更新日:2025/10/30

この記事のまとめ
「転職したら年収が下がってしまうのでは」という不安を感じている方もいるのではないでしょうか。生活への影響が心配で一歩を踏み出せないこともあるでしょう。給料の規定や水準は企業によって異なるため、転職によって年収が上がる人もいれば、下がる人もいます。
この記事では、転職での年収変動の実態や迷ったときの判断基準、転職で年収アップを成功させるコツについて詳しく解説します。
目次

厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概要」の賃金変動状況によると、令和5年に転職した人の中で「年収が下がった」と答えた人の割合は32.4%にのぼります。一方で、「年収が上がった」と答えた人の割合は37.2%です。
大きな差ではないものの、転職して年収が下がる人よりも上がる人の割合のほうが多いことが分かります。ポイントを押さえて転職活動を進めれば、転職して年収を上げることは不可能ではないといえるでしょう。

転職で年収が下がらないようにするには、下がる原因を知っておくことが大事です。あらかじめ年収が下がる原因を知っておけば、対策を万全にしたうえで転職活動を進められるでしょう。ここでは、転職して年収が下がるケースを6つ紹介します。
転職では基本的に即戦力が求められるため、未経験の業種・職種への転職では自分のこれまでの経験やスキルを発揮できず、年収が下がりやすい傾向にあります。転職成功率の観点からも、転職先を選ぶ際は自分の経験やスキルが活かせる職場を選んだほうがよいでしょう。
業界や企業によって給与水準は大きく異なるため、同じ職種でも転職先によっては年収が下がるケースがあります。たとえば事務職の場合、企業によっても異なりますが、業種が変わる転職をすると年収が大幅に下がる可能性があります。
この年収格差は業界の給与水準に起因しています。金融・製薬・コンサルティングなどの業界は給与水準が高く、外資系企業もインセンティブの割合が高い傾向にあります。一方、介護・小売・飲食業界などは相対的に給与水準が低いことが多い傾向です。
役職に就くと担当業務が増えて責任も重くなることから、一般職と比較すると年収が高い傾向にあります。企業によっては役職手当が支給されることもあるでしょう。そのため、転職して役職が下がった際には年収も減少する可能性があります。
また、転職先の役職体制が異なる場合も注意が必要です。たとえば、現職で管理職やリーダーに就いていたとしても、転職先では同等の役職が存在しないことも珍しくありません。ケースによっては下位のポジションからスタートする必要があり、その場合には年収が下がることが多いでしょう。
転職先の評価制度が現職と異なる場合、給与水準が変動する可能性があります。一部の企業ではボーナスや昇給の基準が厳しくなることがあり、年収が下がるケースがあるでしょう。また現職では固定給に加えてインセンティブが上乗せされていたとしても、転職先が成果型報酬制度を採用していなかった場合はスキルの高い人ほど年収が大幅に下がる可能性があります。
時間外手当が多く支給されていた場合、転職先で残業時間が減ると年収が下がる可能性があります。残業すれば割増賃金が発生しますが、企業の多くは残業を減らす取り組みをしており、転職先でも労働時間が長いとは限りません。
都市部の企業は一般的に規模が大きく、給与水準も高い傾向にあります。そのため都市部から地方の企業へ転職すると、年収が下がる場合があるでしょう。もしUターン・Iターン・Jターンを考えている場合は、年収が下がる可能性を覚悟する必要があります。
ただし、地方の企業には都市部では得られない魅力や働きやすさ、キャリアの成長機会があるため、年収だけでなく総合的な視点で判断することが重要です。

転職をすれば年収が下がるリスクがあります。しかし、やりたい仕事や魅力的な企業が見つかった場合、「年収が少し下がっても転職したほうがよいだろうか」と悩んでしまうのではないでしょうか。ここでは、年収が下がっても転職したほうがよいか迷ったときの対策を解説します。
転職時に年収だけを重視することが、満足度の高い転職につながるとは限りません。重要なのは「転職の軸」を明確にすることです。転職を考える際には、何を最も大切にしたいのか、優先順位を整理しましょう。
年収以外にも、やりがい、ワークライフバランス、キャリアアップの可能性、職場環境など、さまざまな要素が転職の決め手になります。年収が下がっても、家族との時間が確保できる環境や自己成長につながる経験を得られる職場は、長期的に見て大きな価値をもたらすかもしれません。
まずは、自分が転職に求めることを紙に書きだすなどして整理してみましょう。そのうえで、年収の減少を上回るメリットがあるか冷静に判断することが大切です。
転職で年収が下がる可能性に備えるなら、まず自分にとって最低限必要な給料を算出し、許容範囲を決めることが重要です。家計を見直し、住居費、食費、光熱費、交通費、保険料など日常生活にかかる費用を計算しましょう。ローンの返済や教育費、将来の貯蓄計画も含めて検討することで、許容範囲が明確になります。
給料減少の判断目安は、一般的に年収の1割程度までであれば比較的受け入れやすい範囲とされています。ただし、これはあくまで目安です。個人の経済状況によっても異なるため、自身の状況に合わせて検討してみましょう。
転職によって一時的に年収が下がっても、将来的に年収が上がるのであれば転職する価値はあるといえるでしょう。たとえば、成長途中のベンチャー企業やスタートアップ企業の場合、入社してすぐは年収が低くても、企業の成長とともに上がる可能性があります。また昇進しやすい企業へ転職すれば、役職手当による年収アップも狙えるでしょう。

