板金設計
板金を加工して部品や製品を作る際、品質面でもコスト面でも、最も合理的な加工プロセスを計算によって導き出す専門技術職です。
「板金設計って何をする仕事なのだろうか」
「板金設計に興味はあるものの、長く安定的に働けるか不安」など、
板金設計という仕事に対して興味や疑問を抱いていませんか?
板金設計とは、製品のボディや部品に使用する金属素材や板金の加工方法などのルールを選定し、
設計図を作成する仕事です。
機械設計を行ううえでは必須スキルであり、
いわゆる「ものづくり」の現場になくてはならないポジションです。
今回は、板金設計の概要や仕事内容、将来性、魅力や難しさ、
年収、キャリアパスなどについて解説します。
板金設計の仕事に興味がある場合は、
ぜひ最後までご覧ください。
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この記事のまとめ
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板金とは、平らに伸ばした金属素材。加工の自由度が高いことから、私たちの日常生活にまつわるあらゆる製品に活用されている。
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板金設計の仕事は、今後も高い需要が見込まれている。
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板金設計は未経験者から活躍を目指せる仕事で、未経験の場合は補助的な役割から経験を積んでいくことになる。
板金設計とは?
まず、板金とは「平らに伸ばした金属素材」のことを指します。
板金は、切削したり絞ったり(板金に圧力をかけて凹状に加工すること)、曲げたり打ち抜いたりすることで、さまざまな形状に加工が可能です。加工の自由度が高い特性を活かし、乗り物や家電製品、ガシェット類をはじめとして、私たちの便利な暮らしを実現する製品のボディや部品類に活用されています。そうしたそれぞれの製品仕様に応じて板金の加工法を決めていくのが、「板金設計」と呼ばれる仕事です。
板金が活用される製品は多岐にわたるため、それぞれに見合った金属素材や加工法を選択する必要があります。ただし、同じ部品や製品を作るにしても、加工法や加工の手順の違いによって強度や製造コストに大きな違いが生じるため、適切な加工を施すことが重要です。一定水準以上の品質を保持しつつ利益も確保できる製品に仕上げるために、板金設計は企業において重要な仕事の一つとなります。
板金設計の仕事内容
板金設計は、板金加工において品質とコストの双方を考慮しながら、それぞれの製品に対して最も合理的な加工プロセスを計算し、導き出す専門技術職です。
たとえば、L字型の部品を作るとします。同じL字型の加工でも、板金をプレス加工した物と打ち抜いた物、折り曲げた物、溶接した物では、それぞれに強度の性質に違いが出ます。また、金属は変形する際に寸法に微妙なずれが生じます。
板金設計においては、加工法によってどこにどの程度のずれが生じるかといったことも考慮しながら、仕様に基づいた強度や寸法精度が出せるように設計を行わなければなりません。
一般的な設計工程では、まず大まかなイメージをラフに描き、構想を練っていきます。その後、CADや3DCADを用いて正式な図面データを作成していきます。企業によっては製図専門の担当者がいる場合もありますが、設計者本人が行うケースも少なくありません。
板金設計職の将来性
ものづくりの現場において重要な役割を果たす板金設計職ですが、長く安定して働ける仕事なのか気になる方も多いと思います。そこで、板金設計職の将来性についてご紹介します。
プラスチックの台頭で、板金設計はなくなる?
近年、技術の発展により、従来は金属で製造されていた部品をプラスチック製に転換する動きが見られます。しかし、金属素材はプラスチックに比べ加工精度や耐熱性が高いほか、「磁力が作用する」「溶接できる」など数々の特徴があります。こうした特徴を考えると、今後に関してもすべての金属製品・部品がプラスチックに置き換わることは考えにくいでしょう。「製造業がある限り板金設計の仕事はなくならない」といっても過言ではありません。
今後も需要は高いと予想される
板金設計職の需要は、今後も高い水準を保ち続けることが予想されます。
冒頭でも触れたように、私たちの日常生活を支えるあらゆる製品に板金技術は用いられています。
たとえば、移動に欠かせない自動車や電車、飛行機などは、板金技術なくしては完成しません。冷蔵庫やエアコンなどの家電製品、パソコンやスマートフォンなどのガシェット製品などにも繊細な板金技術が用いられています。
このように、私たちが特別に意識することがないほど板金技術は多様な場面で活用されており、今後もそれが変わることはないでしょう。
板金設計の魅力ややりがい
板金設計の魅力といえば、あらゆる業界・企業で通用する技術が身につく点でしょう。
前述の通り、板金は業界の垣根を越え幅広い場面で必要不可欠な技術です。したがって、場所に縛られず、自分が価値を感じられる業界や企業、働き方を自由に選びやすい仕事といえます。
どのような業界や企業で仕事をするにせよ、板金設計職は人々の便利で豊かな生活を支える存在です。自分が設計を手がけた製品が生産され、消費者が手に取っている様子を目の当たりにした時には、大きなやりがいや達成感を得られるでしょう。
板金設計の難しさや大変さ
板金設計の難しさは、各所の要望を取り入れながら最適な設計を完成させなければならない点にあります。
板金設計の業務範囲は企業規模などによって異なりますが、営業担当者が顧客から得たヒアリングやフィードバックを設計図に反映させていくことが基本です。製品特性と素材特性を踏まえ、どの金属素材を使用するのか、最もふさわしい判断を行います。そして、顧客や関係各所との打ち合わせを重ね、必要に応じ修正を加えながら設計図を完成させるのが板金設計の役割です。
しかし、「各所から挙げられた声をそのまま設計図に反映すれば完成」というほど単純なものではありません。要望を汲み取るのが前提ではあるものの、一定基準の品質を保ちつつコストも基準内におさめることが求められます。
顧客の描く理想と現実的な部分の双方をいかに両立させるかが、板金設計職としての経験や手腕が問われるポイントです。
板金設計者の年収はどれくらい?
