更新日:2024/03/07
この記事のまとめ
企業に対して資金調達などのサポートを行う外資系投資銀行は、世界経済と深く関わることのできる、就職・転職共に人気の職種です。狭き門であるため、転職活動をするにあたっては、業界研究をしっかりしておく必要があるでしょう。
そこでこの記事は、外資系投資銀行の業務内容や優遇されるスキル、転職を成功させるためのポイントについて紹介します。
外資系投資銀行への転職を目指す人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
一般的な銀行にある預金業務は行わず、企業に対して資金調達などのサポートを行うのが、外資系投資銀行です。
投資銀行の場合、会社の社風よりも配属される部門や部署によって業務内容が大きく異なることから、必要とされる人材像が明確です。
代表的な業務内容と、それぞれで求められる人材について、確認していきましょう。
投資銀行を代表する投資銀行部門は、顧客である企業の資金調達のアドバイスやM&Aのサポートといった、財務キャリアアドバイザーが主な業務内容。
金額が大きなお金を動かす、投資銀行の花形ともいえる部署で、人気が高く採用人数も多い部署です。Investment Banking Divisionの頭文字を取り、IBDと称されることもあります。
投資銀行部門はクライアントへの提案のためたくさんの資料を用意するのがメインの業務となり、長時間勤務になることも多いようです。
そのため、投資銀行部門で求められるのは、ストレス耐性の強いタフな人材。体力はもちろんのこと、長時間の思考に耐えうる知的体力も必要になるでしょう。
マーケット部門は、株式や債券などの金融商品を銀行や保険会社、機関投資家に営業をかけるのが主な業務内容。
マーケット部門の中でさらに
という3つの職種に分類されます。
金融商品は商品内容で他社との差を出すのが難しいため、セールスの人材で求められるのは、顧客と信頼関係を築ける対人能力の高さです。
トレーディングはマーケットの変動を把握し続け、利益を上げる必要がある仕事。集中力と判断力の高い人材が求められます。
金融商品を開発するストラクチャーは、金融工学や統計学など、複雑な知識が必要な仕事のため、求められるのは数的センスのある学者肌の人材です。
リサーチ部門の業務内容は、金融市場の調査や分析を行い、今後の動きの予測を立てることです。リサーチ部門に属する社員は、アナリストと呼ばれます。
投資銀行部門やマーケット部門の投資判断は、リサーチ部門の分析結果をもとに行われるため、外資系投資銀行の頭脳ともいえる責任の大きな部署です。
政治や経済、心理、数学といったさまざまな要素が複雑に絡み合っている金融市場を分析し、利益を生み出すためには、多岐にわたる知識が必要になります。
細かなデータを拾い、理論を導くことのできる、幅広い知識を持つ研究者タイプの人材が求められるでしょう。
また、レポートの作成のため、株主総会などに足を運びデータを集めることもあるため、情報を引き出せるコミュニケーション能力も必要です。
会社や個人の顧客から預かった資産を中期~長期にかけて運用するのが、アセットマネジメントの仕事です。
儲けた資産の一部として受け取った手数料が、アセットマネジメントの利益となります。
アセットマネジメントの業務内容は、
の2つに分けられます。
セールスで必要とされるのは、コミュニケーション能力の高い人材。
商品の特性上、顧客とのつき合いは長期的になるため、信頼され長期間頼りにしたいと思ってもらえるかどうかが大切になります。運用は、顧客の資産を減らさないためにも、豊富な金融知識を持つ人材が必要です。
ほかの部門と比較すると、金融市場の短期的な動きに左右されにくく、ハードワークになりがちな外資系投資銀行の中では比較的緩やかな部門だといわれています。
会社によっては、アセットマネジメント部門を別会社としているところもあるようです。
転職を成功させるには、これまでの仕事における経験や取得している資格が、就きたい仕事に生かせることをアピールできるかがポイントです。
外資系投資銀行への転職活動で有利になるスキルにはどんなものが挙げられるのか、確認しておきましょう。
海外企業との取引も行う外資系投資銀行で働くにあたり、高い英語力は必須です。
配属する部署によっても必要性は多少異なりますが、上司や同僚、取引先との会話が英語となる可能性も考えられるため求められるのはネイティブレベルの英語力。
また、単に英語が話せるというだけではなく、国際情勢に意識を向けたグローバルなマインドも必要になるでしょう。
銀行によっては、英語での採用面接を実施していたり、面接官に外国人が参加していたりすることもあるようです。
外資系投資銀行は即戦力となる人材を求めていることが多く、帰国子女や留学経験者など、英語やそのほかの言語が話せる人は優遇される傾向にあります。
中でも海外での就業経験は、ポジションや企業によっても異なりますが、優遇されるスキルのひとつです。英語力の証明という側面以外にも、グローバルなマインドや職場環境、仕事の進め方など外資系企業で働くうえでのハードルが低いと判断されやすいでしょう。転職活動において、大きなアピールポイントとなります。
外資系投資銀行で必要とされているのは、経済の知識と語学です。
そのため、有利となるのは、経済と語学に関する知識を証明する資格です。
外資系投資銀行の場合、いくら学歴が高くても英語力の低さは大きなデメリット。TOEICやTOEFLで、できるだけ高いスコアを取っておく必要があります。
経営学の大学院修士課程を修了することで得られるMBAや難易度の高い公認会計士、簿記1級も経営・経済についての知識を証明するのに有効です。アナリストとしての活躍を目指すなら、証券アナリストを取得しておくのもいいでしょう。
