更新日:2024/06/24
転職活動中、企業からの連絡を待っている時間は、やけに長く感じられるものです。「内定」の連絡が来た瞬間、解放感と安堵感で入社を即決したくなります。しかし、ひとしきり喜んだあと、待遇面など入社前に確認しておきたい事項に気付くこともあるのではないでしょうか。
転職時の条件交渉に失敗したくない人のために、交渉のタイミングや方法についてご紹介します。
> 転職エージェントでは、年収などの条件交渉を代理で行ってくれる場合があります。
目次
転職をするときに重要なのは、転職後の処遇に関するさまざまな条件について、企業側と転職希望者のあいだに合意があるかという点です。条件の内容は多岐に渡りますが、主なものは次のとおりです。
入社後の仕事内容については、「どのような仕事に」ということはもちろん、「どのような立場で」ということもしっかり確認しておく必要があります。
年収については、募集時には「前職給与を考慮の上、当社規定により優遇」などとしている企業が多いため、実際にいくらもらえるのか、具体的な金額を提示してもらった上で、同意できるか否かを伝えなければなりません。
休日や各種手当てなどの待遇面に関しても、入社後の働き方を知るためには押さえておきたいところでしょう。
こうした条件面について、企業側と合意を得るために行う話し合いが「条件交渉」です。条件交渉の時期は、「内定をもらったあと」が基本。
初めて会った面接の場や内定前の最終面接で条件交渉をされても企業側はすぐに判断できませんし、むしろ「まだ内定を出すとも言っていないのに、もう内定後の話か」と悪い印象を与えてしまいます。内定前は自分の希望を伝えるにとどめましょう。
内定後に行われる、入社後の具体的な処遇を決める面談を、一般的に「処遇面談」「オファー面談」と言います。これは、企業側が内定者に入社の決意を固めてもらえるよう、最終的な条件面の提示をするために設定される面談です。
内定者はこの機会を使って不明点や疑問点を確認し、提示された条件に納得がいかなければ希望する年収を伝えて交渉しましょう。
なお、処遇面談は、基本的には内定者全員に行うものではありません。内定者全員に必ず行うという方針の企業もありますが、「内定者からの希望があれば行う」としているところもあります。確認の場・交渉の場がほしいときは、処遇面談を希望する旨を企業側に伝えましょう。
転職を希望する人には、「企業に良い印象を与えたい」という心理が働くため、企業との交渉事を避ける傾向があります。確かに、「採用される」転職希望者より、「採用する」求人企業のほうが立場的には強く感じられますし、悪印象を与えれば評価がマイナスになる可能性はあるでしょう。
しかし、以下に挙げるポイントをきちんと押さえて交渉すれば、企業側も「自分の立場をわきまえつつ、きちんと交渉できる人」と感じてくれるはずです。
前項でも少し触れましたが、交渉を切り出すタイミングは重要です。
まだ採用が決まっていない段階での細かな条件交渉はもちろんNGですが、たとえ内定が決まったあとの処遇面談でも、会って早々に自分から「年収をもう少し上げてほしいのですが」などと話すのはおすすめできません。
「お金のことばかり考えている人」というイメージを相手に与えることのないよう、できるだけ先方が切り出すのを待ちましょう。面談の最後まで給与面の話が出なかったときだけ、こちらから尋ねるという姿勢がベストです。
交渉が苦手な人や、交渉経験があまりない人に多いのが、根拠なく年収アップや待遇面の優遇を求めてしまうケースです。「なぜ、その条件を希望するのか」という質問に対して、自分がその待遇に見合う価値のある人間だということを論理的に説明できないのであれば、提示している条件に無理があると判断しましょう。
「希望をきちんと伝えなければ」「相手を納得させなければ」と焦るあまり、自分の主張ばかりしてしまう人もいます。聞くべきときは聞き、話すべきときは話す、メリハリのある態度を心掛けましょう。
転職活動を始めるにあたって、「自分がなぜ転職をするのか」を見つめ直したという人は多いでしょう。
しかし、通勤時間や給与、待遇といった多岐に渡る条件のすべてが希望通りという企業はなかなかありません。
必然的に、「勤務地は自宅から少し遠いけど、経験を生かして活躍できそうだな」「希望年収には届かないけど、待遇が抜群に良くて働きやすそうだ」と、比較・検討しながら優先順位をつけて企業を絞り込んでいったはずです。
条件交渉の際も、自分が重視する条件に「優先順位をつける」という作業が重要です。交渉の場で挙がることが多い条件について紹介します。
退職してから転職活動をしているという人を除いて、多くの人は内定を得てから現在の職場に退職の意思を告げ、さまざまな調整をしなくてはなりません。
ここで適当な日にちを伝えて、結局その日に入社できないとなれば、働き出す前から転職先の企業を困らせることになってしまいます。内定を出した企業側は「できるだけ早く入社を」と考えているはずですが、提示された日程に無理があるようなら、退職手続きと引継ぎにかかる期間を十分考慮して、転職先に入社日の交渉をするようにしましょう。
月々の給与額は前職に比べてアップしたのに、賞与や諸手当を含めた年収ベースでは以前よりダウンしているといった事態を防ぐため、事前に待遇を考慮した年収を確認しておきましょう。
賞与は業績によって変動する部分も多いので、どうしても知りたい場合は、「今年は支給対象となるのか」「昨年の支給実績は」といった質問にとどめておいたほうが無難です。手当については、「住宅手当」「通勤手当」「家族手当」など、自分がどの手当の対象となるのかを確認すれば、入社前でもおおよその支給額を把握することができます。
複数ある勤務地のうち、特に希望する場所がある場合は、「なぜその勤務地にこだわるのか」と聞かれたときに企業を納得させられるだけの理由を説明する必要があります。家庭の事情などは隠さずに伝えましょう。
また、支店が複数あって転勤を前提としている企業では、「最初は希望勤務地に配属するがいずれは転勤してもらうことになる」と言われることもあります。どこまで譲歩できるか、事前に自分の中で線引きしておくことが大切です。
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ほかにも、「残業時間」「産休・育休の取得」など、確認しておくべきことや交渉しておくべきことはいくつもあります。
かといって、そのすべてを満たす企業はそう多く存在しません。あれもこれもと欲張りすぎれば、企業側にも敬遠されますし、納得できる企業を探すのに気が遠くなるような時間がかかってしまいます。確認した上で譲れない条件だけを交渉し、譲歩できるものは譲歩するという姿勢が望ましいでしょう。
「希望する条件を出し、優先順位をつけ、相手に与える印象を考えながら自分の意思を主張する」。
条件交渉は、口で言うほど簡単ではありません。自分ではうまく交渉できそうにない、余計なことを言ってしまいそうで怖いというときは、転職エージェントを利用しましょう。
面倒な交渉をあなたに代わって行ってくれるだけでなく、希望条件を満たさない企業は最初から応募対象から外してくれますので、そもそも条件が合わない企業と面談する手間を省けます。
いずれにせよ、交渉を長引かせるのは得策ではありません。無理に好条件を引き出そうとするのではなく、いい意味で妥協しながら上手に交渉して、転職を成功させましょう。
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