更新日:2024/10/24
この記事のまとめ
プログラマーに憧れを抱く人は多いものの、その仕事の実態は想像以上にきついといわれています。PCの前に座って黙々とコードを書くだけと思われがちですが、実際には長時間労働や常に新しい技術の習得が求められるなど、肉体的にも精神的にもタフさが必要な職業です。
ここでは、プログラマーの仕事がなぜきついのか、その理由について解説します。プログラマーを目指す人はもちろん、すでにプログラマーとして働いている人も、自分の仕事の本質を見つめ直すきっかけになるかもしれません。
目次
プログラマーの仕事は、「きつい」「帰れない」「給料が安い」の頭文字がすべて"K"であることから、「3K」と呼ばれています。ITエンジニア全体の人手不足によりひとりにかかる負担が大きくなるため、きついと感じたり、納期が迫っている時期に定時に帰れなくなったりすることがありました。
しかし、働き方改革に注力している企業を選べば、毎日遅くまで残業することは少ないといえます。残業が発生するのは、納期前などの繁忙期や急な仕様変更があった場合、予期しない不具合が発生した場合が多く、案件や時期によって変わります。
まずはプログラマーの仕事がきついといわれる主な理由を10個紹介します。ただし、紹介する情報は全体的な傾向を示したもので、すべての企業に当てはまるわけではありません。自分がきついと感じる理由があるか、確認しましょう。
プログラマーは、プロジェクトのスケジュールに沿って業務を行います。プロジェクト終盤でトラブルや急な仕様変更が発生した場合でも、納期を変更できないこともあるでしょう。そのため、仕事が急に増え、残業過多に陥る可能性があります。
業務環境の改善に力を入れて、従業員の残業時間をきちんと管理する企業も増えていますが、依然として「プログラマー=残業が多い」というイメージを持つ人もいます。
プログラマーもほかの職種と同様に、経験やスキルによって給与に差がつきます。特に、扱うプログラミング言語によって需要が異なるため、給与水準に差が出やすいといえるでしょう。
一般的な平均年収と比較するとプログラマーの年収は高い傾向にあります。しかし、残業が多くなると仕事量と給与が見合わないと感じることもあるでしょう。
プライベートの時間にもプログラミングを勉強する現役プログラマーは少なくありません。IT業界では日々新しい技術が生まれるため、学び続けなければスキルが陳腐化するためです。
また、プログラミングの知識やスキルだけでなく、インフラ周りやデータベースなどプログラミング以外の知識も求められます。常に自分の持つ知識やスキルをアップデートし続けなければならないため、勉強が苦手な人にとってはきついと感じる原因になるでしょう。
トラブルやクライアントからの急な仕様変更などの依頼があると、緊急対応を求められることがあります。そのようなときは、柔軟に対応しなければなりません。
仕事・プライベートともに、自分自身の予定は自らコントロールしたい人にとって、自身の予定を覆す緊急対応の発生はプログラマーの仕事がきついといわれる理由のひとつです。
営業職や接客業のように頻繁にコミュニケーションを取る職ではありませんが、ITエンジニア同士の調整やクライアントへのヒアリングなど他者とのコミュニケーションが必要な機会があります。自分に合わない人がプロジェクトに参加している場合などには、人間関係に悩むこともあるでしょう。
そのため、他者とのコミュニケーションが苦手な人にとっては、交渉やヒアリングが難しいと感じることがあります。ただし、企画・設計をはじめとした上流工程を担当するITエンジニアと比較すると、コミュニケーションを取る機会は少ないでしょう。
仕様書や要件定義書にしたがったコーディングを担当するのがプログラマーですが、就職する企業や担当する案件によってはより広範な業務に携わることがあります。
少人数のプロジェクトにアサインされた場合は、コーディングに加えて要件定義や設計、マネジメントを担当することもあるでしょう。開発よりマネジメントなどの業務が占める割合が多くなると、開発経験を積んでスキルレベルを高めたいプログラマーにとってはミスマッチになり得ます。
プログラマーは多種多様な企業で必要とされるため、所属する企業ではなくクライアント企業で働くケースがあります。
SIerに在籍してシステムの受託開発を担当している場合、セキュリティーの問題やハードウエアの都合で納品先企業のオフィスで開発を進めるケースもあるでしょう。ほかにも、ITエンジニアの労働力を提供するSESとして働いている場合も、基本的にクライアント企業で業務を遂行します。