現職よりも年収の高い企業へ転職したいと考える方は少なくありません。年収が上がるといっそう充実感を持って働けるほか、趣味や生活費に使えるお金が増えてワークライフバランスも向上するでしょう。ここでは、転職で年収を上げるコツを5つ紹介します。
給与水準は業種・職種によって大きく異なります。そのため、興味のある業種や職種の給与水準をまずは調べることをおすすめします。インターネット上の求人サイトや業界の統計データ、転職情報サイトなど、複数の情報源から得られるデータを比較して参考にしましょう。給与水準を知ることで、応募先企業の年収が適正かどうかの判断ができます。
転職では自分の市場価値に見合った職場選びが重要です。自分の市場価値を見誤ると、自分のスキルレベルに見合わない求人ばかりに応募して転職活動が進まなくなる恐れがあります。市場価値を分析する際は、自身の過去の職歴や実績、習得した資格、スキルなどを考慮しましょう。市場価値の把握は、応募先企業と年収交渉をする際にも役立ちます。
応募先企業と年収交渉をすることによって、年収を上げることも可能です。しかし年収交渉をすることに抵抗を感じる方も多いでしょう。面接で「どのくらいの年収を希望しているか」と聞かれたときや、内定通知を受け取った後などであれば、年収交渉をしやすいでしょう。年収交渉においては、自分の価値を客観的に評価できる、具体的な数値を提示しましょう。
スタートアップ企業やベンチャー企業など、急成長している企業や実力主義の企業を狙うのもおすすめです。年功序列制度を採用している企業では、大きな成果を出しても昇進や昇給が難しい場合があります。しかし、スタートアップ企業やベンチャー企業などは事業拡大に向けて優秀な人材を確保したいと考えるケースが多く、自分の実力しだいで年収を上げられるでしょう。
業界や職種によって給与水準は異なるため、未経験であっても年収の高い業界や職種に挑戦してみるのもおすすめです。マイナビエージェントの「平均年収ランキング【2020年版】」によると、金融業界やIT業界の年収はほかの業界よりも高い傾向にあります。未経験からの転職が難しい業種・職種もありますが、挑戦したい仕事があれば目指してみるとよいでしょう。
転職エージェントの活用は、年収ダウンのリスクを軽減するのにおすすめの方法です。転職エージェントを利用すると内定後の年収交渉を代行してもらえます。自分では給与や年収の話をしにくいと感じる方は、転職エージェントを有効活用するとよいでしょう。
転職エージェントは無料で利用できます。各業界に精通したキャリアアドバイザーが転職希望者の市場価値を適切に評価し、希望条件に合った求人を紹介してくれるため、転職活動をよりスムーズに進めたい人にもおすすめです。

転職時に直面する年収に関するよくある悩みや疑問についてお答えします。前職の年収や希望年収の伝え方、年収ダウンしたときに利用できる支援制度など、実用的な情報を網羅しました。適切な対応方法を知ることで、転職活動をより有利に進められるだけでなく、将来の年収アップにもつながるでしょう。
転職時の面接や給与交渉の際に「前職の年収はいくらでしたか」と質問されることがあります。質問された場合は、正直に答えましょう。虚偽の金額を申告するのはおすすめできません。なぜなら、企業は採用の最終段階で源泉徴収票などの提出を求めることが多く、前職の年収は容易に確認できるからです。
虚偽の申告が発覚すると、希望年収が実現しないばかりか信頼関係が大きく損なわれ、内定取り消しにつながるケースもあります。転職先の企業は、給与決定において前職の年収を大きな指標としており、あなたのスキルや経験と併せて総合的に判断します。このため、前職の年収は正確に伝え、そのうえで希望額とその根拠を明確に説明するほうが、誠実で建設的な交渉につながるでしょう。
面接で希望年収を質問された場合は、求人票に記載されている範囲内で希望の総支給額を伝えましょう。これは企業が募集ポジションに対して妥当と考える金額を示しているためです。回答する際は、金額だけでなく、なぜその金額を希望するのかの理由も添えるとよいでしょう。
謙虚な姿勢で「御社の規定にしたがいます」という意向を示すことで、好印象を与えられます。たとえば「現在の年収は○○万円ですので同等かそれ以上を希望いたしますが、御社の規定にしたがいます」といった表現が効果的です。転職で年収が下がるリスクを減らすためには、事前に業界の相場を調査し、自分の市場価値を客観的に把握したうえで臨むことが重要といえます。
転職で年収が下がった場合、国の「就業促進定着手当」制度を活用できる可能性があります。この制度は、雇用保険の被保険者が早期に再就職し、その職場で安定して働くことを支援するために設けられました。受給するためには、雇用保険の受給資格者であることに加えて、再就職した日から6ヵ月以上継続して雇用され、かつ再就職先の賃金が転職前より低いことが条件です。
離職時の年齢によって上限額が設定されていたり、申請できる期間が限られていたりするため、転職で年収ダウンに直面した場合は、早めにハローワークに相談することをおすすめします。
マイナビエージェントでは、さまざまな業界や職種の求人を扱っており、年収の高い転職先も紹介可能です。また内定後には、応募先企業との年収交渉も代行します。
転職に関する豊富な知識とノウハウを持ったキャリアアドバイザーが給与水準の分析や市場価値の把握を通じて、適切な年収を提示してもらえるよう転職先との交渉をサポートいたします。転職によって年収を上げたいと考えている方は、マイナビエージェントにお任せください。

転職では年収アップの可能性が期待できる一方、未経験分野への挑戦や給与水準の低い業界への転職、役職変更などの理由で年収が下がるケースもあります。年収が下がる可能性がある企業への転職に迷った際は、自身の転職の軸を明確にし、最低限必要な給料を算出することが重要です。
マイナビエージェントでは、年収条件の交渉もサポートしています。非公開求人の紹介から面接対策まで、転職活動を全面的にバックアップいたしますので、年収アップを目指す転職を実現するためにも一度ご相談ください。
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