更新日:2024/07/24
この記事のまとめ
転職時に年収を上げたい場合は、給与・年収交渉が有効です。年収交渉の結果によっては業界・企業の給与水準を大きく上回る条件で転職が成功することもあります。しかし年収交渉を成功させるのは難しいため、流れやタイミングなどをしっかりと押さえたうえで臨むことが重要です。
そこでこの記事では、転職時の給与・年収交渉における手順やタイミング、コツを紹介します。年収を上げたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
株式会社マイナビによる「転職動向調査2024年版(2023年実績)」(2023年12月調査)によると、転職時に年収が上がったと答えた人の割合は43.0%、年収が下がったと答えた人の割合は25.9%でした。この調査から分かるとおり、転職で年収アップに成功した方は少なくありません。年収交渉を成功させることは簡単ではありませんが、手順やタイミング、コツを押さえると成功確率を大幅に上げられます。
参照:「転職動向調査2024年版(2023年実績)」(2023年12月調査)|株式会社マイナビ
転職先企業と交渉をして年収を上げたいと考えても、どのような手順で行えばよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。無計画に年収交渉をしても、成功する可能性は低いといえます。以下で紹介する年収交渉の5つの手順を押さえ、入念に準備をしてみてください。
希望の年収額を決める際には、志望業界・企業の給与水準を把握することが大切です。たとえば、化粧品業界の営業職で年収水準が500万円であった場合、700万円で条件交渉しても失敗する可能性が高いといえます。
また水準以上の給与を希望すると、「情報収集が甘い人」「常識外れな人」などとマイナスな評価を与え、選考で不利になりかねません。求人サイトや求人情報誌などから、志望先企業と同業界・同職種の求人を見つけて給与水準を確認しましょう。
希望の年収額を決めるためには、自身の市場価値を分析することも重要です。社員の給与はスキルや経験、実績などを考慮して算定されます。たとえば、エンジニア経験1年の人と10年の人とではスキルや経験に大きな差があり、受け取る給与も異なります。
エンジニア未経験の人が、エンジニア経験10年のベテランと同じ年収を希望して交渉しても、失敗するのは明らかです。市場価値を分析するために、自身と同じ職種・年齢・経験の人がどのくらいの年収を受け取っているのか、求人情報やSNSなどから調べてみましょう。
業界・企業の給与水準と自身の市場価値を基に、希望する年収の金額を設定します。その際、希望年収の上限と下限を決めるのがポイントです。年収交渉では、自分の希望する金額が受け入れられるとは限りません。しかし希望年収の最低ラインを決めておけば、交渉が成立しなかった場合に「選考を辞退する」あるいは「交渉を諦める」といった判断が可能です。
たとえば、「最初は年収600万円を提示し、断られた場合は最低ラインの550万円で再び交渉する」といった戦略が立てられます。
年収交渉では、採用担当者を納得させるための交渉材料を用意することが大事です。ただ「年収を上げてほしい」と交渉しても、成功することは基本的にありません。交渉は相手と条件面で折り合いをつける作業です。「入社したらどのように活躍できるのか」「売り上げを何%上げられるのか」など、自分を採用するメリットを具体的に述べ、希望年収に見合った価値があることを示しましょう。
希望する年収額を決めて交渉材料も用意したら、タイミングを見計らって年収交渉をします。注意したいのは、どれだけ入念に準備をし、ポイントを押さえて交渉しても失敗する可能性があることです。粘り強い交渉も大事ですが、引き際を見極めることも意識して臨んでみてください。
年収交渉の主なタイミングは、以下の3つです。
上記の中で最も自然に年収交渉を切り出せるタイミングは、面接で「希望する条件はありますか」と聞かれたときです。内定前に交渉するのであれば、最終面接で「何か質問はありますか」と聞かれた際に、年収交渉を切り出すとよいでしょう。ただし、内定前の交渉は採用に影響する可能性がある点に注意が必要です。