人によって感じ方は異なるものの、クライアント企業での勤務に働きにくさを感じることがあるため注意が必要です。クライアント企業で働くことを避けたいのであれば、自社で開発したシステムを販売して収益を上げている企業を選ぶとよいでしょう。
開発中のシステムに予期しないバグが発生した場合は、修正する必要があります。バグ修正は現象から原因になっている箇所を発見して正しいコードに書き換えることが必要です。
原因がすぐに特定できれば比較的スムーズに修正が進みますが、原因不明の場合は修正完了までに長時間かかることがあります。大規模なシステムであれば特に原因追究が難しくなったり修正が複雑になったりするため、残業や休日出勤が発生することがあるでしょう。
近年、IT業界は人手不足に陥っています。そのため、労働時間が長くなり、「家になかなか帰れない」「仕事内容がきつい」と感じる人も少なくありません。
特に、地方の企業で働くプログラマーはロースキル案件が多いことから離職率が高く、人手不足の一因となっています。
やる気の維持が難しいのも理由のひとつです。プログラマーの仕事はひたすらコーディングするという地道な作業が多く、飽きることもあるでしょう。単純作業のうえ、休みも取りにくいと、モチベーションが下がります。
また、現場での人間関係や求められる仕事といった労働環境もモチベーションに大きく影響します。
IT業界は全体的に人手不足に陥っており、必要な人材を確保するのに苦労しています。このような背景から、どの企業も技術職であるプログラマーを積極的に確保したいと考えているといえるでしょう。
スキルや経験が豊富で即戦力になる人材の需要が高いものの、プログラミング未経験者にも門戸を開いている企業もあり、未経験からの転職も可能です。
上記のような企業では、即戦力の採用を試みるよりも自社で未経験から教育し、一流のプログラマーに育て上げることを目指しています。必要なスキルを習得していれば、未経験からプログラマーに転職できる可能性は十分にあるでしょう。
これからプログラマーを目指すのであれば、本当にプログラマーが自分に向いている職なのか吟味することが大切です。ここでは、プログラマーに適性がある人の特徴を7つ紹介します。ひとつずつチェックし、自分に該当するポイントがあるかよく考えてから実際に転職するか決断しましょう。
毎日プログラミングに携わる職であるため、プログラミングが好きでなければ務まりません。プログラマーに転職するには事前にある程度のプログラミングを習得する必要があるため、学習を通じて自分に適性があるか判断するとよいでしょう。
楽しくプログラミング学習を続けられ、プログラマーとして働きたいと強く願うのであれば、上記の点では問題ないといえます。
プログラミングでは、理由なくエラーが発生することはありません。何らかのエラーが発生した場合、コードのどこかに論理性が破綻した箇所があります。
プログラマーに向いているのは、エラーの発生原因を論理的に突き詰めて考え、コードのどこを修正すれば解消できるのかを素早く判断できる人材です。
黙々と何かを作ることやひとりで作業に没頭することが苦にならないのであれば、プログラマーの資質のひとつを満たしているといえます。
プログラミングは1個の作品の完成を目的とする作業で、いずれも高い集中力を維持して作業を続けることが大切です。ひとつの物事に集中することが好きな人には向いているといえるでしょう。
プログラマーに向いている資質のひとつが、好奇心旺盛で学習を日々継続できることです。技術の進歩が著しいIT業界においては、半年前まで常識だったやり方が通用しないこともあり得ます。
好奇心と探究心があり、毎日新しい知識の収集を楽しめるようであれば、プログラマーになった後も活躍できるでしょう。
プログラマーとして活躍するには、柔軟な考え方ができてさまざまな状況に適応する能力も求められます。
特に自分が書いたコードは誤りがないと思いがちで、ミスの発見が遅れるケースがあります。不具合やミスの原因を発見するには、思い込みを捨てて臨機応変に対応することが必要です。そのため、高い適応能力や対応力がプログラマーとして求められます。
プログラミングにイレギュラーはつきものです。仕様書どおりに正しくコーディングしたにもかかわらずバグが発生したり、未知の不具合に遭遇したりすることもあります。
