更新日:2023/08/23
この記事のまとめ
プログラマーは、プログラミング言語を用いたコードを記述してプログラムを組み、システムやソフトウェアを作るのが仕事です。しかし一口にプログラマーといってもWebプログラマーやゲーム系プログラマーというように多様な職種に分かれ、使用するプログラミング言語もさまざまです。
そこでこの記事では、プログラマーの仕事を分野別に8つ紹介します。それぞれの詳細な仕事内容や使用言語まで解説しているので、転職先の選び方に悩んでいる方はぜひご一読ください。
目次
ここでは、プログラマーの概要を解説します。どのような仕事を担う職種であるのか、システムエンジニアとは何が異なるのかをまとめました。これからプログラマーを目指すにあたり、基本的な情報をいま一度押さえておきましょう。
プログラマーとは、「プログラミング言語」を用いてコンピューターを動かすシステムやソフトウェアを開発する職種全般です。開発したシステムはインターネットやアプリケーションなどをはじめ、自動車や電子レンジなど生活に関連する機械にも使われています。そのため一口にプログラマーといっても、以下のように担当する分野によって職種は異なります。
システムエンジニアはプログラマーと混同されやすい職種のひとつですが、それぞれの仕事内容には下表のような違いがあります。
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システムエンジニアは、プログラマーがプログラミングするための仕様書を作成する役割を担うのが特徴です。ただし企業によっては、システムエンジニアもプログラミングを担当します。
プログラマーは、主に8種類に分けられます。ここでは、Webプログラマーやゲーム系プログラマーなど種類別に仕事内容や使用言語を詳しくまとめました。
興味のある分野や、過去に学んだ経験のある知識が役立てられる分野など、自分に合う仕事を見つけるためにお役立てください。
ショッピングサイトやSNSなどWebアプリ、Webサイトなどのプログラミングを行うのがWebプログラマーです。
Webプログラマーには主に3つの種類があり、それぞれ担当する仕事内容が変わります。
フルスタックはフロントエンド、バックエンド両方の業務を行うため、幅広い知識と技術を求められます。また、フロントエンドとバックエンドも関係性は密接です。いずれを選んだとしても、ある程度幅広い知識が必要になるでしょう。
Webプログラマーが使用するプログラミング言語は、PHP、Ruby、Perl、Java、JavaScriptが中心です。ただしフロントエンドは、ユーザーが直接目にするものを作るため、HTMLやCSSの知識も必要です。
Webプログラマーを目指すうえで必ずなければならない資格はありません。ただし「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」は、スキルを証明する手段として取得しておいて損はないでしょう。情報処理技術者としてのスキルが備わっていることを認定する経済産業省認定の国家試験です。
ほかにも「Ruby技術者認定試験」「Oracle Certified Java Programmer」などの民間資格があると、業務に活かせるでしょう。
ゲーム系プログラマーは、文字どおりプログラミング言語を用いてゲームの開発を行います。
家庭用ゲーム機用のコンシューマーゲームからスマートフォン向けのゲームアプリ、パソコンのオンラインゲーム、VRゲームなど開発するゲームはさまざまです。クリエイターやWebデザイナーとのやりとりを密に行いながら、キャラクターの動き、場面転換、BGM、効果音など、ゲームの世界感のイメージを具現化するためにソースコードを書いていきます。
特にキャラクターを人間らしく滑らかに動かすためには、プログラミングの技術だけではなく、数学や物理学、論理的思考力なども求められます。
ゲーム系プログラマーが使用するプログラミング言語は、C++、C#、JavaScript、Swift、Ruby、Objective-C、HTML5などです。開発するゲームによっても必要な言語は異なります。
どのようなゲーム作りに携わりたいのかを明確にしておくとよいでしょう。
ゲームプログラマーに必須の資格もありません。しかし転職を有利にしたい場合や、年収アップを望む場合には資格取得が有効でしょう。
