メーカーエンジニアの職種図鑑

構造設計

建物の見た目ではなく、中身のデザインを行います。建物が地震などの災害で倒壊するのを防ぐために欠かせない仕事です。

構造設計の男性

「構造設計」といっても、実際にはどのような仕事なのか、
イメージできないという方も多いのではないでしょうか?
構造設計は、建物の倒壊などを防ぐために、建物の中身や構造をデザインする重要な仕事です。

この記事では、構造設計の仕事内容や、仕事の魅力や難しさ、
おすすめの資格やスキルなど、構造設計について徹底解説しています。

構造設計の仕事に興味がある場合は、
ぜひ最後までご覧ください。

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この記事のまとめ

  • 構造設計の仕事は、建物の倒壊などを防ぐため建物の中身や構造をデザインする重要な仕事。

  • 構造設計の仕事は重責をともなう仕事であり難しさや大変なこともあるが、すべての人々に安心・安全を届けるというやりがいもある。

  • 構造設計の仕事は実務未経験者や第二新卒でも従事することが可能で、技術と経験を積めば長く活躍することが可能。

構造設計とは

構造設計とは

建物の構造設計業務を担当する人のことを「構造設計者」と呼びます。「構造デザイナー」や「構造技術者」などと呼ばれるケースもありますが、基本的に業務内容は同じです。

では、構造設計とはどのような仕事なのでしょうか?詳しく解説していきます。

構造設計者は建築設計士の一部

構造設計は、「建築設計」という仕事の一部となります。建築設計には構造設計のほか、「意匠設計」「設備設計」という仕事があり、この3つの分野の設計のバランスが取れることで建物の設計は初めて完成します。

意匠設計と設備設計がそれぞれどのような仕事内容なのかに簡単にご紹介します。

意匠設計

建物の敷地や周辺環境などの条件から配置を決め、内観・外観・間取り・装飾といったもののデザインをしていく仕事です。建築設計と聞いて多くの人がイメージする仕事が、この意匠設計の仕事ではないでしょうか。意匠設計者のプランをもとに構造設計者が構造設計を決めていくため、仕事では両者が連携することになります。

設備設計

設備設計士は、建物内の環境を快適にするための設計を担当します。おもに空調設備や上下水道を設置するための衛生設備、コンセントや照明のための電気設備などを設計します。

構造設計の仕事内容

では、構造設計の仕事内容をより詳しく見ていきましょう。

建物の安全性を満たす仕事

建物の構造設計業務を担当する構造設計の仕事には、地震や積雪などの災害によって建物が壊れてしまわないように安全性能を満たすことが求められます。主な業務内容は、建物の土台と骨組みを設計して構造設計図を作成することです。

さらに、耐震診断や補強設計、設計監理など、建物の構造と安全性に関する業務全般を担当することになります。建物の間取りや立面断面、さらに経済面などの条件をもとに、柱や梁(はり)の性能・形状・配置を決めていきます。

構造設計士の仕事内容は変化している?

構造設計は建物の安全な構造を確かめる仕事でしたが、現在では意匠設計との業務の線引きがなくなってきています。その背景には、建築基準法の新耐震基準や耐震改修促進法の導入により、建築物が使われている間に地震に見舞われたとしても損傷しない建物であることが求められるようになったことがあります。つまり、建物の意匠と安全を確保された設計は別々のものではなく、両立させる必要があるということです。

構造設計の魅力ややりがい

構造設計の経験を積めば、住宅やオフィス、商業施設といった建物のほか、宿泊施設や観光名所となるような文化施設など、幅広いジャンルの建築物の内部デザインに携わることができます。

どんなに素敵なデザインの建物であっても、構造設計者がいなければ安全性が満たされることはありません。その建物の利用者や住人すべての人々に安心・安全を届ける、やりがいと責任のある重要な仕事といえるでしょう。

構造設計の難しさや大変さ

構造設計は物件全体の構造をマネジメントできるわけではありません。設計の工程管理やクライアントとの調整は意匠設計が行います。そのためクライアントからの条件や設計工程にしたがう必要があり、自分でプロジェクトマネジメントを行えないことの難しさがあります。

また、構造設計の仕事が難しいと感じる場合には、仕事の負荷や重責が多いことも関係する場合もあります。構造図面作成や計算書を作成するだけでなく、意匠設計や設備設計との連携も必要になりますし、建物の構造を通して人命を確保するという仕事自体の重責を感じる人も多いようです。

構造設計者の年収はどれくらい?