そのようなときには、状況を適切に判断して対処する必要があります。特定の考え方に凝り固まるのではなく、トラブル対応においてはさまざまな方向からあらゆる可能性を考えて検証し、対策を進めるスキルが必要です。
自分が知らない情報を吸収できる人はプログラマーに向いているでしょう。プログラミング言語は多種多様で、企業の依頼内容によって使用言語が異なるためです。また、新しい情報を吸収するために、ためらいなく質問できる人も適性があるといえます。
学ぼうとする姿勢は技術の向上につながるため、会社でもよい評価を得られるかもしれません。
プログラマーに向いていない人に共通する特徴も見てみましょう。下記で紹介する条件に該当する人は、プログラマーに転職してもミスマッチに悩む可能性があります。
本当にプログラマーが自分に適した職なのか判断できずに困っているのであれば、ここで紹介するポイントをひとつずつ考え、自分に当てはまるものがないかチェックしましょう。
英語・数字・記号を組み合わせてロジックを組み立てていくプログラミングは、英数字が苦手という人にとっては作業を苦痛に感じてしまう可能性があります。
変化の激しいIT業界では新しい技術を常に学び続ける必要があります。日常的に新しい技術や知識に関心が持てなければ、学んだ技術や知識はすぐに古くなってしまいます。
そのため、常に勉強し続けていく向上心や知的好奇心が薄い人はプログラマーに向いていない可能性があります。
黙々とキーボードを打ち続けるプログラミングは、クリエイティブな職であるとはいえ作業は比較的地味です。誰とも話すことなくひとりでパソコンに向かい、作業を続ける必要があります。
ひとつのシステムを完成させるまでには、何度もトライ&エラーを繰り返して必要な改修を施す根気が必要です。ひたすら似たような作業を繰り返すため、地道な作業を長時間続けることが苦手な方には難しいでしょう。
プログラマーの仕事はきついといわれますが、実際はどのような労働環境なのでしょうか。ここでは、一般的なプログラマーの1日の仕事の流れやワークライフバランスについて解説します。働き方をイメージする参考にしてみてください。
プログラマーの仕事は開発業務だけでなく、情報収集やミーティング、スキルアップなど多岐にわたります。朝は1日のスケジュール確認やIT関連情報の収集から始まり、昼休憩には最新技術のチェックや学習、午後は開発業務を進めつつ定例ミーティングで進捗報告や情報共有を行うといった流れが一般的です。繁忙期には残業も発生し、集中して開発に取り組む一方で、スキルアップのための学習も欠かせません。
プロジェクトの状況によって毎日のスケジュールは変動しますが、常に高い集中力と学習意欲が求められる仕事といえるでしょう。
プログラマーのワークライフバランスを保つには、メリハリのある働き方が重要です。勤務時間中は集中して開発に取り組み、定時退社を心がけましょう。また、休日は趣味や家族との時間を大切にし、リフレッシュすることが大切です。
リモートワークを活用するのも有効な手段のひとつです。自宅で仕事をすれば、通勤時間が減ってプライベートの時間を確保しやすくなります。ただし、仕事とプライベートの切り替えが難しくなるケースもあるため、注意が必要です。
プログラマーの仕事は、高い集中力と学習意欲が求められる一方で、工夫次第でワークライフバランスを実現できる魅力的な職業といえるでしょう。
プログラマーの仕事はきついイメージがありますが、その苦労に見合うキャリアパスや将来性があれば、続けられると考える方もいるでしょう。ここでは、プログラマーの将来性やキャリアパス、スキルアップ方法を紹介します。技術の進歩が早いIT業界でプログラマーとして活躍し続けるためのヒントが見つかるかもしれません。
現在、IT人材不足が深刻化しており、特にAIやセキュリティー関連の専門人材が不足しています。企業のDX推進によりシステム開発やデータ分析の需要が高まっているため、プログラマーの需要は今後も継続的に見込めるといえるでしょう。
一方、AIによる自動化の進展やコスト削減目的のオフショア開発の増加により、将来性に不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、複雑なシステム開発やAI開発自体にはプログラマーが必要不可欠です。高品質な開発やシステム改善提案といったスキルを持つプログラマーは、国内でも引き続き需要があるでしょう。
