更新日:2024/05/30
ものづくりの基本となる図面を作成するCADオペレーターは、今や幅広い分野から必要とされています。
ここでは、CADオペレーターの仕事内容と、CADオペレーターを目指すためにしておきたいことなどをご紹介します。
目次
CADとはComputer Aided Designの略で、日本語では「コンピューター支援設計」と訳されます。コンピューターであらゆる設計図を描くことができるシステムのことです。
かつて製図は、全て手書きで行われていたため、専門の知識と技術が必要であり、描画に膨大な時間がかかるものでした。
図面は、線の太さを統一することが前提とされます。たとえば、建築図面であれば、壁の線でも窓の線でもそれぞれの太さが決められています。そのため、手書きで製図する場合、線の調整ができなければ見やすい図面を描くことができません。
加えて、仕様などの情報も、全て手書きで細かく書き込まなければならないため、設計士や専門の訓練を受けた方による専門性の高い仕事でした。
しかし、CADの登場により、未経験者や初心者でも太さのそろった線を、容易に引くことができるようになり、製図はこれまでよりも多くの方が携わることができるようになりました。
また、仕様変更に伴う修正もコンピューターで素早く行えるため、製図にかかる時間も手書きの場合に比べて大幅に短縮しています。図面の保存もデータで行えるようになったため、図面の管理・共有がしやすく、多人数のチームで取り組むプロジェクトであっても、仕事が進めやすい状況になったのです。
CADには、2D CAD(2次元CAD)と3D CAD(3次元CAD)の2つの種類があり、図面の用途により使い分けられています。
2D CADでは平面図や立面図、断面図など、2次元で立体を表現します。手書きでの製図と、同じ要領で製図をすることができます。
3D CADは立体の製図を行うもので、作成した図面は全角度から確認することができます。2D CADでは表現が難しい曲線が多いデザインを表現したり、住宅やビルなどの建築設計では、立体を視覚的にイメージしやすい図面を描いたりすることができます。
現在CADは、製品を形にするために図面が必要となる、様々なものづくりの現場で使用されています。
建築・土木業界や機械業界をはじめとして、自動車、スマートフォン、冷蔵庫、洋服のパターンメイキングやジュエリーのデザインまで、身の回りの物はほとんどCADで作成された図面を基に作られているといってもいいでしょう。
CADオペレーターの仕事はCADを操作し、設計図を作成することです。仕事内容を具体的にご紹介します。
設計士やデザイナーが考えたり、イメージしたりしたことを、CADを使用して正確に製図し、必要な情報も入力します。この仕事は、CADオペレーターとしてのメインの仕事であり、仕事の丁寧さとスピードが求められます。
図面は、一度入力して終わりということはありません。建物や製品の製作工程に合わせて図面の精度を上げ、クライアントの希望による仕様変更などを繰り返して、完成形を目指します。
ですから、図面データの修正も、CADオペレーターにとっては重要な仕事のひとつといえます。
施工や製造の現場では、急な仕様変更などもありますので、迅速に対応できるようにしておくことも重要です。
作成した図面データの管理も、CADオペレーターの仕事です。
現場に図面を引き渡した後も、いつ図面データの確認が必要になるとも限りません。そんなときにはすぐに必要なデータを取り出さなければならないため、図面管理は大切な仕事といえます。
この他、職場によっては、文書作成、仕様書作成、電話応対などの業務も求められることがあります。
CADオペレーターとCAD設計士は、同じCADを扱うとはいえ、行う業務が異なります。
CAD設計士は、ものづくりの土台となる設計をするのが主な仕事です。形状や仕様を考え、それを伝えるための設計図を描くためにCADを使用します。
製図だけでなく、作成する物の専門知識や法知識を学ぶ必要もあり、安全性や環境への負荷、製造コストなど、トータルに思考することが求められます。
一方、CADオペレーターは、CADを操作して、設計士やデザイナーの考えを図面という形に表現するのが仕事です。設計士やデザイナーの指示を正確に理解して、いかにイメージどおりの図面に仕上げていくかが重要です。
