更新日:2024/04/10
この記事のまとめ
地図や後世に残る大きな仕事に携われるゼネコンですが、「思っていたよりも仕事が辛かった」「家族との時間が取れない」「デザインセンスがなくて向いていない」など、悩みを抱える方も少なくありません。
この記事では、ゼネコンを辞めたい方に向けて転職先の探し方を解説します。転職を考えているものの、ゼネコンからどのような転職先を選べばよいか分からない方はぜひ参考にしてください。
目次
ゼネコンからの転職は、どのような業界・業種を望むかにより難易度が変わります。経験やスキルをそのまま生かせない業種・業界の場合、想定以上に苦労することもあるでしょう。もちろん、だからといって早々に諦める必要はありません。ここでは、転職における4つの選択肢を紹介します。
業界・職種共にこれまでと異なる転職先は、最も難易度が高いといえます。幅広い選択肢から転職先を選べますが、身についた経験や知識を生かせる機会が少ないからです。「未経験者」として応募することになり、採用されるハードルが高くなります。
異業界・同業種への転職は、職種の経験を生かせます。たとえば、ゼネコンの営業職から自動車部品業界のルート営業へ転職するケースです。販売する商品が異なっても、営業としての知識や商談力はアピールできます。
自身のスキルを生かしたい場合、または企業側がそのスキルを重視している場合におすすめです。
ゼネコン業界から抜け出さない場合は、職種を変えても業界の知識全般が生きます。企業は、業務内容を覚えてもらえるだけで済む、即戦力に近い業界経験者を評価しがちです。なぜ転職するのか、志望動機や転職に至った理由に説得力を持たせれば、採用される可能性が上がるでしょう。
業界や業種への不満はないものの、現在の会社に不満を抱えている方もいるでしょう。会社を変えるだけであれば、転職のハードルは低めです。培った経験をそのまま生かせ、即戦力をアピールできます。
本格的な転職活動を始める前に、どうして転職をしたいのかを明確にしてみてはいかがでしょうか。現状の不満や悩みを明らかにすることで、それらを改善できる転職先を選別しやすくなります。ここでは、ゼネコンで働く方の代表的な悩みを紹介します。
働き方改革は建設業界にも影響しており、2024年には時間外労働の上限規制が適用されます。しかし、上限規制までの猶予もあるためか、時間外労働の日常化が改善していない企業も少なくありません。
特に、現場で働く社員は勤務時間が長くなりがちです。納期が遅れると遅延金が発生してしまうため、残業をしてでも間に合わせることもしばしば。仮に定時に職場に戻れても、普段はできないデスクワークなどに追われることもあります。
長時間の残業代が全額支払われない「サービス残業」が常態化している企業もあります。企業の規模に関係なく、中堅ゼネコンでも残業代が支払われないケースもあることが現状です。
また、管理監督者には残業手当が支給されません。ただでさえ長い勤務時間に、キャリアアップしても残業代が支払われないことに働く意欲を失くす方もいます。
ゼネコンは企業規模が大きくなるほど、全国に拠点やプロジェクトを持ちます。担当によっては、数年単位で全国を転勤して回る生活がはじまります。海外進出しているゼネコンの場合、海外転勤もあり得るでしょう。
「大切な人と疎遠になる」「家族の職場や学校が変わる」などの変化を受け入れなければいけません。家庭があっても単身赴任を選ぶ方もいますが、家族に会えないことが退職理由になるケースは珍しくありません。
近年、働きやすさやプライベートの時間を優先する若い方が多く、建設業界は就職・転職先として避けられている傾向があります。若手社員がいないわけではありませんが、中高年の先輩社員が多めで、入社後のコミュニケーションに悩む方もいます。
同年代の社員がいないと、ちょっとした相談もできずにストレスだけがたまってしまい、会社を辞めようと考えはじめます。
元請け業者と下請け業者の板挟みになる立場から、大きなストレスを感じることもあります。元請けのミスによる追加工事や工期の遅れも、工事を行う下請け業者には頭を下げて説明しなくてはなりません。入社歴の浅い方ほど板挟みに遭いやすいでしょう。
ゼネコンでも働き方改革は進みはじめたものの、まだまだ古い勤務体系が残る会社もあります。会社の雰囲気に馴染めない場合も、ストレスがたまる原因となります。
転職理由が整理できたら、どのような転職先が適しているか調べましょう。転職理由によっては、ゼネコンのままがよい場合と、ゼネコン以外の企業を選んだほうがよい場合があります。転職理由別に、おすすめの転職先を紹介します。
規模の大きな企業になるほど全国へ事業所を展開しており、それに伴い転勤も増えます。転勤をせずにひとつの企業に留まりたい場合、地元密着型の工務店や建設会社を選ぶのがおすすめです。
近年、転勤のない求人も増えています。求人情報に書かれていない場合でも、まずは確認してみましょう。また、転職エージェントへ相談すると、転勤がない企業を紹介してもらえます。
勤務時間が長かったり、ハードワークな職場にストレスを抱いていたりと、労働環境を変えたいなら一定規模の企業を探しましょう。一定規模の企業は小規模企業に比べて人員配置に余裕があるため、労働環境の改善が進んでいます。さらに社員の年齢層も豊富で、同年代の社員が増える場合もあります。
ハウスメーカーや造園工事など、ある業務に特化した企業もよいかもしれません。大規模な工事につきまとう膨大な書類整理からも解放されます。
