更新日:2024/09/10
この記事のまとめ
地方銀行の給与水準は地域でもトップクラスで、社会的信用も高いことから新卒生には人気の就職先です。一方で、古い企業体質や将来性に対する不安を理由に、転職を考える人も少なくありません。地方銀行出身者が備える基礎的な能力や計数管理の意識は、企業が高く評価する要素です。
この記事では、地方銀行で働く人が転職したいと考える理由やおすすめの転職先、転職に失敗しないための対策について解説します。転職で後悔するケースも紹介しますので、参考にしてみてください。
目次
地方銀行に勤めている人が転職を考えるのには、さまざまな理由があります。転職の方向性にも大きく関係するため、しっかり確認することが大切です。ただし、「今の仕事がいやになった」といった理由では、転職に失敗する可能性が高いでしょう。ここでは、地方銀行に勤めている人が、仕事を辞めたいと考える原因を5つ紹介します。
若手社員に多くみられる転職理由が厳しいノルマです。低金利が続き、地方銀行に限らず金融機関は貸し出しや預金の運用で収益を上げることが難しくなっています。こうした中で、地方銀行は投資信託や保険といった金融商品の販売で収益確保を図っており、厳しいノルマが課されることも少なくありません。
「融資や預金獲得のノルマならまだしも、金融商品の販売に追われると、何のために地方銀行に入ったのか分からない」といった声も聞かれます。
地方銀行は給与や福利厚生といった待遇面は地域でもトップクラスで、転居を伴う転勤もほとんどないため、安定して働ける職場として人気があります。
しかし、企業としての安定性の高さには、組織の硬直性につながりやすいという側面もあります。年功序列が基本で、決まったルートに乗れないと昇給や昇格もままならないといった古い企業体質に直面することで、将来展望に希望が待てずに転職を考える人も珍しくありません。
地方銀行に就職する理由のひとつに「経営の安定性」がありますが、経営環境は厳しさを増しています。2021年3月期の地方銀行の決算(単体)では、約半数が減益あるいは赤字でした。
金融商品の販売を積極的に進めているのも、本来業務である「貸し出し」で収益を上げにくくなっているためです。「将来性が不透明な中で金融商品の販売をやらされるなら、専門的なスキルが身につく会社に早めに転職したほうがよい」と考える人もいます。
古い組織体質を残していたり、ノルマが厳しかったりする職場は、パワハラの温床になりがちです。地方銀行には2つの要素がそろっているケースもあり、パワハラによってメンタルに支障を来し、結果的に転職せざるを得ない人もいます。
最近はコンプライアンス意識が高まっているため、昔ほど露骨なケースは減っているものの、まったくなくなったとはいえないのが実情です。
地方銀行では、業務のほとんどがルーチンワーク化している部署もあります。毎日同じことの繰り返しで、自分の成長が実感できない状態にやりがいを感じられなくなり、転職を考える人もいます。
また、金融商品を販売している中で、「もっとお客さまの生活や会社の成長に役立つ仕事をしたい」と考えるようになり、転職に踏み切るケースも少なくありません。
地方銀行出身者の強みとして挙げられるのは、金融や財務、経理に関する知見を身につけていることや組織の運用に慣れていることです。また、営業は経営者と接することが多いため、その経験は業種を問わず即戦力として評価されるでしょう。
銀行は、厳しいルールと厳格な社内体制を整えている業種です。管理部門で社内体制の構築に携わった人や部門のリーダーを経験した人は、組織マネジメント能力があると評価されます。
現場のリーダーとして組織を運営したり、人事労務に携わって組織体制を整備したりするなど、企業のさまざまなフィールドで活躍できる可能性は高いといえるでしょう。
銀行の法人営業は、顧客と綿密な関係を築き、新規事業開発や設備投資に関わります。特に地方銀行の場合、経営者と直接折衝することが多く、時にはコンサルタント的な視点からのアドバイスを求められることもあります。
こうした経験は、金融機関はもちろんのこと事業会社でも生かせるため、転職の際に高く評価されるでしょう。
銀行員はお金を扱う職業です。億単位の金額を動かすことも少なくないため、自然に計算や基調のミスを防ぐためのリスク管理能力が身につきます。特に財務や経理の知識があり、ファイナンシャルプランナー(FP)のような資格を取得していれば、金融業界への転職には有利です。
