを展開していけるのも当社ならではと言えるでしょう。
また、新規事業には先行投資としてヒト・モノ・カネが必要ですが、この点も既存の8事業いずれもが安定した収益を生み出しているので、創業間もないベンチャー企業と比較してもこれまで培ってきた経営資源と安定した財務基盤があり、積極的に新しいチャレンジがしやすい環境も揃っていますね。
職場環境については、全社員がワンフロアに集約されているので事業部間の連携が取りやすい他、社長室や役員室などもなく、経営陣も社員と同じフロアで肩を並べて仕事しているので、自然にコミュニケーションが取りやすく、提案や意見を言いやすい環境があるのも当社ならでは。
社員の「こんなことがやりたい。」という声に応えていきやすい環境が整っています。
――社員構成に関してはいかがですか?
営業が全社員の7割程度、あとは営業サポートや管理部門、管財部門、WEBサイト構築や商品ページを制作するクリエイティブ部門のほか、マーケティング部門などのメンバーで構成されています。
当社の社員の傾向としては、日々の仕事を通じてスキルアップや自己成長、自己実現を図っていきたいという前向きで意欲的な方が多いと感じています。
同時に社会の変化に呼応しながらビジネスを展開していく商社ですので、変化すること自体を楽しんでいて、新しいことが好きでフットワークが軽い方が多いのも特徴です。
社員の平均年齢は31歳と若く、経営陣も代表の私が40台前半、その他の役員・マネージャーも30代から40代が中心であり、若い世代の方が多いですね。
あらゆるビジネスのヒントは現場にありますので、ボトムアップで現場の正確な情報が上に提案、報告しやすい組織作りには力を入れていて、顧客ニーズカードや業務改善提案制度なども取り組んでいます。そういう中から、若手社員からも「こんなものを商品化してみたい!」や「こんな仕事をやってみたい!」という本音が上がってくるようになりました。
先日、ある営業社員から「これからのフジテックスを担う新卒採用に関わりたい。」と相談を受け、その意欲に応えるかたちで新卒リクルーターという役割を任せ、採用チームの一員として取り組んでもらっています。
――これからの展望についてはいかがですか?
現在の多角化戦略をさらに推し進め、当社が50周年の節目を迎える2035年には100事業まで拡げたいと構想しています。
具体的には年商10億円の事業を100事業まで拡大し、1000億商社として、社会に対するお役立ちを今よりも大きく、より高いレベルで社会課題解決を図っていくという「100事業構想」の実現を経営ビジョンとして掲げています。
そうした新しい事業を数多く創出するにあたっては、やはり人材育成と採用強化が極めて重要ですね。企業理念の実践を通して、常にお客様や社会の一翼を担うことを中心に考え、新事業創出に強い意志と熱量を持って取り組んでいける商人を数多く輩出していきたいです。
社員それぞれの実現したい夢や希望をフジテックスなら叶えられるフィールドがあり、それが会社の成長につながり、より多くの社会課題や業界課題を解決していける会社を目指しています。それこそが100事業構想であり、これからも社員と一緒に会社も成長しながら、お客様そして社会の一翼を担う新たなビジネス展開を図っていきます。
――これからの新たな第二創業期を迎え、さらなる成長を遂げていくということですね。
そうですね。2022年7月28日に日本最大のベンチャーキャピタルであるジャフコグループと資本提携を行い、企業としての総合力が強化されたことで、IPOや海外展開といった構想がかなり具体的なものとなってきました。
まずは2025年までに売上200億円という中期経営計画を確実に達成するために現在は、体制強化と採用強化に重点的に取り組んでいます。
これからも当社は環境、物流、販促を軸に、「事業を通して、社会の一翼を担う」というミッションのもと、外部環境を先読みし、商人として常に新しい事業を創造し続けていくことで、これからも非連続な成長を実現していくとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
株式会社フジテックス 代表取締役社長 一森 雄介に関するページ。転職エージェントならマイナビエージェント。マイナビの転職エージェントだからできる、転職支援サービス。毎日更新の豊富な求人情報と人材紹介会社ならではの確かな転職コンサルティングであなたの転職をサポート。転職エージェントならではの転職成功ノウハウ、お役立ち情報も多数掲載。