収入を第一優先にするならば、ほかのゼネコンを探しましょう。収入を上げたくてゼネコンからの転職を考えているのに、同一職種をおすすめする理由は「ゼネコンがほかの職種よりも収入面が有利」なためです。
小売業や製造業と比較しても、平均年収は建設業のほうが上です。給与面に不満がある場合は、いまよりも手当が充実したホワイト企業を探しましょう。
中堅ゼネコンへの転職も狙い目のひとつです。中堅ゼネコンの収入は、準大手や大手ゼネコンとさほど変わらないケースがあります。
未経験の業種や職種へ転職を考えている場合、ゼネコンからの転職がうまくいくか不安になる方もいるでしょう。もちろん、未経験でもチャンスがある転職先は存在します。
ゼネコンから未経験でも狙えるのは、営業職・公務員・不動産業界・Web業界・インフラ業界です。なぜゼネコンの経験が役に立つのか順に解説します。
ゼネコンで身につけたコミュニケーション力や交渉力は、営業職へ生かせます。営業職は未経験者の募集が多く、異業種・異職種であっても転職しやすい選択肢です。
中でも、建築資材や住宅設備メーカー、ハウスメーカー、不動産仲介業の営業職は、建設に関わる知識や現場経験を生かせます。
公務員への転職も可能です。公務員にはデスクワークがメインの一般職と、現場業務を行う土木職があります。公共事業の入札や設計を行う一般職はオフィスワークですが、土木職を選べば現場でゼネコンのスキルが生かせます。
ただし、公務員は試験に合格しなければいけないほか、転職先として人気で競争率が高いというハードルがあります。しかし土木職は人材が不足傾向のため、転職できるチャンスは十分にあるでしょう。
不動産業界も、企業により規模も事業内容も異なります。不動産業界の中でも、デベロッパーはゼネコンが行う建築物の総合的なスキルが役に立ちます。
デベロッパーは建築物の企画や開発が主な仕事です。ゼネコンとは発注者と受注者の関係にあります。どのような建築物が街を活性化させるのかを考える際、実際に設計・施工を受注する立場だったゼネコンの経験を生かせます。
Web業界の仕事は多岐にわたりますが、ゼネコンのスキルや経験を生かせる職種もあります。ゼネコンは工期ごとにさまざまな分野の人が集まり、納期に間に合わせるよう施工を管理するマネジメントスキルが求められます。このマネジメントスキルを生かせるWeb業界の業務が「ディレクター」です。
ディレクターはホームページ制作などの進行管理が大切な業務のひとつであるため、ゼネコンで培ったマネジメントスキルが生きます。住宅関連のWeb広告やハウスメーカーのホームページ制作は一定の需要があり、建設にかかわる知識は重宝されるでしょう。
インフラは、毎日の生活に欠かせない基盤となる施設を供給するサービスを指します。たとえば、高速道路やトンネル、ガス・電力などです。
ゼネコンの知識を生かせるのは、発注者側の目線で技術的アドバイスを行う「建設コンサルタント」と呼ばれるコンサルティング業務です。
たとえば、道路工事では街路灯や信号機の移設が必要になった場合に電気の知識が求められ、鉄道工事では地面と関わる作業が多いため土木の知識が求められます。
このように、インフラ業界ではゼネコンで培われた工事発注者目線の考え方や、建設に関する幅広い知識が評価されます。
転職先選びは転職活動を成功させるために重要なポイントです。ゼネコンから新しい転職先を選ぶ際、成功させる2つのコツがあります。転職エージェントを活用すること・情報収集を徹底的に行うことです。
心機一転で転職した会社で「思っていたものと違った」とならないためにも参考にしてください。
転職先の相談は、家族や友人にしづらいこともあります。そのようなときに転職エージェントを相談先として活用すると、転職先選びの成功に近づきます。転職エージェントは、転職希望者と企業の間に立ち、転職をサポートするサービスです。「時間がなくて企業について調べられない」などの悩みにも対応します。
描いたキャリアプランがある場合も、転職エージェントに相談できます。自分の経験や能力から転職せずにいまの会社で努力するべきか、新たな一歩を踏み出すか、適切なアドバイスが得られます。一人で悩み続けるよりも気持ちが楽になるでしょう。
ゼネコンからの転職を成功させるためには、転職先や業種・職種についての理解を深めておきましょう。それには徹底した情報収集が大切です。
情報収集する方法はいくつかありますが、転職先について知りたい場合は企業のホームページや求人情報サイトが参考になります。現役社員の言葉、会社の文化・方針、業務中の写真など、さまざまな情報から垣間見えてくるものがあるでしょう。
業種・職種について理解を深めたい場合は、業界研究本やビジネス書籍から最新情報を収集できます。自分で収集できる質と量に限度を感じた場合は、やはり転職エージェントを活用することをおすすめします。
ゼネコンはやりがいの多い魅力的な仕事ですが、体力面や精神面にストレスを抱えることもあります。ストレスに耐えながら働く力も大切です。しかし、新たな転職先で活躍する方向に目を向けるのも立派な選択肢です。転職を決意する理由を明確にし、より良い環境を見つけましょう。
ゼネコンから新たな転職先を探す際には、マイナビメーカーエージェントにご相談ください。求人情報からは読み取れない企業情報や異業種への転職成功事例、これまでのキャリアや転職理由などから、キャリアアドバイザーが転職活動をサポートします。
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