更新日:2024/08/19
この記事のまとめ
ゼネコンは総合建設会社として、建設や土木工事を受注します。オリンピックや新幹線開通といった実績が後世に残る仕事です。やりがいの大きさからゼネコンへの転職を考える方も多いのではないでしょうか。業界未経験でもゼネコンへの転職は可能ですが、職種によって求められるスキルや資格が異なります。
この記事では、業界未経験でもゼネコンへ転職できる実情や求められる資格やスキルを紹介します。ゼネコンへの転職をお考えの方は、参考にしてみてください。
目次
ゼネコン業界は日本国内の工事だけでなく、将来性のある海外へ技術力やノウハウを輸出することで、日本の経済成長を支えることが期待されています。労働者の減少に伴いIT技術が導入されているため、今後は活用できる人材が求められるでしょう。ここでは、高い技術力を持つゼネコンの将来性と未経験者の転職事情を紹介します。
ゼネコンは発注者より請け負った業務を下請けに依頼する建設業界の上流工程に位置しています。年功序列制度を採用する企業が多く、経験を重ねるとともに高い収入が得られるのが特徴です。最近では働き方改革によってIT化が進み、生産性や業務効率の向上、職場環境の改善につながっています。
国内の建設需要は震災復興工事が落ち着き、オリンピックが終わったことで、今後は横ばいに転じる見通しです。
ただし、老朽化が進むライフラインの修繕工事や耐震防災工事は、今後も一定の需要が見込めます。リニア新幹線開通による都市再開発が地方の建設需要を後押しすることも考えられるでしょう。日本の経済成長に大きく貢献したゼネコンの技術力が、東南アジアといった新興国へ進出し始めています。
少子高齢化により人材不足の傾向があるゼネコンは、未経験者でも転職できます。ゼネコンに関する知識や資格がなくてもチャンスがあり、働きながらキャリア形成や資格取得が可能です。
最近はゼネコン業界でもIT化が進み、現場でもパソコンやタブレットを業務に取り入れているため、使いこなせる人材が求められます。ITの専門知識が豊富であれば、業界未経験でもアピールポイントとなるでしょう。
ゼネコンへの転職は、金銭面だけでなく待遇やキャリアにおいてもメリットがあります。残業時間の短縮や休日の確保に積極的に取り組んでいるため、現職の労働環境に不満がある方は改善できるかもしれません。また、大規模な仕事ほど携わる人も多いため、スムーズに工事を完了させるスキルも身につきます。
ゼネコン業界は全体的に収入が高いのが特徴です。特に、スーパーゼネコンは高収入で、平均年収が1,000万円を超える企業もあります。現場は常に危険と隣り合わせであることから、ほかの業種にはない手当が支給されることがほとんどです。さらに、多忙な時期の残業代や資格手当といった待遇面の良さがゼネコンの魅力といえるでしょう。
人の暮らしに欠かせない生活を豊かにする社会貢献度の高い仕事に携われます。たとえば、学校やマンションをはじめとした施設や道路・水道のようなインフラ、災害時の復興といったさまざまな面で人々の暮らしを支える仕事です。
子どもや孫の世代まで地図に残るものを作れる仕事であり、人の役に立っている実感ややりがいを得られます。
終身雇用制度が崩壊しつつある現在、培った技能を無駄にすることなく定年退職まで活躍できる仕事です。年功序列制度を採用している企業も多く、長く働き経験や知識を重ねることで収入や待遇がよくなり、活躍できる幅も広がります。
ゼネコンは人の暮らしを支える仕事で、長期的に見ても需要があり安定した業界です。ただし、自分に合った長く勤められる企業を見極める必要はあります。
マネジメント能力や営業力のような、ほかの業種よりも高いレベルのスキルが身につきます。特に、営業職は打ち合わせの回数が多く、関係者との連携やフォローが不可欠です。さらに、提案内容が相手に伝わらなければ仕事につながらないため、自然と営業力が身につきます。
工事受注後は専門工事業者のマネジメントが必要です。キャリアや年齢が異なる職人の能力を把握しながら、柔軟な対応が求められます。経験を重ねることで幅広いスキルが身につくでしょう。
大手ゼネコンは、将来的な需要減少を見越して積極的に海外進出しているため、海外で働けるチャンスがあります。
たとえば、中国や台湾、東南アジア諸国といった地域でトンネルや高速道路のようなインフラ整備に携われます。その土地の暮らしと密接に関われて、住民の喜びを肌で感じられることも魅力です。海外勤務を希望する場合、海外進出に強みがあるゼネコンを選ぶとよいでしょう。
マイナビエージェントの調査によると、ゼネコンの平均年収は415万円で、20代が393万円、30代が483万円です。これは基本給と賞与を合わせた金額で、年功序列制度の企業が多いことから、経験を重ねることで年収を増やせます。50歳~54歳に平均年収のピークが来るため、離職率が低いのも特徴です。
手当に反映される資格もあるため、業務に関係のある資格を取得することで年収アップを目指せます。
ゼネコンは未経験者歓迎の求人も多く、業界で働いたことがなくても転職は可能です。関連資格を取得していれば、大きなアピールポイントになるでしょう。参考書や過去問から学び、個人で取得できる資格もあります。ここでは、ほかの応募者と差をつけられるおすすめの資格についてまとめました。
