更新日:2022/04/07
コンピューターで製図を行い、様々な設計を行うのがCAD設計士です。
ここでは、具体的にCADによってできることやCADオペレーターとの違いのほか、CAD設計士に必要とされるスキルなどをご紹介します。
目次
CADとはComputer Aided Designの略で、コンピューターによる設計支援システムです。設計、作図、必要な情報を全て、コンピューター上で書きこむことができます。
CADが登場するまで、設計・製図は専門知識のある設計士が手書きで行っていたため、非常に膨大な時間が費やされていました。
図面において、形状や構造を表す線は、濃さや太さが一定でなければならないため、手書きの製図では線の濃さ、太さを調整する技術が必要でしたし、修正にも時間がかかっていたのです。
しかし、CADでは、線の濃さや太さを一定にすることができ、必要な情報を書き込んだり、図面を修正したりする作業がより簡単に行えます。
そのため、製図に要する時間が大幅に短縮されるとともに、未経験者や初心者でも製図に携わることができるようになりました。
また、手書きで書かれた図面は、トレーシングペーパーにそのままコピーをするしか共有方法がありませんでした。
しかし、CADを利用すればデータ保存が可能ですので、共有や管理がしやすくなったことも、業務上の利便性を高めています。
CADには2D CAD(2次元CAD)と3D CAD(3次元CAD)の2種類があり、用途によって使い分けられています。
2D CADは、平面図や立面図、断面図など、2次元で立体を表現するCADです。手書きで製図していたのと同じ要領で、コンピューター上に製図することができます。
3D CADは、立体の製図を行うCADで、作成した図面は全角度から確認することができます。
2D CADでは表現が難しい曲線が多いデザインや、住宅やビルといった建築設計では、立体を視覚的にイメージしやすい図面を書くことができます。
現在、CADは建築・土木の現場ではもちろん、製造業において欠かすことができない重要なシステムです。
自動車や航空機の設計、ジュエリーのデザイン、アパレル業界でのパターンメイキングなどにも利用されています。
さらには、設計図を基にして、3次元アニメーションを制作したり、カタログやパンフレット、プレゼンテーション資料用の設計図や立面図の2次元加工をしたりと、CADの使い方も多様化しています。
CAD設計士は、CADをツールとして駆使して設計を行うのが仕事です。
現在では、建築・土木業界、機械業界をはじめ、アパレルメーカー、ジュエリーといったデザインの分野のほか、電気機器、音響機器、自動車などの幅広い業界でCAD設計士の需要があります。
ものづくりの土台となる設計・製図を行うことが業務の中心となりますので、CADの操作技術や設計製図に関わる知識はもちろんですが、携わる分野ごとの知識や法令についても学ばなければなりません。
いずれの分野においても、図面を書くことが最終目的ではなく、完成品を作り上げるまでを見据えての仕事となりますので、安全性や環境対策、製造コストまでを理解し、総合的に考える必要があります。
CAD設計士とCADオペレーターでは、CADを使用する目的が違います。
CAD設計士は、建築であれば、完成品である住宅やビルを造ることを目的として、安全性や環境性、コストに関してまでをトータルに考えて設計を行います。現場において指示書となる、設計図を書くためのツールとしてCADを使用しているのです。
ものづくりの最初の工程から、完成に至るまでの流れの中で、あらゆる角度から様々な配慮をすることが求められます。
一方、CADオペレーターはCADを操作し、設計士やデザイナーのイメージを指示どおり正確に図面化し、仕様変更などがあれば随時、修正していくのが仕事です。
ある程度図面を読むことができて、CADのスムーズな操作ができれば一通りの業務を行うことができます。
CAD設計士に向いているのは、どのようなタイプの方でしょうか。
ここからは、CAD設計士として働く適正がある方の特徴をいくつかご紹介します。
CAD設計士は、平面の図面や3Dモデルで立体の構造物を表現しなければならないわけですから「平面図が立体化したときにどのような形になるか」がイメージできなければなりません。
平面構造や立体構造を理解するためには、数学的な考え方が必要となってきますので、数学が得意な方はCAD設計士に向いているといえるでしょう。
CAD設計士はものづくりの基礎となる設計を行い、CADで図面に落とし込んでいくのが仕事です。
最終的な完成まで導くためには、細かい計算を繰り返したり、各材料やデザインの細かな部分に気を配り、違いを比較したりといった地道な作業の積み重ねになります。
そのような作業にコツコツと取り組むことを苦としない、ものづくりが好きな方がCAD設計士に向いているでしょう。
ものづくりで必要とされることのひとつは、きめ細かい配慮です。
いくつもの部品を組み合わせて完成品に仕上げていく過程の中では、どのように小さくても、ミスがあればうまくいきません。
CADで作成される図面は、完成品の規模にもよりますが、何十枚、何百枚となっていきます。
それらの図面をきちんと管理し、ミスのないように気配りができる方は、CAD設計士として向いています。
CAD設計士になるためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
CAD設計士として働くために、持ち合わせておくべきスキルをご紹介します。
CAD設計士を目指すのであれば、まずはCADを操作して製図を行うための知識と技術が必要です。
図面がどのようなことを意味しているのかを学ぶことや、それぞれの業界による設計知識も求められます。
建築設計であれば、安全な建物を建てるための構造などの知識のほか、建築基準法や消防法といった関連法令を学ぶことも大切です。
機械設計ならば、機械工学の知識とともに、安全性や耐久性、そして環境についても考えられるだけの学びが必要といった具合です。
CAD設計士は、CADの前で製図だけをしているわけにはいきません。
作成した図面に基づいて物が完成するまでが仕事ですので、その過程で、お客様や社内の関係者、実際に施工や製作を行う方など、多くの方と関わり、円滑に進めていかなければなりません。
そのため、コミュニケーション能力も必須となってくるのです。
最後に、CAD設計士として役立つ資格をご紹介します。
業界により必要とされる資格は違ってきますので、自分が働きたい業界、目指したい方向性を考えた上で選んでみてください。
建築・土木業界に携わるCAD設計士に役立つ資格は次のとおりです。
建築士は、建築物の設計や工事監理に関わる国家資格です。
設計・工事監理が行える建物の種類によって、一級建築士、二級建築士、木造建築士と資格が分かれています。
建築CAD検定試験は、一般社団法人全国建築CAD連盟による資格試験です。
建築図面の作成・トレースなど建築設計に必要なCADの技術を、4級から准1級までの段階でレベルを定めています。
機械業界に携わるCAD設計士に役立つ資格は次のとおりです。
技術士は、科学技術に関する専門知識と高度な応用能力を認定する国家資格です。
その中の機械部門は、20以上に及ぶ専門部門のうちのひとつです。
機械部門の合格率は20%前後と、かなりの難関です。
上記4つの資格は、機械製図に関するものです。
これらはCADでの製図ばかりでなく、手書きの製図能力や機械設計の基礎知識を問われる場合もあります。
CAD設計士が活躍する業界は、建築・土木や機械業界から、さらに大きく広がってきています。
ものづくりやコツコツとした作業が好きな方にとって、選択肢が多くなっていることは間違いありません。
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