厚労省の職業情報提供サイト「job tag(ジョブタグ)」によると、構造設計者の平均年収は586万円とされています。しかし、年収に関しては、地域や企業規模、年齢、キャリアによっても変わってくるため、一概にはいえません。大手では、平均年収よりも高いところもあります。

一部自営やフリーランスで活動する人もいるようですが、ほとんどが正社員で構造設計の仕事に従事しています。

構造設計の仕事に役立つ資格

構造設計の仕事には、「一級建築士」「構造設計一級建築士」「JSCA建築構造士」などの資格が役に立ちます。それぞれの内容を見ていきましょう。

一級建築士

構造設計士・意匠設計士の多くが一級建築士の資格を持っています。国土交通大臣の認可を受けた国家資格です。二級建築士は設計する建物に制限がありますが、一級建築士はその制限がなくなり、より幅広い建築物の設計と監理を担当することができるようになります。

一級建築士の国家試験は、大学・短大・高等専門学校いずれかの建築学科を卒業している場合、実務経験なしで受けることができます。また学歴がなくても、設計事務所や建築会社などで7年以上の実務経験があれば受験資格が得られます。

構造設計一級建築士

2007年に創設された構造設計一級建築士。この資格を持っていると、一定規模以上の高度な構造設計が求められる建物の設計を担当することができ、一級建築士よりもさらに設計に携われる建物の幅が広がります。一級建築士として5年以上の構造設計の実務経験を積んだうえで国土交通大臣の登録機関で講習を受講し、修了考査に合格することで資格を取得することができます。

一級建築士の資格を所持していても構造設計一級建築士の資格を持っている人は少なく、業界の需要はとても高くなっています。転職においても好待遇が期待できる資格といえるでしょう。

JSCA建築構造士

JSCA(一般社団法人日本建築構造技術者協会)が社会に推薦する構造設計者の資格として設けたものです。構造設計一級建築士の中でも特に豊かな専門知識と経験を持つ技術者として、構造の立案・設計から工事監理までを担当することができます。現在では、1,463名の方がJSCA建築構造士として認定されています。(2022年10月時点)

資格要件としては、「一級建築士登録から4年以上の実務経験」「2年以上の責任ある立場での構造設計・監理の実務経験」「書類審査・筆記試験・面接試験の合格」などの規定があります。

構造設計者に向いている人の特徴

構造設計者に向いている人の特徴をご紹介します。

スケジュール管理が得意な人

構造設計は建物の設計で重要な工程です。構造設計のスケジュールが遅れると全体スケジュールへも影響を及ぼします。したがって、スケジュール管理が得意な人・遵守できる人に向いているでしょう。

細かいところまで目が届く人

構造設計は人命を預かっている仕事といっても過言ではありません。几帳面で細かいところまで目が届く人ほど構造設計の仕事に向いているでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

構造設計の仕事はほかの建築設計士との連携が重要な仕事であるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。そのためコミュニケーション能力が高い人や、人と接するのが好きな方は構造設計者に向いているといえるでしょう。

柔軟な思考・対応ができる人

構造設計は、クライアントの要件を満たしながら安全な構造を実現する必要があります。また条件によって急な対応を求められることもあります。そのため、柔軟な思考やその場の状況に応じて対応する姿勢が求められます。

責任感が強い人

構造設計の仕事は構造で建物の安全性を確保する重要な仕事です。建物を通じて人命を守る側面もあるため、責任感が強い人は向いているでしょう。

構造設計者の転職先やキャリアプラン

構造設計者の転職先やキャリアプランを解説します。

転職先

建築学科の学歴がない場合、手始めに一級建築士を目指すのであれば、設計事務所や建築会社などに転職し、まずは5年~7年以上の実務経験を積みましょう。若手を育てるために実務未経験者や第二新卒を歓迎している会社も少なくありません。

キャリアプラン

構造設計の仕事は人間の手による設計や繰り返しの議論、判断などが不可欠とされる仕事で、その中で技術と経験を積み重ねれば長く活躍できます。

構造設計士としてより幅広く活躍しキャリアアップをしていくためには、豊富な実務経験や高いスキルを証明できる資格が必要となります。構造設計一級建築士やJSCA建築構造士の資格鵜を取得すれば、より具体的なキャリアプランを立てられるようになります。

構造設計者への転職を成功させるためのポイント

どの仕事でもいえることですが、書類・面接対策はとても重要です。

構造設計の求人を出している事務所や会社のなかには、若手を育てたいという意向から実務未経験者や第二新卒を歓迎しているところも少なくありません。その際に企業側が重視するのが、志望理由や転職の動機です。それをもとに応募者の仕事に対する考え方や人間性を見極めていきます。

また、ほかの建築設計士との連携が重要な仕事である以上、高いコミュニケーションスキルが求められるため、人柄やコミュニケーション能力がチェックされる面接への対策も重要です。

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よくあるご質問

  • 構造設計とは?

    Answer

    建物の見た目ではなく、中身のデザインを行います。建物が地震などの災害で倒壊するのを防ぐために欠かせない仕事です。

  • 構造設計者と建築設計士の違いは?

    Answer

    構造設計は、建築設計という仕事の一部で、建築設計には、構造設計のほかに「意匠設計」「設備設計」という仕事があります。