更新日:2025/10/22

この記事のまとめ
システムエンジニア(SE)への転職を目指すうえで、「志望動機」は選考の通過を左右する大切な要素のひとつです。
採用担当者は、志望動機を通じて「自社にマッチする人材か」「長期的に成長して活躍してくれるか」などを見極めようとしています。しかし、「どのように志望動機を書いたらよいのか」「何をアピールすればよいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、システムエンジニアへの転職を目指す方に向けて、志望動機の例文やポイントを紹介します。志望動機で盛り込みたいアピールポイントも解説しているため、自分の強みが整理できていない方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次

システムエンジニアとして転職するための志望動機をいきなり書こうとすると、まとまりのない仕上がりになりかねず、採用担当者にアピールできません。志望動機を書き始める前に書き方のコツやポイントをしっかりと理解し、志望動機に必要となる内容を箇条書きで洗い出しておくとよいでしょう。
まずは数ある職種の中からシステムエンジニアを選んだ理由を明確にしましょう。以下のように具体的に書き出すと効果的です。
システムエンジニアを目指そうと考えた具体的な理由が明らかになったら、その点を軸に志望動機を考えます。
システムエンジニアを目指そうと思った理由に加えて、なぜその企業を選んだのかを明確に伝えることが大切です。
上記のように、同じ業界の中でなぜその企業を志望するのかを挙げていきます。企業のWebサイトを参考にするなど、企業研究を入念に行いましょう。
システムエンジニアとして応募企業に入社した後、何をしたいかよく考えることも大切です。どのような業務に就きたいのか、将来的にはどのようなキャリアを目指したいのかをできるだけ具体的にイメージして言語化します。
そのためには応募企業の方向性や、どのような分野でのシステム開発に特化しているかなどを知っておく必要があります。そのうえで、入社後のビジョンを考えてみましょう。

長期的にシステムエンジニアとして活躍するには、さまざまなスキルが求められます。以下では、システムエンジニアとしての業務に欠かせない3種類のスキルを見ていきましょう。IT業界は日進月歩であるため、いまのスキルレベルに満足せず継続的に学習し続けることが大切です。
システムエンジニアと聞いてプログラミングスキルが重要であると考える方は多いでしょう。しかし、実際の業務ではプログラミングに限らず、IT全般に関する幅広いスキルが求められます。
ソフトウェアやハードウェアに関する知識、OS・ミドルウェアを扱うスキル、セキュリティに関するスキルなど、IT関連のスキルは多種多様です。いずれも短期間で習得できるものではないため、日常的に勉強する時間を確保しましょう。
IT業界でトレンドになっている技術は大きく変化することも多いため、常に最新情報を取り入れることも大切です。
システムエンジニアの実務をスムーズに進めるには、ロジカルシンキング(論理的思考力)も欠かせません。ロジカルシンキングは物事同士の論理的なつながりを考え、仮説検証や問題解決に活かす思考スキルです。
システムエンジニアとして働いていると、企画や設計に携わることがあります。要求に応じて最適なシステムがどのようなものかを考え、要件定義書に落とし込むにはロジカルシンキングが必要です。
また、システムの開発中やリリース後に何らかの不具合が発生した場合、原因追究と改修を実施します。その際には不具合の原因を追究して改修方法を定める必要があり、ここでもロジカルシンキングが大切です。
システムの開発は単独ではなく、チームで進めるものです。システムエンジニアとして働くと、チームを管理したり、発注元と打ち合わせしたりするケースもあります。
関係各所とスムーズにコミュニケーションを取り、チームを動かすには高いヒューマンスキルが欠かせません。ヒューマンスキルは円滑な人間関係を構築・維持するために必要なスキルの総称で、コミュニケーションスキルやヒアリングスキル、ネゴシエーションスキルなどを含みます。
短期間で向上させるのは難しいため、日頃から意識するとよいでしょう。