板金設計職のマイナビエージェントの求人情報を見てみると、年収は300万円~800万円台と実に幅広く設定されている状況です。
ひと口に板金設計職といっても、企業規模や業務スタイルによって任される仕事、求められる成果はまちまちなので、一概に年収額を断定することは難しいでしょう。
また、あらかじめ具体的な金額を提示せず、年齢や能力を考慮し判断する企業も多く見受けられます。このようなケースは、「個々の能力をしっかりと見極めて評価し、ふさわしい対価を提示する」という企業体質の表れとも捉えられるため、労働者が働きやすい職場環境であることが想像できます。
板金設計への転職に有利なスキル
それでは、実際に板金設計に転職する際、どのような経験があると有利になるのでしょうか。以下にご紹介いたします。
板金設計の実務経験
どのような世界でも、転職に際して最も評価されるのが「実務経験」です。板金設計の分野では、扱う金属に違いがあったとしても何らかの板金設計の経験があれば、これまで培ったスキルを応用することができます。業界・業種の垣根を越えて活躍することは、それほど難しいことではありません。
金属加工に携わる実務経験
板金設計そのものが未経験だったとしても、金属加工に携わる実務経験がある人なら、金属の性質についての知見をある程度持っていることが多いでしょう。「金属を加工する時、金属によってどのような変化が生じるか」「金属を扱う際に注意しなくてはならないのはどのような点か」といった知識は採用を検討する企業にとって魅力的に映り、重要な評価ポイントとなるでしょう。
金属以外の素材を扱った経験
金属以外の素材を扱った経験も無駄にはなりません。たとえば、樹脂加工などがそれにあたります。もちろん、金属とプラスチックとでは加工方法も加工時の変性も大きく異なりますが、「素材の性質を見極め、最適な加工法や加工の流れを設計する」といったプロセスに共通点が多いからです。
板金設計は未経験でも挑戦は可能
「専門職である板金設計は未経験者でも就ける仕事なのだろうか」と不安を感じている方もいるかもしれません。しかし安心してください。板金設計は未経験からでも十分に挑戦可能な仕事といえます。
とはいっても、他職種と同様、すぐに一線で活躍できるプレイヤーになることは難しいものです。まずは「設計補助」というポジションからキャリアをスタートするケースが多いでしょう。
設計補助とはその名の通り、板金設計の仕事をサポートする存在です。初心者のうちは先輩や上司の働き方を間近で見ながら、実務を通して板金設計の技術を身につけていくことになります。
板金設計者の転職先やキャリアパス
板金設計職に興味がある人にとって、転職先やキャリアパスは知っておきたい要素でしょう。それぞれのポイントについて以下で解説します。
転職先
板金設計者の転職先としては、ものづくり業界全般に可能性があるでしょう。自動車・航空・鉄道などのインフラ業界や、家電業界、電子機器・楽器業界など、実に多岐にわたります。現代において板金技術はあらゆる業界で必要不可欠であることから、豊富な業界・企業の中から転職先を選ぶことができます。
キャリアパス
板金設計をエンジニア職のスタートとした場合、機械系エンジニアとしてはどのようなキャリアパスが考えられるのでしょうか?
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板金設計のスペシャリストを目指す道
板金加工を専門とする職場なら、難度の高い設計を手掛けていくことになるでしょう。そのためには隣接技術や電子技術のほか、制御やプログラミングの技術、3DCADのスキルなど、幅広い技術を習得していく必要があります。
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板金設計のスペシャリスト以外の道
板金加工を専門とする職場なら、難度の高い設計を手掛けていくことになるでしょう。そのためには隣接技術や電子技術のほか、制御やプログラミングの技術、3DCADのスキルなど、幅広い技術を習得していく必要があります。
板金設計への転職を成功させるポイント
板金設計への転職を成功させる鍵となるのは「企業研究」です。転職活動の成否は企業研究にかかっているといっても過言ではないほど転職活動の基本であり、非常に重要です。
綿密な企業研究は、自分自身のキャリアの理想や目標を明確化させます。「どのような板金設計者に魅力を感じ、目指したいのか」というビジョンが明確化されれば、理想とする方向性にキャリアを伸ばしていける企業をピックアップしやすくなるはずです。
特に板金設計は、所属する会社によって成長度合いに差が生じやすい職種といえます。それは、会社の業種や業態、規模などによって習得できる技術の方向性がまったく違うからです。なかには、習得できる技術レベルの天井が比較的低く、一定以上の成長が実現しにくい企業も見受けられます。したがって、板金設計へ転職する際には、仕事内容や対象となるプロダクトだけで判断せず、将来的に目指す自分になれる会社であるか否かを慎重に見極める必要があるでしょう。
転職をお考えの方は、マイナビエージェントにご相談を
転職先選びは、その後のあなたの未来を選ぶことといっても過言ではありません。しかし、「企業研究といわれても、業界そのものが未経験なので研究のしようがない」という場合もあるかと思います。そんな時はぜひ、マイナビエージェントにご相談ください。
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