構造や材料、規模による制限なく設計・工事監理が可能になる国家資格です。ゼネコンでは国を代表する建造物や学校、病院といった大規模な工事に携わることが多いため、資格があると重宝されます。
合格率は20%で、容易に取得できる資格ではありません。しかし、難易度が高い分クライアントからの信頼感も増すため、チャレンジする価値はあるでしょう。
参考: 『一級建築士試験|公益財団法人 建築技術普及センター』
建築部門で施工管理をするために必要な資格です。ゼネコンでは、施工管理のプロフェッショナルとして決められた工期内に完成させる能力が求められるため、取得すると役立つ資格といえるでしょう。
資格取得後は、建築工事現場で主任技術者や監理技術者に就任することが認められます。合格率は1級建築士より高い38%です。受験資格の緩和や1次試験合格時点で「施工管理技士補」の資格が取得できるようになったことから、資格取得のハードルが下がりました。
参考: 『一級 建築施工管理技術検定のご案内|一般財団法人 建設業振興基金』
トンネル工事や河川工事といった大規模な土木工事現場で必要とされる資格です。自然災害の多い日本は復旧工事も多いため、土木工事で活躍できる土木施工管理技士は大きな需要があります。
学科試験と実地試験に合格後、現場の主任技術者や監理技術者として業務に携われます。学科試験の合格率は60%、実地試験の合格率は31%です。
参考: 『一級土木施工管理技術検定|一般財団法人 全国建設研修センター』
建設業界の専門的な会計知識や処理能力を持つことが証明できる民間資格です。建設業界の経理は一般的な会計処理と異なる独自の決まりがあるため、スキルを証明できる資格は経理への転職を目指す際に役立つでしょう。
2級以上の資格があると、公共工事の入札時に判断される「経営事項審査」で加点評価されるため、企業にもメリットがあります。合格率は2級が44.5%、1級が20%~30%です。受験資格がないため、簿記経験者は参考書を利用した独学でも資格取得を目指せますが、まったくの未経験者はスクールや通信講座も視野に入れましょう。
参考: 『建設業経理検定試験|一般財団法人 建設業振興基金』
建設作業の環境管理や労働者の健康保持を目指す労働安全衛生法に基づく国家資格です。事業場に50人以上の労働者がいる場合、決められた人数の衛生管理者を選任する義務があります。衛生管理者は複数の事業場を兼任できないため、重宝される資格です。
試験の合格率は平均50%前後と、ほかの国家資格と比較すると高いため、労働衛生の実務経験がある方は取得を目指すとよいでしょう。
参考: 『資格の紹介(第一種衛生管理者、第二種衛生管理者)|公益財団法人 安全衛生技術試験協会』
ゼネコンに転職する際に求められる主なスキルは、対人スキルとCADスキルです。仕事をするうえで依頼主や現場職人、近隣住民といった多くの人と関わります。また、建造物の設計はパソコンを使ったCADを使った製図がメインです。ゼネコン業界でもIT技術が取り入れられているため、対応できるスキルが求められます。
ゼネコンで働く場合、工事完了までに多くの関係者と接点があります。建設現場で問題が発生すれば、関わる人とコミュニケーションを取り、スムーズかつ的確に対応しなければなりません。
また、現場で働く職人は施工を一括管理しているゼネコンが頼りです。年上の人も多く、人見知りせずに話せるスキルが必要といえるでしょう。建設現場と施工管理者の関係を円滑にすることが工事を成功させる大事な要素です。
ゼネコンの現場職員や設計部門で働く場合、CADスキルが必須です。建築や電気設備、土木の施工図面や設計図面は、CADで製図していることが多いためです。2次元CADが基本ですが、最近では立体的な図面が作成できる3次元CADも増えています。
3次元CADは物体を任意の視点から立体的に認識できるため、わずかなズレや干渉具合を把握できます。3次元CADデータは2次元CADデータに変換できることから、今後3次元CADがスタンダードになれば、対応できるCADスキルの必要性がより高くなるでしょう。
CADを使って製図する人を「CADオペレーター」と呼びます。資格がなくても業務は可能ですが、技能を証明する認定資格はあるため、資格を取得することで意欲を伝える材料となるでしょう。
ゼネコン未経験者は職種を理解する必要があるでしょう。ゼネコンの職種はさまざまで、代表的なものとして営業や施工管理、設計、設備、研究開発が挙げられます。
資格を取得しても自分の希望する職種との関連性が低ければ、時間の無駄になりかねません。希望する職種を明確にすることで、勉強する知識や取得する資格が決まり転職活動を進めやすくなります。
ゼネコンは未経験でも転職できます。必要な資格を取得していれば、即戦力として働けるでしょう。また、現場やほかの担当者と連携しなければならないため、高いコミュニケーションスキルも必要です。そのため、面接ではコミュニケーションスキルや人柄が大きく評価されます。
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