プログラマーとして将来性を高めるには、需要の高いAI、IoT、セキュリティーといった先端技術や人気のプログラミング言語を習得することが重要です。加えて、マネジメントスキルやコミュニケーション能力を身につけることで、高い職位やより良い待遇を目指せます。
プログラマーのキャリアパスは、大きく分けて3つのパターンがあります。
1つ目はエンジニアのスペシャリストを目指す技術職志望者向けのキャリアパスで、プログラマーとしての経験を活かし、より専門性の高いITエンジニア職に転職するのが一般的です。
2つ目はマネジメント職へのキャリアアップを目指す管理職志望者向けのキャリアパスで、要件定義やプロジェクト全体の調整といった上流工程に携わるため、高度なビジネススキルやヒューマンスキルが求められます。
3つ目はフリーランスや起業を目指す独立志向の方向けのキャリアパスです。ITエンジニアの需要は高く、人手不足の状況にあるため、高いスキルを武器に独立するのもひとつの選択肢といえるでしょう。
どの道を選ぶにしても、常に新しい技術を学び、自己成長を続けることが理想のキャリア実現の鍵です。
プログラマーとしてスキルアップするには、基礎的なプログラミング言語の学習から始めましょう。入門書や無料教材を活用すれば、1か月程度で基本的なプログラミングが可能になります。SQLといったデータベース関連技術やフレームワークの習得も重要です。さらに、仕様書作成やテストなどのソフトウェア工学の知識も身につけることで、保守性の高いシステム開発ができるでしょう。
効果的な学習方法は、メンターの指導を受けてエラー処理を学んだり、ベテランのコードを参考にしてパターンを習得したりするのがおすすめです。常により良いやり方を探求し、失敗を恐れずに新しい技術に挑戦する姿勢が大切です。習得したスキルはチームに共有し、人に教えることで理解が深まります。正しい方法で継続的に学習することが、プログラマーとして成長し、高収入ややりがいにつながるでしょう。
これからプログラマーを目指す人に向けて、転職でミスマッチを防ぐためにできることを紹介します。自分に合った企業でプログラマーとしてのキャリアをスタートさせ、意欲的にキャリアアップするために欠かせないコツをまとめました。実際に転職するときは、十分な時間を取ってひとつずつ吟味することをおすすめします。
世の中には多種多様なプログラミング言語があり、開発を担当するシステムによって用いる言語は異なります。そのため、自分が目指す分野でトレンドのプログラミング言語が何かを調査し、需要が高いものを学ぶのがおすすめです。需要が高いプログラミング言語の例には以下のようなものがあります。
汎用性が高く大規模なシステム開発に用いられるJavaや機械学習の分野で人気が高いPythonなど、需要が高い言語はさまざまです。
自分が目指したい業界・企業が決まったら、転職を決断する前に業界・企業についてさらに詳しくリサーチしましょう。業界・企業によって求められるスキルや力を入れている分野、具体的な仕事内容が大きく異なるためです。
自分が学んだスキルが高く評価されるか、思い描いているキャリアパスを実現できそうか考えるとよいでしょう。きちんとリサーチしてから転職することで、イメージ違いやスキル面でのミスマッチを防ぎやすくなります。
プログラマーとしての経験を積むと、さまざまなキャリアパスが開かれます。そのため、早い段階で自分が目指す方向を定めてキャリアプランを明確に思い描くのがおすすめです。プログラマーの経験を活かせるキャリアプランには、以下のようなものがあります。
開発のスペシャリストを目指すのであれば、分野を定めてスキルアップに励むとよいでしょう。マネジメント職を目指すのであれば、ITエンジニアとしてのスキルに加えてマネジメントスキルやヒューマンスキル、経営に関する知識を学ぶのがおすすめです。
プログラマーの仕事は長時間労働や常に新しい技術習得が求められるなど、きつい面が多いものの、やりがいのある魅力的な仕事です。論理的思考力や集中力が求められ、向き不向きがありますが、IT業界の需要は高く将来性も期待できるでしょう。
プログラマーへの転職を検討しているなら、ミスマッチによる後悔を防ぐためにも適性をチェックすることが大切です。企業探しや選考をスムーズに進めたい方は、IT業界に特化したマイナビITエージェントにご相談ください。
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