まずは、英語力を強化しつつ、余裕があればそのほかの資格取得を検討するのがおすすめです。
外資系投資銀行は、優秀な人材からの応募の多い、人気の高い転職先のひとつです。外資系投資銀行で働くメリットは、具体的にどんなところにあるのでしょうか。
外資系投資銀行に転職するメリットについて、詳しく紹介します。
外資系投資銀行は、高額な給与というイメージを持つ人も少なくないでしょう。
外資系投資銀行の場合、昇給ごとに上がる基本給よりも、個人の成果や市場の状況によるインセンティブの割合が高い傾向にある実力主義の世界です。
一般的な企業より報酬は高額ですが、入社したからといって高給が保障されているというわけではありません。部門によっても異なりますが、仕事で成果を上げればその分得られる報酬も高くなり、入社してすぐに高収入を得るケースもあるでしょう。
仕事の頑張りが高額な報酬につながるため、とにかく稼ぎたい、実力を試したいという人には大きなやりがいになるのではないでしょうか。
外資系投資銀行は、各部門の仕事においてしっかり役割分担がされているのが特徴で、所属した部門によって必要な専門スキルや知識が異なります。
日本の企業であれば、役割分担を超えて手伝うこともありますが、外資系企業の場合担当する仕事に集中するのが一般的です。
自分の仕事に集中しやすい環境が整っており、その中でしっかりと専門スキルを伸ばしていくことができます。グローバルな視点から金融マーケットに携わることで、身につけられるスキルや知識もより深くなるでしょう。
外資系投資銀行で働く場合、海外の本社や支店などに勤務できる可能性もあります。
海外勤務に興味がある、語学力を高めたいという人にとって、大きなメリットになるでしょう。実際に海外で働くことで、さらなる語学力アップを目指せたり、国際的な視野を広げたりすることにつながります。
実力主義の外資系投資銀行は、実力や能力、やる気があれば年齢や性別を問わずチャンスがあるため、若くして海外勤務が任される可能性もあります。
また、海外勤務という経験は、帰国後に転職活動を考えている場合にも大いに役立つでしょう。
高給の可能性や専門スキルの習得、海外勤務のチャンスなど、外資系投資銀行で働くことにはたくさんのメリットがあります。
憧れの外資系投資銀行への転職を成功させるためのポイントについて、しっかり押さえておきましょう。
外資系企業の採用選考も日本の企業と大きな違いはなく、エントリーシート提出、筆記試験、集団面接、個人面接という流れで進んでいくのが一般的です。
日本の企業との違いは、英語で面接を行う企業が多いこと。突然英語で質問されることもあるため、事前の対策が必要です。
外資系投資銀行は、専門性の高い業種であり採用人数も一般的にあまり多くありません。
そのため、採用基準は高く、基準を満たしているかどうかが採用に至るカギになるでしょう。
外資系投資銀行では、海外企業とメールのやりとりや会議をしたり、資料を読んだりと、日常的に英語を使うこととなります。
部門にもよりますが、海外とのやりとりが多い場合は、帰国子女レベルの英語力を求められることもあるでしょう。
スキルや職歴が高い水準であっても、英語力が低く戦力にならないと判断されると、採用に至るのは難しくなってしまいます。反対に、英語に加え、ほかの語学を使えることをアピールできるとさらに評価も高まる可能性は大です。
外資系投資銀行への転職を検討するなら、英語をはじめとする語学力を伸ばすのが先決となります。
外資系投資銀行への転職において、基本的には年齢制限はないため、実力さえあれば何歳であってもチャンスがあります。
ただし、銀行業務未経験で採用対象となるのは、20代~30代前半くらいまでが目途となるでしょう。20代前半ならポテンシャル重視で判断されるため、未経験でも問題ない場合もあります。20代後半ともなると、M&Aに携わっていたなど仕事に関わる業務の経験があるのが理想的。30代~40代と年齢が高くなると、経験に加えて業界に関する知識や提案力なども併せて判断されます。
年齢が高くなるごとに、求められるものや採用面接でチェックされるポイントも高くなるため、転職に挑戦するならできるだけ早いタイミングがおすすめです。
キャリアがない新卒採用の場合、学歴を採用の判断基準とするケースが大半です。
採用されるのは東京大学や京都大学、早稲田大学、慶応義塾大学など一部の大学に絞られているため、高学歴であることが重視されています。
しかし、転職において学歴はあまり重要とされないようです。求めているのは、結果を出せる優秀な人材。重視されるポイントとなるのは、学歴ではなく即戦力となるスキルや経験、実績です。
前職で培ったスキルや知識、保有資格、そのほかの適正など、学歴以外の能力で勝負することができるのも転職のメリットといえるでしょう。
外資系投資銀行の求人は、基本的に求人サイトに掲載されていません。出入りの多い業界であることやとにかく優秀な人材が欲しいといった事情から、外資系投資銀行の求人の多くはエージェント経由となります。
そのため、外資系投資銀行への転職を希望しているなら、転職エージェントに登録することが先決。まずは外資系金融に強い転職サイトに登録し、転職エージェントに相談、求人が出たらすぐに連絡してもらう手はずを整えておきましょう。
ひとつに絞るのではなく、複数の転職サイトを活用するのもおすすめです。
外資系投資銀行への転職は、採用基準の高い狭き門。求人も基本的には非公開となっているため、情報を得るだけでも至難の業です。
マイナビエージェントは、可能な限り希望に添ったベストな提案を行う無料の転職エージェントです。各業種の転職事情を知り尽くしたキャリアアドバイザーや企業担当アドバイザーが、徹底的にサポートします。
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