志望動機では、企業に「この応募者を採用したい」と思ってもらえるような強みをアピールする必要があります。しかし、「どのようなスキルや強みをアピールすればよいのかがわからない」とお悩みの方も多いでしょう。
ここでは、システムエンジニアの志望動機でアピールしたいポイントを未経験者と経験者に分けて解説します。
未経験者の志望動機で採用担当者が注目するのは、「基礎的な素養」と「成長意欲」です。そこで、まずアピールしたいのがヒューマンスキルです。システムエンジニアは顧客の要望を正しく理解し、チーム内で情報を共有しながら開発を進める職種のため、コミュニケーション力や協調性が欠かせません。
たとえば「前職で培った接客経験を活かし、顧客の課題を丁寧にヒアリングできる」といった形で、これまでの経験をもとにコミュニケーション力をアピールすると効果的です。
また、ロジカルシンキング(論理的思考力)を強調するのもおすすめです。未経験者でも「業務の効率化に取り組んだ経験」や「データを分析して改善策を提案した経験」を示せば、システム開発に必要な素養をアピールできます。
経験者が志望動機を書く際には、ITスキルや具体的な実績を中心にアピールしましょう。たとえば「JavaやPythonを用いたシステム開発を担当し、納期どおりにプロジェクトを完遂した」「顧客満足度向上のために運用改善を行い、問い合わせ件数を30%削減した」など、数値や事例を交えて成果を示すと効果的です。
さらに「最新技術を学び続けたい」「プロジェクトマネジメントにも挑戦したい」といった成長意欲を盛り込むと、長期的に活躍できる人材として評価されやすくなります。

志望動機の書き方やポイントが分かっても、実際どのような志望動機を作成したらよいか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。システムエンジニアの志望動機は、未経験者と経験者で書き方のポイントが異なります。ここで紹介する例文を参考に、オリジナルの志望動機を作成してみてください。
【例文】
飲食店向けのシステムに強く、クライアントのニーズを捉えた使いやすいシステムを数多く提供する貴社で活躍したいと思い、志望いたしました。前職では飲食店の店長として勤務しており、在庫管理や勤怠管理のシステムを利用していました。汎用化されたシステムでは使いにくい部分も多く、様々なカスタマイズを行いました。
その中で他店舗との共通化が難しいという課題に気づき、「最初から利用用途に合わせてカスタマイズをしたシステムを導入できたらさらに業務の効率化を図れる」と考えました。そこで、自ら開発側に回れないかと思い、IT業界への転職を決意しました。
IT関係の実務経験はありませんが、基本情報技術者試験合格のために勉強しているところです。入社後は、飲食店の現場の知識・接客で得たコミュニケーション能力を活かし、クライアントの希望を丁寧にヒアリングして提案をまとめるシステムエンジニアとして活躍する所存です。
未経験でIT業界に興味を持ったきっかけや、やりたいことが分かりやすくまとまっています。また、前職の経験をどのように活かせるのかという部分を明確にしている点、入社に向けて勉強を進めている点を伝えているところもポイントです。
【例文】
貴社を志望した理由は、業務効率化システムの開発に特化している点に魅力を感じたためです。私は前職で営業職として勤務しておりましたが、業務の中で社内システムの改善に関わる機会があり、ITの力で効率化を実現できることに大きな魅力を感じました。
その経験をきっかけに、独学でプログラミング学習を開始し、現在はJavaやPythonの基礎文法、SQLを用いたデータ操作を習得しています。学習を通じて、課題を分解し、論理的に解決策を導き出すプロセスの面白さを強く実感しました。
入社後は、私の学習意欲と前職で培ったコミュニケーション力を活かし、顧客のニーズを正確に理解しながら、システム開発に貢献していきたいと考えております。
この例文では「独学で努力している姿勢」と「前職の経験」を結びつけています。単に「勉強中です」と述べるだけではなく、学習内容を具体的に書くことで、採用担当者に熱意が伝わりやすくなります。
【例文】
私はシステムエンジニアとして業務系のシステム開発に携わってきました。しかし、プロジェクトの規模が大きいこともあり、基本設計は別のSIerが行い、私たちは詳細設計以降のプロセスを担当していました。
私はシステムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、プロジェクトマネージャーになりたいと考えていますが、現職では上流工程を経験できないことから転職を決意しました。
貴社はプライム案件がほとんどで、システム開発の工程を一貫して担っていると伺っております。また貴社は鉄道運行管理システムや携帯電話通信網システムといった社会インフラを支えるシステムだけでなく、金融分野のシステム開発など幅広く取り組んでいる点にも魅力を感じております。
採用いただけましたら、働きながらプロジェクトマネージャ試験やITストラテジスト試験の合格を目指し、いち早くプロジェクトを統括できるスキルを身につけ、貴社に貢献していきます。
経験者は、自分が過去に何をしてきたかを伝えることが大切です。経験者ならではのキャリアビジョンを明確に示しましょう。
【例文】
システムエンジニアとして8年間、金融系システムや業務システムの開発に携わってきました。要件定義から設計、開発、運用保守まで幅広く経験し、直近では10名規模のチームをまとめるプロジェクトリーダーとして進行管理を担当しました。今後はより大規模かつ多様な案件に挑戦し、マネジメントスキルをさらに磨きたいと考えております。
貴社は大手企業との取引実績が豊富で、チームマネジメントを重視した開発体制を取られている点に魅力を感じています。入社後は、これまでのマネジメント経験を活かしつつ、メンバーが安心して力を発揮できる環境を作り、プロジェクトの成功に貢献したいと考えております。
経験者の志望動機では、過去の実績を「数値」や「役割」とともに具体的に示すことが大切です。この例文では「8年間の経験」「10名規模のマネジメント」といった具体的な成果を盛り込むことで、即戦力として活躍できることを効果的にアピールできています。