ゲーム開発全般に関連するおすすめ資格としては、「基本情報技術者試験」「C言語プログラミング能力検定試験」「Javaプログラミング能力認定試験」「TOEIC」の4つが挙げられます。
アプリケーションプログラマーは、主にパソコンやスマートフォンで使用するアプリケーションのプログラミングを行います。
アプリケーションプログラマーが作るアプリケーションは、大きく次の4種類に分けられます。
アプリケーションプログラマーは、プログラミングのスキルばかりではなく、ソフトウェアやハードウェア、ネットワーク、データベースなどの幅広い知識も必要とされます。
アプリケーションプログラマーがよく使用するプログラミング言語は、Java、C、C#、Ruby、PHP、Swift、Kotlinと多岐にわたります。アプリの使用想定デバイスによっても使用言語は異なりますが。パソコン、スマートフォン、タブレットなど、すべてのデバイスで同様に利用できるユニバーサルアプリも増えています。
そのため、アプリケーションプログラマーは複数言語の習得が求められるでしょう。常に最新のプログラミング言語を学習する姿勢も大切です。
アプリケーションプログラマーの場合も必ず持っていなければならない資格はありませんが、資格があれば技術者として信頼性を得やすいでしょう。情報処理技術者試験の上位資格に区分される「システムアーキテクト試験」は、アプリケーションプログラマーを目指す人にはおすすめです。
システム開発において上流工程を担えるスキルを兼ね備えているか否かを測る資格のため、この先上流工程のITエンジニアとして活躍したい方は取得を検討してみましょう。
ほかにも「プロジェクトマネージャ試験」や「アプリケーション技術者認定試験」などの資格があると仕事の幅も広がっていくでしょう。
組み込み系プログラマーは、電化製品や自動車、電子機器などを制御するために組み込まれているプログラムの開発を行います。
エアコンやテレビなどを遠隔操作したり、自動車の自動運転機能に利用されたりと、生活に身近なものに関わるプログラムを作るのが組み込み系プログラマーの仕事です。IoT(Internet of Things)の普及とともに、急速にニーズが高まっている種類のプログラマーといえるでしょう。
組み込み系プログラマーが使用するプログラミング言語は、C、C++、C#、Javaなどです。難度が高いプログラム言語を使う傾向にあります。
組み込み系プログラマーに関しても仕事をするうえで必須の資格はありません。ただし、資格の有無は上司がメンバーの業務を分担するうえでひとつの判断材料となると想定されます。より高度な仕事に挑戦したい場合は、取得しておいて損はないでしょう。
組み込み系プログラマーが目指したい資格としては、「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」が挙げられます。組み込み系システム開発において主導的に業務を遂行できる人材であることを認定する資格です。令和4年度実施回では合格率が19.7%となっており高レベルのスキルが求められる上級資格ですが、取得すれば一目置かれる存在となれます。
一方、まだ経験が浅いプログラマーの場合は「ETEC(組込み技術者試験制度)」がおすすめです。合否判定ではなく、レベル判定により現状の実力を測ることが可能です。
汎用系システムプログラマーは、「メインフレーム」と呼ばれる1台の大型コンピューターでさまざまな目的の情報処理作業を行う汎用系システムの開発をします。
汎用系システムは膨大なデータを適切かつ安全に処理するのが目的であるため、汎用系プログラマーはほかのコンピューターと互換性のないクローズドなシステムを構築します。用途としては、大企業や公的機関で使用するものがほとんどです。
具体的には、金融機関のバンキングシステムや保険会社の顧客データベースのシステム開発などに携わります。
汎用系システムプログラマーが使うプログラミング言語は、事務処理のシステム開発を得意とするCOBOLが主です。そのほか、Java、FORTRAN、RPG、PL/SQL、Cなどの言語も活用されることがあります。
汎用系システムプログラマーの仕事に密接に関係する資格は、民間資格を含めて存在しません。情報技術全般の知識を網羅する意味では、「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」の取得は検討してもよいでしょう。
先に解説した汎用系システムと、まったく逆の手法を取るのがオープン系です。オープン系プログラマーはネットワーク内のすべてのコンピューターが情報にアクセスできるオープン系システム構築を担当します。