図面は1枚や2枚で終わるものではありませんので、几帳面かつ、スピーディーに作業ができることもCADオペレーターには必要な資質です。
CADオペレーターに向いているのは、どのようなタイプの人でしょうか。CADオペレーターの、いくつかの適性をご紹介します。
CADで作成する図面には、高い精度が求められます。建物や製品を実際に作るときに、ちょっとした狂いが大きな事故につながることも考えられます。
小さなミスも見逃さず、誰にでも見やすい図面を仕上げられる几帳面さや正確性を持つ人は、CADオペレーターに向いているといえます。
仕事には必ず納期があります。決まった期間のうちに、多くの図面を設計士やデザイナーの指示のもとで作成していくには、ある程度の作業スピードが必要です。
また、仕様変更などで図面を修正しなければならないときには、急を要する場合がほとんどです。そのような場合でも、素早く対応できる臨機応変さがCADオペレーターに求められるのです。
CADで制作する図面は、ものづくりのおおもととなるものです。
図面をただデータとして入力するのではなく、その図面から実際に出来上がる物にも興味のある人は、現場でわかりやすい図面を描くことができるといえるでしょう。
前述のものづくりが好きな人にも共通しますが、設計士やデザイナーから伝えられた指示を具体的にイメージすることができる人は、CADオペレーターに向いています。
図面は、画面に何もない状態から、作図を始めなければなりません。完成品の形や図面の形状をある程度頭の中で組み立てられれば、図面の引き始めに戸惑うことは少ないといえます。
CADオペレーターを目指すには、どのようなことをすればいいでしょうか。CADオペレーターとして働くために行っておきたいことをご紹介します。
CADオペレーターとして働くために必要な、CADの基礎知識や操作方法を身に付けます。スクールに通うのは近道ではありますが、独学も可能です。
また、CADには2次元の平面を製図する2D CADと、立体を製図できる3D CADの2種類があります。業種にもよりますが、3D CADのオペレーションができたほうが転職には有利となります。
CADで図面を作成するためには、設計士やデザイナーの指示どおり、正確に図面を起こさなければなりません。
指示を理解するためには、建築、土木、機械、電気など、業界ごとの専門知識が必須です。
CADオペレーターを仕事とする際に、資格は必ずしもなければならないわけではありませんが、基本的な専門知識を得るためやスキルアップのために取得しておくといいでしょう。
最後に、主なCAD関連の資格試験をご紹介します。
CAD利用技術者試験は、CADの資格の中で知名度の高いものです。2D CADを対象にした2次元CAD利用技術者試験は基礎、2級、1級の3レベル、3D CADを対象にした3次元CAD利用技術者試験は2級、準1級、1級の3レベルがあります。
建築業界や機械部品製造の分野を目指す方におすすめしたい資格です。
建築CAD検定試験は、建築系のCADに専門特化した資格です。建築図面の作成・トレースなどの建築設計に必要なCADの技術を認定するもので、現在は4級、3級、2級、准1級のレベルがあります。
CAD実務キャリア認定制度は、CADの実務的な技術や技能を認定する資格です。3次元CADトレーサー認定試験、3次元CADアドミニストレーター認定試験、CADアドミニストレーター認定試験の3つの試験に分かれています。
CADオペレーターは、ものづくりに欠かせない縁の下の力持ち的な存在です。自分の作成した図面から実際に完成した製品を見ると、大きな達成感を得ることができるでしょう。
CADの性能も上がり、比較的目指しやすい仕事とはなっていますが、チャレンジするのに不安を感じる方も多いかと思います。そんなときは、マイナビエージェントにご相談ください。プロのキャリアアドバイザーが、的確なアドバイスをさせていただきます。
メーカー
機械設計の転職先とは?転職で失敗するパターンと成功の5つのポイント
メーカー
機械設計の年収水準は?年収アップに必要なスキルや転職のコツも
メーカー
【例文つき】機械系エンジニア(機械設計)の志望動機の書き方やポイントを紹介