年収交渉の成功率が高いタイミングは、内定後です。企業は応募者を採用したいと考えて内定を出しているため、承諾の返事をする前あるいはオファー面談の際に交渉することで、有利に進めやすくなります。
年収交渉の流れが分かっても、実際どのように希望年収を伝えたらよいのか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは転職時の年収交渉について、面接時と内定後の2つのシーンに分けて例文を紹介します。下記をテンプレートとして使用し、自分の言葉に置き換えて伝えてみてください。
【例文】
給与についてご相談があります。求人に記載されていた年収は480万円でしたが、500万円に上げていただくことは可能でしょうか。私は、前職でプロジェクトリーダーを担当していた経験があり、マネジメント面においても強みがあります。
プロジェクトの規模や予算、スケジュールを踏まえたうえで、利益を出せるマネジメントが可能です。身勝手なお願いで心苦しいのですが、一度ご検討いただけますでしょうか。
【例文】
労働条件通知書に関しまして、ご検討いただきたいことがあり、ご連絡いたしました。前向きに入社を検討しているのですが、ご提示いただいた年収400万円について、430万円に変更していただくことは可能でしょうか。
私は前職において、同期入社のメンバー30名の中でその年の受注件数1位を達成しております。その後、営業所内でもトップの成果を残してきました。貴社へ入社したあかつきには、前職で培った営業スキルとマネジメントスキルを活かし、貴社の発展に貢献していく所存です。つきましては、ご提案した希望年収について一度ご検討いただけますと幸いです。
本来であれば直接お伺いしてご相談すべきところ、メールでのご連絡となり、お詫び申し上げます。
大変お手数をおかけしますが、よろしくお願い申し上げます。
企業と年収についての話し合いをする際、伝え方やタイミングを間違えると、採用担当者に悪印象を与えてしまいます。また、未経験の業界や職種にチャレンジする場合には、年収ダウンの可能性が高いことも頭に入れておくとよいでしょう。ここでは、年収交渉が失敗に終わったケースを3つ紹介します。
【事例】
システムエンジニアのAさんは、現在年収600万円の企業に勤めています。Aさんは、規模の大きいプロジェクトに携わりたく、一念発起して大手SIerへの転職を決意しました。初めにAさんが選考書類に記載した希望年収は650万円です。しかし、面接の雰囲気に手応えを感じたAさんは、採用担当者に「700万円以上を望んでいる」と伝えてしまいます。その結果、面接は不合格でした。
あわよくばという考えで希望年収をつり上げてしまったため、採用担当者に不信感を与えたのが不採用となった原因といえるでしょう。
【事例】
営業職のSさんは、競合他社への入社を目指して転職活動をしています。無事に企業面接まで進んだSさんですが、面接では企業から年収についての話が出ませんでした。そこでSさんは、「年収はどのくらいもらえますか」と逆質問します。そのほかにも、「月々の手当はいくらですか」「ボーナスはどのくらい支給されますか」と質問しました。面接の結果は、不合格でした。
逆質問でいきなり年収についての話をしたことで、企業への関心よりも、年収に重点を置いた転職と判断されてしまったのでしょう。
【事例】
これまで食品販売の仕事を担当していたKさんは、以前から希望していた食品メーカーのマーケティング職に応募しました。募集要項には年収500万円~600万円と書かれていたため、Kさんは年収500万円を希望します。しかし、採用担当者との面接では「この金額では採用できない」と言われてしまいました。結果としてKさんは、年収450万円で企業との折り合いをつけることになります。
前職でも食品業界に携わっていたKさんですが、マーケティング職は未経験です。未経験職種に転職する場合には、希望年収での採用が難しいケースもあります。
年収にスポットを当てすぎると、採用後に後悔する場合もあります。年収交渉が成功し、なおかつ自分の理想とする生活水準や働き方を実現するためにも、いくつか注意点を押さえましょう。ここでは、年収交渉における注意事項を紹介します。
