エルピクセル株式会社
代表取締役 島原佑基
住 所 | 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学アントレプレナープラザ701 |
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業 種 | 研究者支援/IT関連/ソフトウェア研究 |
URL | https://lpixel.net/ |
私たちエルピクセルは、バイオイメージインフォマティクスを強みとする大学発のベンチャー企業です。聞きなれない言葉だと思いますが、日本語で言えば、生物画像解析となります。生物試料の顕微鏡画像などを大量に撮影して、これを人工知能(AI)などを使って解析をするソフトウェアを開発しています。医療、製薬、農業などのライフサイエンス分野で用いられています。
医療分野ですと、昔は医師が1枚のレントゲン写真を撮影して、病巣があるかどうかを診断していました。ところが、今は技術が飛躍的に進歩して、CTやMRIでは簡単に2000枚位の画像が撮れてしまうのです。診断の精度も飛躍的に上がったのですが、これを見る医師の負担もものすごく大きくなっています。2000枚を全て見て、極端なことを言うと、それを1枚でも見落としてしまうと、ミスにつながってしまう可能性があるのです。
そこで、私たちが開発したソフトウェアを使って、2000枚の画像を人工知能(AI)が処理をする。人工知能(AI)は診断まではできませんが、医師の診断業務を支援することはできます。
製薬の分野でも人工知能(AI)は活躍しています。製薬の世界では昔から「3万種類の化合物を発見しても、市場に出るのは1つ」と言われています。例えば、化合物の毒性を評価する場合、化合物を細胞に付加してみて、何個の細胞が生き残り、何個の細胞が死滅するかを、数える作業が発生します。交通量調査などで使うカウンターを使って、顕微鏡を覗き込みながら、ひとつひとつ手作業で数えていくのです。これは膨大な作業です。このような細胞画像を撮影して、人工知能(AI)で判断し、さらに細胞の形状等の情報を自動で解析するようなシステムも開発しています。
私は、子どもの頃から、自動車のエンジニアになりたいと思っていました。21世紀ならではの自動車を作る人になりたい、そう思っていました。しかし、大学受験の時に、山中伸弥教授のiPS細胞発見のニュースを聞いて、稲妻に打たれたような思いを経験しました。「これは自動車を作っている場合じゃない。21世紀は生物を作る時代になる!」。そう直感しました。
そこで大学では、これまで学んだことがない生物学に転向しました。したがって、私はピュアな生物学のサイエンティストではないのかもしれません。生物学におけるエンジニア志向なのだと思っています。
学生の間に起業しようと考えたことがないわけではありませんが、自分のスキルが足りないということもわかっていました。そこで卒業後、グリーを含む2社のIT企業に入社して、事業戦略やグローバルな仕事をしました。
アカデミックな世界は元々国境がないグローバルな環境です。しかし、私は長期の海外留学の経験がないために世界を知らない。起業するにはグローバルに関するスキルが絶対に必要だと思って、それを身につけるためにビジネスの世界で修行をしました。
2013年頃、「東大発ベンチャー」という言葉があちこちで言われるようになりました。以前から「起業をするなら一緒にやろう」と半ば冗談で話していた研究室の仲間2人と、ものすごく気軽な気持ちで、「会社の登記だけでもしてみよう」という感覚で"起業"しました。週末や平日の夜の時間を使って、副業的に会社を運営しながら、必要なスキルを学ぶつもりでした。
ただ、驚いたことに、その副業的にやっていた会社に、さまざまの分野からものすごく多くの問い合わせが寄せられるようになったのです。その問い合わせの内容というのが、「画像の枚数は増えていくのに、解析できる人がいない。人工知能(AI)を使ってなんとかできないのか」というものでした。その問い合わせに応じるうちに、人工知能(AI)ブームもあって、抱えきれないほどの仕事の案件を抱えるようになりました。
もう、私たち3人では仕事がこなせない。それで社員を採用することにしたのですが、代表である私が副業では雇った方々に責任が果たせないと思い、勤務先を退職して、エルピクセルに専念することにしたのです。
エルピクセルの社員に共通するもの。それは、「誰もやったことがないまったく新しい事業をやりたい、イノベーションを起こしたい」という強い気持ちだ。
それから事業は順調に成長しています。でも、無理な拡大はしない。4年間、石橋を叩きながら走り抜けてきました。
私たちの究極の目的は、研究者が思いっきり自由に基礎研究ができる環境を構築することです。基礎研究こそイノベーションの根幹なので、そういうこともできる民間研究所をつくりたい。大学や企業にも研究機関はありますが、大学は公金が使われているため研究者は常に説明責任を求められます。企業は事業を行わなければならないので、応用研究が主体でなかなか基礎研究ばかりは行えません。
私たちエルピクセルは、しっかりと事業を行い、研究者が思い切り基礎研究ができ、それらの成果を社会に還元できるオープンイノベーションを柱とする環境も作り、大学、企業に次ぐ第三極の理想の研究機関を作る。それが最終目標です。
私たちエルピクセルは、ライフサイエンスとITの境界領域の事業を手がけていますが、むしろ今後は、ライフサイエンスの知識がない人も積極的に採用していきたいと思っています。なにかしら尖っているものを持っている方なら、どんな分野の方でも大歓迎です。ただし、自分の知らない分野を専門としている人に対し、尊敬と威厳の念を保って接することができることが条件です。そのマインドがあることで、初めて多様性に相乗効果が生まれます。
例えば、私がかつて勤めていたようなゲーム会社のエンジニアの方が応募してきたら大歓迎ですね。優秀な方ばかりでしたし、ゲーム開発には人を楽しませるという極めて高い能力が必要です。
確かにライフサイエンスとゲームは一見関係がないように誰もが思います。しかし、医療が楽しくなって、何がいけないのでしょうか? むしろ、そこから新たなイノベーションが生まれてくるのだと思います。
エルピクセルにはさまざまな方が働いています。年齢も様々、国籍も様々です。エルピクセルの最大の強みはダイバーシティ、多様性だと思っています。しかし、現状はどうしてもライフサイエンス系や人工知能のアルゴリズム系の人が多いです。もちろんこれらタレントはこれからも積極的に募集していきますが、多様性を確保する意味でも、一見、ライフサイエンスとは関係がないように見える方やゲーム会社の出身のような方にも積極的に手を挙げていただきたいと思っています。専門知識がなくても、持っている人とチームを組んで仕事をすればいいのです。
エルピクセルには様々な人が働いていますが、ひとつだけ共通していることがあります。それは全員が、「0から1にする仕事こそ面白い」というマインドを持っていることです。誰もやったことがないまったく新しい事業をやりたい、破壊的なイノベーションを起こしたい、大学発ベンチャーのロールモデルになりたい。そういう強い気持ちさえあれば、どんな分野の方でもお会いしたい。お会いして、話をして、エルピクセルでどのようなことができるかを語り合って、ぜひ、私たちの仲間に加わっていただきたいと思います。
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