一口にシステムエンジニアといっても、企業によって役割や業務内容は異なります。そのため、志望動機を作成する際には応募企業に合わせた内容にすることが大切です。ここでは、応募する企業別にシステムエンジニアの志望動機の例文を紹介します。
【例文】
貴社を志望した理由は、どのような業界においてもきめ細かな要望に応えてシステム開発に取り組む姿勢に魅力を感じたためです。これまで私はプログラマーとしてシステム開発に携わってまいりました。システムエンジニアの補佐という立場で、クライアントのフォローなども経験しております。
しかし、フォローだけにとどまらず、システム開発のスタート時点からクライアントと密に関わり、より役に立てるシステムエンジニアを目指したいと考えるようになりました。
私はクライアントとの対話を得意としています。今後は、システムエンジニアとしての知識と技術を身につけながら、クライアントに満足していただけるシステム開発に貢献していきたいと考えています。
会社を志望した理由と、なぜ転職する必要があるのかが前向きな言葉でまとまっています。前職で類似した仕事を担当している場合は、転職理由をきちんと説明することが大切です。同じような仕事をしている場合、「採用してもまた転職するのではないか」と思われる可能性があるためです。
【例文】
介護業界においてITシステムの活用に力を入れている貴社の取り組みに感銘を受け、志望いたしました。前職では、システムエンジニアとして一連のシステム開発業務及びマネジメント業務を経験してまいりました。
今後は少子高齢化の進む昨今において、自身のスキルをより社会のために活かしていきたいと考えております。貴社の目指している医療と介護のスムーズな連携を実現するシステムの開発のため、これまでの業務知識、開発スキルを活かし、事業に貢献していく所存です。
応募企業が扱うシステムに興味を持った理由が明確に書かれているため、この企業に就職したい理由が伝わります。また前職の経験から、採用担当者に「即戦力として期待できそう」という印象を与えられる点もよいでしょう。
【例文】
高齢者向けのITサービスに特化した貴社で活躍したく、志望いたしました。
私自身、高齢の父母がおり、思うように外出できない不満を日頃から聞いていました。そこで実家にビデオ通話できる環境を整えたところ、孫と話せる機会が増え、とても喜んでいます。便利なシステムを世の中に提供することで、私の父母に限らず多くの高齢者に喜んでもらえるのではないかと思うようになりました。
前職ではシステム開発の部署で新規システムの設計・開発を8年間行っていたため、この開発スキルを活かして貴社に貢献していきたいと考えます。
スタートアップの企業の場合は、特に会社への理解と意欲が重視される傾向にあります。大手ほど労働環境が整っていないケースもあり、意欲がないと続かないと考えられるケースが多いためです。
上記の例文では応募企業に興味を持っていて、活躍したい理由が自分の経験ベースで語られています。意欲が採用担当者に伝わりやすく、効果的です。