計数管理に対する意識が高い人材は、どの業種でも即戦力として歓迎されます。中でも財務分析の能力は、営業や企画部門といった幅広いフィールドで活用できるでしょう。
ひと口に地方銀行出身者といっても、総合職と一般職とでは職務経験や身についたスキルが異なります。総合職はジョブローテーションにより営業、企画、管理など複数の部門を経験して、ある程度の期間勤めるうちにメインのフィールドが決まることがほとんどです。ここでは、総合職と一般職に分けておすすめの転職先を紹介します。
地方銀行で総合職を経験した人の転職先はさまざまです。金融に関する知見や営業経験に加え、厳しいルールやノルマの中で鍛えられている点が評価されます。
・IT系
成長業界であり、さまざまな職種の人材を求めています。中でも、法人営業や組織構築・マネジメント、財務は銀行で働いていた経験を生かしやすいでしょう。
・人材系
無形商材を扱い紹介・斡旋をメインとする人材業界は、仕事内容が地方銀行と重なる部分があります。未経験者が転職しやすいこともプラス要因です。
・金融系
仕事内容ではなく職場環境が転職の理由という人は、同じ金融業界を選ぶのが最もスムーズです。収入や福利厚生を絶対視しないのであれば、選択肢も豊富です。
・保険
地方銀行で保険商品を扱っていた経験があれば、即戦力として活躍できます。
・コンサルティング
法人営業の経験者で、会社の課題を見つけて問題解決のために提案するといったスキルを身につけた人におすすめの転職先です。
銀行の一般職は窓口業務のほか、緻密で煩雑な事務処理もこなしているため、「コミュニケーション能力」「調整能力」「正確な業務遂行力」がアピールポイントになります。ここでは、一般職の方におすすめの職種と理由を説明します。
・一般事務/営業事務
事務処理が得意であれば、業種を問わず即戦力として活躍できます。
・経理アシスタント
事務処理能力に加えて、銀行でお金に携わってきた経験が生かせる職種です。
・人事
社内での調整能力を生かしたい方におすすめです。
・秘書
事務処理能力、社内での調整能力、正確な業務遂行力など、一般職で培った経験を総合的に発揮できる職種です。
・受付
窓口業務で対人コミュニケーションを得意とする方に向いている職種です。
このほか、業務の中で身につけたコミュニケーション能力を生かして、カウンターセールスや法人営業といった職種にキャリアチェンジするケースもあります。
「いまの仕事や職場がいやになった」「ほかの仕事のほうがよさそう」といった気持ちが先行して、十分な下調べをしないまま会社を辞めると、転職後に後悔することがあります。特に、地方銀行は労働条件に恵まれているため、思わぬ現実に直面することもあるでしょう。ここでは、転職で後悔や失敗をするケースを3つ紹介します。
地方銀行の給与水準は、地域でもトップクラスです。地域内で他業種に転職する場合、給与は下がると考えておいたほうがよいでしょう。住宅手当や家族手当といった手当も充実しているため、給与の額面以上に可処分所得が減ることもあります。
やりがいを求めて転職しても、生活が苦しくなってしまっては元も子もありません。どの程度の収入減であれば許容できるのか、あらかじめ確認することをおすすめします。
最も大きな変化を感じるのが、社会的信用かもしれません。銀行員の社会的信用の高さはトップクラスで、住宅ローンや自動車ローンの審査はほぼ希望どおりに通ります。しかし、転職先や収入によってはローンを組めない場合があり、組めたとしても借入限度額や返済年数、金利といった条件が厳しくなるでしょう。
なお、クレジットカードの発行や賃貸住宅の入居審査に関しても、同様のことが言えるため注意が必要です。
地方銀行に限らず金融機関は激務とされていますが、労務管理はしっかりしています。長時間の残業や有給休暇の未消化について、上司や人事部門から注意を受けた経験がある人もいるでしょう。
一方、社内体制の整備が進んでいない中小企業やベンチャー企業の中には、サービス残業や休日出勤が常態化している会社もあります。いままで部下や一般職の人に手伝ってもらえた資料作成や事務処理を1人でこなさなければならなくなり、残業時間が増えるといったケースも考えられます。
地方銀行からの転職を考える際に重要なポイントは、タイミングと働く場所です。この判断を誤ると、転職後に後悔する恐れがあります。また、転職市場における自分の価値を認識することも大切です。客観的なアドバイスは参考になるでしょう。ここでは、地方銀行からの転職活動をスムーズに進めるために留意すべきポイントを紹介します。
