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ものづくりメーカーの職種図鑑

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ものづくりメーカーの職種図鑑

EMCとは?

EMCとはElectromagnetic Compatibilityの略語で、「電磁両立性」と訳されます。私たちの身の回りにある機器は電磁波を発しています。電磁両立性とは、機器が発する電磁波が周囲の機器に影響を与えず、他からの電磁波の影響を受けずに動作する性能のことです。

電磁波は、うまくコントロールしないとノイズとなってしまい、機器の異常な動作を引き起こす原因となります。設計段階でそのことを考慮しないと、周辺機器への悪影響はもとより、製品が周りのノイズを受けて動作しない可能性も出てきます。特に、今後は自動運転車やドローンなど、場合によっては命に関わる機器も普及していく中で、EMCは重要な要素となってくることでしょう。
そこで、製品がEMCの国際規格を満たしているかを認証する試験制度や、EMCに関する専門性を持ったエンジニアを認定する資格制度が存在しているのです。

EMCの基礎知識

EMCが生活とどう関わり合っているのか、どのような対策が必要なのか具体的にご紹介しましょう。

身の回りに存在している「ノイズ」

私たちの身の周りにある機器は、EMC対策が施され販売されています。しかし、使用条件によっては電磁波によるノイズが発生します。身近な例では、電子レンジの使用中に、近くでBluetooth接続のイヤホンで音楽を聴いていると、音が飛ぶことがあります。また、テレビの近くでヘアードライヤーを使うと音や画面が乱れることがあります。こうした現象の正体は、ノイズなのです。
例に挙げた家電機器であれば見過ごせる問題かもしれませんが、これから普及が見込まれる自動運転車やドローンが、ノイズによって誤作動を起こしたり制御不能に陥ったりした場合には、人命にも関わる重大な事故を引き起こしかねません。現状でも、電子制御された工場設備にてノイズによる動作不良が原因で損害が出たり、人身事故が発生したりしています。

EMC対策にはEMI対策とEMS対策がある

EMCはさらにふたつの要素に分けられます。それが「電磁妨害」と訳される「EMI(Electromagnetic Interference)」、通称エミッションと、「電磁感受性」と訳される「EMS(Electromagnetic Susceptibility)」、通称イミュニティです。

つまりEMC対策とは、EMI(エミッション)とEMS(イミュニティ)の2つを両立させた設計を実現することであり、「EMC設計」または「ノイズ対策」とも呼ばれています。

  • EMI(エミッション)対策

    電子機器から発生する電磁波は、他の機器に影響を与えないよう、所定レベル以下であることが求められます。そのためにノイズを抑える対策を、EMI対策またはエミッション対策と呼びます。

  • EMS(イミュニティ)対策

    電子機器は、他の電子機器から発せられる電磁波によって妨害を受けたとしても、影響を限定的にとどめて正常に動作することが必要となります。そのための対策をEMS対策またはイミュニティ対策と呼びます。

このようにEMCには比較的高度な知識が必要ですので、EMCを取り扱うための専門的な職種が存在しています。

重要性が増す、EMC対策を担うエンジニア

EMC設計を行うエンジニアが機器開発で担う役割の範囲は限定的ですが、身の周りの多くの製品にEMC対策が必要であるため、今後も必要とされる職種です。さらに最近では、家電製品などにも通信機能が備わるなど、扱うプロダクトの幅や電磁波の種類が変化しており、活躍の場が増えていくといえます。

EMC対策では、シールド材で覆うなど対策部品を使用してノイズを減らしていきますが、設計段階で対策内容を考えるほか、EMC試験の結果からノイズの原因がどこにあるのか見極め、どのような部品を採用するのが最適かを検討するといった、重要な役割を担っています。

EMCエンジニアになるには

EMC設計を行うエンジニアは、電気電子機器に関する設計全体の中では、特殊な立場で開発に関わります。そのため、求人では「EMCエンジニア」など、職種やスキルが特定される存在です。EMCを専門に扱う技術者としてキャリアを重ねることが多い職種ですが、EMCエンジニアから半導体エンジニアへの転身や、その逆のキャリアチェンジも見られます。また、EMC試験を行うエンジニアは未経験者でも募集されており、挑戦しやすくなっています。

電気電子製品に欠かせないEMC試験

電磁波のノイズによる機器トラブルを防ぐため、定められた基準をクリアしていることを確認し、認証を受けることが求められます。そのために行われるのが「EMC試験」です。基準には国際的な統一規格が設けられており、それを参照する形で各国の規格が定められているのが一般的です。
日本では、国が定めたJIS(日本工業規格)に合格する必要があり、JISの対象となっていない機器のうち、情報処理関連機器についてはメーカーが加盟するVCCI協会(旧、情報処理装置等電波障害自主規制協議会)が団体規格を設けて自主規制を行っています。また、これ以外にも、メーカー各社が自主的に規定する社内規格が存在します。

EMC試験ではレポートが作成される

EMC試験は、電気電子機器の開発段階において実施されることがほとんどで、EMC試験エンジニアの手によって試験を実施しレポートにまとめられます。
試験は機器から発せられる妨害波を測定するEMI試験と、実際の使用環境を想定した電磁波の中で正常に動作する耐性があるかを確認するEMS試験の2つに大別できます。これらの試験方法には、電磁波の伝送経路などによってバリエーションがあり、さらに落雷の影響なども加味されます。

EMC試験はEMC試験サイトで行われる

EMC試験は、「EMC試験サイト」と呼ばれる施設内で行われます。施設は大掛かりで特殊な設備が必要なため、EMC試験を専門的に実施する企業や、電子機器メーカーが運営しています。その中から、対応する規格や設備の内容によって適切なEMC試験サイトを選びます。

EMC試験サイトは、テレビや携帯電話などから発せられる電磁波の影響を受けることがなく、試験で発生した電磁波がもれて周辺に影響しないよう配慮された施設です。様々なケースを想定した屋内外の試験サイトで機器を動作させ、アンテナなどを使ってノイズを測定します。

EMCエンジニアの国際資格「iNARTE」

EMC設計エンジニアについては、転職市場では実務経験者が対象となるのが一般的です。また、電気電子機器のエンジニアに転身する場合にも、EMC設計の経験があればエンジニアとしての価値が高まります。そのため、専門的な経験と知識を客観的に証明することができる資格を取得しておけば、転職が有利になります。新卒採用もあって比較的門戸が広いといわれるEMC試験エンジニアについても、やはり同様でしょう。

そこで紹介するEMC業界で最も知られた資格が、国際的な資格制度「iNARTE」です。アメリカにある国際無線通信電磁気協会(iNARTE)が認定する技術資格ですが、日本国内で日本語による受験が可能です。「iNARTE EMC Engineer(技術者)」と「iNARTE EMC Technician(技能者)」の2種類の資格が用意されていますが、受験にはEMCに従事した年数などの条件が設けられています。実務経験者にとっても難度は高く、iNARTE EMC Engineerの合格率は高くても3割程度です。有資格者は国内で1,000人あまり、世界全体でも2300人(2018年4月時点)と少ないため、優れた技術者であることを示して差別化できる資格であるといえるでしょう。

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