オープン系プログラマーは、複数のコンピューターを接続して構築するクライアント・サーバーシステムの開発に携わります。組み立てたシステムは、病院のデータベースや電子カルテ、複数店舗の顧客情報データベースなどに利用されます。
オープン系のOSはUNIXが使われることが多い傾向にありますが、Windowsでも開発が可能です。オープン系プログラマーが扱うプログラミング言語としては、Java、C#、C+、PHP、Ruby、Python、JavaScript、VB.NETがあります。
オープン系プログラマーにも必須資格はありません。ただしオープン系プログラマーが使用するJavaやPHPのスキルを測る「Oracle Certified Java Programmer」や「PHP技術者認定試験」は、取得しておくことで業務に活かせます。
そのほか、国家試験の情報処理技術者試験に含まれる「データベーススペシャリスト試験」を取得するとデータベースシステム構築のスキルを証明できるでしょう。
通信に関連した製品やプログラムの開発を行うのが、通信系プログラマーです。
組み込み系プログラマーと重複する部分がありますが、通信系プログラマーはネットワーク関連に特化した開発に携わるのが特徴です。Wi-Fiルーターやモデムなどのネットワーク機器のほか、テレビ会議やIP電話を使用する通話システムなどのプログラム開発を行います。
通信系プログラマーは常に新しい技術を身につけられるよう、柔軟な対応が求められます。
通信系プログラマーに求められるプログラミング言語はJava、C、C++と、ネットワークのシステム開発に特化した言語が中心です。
通信系プログラマーにも必須の資格はありませんが、ネットワーク系に特化した資格を取得しておくとスキルの証明やアピールにつながるでしょう。たとえば、「シスコ技術者認定」は通信機器大手企業のシスコシステムズ社が実施するベンダー資格で、同社製品の扱いやネットワーク技術の基礎が備わっていることを証明できます。
そのほか情報処理技術者試験で上位資格に位置づけられている「ネットワークスペシャリスト試験」に合格すると、ネットワーク関連の業務を一貫して担える専門家として認められます。
セキュリティー系プログラマーは情報セキュリティーを主軸としたシステム設計や運用を担います。
不正アクセスやコンピューターウイルスなどのサイバー攻撃対策、またそれらに対応するためのネットワーク構築や機器導入がセキュリティー系プログラマーの仕事です。IT技術を用いる企業であれば情報漏えいを防ぐためには必須であることから、常に一定のニーズがあるプログラマーだといえるでしょう。
セキュリティー系プログラマーが使用するプログラミング言語は、C、C++、JavaScriptなどです。しかし前提としてセキュリティーを施すシステムに使用されている言語が必要となるため、一概に特定できないのが実情です。
セキュリティー系プログラマーにも必須資格はありませんが、スキルの証明としておすすめなのは情報処理技術者試験の一部である「情報処理安全確保支援士試験」です。令和5年実施回では合格率19.7%のため、決して簡単な試験ではありませんが、合格すればサイバーセキュリティー全般の知識を業務に活かせるようになります。
そのほか、ネットワークの設計や管理を行ったりデバイスなどを扱ったりするうえで必要なスキルを問う「CompTIA Security+」も取得しておいて損はないでしょう。
ここでは、プログラマー全般に必要とされる基本スキルを紹介します。コミュニケーション能力をはじめ、プログラムの構築に直接関わらないスキルも中にはあります。
基本スキルを押さえることも、プログラマーが自分向きの仕事であるかどうかを見極めるために役立てられるでしょう。
プログラミング能力とは、プログラムを構築するための技術および知識を指します。基本的には、プログラミング言語の習得がプログラミング能力の向上につながるでしょう。IT業界は技術進化が著しいため、常に最新の知識を仕入れ、学ぶ姿勢も大切です。
またプログラミング言語は、使えればよいわけではありません。処理速度に優れたプログラムや、調整およびアップデートしやすいプログラムを組み立てられるように意識して能力を伸ばしていきましょう。
デバッグ能力とは、プログラムのバグを特定、修正するスキルのことです。デバッグ作業は通常目視で確認するほか、専用ツールを用いたり、プログラムを分割して動作させてバグを探す分割統治法を用いたりします。