銀行員の転職に関しては、他業種以上に踏み切るタイミングが重要です。銀行は他業種と比較して年収が高いうえ、年功序列型の構造が基本です。勤続年数に応じて役職が上がり、諸手当も増えます。つまり、長く勤めるほど転職後の年収の下がり幅が大きくなるでしょう。
また、転職市場における地方銀行出身者は基礎的能力の高さが評価され、入社5年目くらいまでは未経験の職種でもポテンシャル採用のチャンスがあります。しかし、年次が上がるほど、年収と経験・スキルのバランスから求人数は減る傾向にあります。
転職後のキャリアパスとして、年収アップや幅広い世界での活躍を目指すのであれば、大都市への転職が選択肢となるでしょう。金融機関に限らず、地方銀行で培った経験やスキルが生かせる労働条件のよい企業を見つけられる可能性が高いためです。
一方、郷土への思いや地域への貢献を重視するならば、同じ地域でよりやりがいのある仕事が選択肢になるでしょう。いままで築いてきたネットワークや信頼関係を生かせるうえ、地方銀行はネームバリューがあり、行員に対する評価が高い点も転職ではプラスになります。ただし、年収の大幅アップは期待できないかもしれません。
地方銀行は地域性の強い企業で、世の中の幅広い動向をきめ細かく把握するのが難しい場合があります。そのため、客観的にプロの視点からアドバイスをもらえる転職エージェントを活用するのも有効な方法です。
転職について自分だけで考えていると視野が狭くなり、転職活動は行き詰まりがちです。転職エージェントでは、経験やスキルを生かせる会社選びをサポートし、志望動機の練り込みや面接対策をしてくれます。
転職を成功させるポイントは、「自分がいかに役立つか」「どれだけ入社したいと思っているのか」を相手に納得してもらうことです。特に、地方銀行に勤めていた人は優良企業からの転職になるため、活かせる能力や意欲を言葉でしっかり説明できないと本気度を疑われる恐れがあります。ここでは、転職を成功させるポイントを3つ紹介します。
転職を成功させるには、地方銀行で培ってきたスキルや実績をアピールすることが重要です。しっかりと伝えられるように、自分のセールスポイントを洗い直しておきましょう。
売上高や契約件数、経費削減率など、会社への貢献度合いを数字ではっきり示すことがポイントです。業務改善のように数値化することが難しい場合は、利用したスキルやノウハウを明確にし、実行プロセスを論理的に説明しましょう。論理的に分析・説明できること自体がスキルとして評価対象になります。
志望動機のポイントは、業界と企業を選んだ理由、転職して実現したいことが明確かどうかです。この点があいまいだと、転職したいという熱意が採用担当者に伝わりません。また、自分の経験やスキルが転職希望先の業務にマッチしていることを論理的に説明することも大切です。
働くことへの熱意があり、確かな経験やスキルを持っていることが伝われば、採用される確率は上がるでしょう。
金融業界で働くことを考えているならば、ファイナンシャルプランナー(FP)がおすすめです。銀行員としてFP2級を取得していた人は、FP1級を目指しましょう。FP2級を持っていれば、1年以上の銀行勤務経験で受験できる点も在職中の取得がおすすめの理由です。
他業種に転職する場合、不動産業界であれば宅地建物取引士や行政書士、コンサルティング業界であれば中小企業診断士など、業界によって有利になる資格は異なります。難易度は上がりますが、税理士や公認会計士は幅広い業界で活用でき、銀行の勤務経験も生かせる資格です。
地方銀行出身者は、転職市場でも高く評価されています。一方、「待遇面を考えると地域内での転職は選択肢が限られる」「キャリアアップしたいが、東京や大阪といった大都市圏に行くのは不安が多い」という理由で、転職に踏み切れない人もいることでしょう。そのようなときは、ぜひマイナビ金融エージェントにご相談ください。
マイナビ金融エージェントは、メガバンク・地銀・証券・生保出身のメンバーで構成されており、金融系すべての職種に対応しています。専任のキャリアアドバイザーが、お客様一人ひとりのご要望に合わせてきめ細かくサポートします。
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