更新日:2024/02/21
この記事のまとめ
履歴書や職務経歴書の作成には、なかなか手間がかかるもの。
そのような中、時間が足りなかったり、細部の年号を調べるのが面倒くさかったりして、「資格を取った年月日はだいたいでいいや」「たった3ヵ月しか働いていない会社だから、職歴に書かなくていいや」など、適当に書いてしまったということはないでしょうか。
履歴書は、入社後に人事情報として使われる正式書類。職務経歴書は、書類選考の合否を決定する重要書類です。
たとえ軽い気持ちでも、これらの書類に事実と異なる記載をすることは「経歴詐称」にあたります。発覚すれば最悪の場合、懲戒解雇になることもあるでしょう。
そこで今回は、経歴詐称にあたる行為、経歴詐称に至る経緯や理由、発覚のタイミング、生じるリスクなどを解説します。経歴詐称を起こさないための対策もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
経歴詐称とは、これまで経験してきた事柄や履歴について虚偽の内容を提示したり、隠蔽したりすることです。
たとえば、実際に卒業していない学校名を履歴書に記載した場合は学歴詐称に該当します。また、前職の企業名や所属、業務内容、実績などを偽った場合は経歴詐称となります。
経歴詐称に至る原因には、ネガティブとなり得る要素を排除したり、採用に有効な情報に書き換えたりすることで、企業から好印象を得たいという思惑があると考えられます。
経歴詐称とは「事実と違う経歴を書くこと」です。以下のようなものを正しく記載しないと経歴詐称となります。
大学名や最終学歴を偽る、留年や浪人を隠すために入学・卒業時期をずらして記載すると、学歴詐称となります。
一部の職歴を書かない、2社の在籍期間を合算して1社として記載するなどの行為は経歴詐称です。転職の際に不利な早期退職(入社から3ヵ月以内の退職)を隠したり、転職回数を少なくしたりといった意図で行われます。
前職の年収額を水増しするなどの行為も経歴詐称です。転職の際に、年収条件を有利にする意図で行われます。
実際にはまだ取得していない資格を記載することや、TOEICの点数を少し高めに記入するなどの行為も経歴詐称になります。これは、資格がなければ応募できない募集の際によく見られます。
マネジメント経験はないのに「経験あり」と偽る、部下の人数を多めに表記する、担当したことのない業務について「経験あり」とするなどの行為も経歴詐称です。
ただし、業務経験の範囲については見方による部分もあり、経歴詐称とまではいえない場合もあります。
派遣社員や契約社員を正社員と偽ったり、正社員で早期退職したものを有期の契約社員であったと偽ったりする行為も経歴詐称です。
なお、履歴書や職務経歴書に書く必要がない情報もあります。
たとえば、前職の退職理由・解雇理由は、詳細に記述する必要はありません。「一身上の都合により退職」「整理解雇により退職」など、概要のみで支障はないでしょう。
また、定期的な通院による遅刻・早退・欠勤などを伴わない場合は、既往歴も書く必要はありません。
経歴詐称には、記載ミスが原因で意図せず起こるケースと故意的に虚偽の申告を行うケースがあります。
企業にとって、経歴の確認は応募者の能力を計るために必要な手段です。たとえ悪意がないとしても、申告の内容によっては企業との信頼関係が失われてしまいます。
2つのケースとその具体例を参考に、経歴詐称が起こる原因を見ていきましょう。
単純な記載ミスや記憶違いから、意図せずに経歴詐称をしてしまうケースがあります。
たとえば、入学・卒業年度や前職の在籍期間の年月日は、書き間違えや数え間違いが起こりやすい箇所です。履歴書には元号を用いて職務経歴書は西暦で記載するなど、和暦から西暦への変換、またはその逆もケアレスミスにつながりやすく、経歴詐称を招きます。
同様に、資格の取得年月の記載にも注意しなければいけません。資格の場合は、名称や等級などの記載ミスが経歴詐称に該当する場合もあります。
また、派遣社員として働いていた場合、派遣元の会社名を明記しなければなりません。派遣先の企業名のみでは、採用担当者の誤解を招き、経歴詐称を疑われます。
転職を有利に進めたいがために、学歴や資格、社歴を偽るケースもあります。