バグを早く特定するには、経験が必要不可欠でしょう。しかし経験が浅い段階でもよくあるミスや効率のよいデバッグ方法を調べたり、エラーメッセージをすぐ解読できるように英語を学んだりなど積極的な学習がおすすめです。
プログラマーの仕事には、コミュニケーション能力が必要です。ひとつのシステムやソフトウェアを作り上げるまでに多くのチームメンバーと協力するためです。また、IT業界でキャリアアップを狙うのであればいずれはマネジメント領域に進むのが一般的であるため、なおのことコミュニケーション能力が求められます。
上からの指示やチーム内での情報共有を正確に受け取る力、提案をスムーズに伝える力などを意識して身につけていくとよいでしょう。
論理的思考力とは、結論までの道のりを論理的に組み立てる思考法です。プログラミングでは、「仕様書どおりのプログラムにするには、どのようなプログラミングが適切であるか」を常に問われます。論理立てて道筋を立てられるかどうかは、業務の効率化に大きな影響を与えるでしょう。
また論理的思考力は、無駄の少ない優れたプログラムを組み立てる際にも役立ちます。
外資系企業やクライアントが英語圏でなかったとしても、プログラマーは英語力があるほどキャリアアップしやすいといいます。デバッグ時にエラーメッセージを解読するために活用できるほか、海外の最新情報を得やすいためです。
IT技術のほとんどは英語圏で誕生および発展し、しばらくしてから日本にも流通するのが一般的な流れです。最新技術を学ぼうと思うと、どうしても英語で記載されたニュースや情報誌に目をとおす必要があるでしょう。
常に新たな技術や知識にアップデートしていける向上心のある方にとっては、プログラマーは将来性のある職種だといえるでしょう。プログラマーを含むIT職種の求人は増加傾向にあるのに対し、慢性的な人材不足が叫ばれているためです。また、一般的にプログラマーのキャリアパスは以下のようにほぼ確立されています。
このキャリアパスはプログラマーという職種全般に共通するため、分野によって異なることはあまりないでしょう。一方でシステムエンジニアに昇格後、インフラエンジニアへの道を選ぶ人もいます。
業務を通じて興味を持った分野に方向転換しやすいのも、プログラマーの強みといえるでしょう。
プログラマーの仕事に興味を持ちながらも、「自分に向いているか不安」と感じている方はこちらをご覧ください。ここではプログラマー向きだといわれる人の特徴を紹介します。
ただし現時点でこれらに当てはまっていなかったとしても、努力次第ではプログラマーを天職とすることも可能でしょう。
体力や集中力に自信のある方は、プログラマー向きだといえるでしょう。IT企業の多くは外部から委託を受けてシステム設計をするので、完成までの納期が定められているケースが一般的です。納期に向けて緊急性の高い業務に対応できる体力が求められます。
また集中力があれば、ミスのない仕事や的確なデバッグ作業が実現でき、業務を効率化できるでしょう。
スキルアップのための学習を苦痛に感じない向上心がある方も、プログラマーに向いています。プログラマーの仕事に密接に関わるIT技術は、目まぐるしいスピードで進歩するためです。
IT業界は実力主義でもあるため、学んだことが収入やキャリアに影響しやすく、向上心を刺激してくれる傾向もあります。
プログラマーは活躍したい分野によって、身につけるスキルが異なります。順当なキャリアパスを歩むためにも、まずは「どのような開発に携わりたいのか」を具体的にすることをおすすめします。
自分がどのようなものを作り上げたいのか、最終的に何を目指したいのかなど目標を明確化し、そのために必要なスキルや知識を積み重ねていきましょう。
プログラマーは、携わる分野によって種類が分けられます。自分の興味や得意分野、今後のキャリアパスに合った職種を選ぶとよいでしょう。
自分に合った仕事が何か分からずに悩んでいる場合は、マイナビITエージェントをご活用ください。マイナビITエージェントは、転職が具体化してない段階でもさまざまな相談を受けつけています。「転職したほうがよいか」「自分の適性は何か」といった悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。
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