年収が同じであっても、ボーナスの支給額によって月収に大きな差が生じます。たとえば、年収600万円の企業に転職した場合、ボーナスが60万円だと月収は45万円、ボーナスが180万円だと月収は35万円です。転職で月収が下がってしまった場合、生活が苦しくなるケースもあるでしょう。
特に転職1年目はボーナスを満額支給しない企業もあるため、年収交渉では月収についてもしっかりと確認することが大切です。
年収アップを狙って転職を考える人は多くいますが、給与の高さだけで企業を決めるのは得策とはいえません。年収だけを見て入社を決めた場合、業務についていけなかったり、働き方に不満を感じたりする場合もあります。
また、転職後に一時的に収入がアップしても、長期的に見ると年収が下がるケースも珍しくはありません。年収を優先しての転職においても、しっかりと企業をリサーチしたうえで、転職後の業務や働き方を把握することが大切です。
採用担当者に現職や前職の年収を聞かれた際に、事実よりも多く答えてしまう人がいます。しかし、転職後に前職の源泉徴収票を提出する必要があるときには虚偽の申告をしていたことが知られてしまいます。虚偽申告が発覚した場合、企業に不信感を与えるだけでなく、懲戒解雇となるケースも少なくありません。そのため現職や前職の年収は、正直に伝えましょう。
年収交渉の流れや注意点を知っていても、成功させられる人はそう多くはいないでしょう。年収交渉は難度が高く、成功させるにはコツを押さえておく必要があります。下記で紹介するコツを押さえたうえで、年収交渉に臨みましょう。
面接での年収交渉は、切り出し方やタイミングが重要です。唐突にお金の話を切り出すと、採用担当者にマイナスな印象を与えてしまう可能性があります。「条件面の提示はいつ頃でしょうか」「この後の選考ステップについて教えていただけますか」といったように、自然に年収交渉の流れに持っていけるようにしましょう。
年収交渉は、話し方を間違えると年収アップに固執したイメージを持たれて選考で不利になる可能性があります。マイナスな印象を与えないためにも、年収交渉をお願いする謙虚な姿勢を示すことが大切です。また、「基本的には御社の規定にしたがいますが、前職の年収を踏まえて〇〇円を希望します」といった一文を加え、企業に寄り添う柔軟性もアピールすると好印象を得やすくなります。
他社からの内定条件を交渉材料にするのもひとつのテクニックです。たとえば、「内定をいただいている別の企業では年収500万円を提示いただいており、この年収水準に近づけていただくことは可能でしょうか」といったように伝えてみてください。ただし、うそをつくのはNGです。採用担当者は人を見抜くプロであるため、うそは簡単に見抜かれてしまうでしょう。
転職エージェントは求人の紹介や応募書類の添削、面接対策のアドバイスなど転職におけるさまざまなサポートを無料で提供してくれる人材紹介サービスです。そのサポートのひとつに、「条件交渉の代行」があります。
年収交渉はコツと経験が必要で、慣れた人でないと成功する可能性は低いといえます。転職エージェントに在籍する経験豊富なキャリアアドバイザーに年収交渉を任せれば、希望する年収を実現しやすいでしょう。
年収交渉は成功すると収入アップを狙えますが、条件面で企業と話し合うことはリスクを伴います。年収交渉を考えている方は、転職エージェントをとおして担当のキャリアアドバイザーにサポートを依頼してみてはいかがでしょうか。
マイナビエージェントは転職活動を手厚くサポートしており、キャリアアドバイザーによる年収交渉の代行が可能です。そのほかにも、面接日の調整や入社日に関する相談など、企業には伝えにくい部分の交渉代行も承っています。転職に関してお悩みの方は、ぜひマイナビエージェントにご相談ください。
転職時に年収交渉する場合は、志望する業界・企業の給与水準を調べ、自分の市場価値を分析したうえで希望額を設定しましょう。また、交渉材料も準備し、自然な流れで年収交渉を切り出すことも大切です。
マイナビエージェントでは、年収交渉を含む条件面の話し合いを代行しています。「年収アップを目指して転職を考えている」「年収交渉に不安がある」など、転職に関して悩みや不安のある方はマイナビエージェントにご相談ください。各業界に通じたキャリアアドバイザーが、あなたの転職をサポートします。
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