卒業時期をずらして留年や浪人を隠す、在籍企業をいくつか省いて転職回数を減らすなど、これらは故意的な経歴詐称です。未取得の資格に関しては、入社日までに取得する予定であっても、「取得済み」と記載してはなりません。「取得予定」と明記しなければ、意図的だと判断されてしまいます。
過去に担当した業務内容や実績を誇張したり、マネジメント人数や期間を多く見せかけたりなど、経歴をよく見せるためにささいなうそを記載するケースもあるでしょう。年収アップを狙って前職の年収を多く申告するなど、年収の水増しも意図的な経歴詐称だといえます。
「少しくらい経歴をごまかしても、そう簡単にはばれないだろう」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、経歴詐称は意外とあっけなくばれるものです。具体的には以下のようなタイミングで発覚するケースが多くなります。
採用前に経歴詐称が発覚するきっかけとしては、主に以下のタイミングが挙げられます。
採用後に経歴詐称が発覚するきっかけとしては、主に以下のタイミングが挙げられます。
経歴詐称は非常に重大な行為ではありますが、基本的には犯罪ではありません。
ただし、大学や大学院の学歴がないのにあると偽った場合のみ、軽犯罪法に触れる可能性があります。
この場合の罰則規定は「拘留」(1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘置される罰)か「科料」(1,000円以上10,000円未満で罰金を科される罰)ですが、実質的には経歴詐称のみで刑罰が科されることはほとんどありません。
とはいえ、社会人として仕事を続けていくうえでは、以下のような大きな損失を伴う可能性があります。
経歴詐称が明るみとなった際、最も起こりうるのは「内定の取り消し」です。
内容によっては「うっかりミス」ということで注意を受ける程度で済むかもしれませんが、会社の考え方によっては軽微な経歴詐称でも問答無用で内定取り消しに至る可能性もあります。
正式に入社した後に経歴詐称が発覚すれば、「解雇」となる可能性も考えられます。
とはいえ、解雇要件を決めるのは採用した企業の人事や上層部の人ですから、まったく同じ経歴詐称でもA社では解雇、B社では厳重注意と、異なる結果となることも考えられます。
なお、会社に対する詐欺行為と考えられる重大な経歴詐称の場合は懲戒解雇になる可能性もゼロではありません。懲戒解雇とは、会社が従業員に科すものとしては最も重いペナルティです。通常の解雇では30日前に予告しなければ解雇できませんが、懲戒解雇の場合は即日解雇でき、退職金も支払われないなどの違いがあります。
経歴詐称が原因で会社に損失を与えたり、詐称内容が悪質な詐欺行為と認められたりすれば、民事で損害賠償を請求されるリスクもあります。社会的信用が失墜するだけでなく、損害賠償金の支払いに追われることにもなりかねません。
少しの出来心や油断が取り返しのつかない事態を招くこともあると覚えておきましょう。
内定取り消しや解雇に至らなかったとしても、会社や周りの同僚からの信頼を失うことは避けられません。「経歴詐称で入社した人物」と社内で認識されてしまう可能性もあり、大きなプロジェクトや大切なクライアントとの業務を任せてもらえなくなるなど、さまざまな弊害が生じるかもしれません。
転職してこれから新しい環境で頑張っていこうというときに大きなマイナスになるのは間違いありません。
転職エージェントに対して経歴を詐称しそれが発覚した場合は、選考状況に関わらず退会を余儀なくされます。転職エージェントを通して企業から内定をもらっていたとしても、経歴詐称と判断された時点で内定は取り消しになるでしょう。
転職エージェントは企業の人事担当者とヒアリングや交渉を重ねて企業が求める人材を紹介し、紹介者の入社に応じて企業からコンサルティングフィーを受け取っています。そこで経歴詐称の人材を紹介してしまうと、企業からの信頼は失われ、最悪の場合は取引自体がストップする恐れもあります。
したがって、転職エージェント側が紹介者と企業との関係を取り持つことは考えられません。
転職エージェントの登録時に経歴を詐称してしまったら、企業と面接をする前の早い段階で正直に話しましょう。詐称を貫いて得られるものより、ばれたときのリスクのほうが格段に大きいからです。