システムエンジニアの志望動機では、気をつけたいワードがいくつか存在します。無意識に使ってしまうと、採用に悪影響を与える恐れがあるため注意しましょう。ここでは、システムエンジニアの志望動機で記載しないほうがよいことについて解説します。
「チームワークを活かした仕事をしたい」という理由でシステムエンジニアを志望する方は多くいます。しかし、チームワークはどの仕事でも活かせるため、システムエンジニアに特化した志望動機にはなりません。
志望動機ではチームワークに言及せず、システムエンジニアでないとできない内容を伝えるようにしましょう。そのうえで、付加的な要素としてチームワークを重んじた業務の進め方ができる点を伝えるのはアピールポイントとして効果的です。
「手に職をつけられる仕事」という表現も要注意です。会社側へどう貢献したいかを伝えない限り「会社のお金で勉強したい人」という印象を与えてしまう可能性があります。志望動機では、企業にどのように貢献できるのかなど、企業側が応募者を採用するメリットを伝えることが大事です。
「貴社で成長したい」「貴社で学びたい」といったワードは成長意欲や熱意があるように思われますが、志望動機では避けたほうがよいでしょう。会社は仕事することで利益を生み出す組織であって、学校のように勉強する場ではないためです。
企業側は即戦力となる人材を求めているため、「成長したい」「学びたい」といった姿勢は受け身であると捉えられてしまいかねません。成長意欲を示すことは大事ですが、主体的に学習していく姿勢をアピールしましょう。
転職する企業を選ぶ際、給与や福利厚生は重要なポイントとなってきます。しかし、志望動機に直接「給与が高いから応募しました」「リモートワーク制度が整っているから志望しました」と記載すると、採用担当者からは「会社や仕事の内容には興味がないのではないか」と受け取られてしまいかねません。
志望動機は、あくまでも「その企業で働きたい理由」を伝えるためのものです。たとえば「貴社が手掛けるクラウドサービスの開発に携わりたい」「AIやデータ解析の分野でスキルを磨きたい」といった形で、事業内容や製品への興味関心を中心に書いたほうが効果的にアピールできます。
「前職の残業が多すぎた」「評価制度に不満があった」といったネガティブな転職理由をそのまま志望動機に盛り込むのは避けましょう。採用担当者は「また同じ理由で不満を持ち、短期間で辞めてしまうのでは」と不安に感じる可能性があります。
そのため、転職理由がネガティブだったとしても、志望動機はできるだけ前向きな表現にすることが重要です。たとえば、「人間関係」が原因で退職した場合は「チームワークを重視する職場で働きたい」といった形に変換できます。前職への不満ではなく、応募企業で働きたい意欲に焦点を当てた転職理由を考えましょう。

システムエンジニアへの転職を目指すにあたり、志望動機には入社したいと思った理由と活かせるスキル・経験、転職後にやりたい仕事などをバランスよく盛り込むことが大切です。また、システムエンジニアにはIT関連のスキルやロジカルシンキング、ヒューマンスキルなどが求められます。転職を少しでも有利に進めたい場合は、積極的にスキルの習得・向上に努めましょう。
志望動機の書き方で悩んでいる方は、早い段階でIT業界に強いキャリアアドバイザーが在籍しているマイナビITエージェントにご相談ください。マイナビITエージェントでは、一人ひとりのスキルや経験をヒアリングし、選考時に適切なアピールができるようにサポートいたします。
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