たとえ入社して働き始めても、「ばれたらどうしよう......」とそのリスクに日々怯えながら過ごすのは、精神的にも負担がかかります。
詐称は許されないことですが、自らの過ちに気がつき正そうとする気持ちは大切です。早い段階で正直に話しておけば、転職エージェントや企業が被る損失も最小限で済みます。そして何より、自分自身の不利益を軽減するためにも、早めに打ち明けることをおすすめします。
経歴詐称にはさまざまなケースがありますが、どれも自分自身の注意や心持ちによって防げます。では、経歴詐称を起こさないためにはどのような点に注意すれば良いのか、具体的な対策をご紹介します。
単純な記載ミスにより企業からの信頼を失う事態を避けるためには、ミスがないかを隅々までチェックしながら、丁寧に応募書類を作成するのがポイントです。たったひとつの記載ミスで、意図せず経歴詐称となってしまうケースもあります。
履歴書や職務経歴書の中でも、特に年月日は間違えやすい箇所です。入学・卒業年度、前職の入社・退社月などを記載する際は、正しいかどうかを慎重に確認してください。
応募書類を書き終えたら、再度読み直すことも大切です。再確認する習慣をつけると、単純な記載ミスを防止できます。
明確に自分の強みといえるものがなかったとしても、工夫しだいで魅力的な応募書類は作成できます。
「転職回数の多さ」や「スキル不足」などのマイナスに思われがちな要素も、プラス面にフォーカスすることで、企業への貢献をアピールできるでしょう。多くの転職で何を学んだのか、その経験は入社後どのように生きるのか、そういった点をポジティブに伝えれば、マイナスの評価は避けられます。
また応募先の企業で役立つスキルを取得していなくとも、前職で培ったスキルが評価されるケースも珍しくはありません。自身の経歴をうそや誇張でよく見せるのではなく、自己PRの工夫に力を入れることが大切です。
細心の注意を払ったものの記載ミスをしてしまった場合は、発覚した段階ですぐさま報告・謝罪しましょう。
人間、誰しもミスはあるものです。大切なのは、潔くミスを認め、相手に対して誠実に謝罪することです。「きっと許してくれるだろう」と楽観視するのは危険ですが、誠意ある謝罪をすれば理解し許してくれる可能性もあります。
どの部分に詐称があったのか、詐称となった原因は何かを伝えるとともに、正しい情報を提示するようにしましょう。
転職回数やキャリア、スキルや能力に自信がない場合は、転職エージェントを活用し、キャリアアドバイザーのアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
キャリアアドバイザーは転職のプロ。自分では気がつかなかったあなたの強みを引き出し、最大限にアピールできる応募書類へとブラッシュアップしてくれます。
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積極的に利用することで、見落としがちなミスを発見し、意図せず経歴詐称となるリスクを回避できるでしょう。
さらに、採用担当者への訴求ポイントを捉えた、魅力的な書類に仕上がります。
経歴に自信がない方、書類の仕上がりが不安な方は、ぜひマイナビエージェントをご活用ください。
学歴や転職回数の偽り、前職の年収や業務内容を誇張するなどの行為は、経歴詐称にあたります。しかし実際には、故意的なケースはほんの一部。多くの場合はうっかりミスや、「このくらいは大丈夫だろう」といった軽い気持ちが原因です。
たとえ悪意がなかったとしても、経歴詐称には、内定取り消しや解雇といった大きなリスクが伴います。また、履歴書や職務経歴書は、転職の成否に影響を与えるため、キャリア構築のうえでも重要なアイテムといえるでしょう。そのため、作成時にはミスがないよう細心の注意を払い、細部まで手を抜かないことが大切です。
履歴書や職務経歴書の作成に不安がある場合は、ぜひマイナビエージェントへご相談ください。業界に精通したキャリアアドバイザーが、質の高いアドバイスをご提供します。
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