更新日:2024/04/10
この記事のまとめ
「新卒で入社したばかりだけれど思っていた仕事じゃなかったので辞めたい」
「この会社ではキャリアアップが見込めないから転職したい」
など、新卒入社から間もないにもかかわらず「会社を辞めたい」「転職したい」と思い悩む方も一定数いるでしょう。
誰しも一度は「会社を辞めたい」と思うものであり、多くの共感を得られる感情ではありますが、実際に退職するかは慎重に検討すべきです。
そこで今回は、新卒者が会社を辞めたいと思う原因や、辞める前に考えるべきこと、転職のメリット・デメリット、転職活動の際に気をつけるべきポイントなどを解説します。いままさに辞めたいと思っている方も、現状に不満や疑問をもっている方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
新卒で入社したばかりの会社を辞めたいと思っている自分に、罪悪感を覚えている方もいるでしょう。「辞めてから後悔するのではないか」と不安も感じているかもしれません。
しかし、世間の実態を見てみると、あなたと同じように思い悩み、実際に退職という決断をくだした人たちは数多くいます。
厚生労働省のデータを見ると、いまから25年以上前の1997年3月に高校を卒業した方の48.1%、短大・専門学校を卒業した方の41.2%、大学を卒業した方の33.6%が、入社後3年以内に離職しています。
また、2015年3月卒業の方の場合、高卒で39.3%、短大・専門卒者で41.5%、大卒者は31.8%という数値となっており、2018年3月の学歴別離職率を見てみると、高校で36.9%、短大などで41.4%、大学で31.2%となっています。
このデータから見るに、新入社員が3年以内に会社を辞めてしまうことは最近の傾向というわけではありません。辞めたいと考えたり実際に辞めてしまったりすることは決して特別なことではないことが、上記データから見て取れます。
しかし、どうして辞めたいと思うのか、辞めた後どうするのかは、しっかり見つめていくことが大切です。以下の記事も参考にしながら、一度向き合ってみることをおすすめします。
「会社を辞めたいという気持ちは甘えではないだろうか」と自分を責めてしまう方もいるでしょう。しかし、会社を辞めるという結論に対して「甘え」のひと言で片づけるのは、少々短絡的かもしれません。
たしかに、「早起きが嫌だ」「通勤が面倒」といった理由によって新卒で辞めるのは、一般的には甘えと判断されてしまう可能性が高いでしょう。しかし多くの人の場合、現在に至るまでの背景や次項で触れる内容が原因であることが考えられ、それらは複合的な要素で成り立っているはずです。
したがって、新卒で会社を辞めたいと思う自分のことを、やみくもに責める必要はありません。まずは自分がなぜ新卒で会社を辞めたいと思っているのか、原因をしっかり認識することからはじめましょう。
はじめに、新卒社員の退職理由について見ていきましょう。ここでは、新卒者の早期退職の理由として5つの原因をご紹介します。
期待に胸を膨らませて入社した憧れの会社でも「希望する部署に配属されなかった」「地方の見知らぬ土地に転勤させられた」など、すぐに現実の壁に突き当たる方は少なくありません。
名の通った大企業に就職した方ほど、理想と現実のギャップを感じて退職することが生じやすいという傾向があります。
職場に限らず、社会に出れば、人間関係の悩みは避けて通ることが難しいもの。
最近では、パワーハラスメント(パワハラ)やセクシャルハラスメント(セクハラ)以外にも、さまざまなハラスメントがメディアで取り上げられ、個人の人間関係の枠を超えて社会問題に発展することもあります。
日本の企業において、なかなか改善されないのが、長時間労働に代表される労働環境の問題です。「残業が多い」「休日出勤がある」「給料が労働に見合わない」といった環境の悪さに疲弊し、退職を決意する方も多くいます。
長時間労働が長く続くと、精神的に大きなダメージを被り、その後の人生にも大きく影響する懸念があります。
入社後に経営や業績に関わるネガティブな情報を聞いてしまうと、「キャリアを考えて早めに転職した方が良いかもしれない」と不安を抱くかもしれません。色々な会社で経験を積みたい、転職でキャリアアップしたいと考える方も多いと思います。
いざ入社してみると、従来の年功序列から脱却できていない、先輩や上司が自分の目指す将来像ではないといった実情を目の当たりにし、キャリアアップに不安を感じる場合もあるでしょう。そうした場面があれば、辞めたいという感情が芽生えるのも不思議ではありません。
終身雇用が崩れつつあるとはいえ、新卒で入社してすぐ退職することに抵抗を感じる方はまだ多いようです。しかし、結果的に、退職という選択が正解だったという場合もあります。
「会社を辞めたい」と思ったら、退職届を出す前に、次の6つについて考えてみてください。
退職理由の多くを占める人間関係のいざこざですが、言われなき誹謗中傷などが原因となる場合もある一方、自分自身が原因となってしまっているケースも少なくありません。
人間関係が良くないと思ったときに、「自分はしっかりと挨拶ができているか」「他人とコミュニケーションをとるようにしているか」「感謝をしっかり伝えることができているか」といったことを、あらためて考えてみるようにしてください。
もしも、それらができていなかった場合、自らを改善することで職場環境が劇的に良くなることもあるはずです。
「会社を辞めたい」と思う理由が明確であれば、その問題が解決可能かどうか、一度じっくり考えてみましょう。解決策が見つかれば、転職以外の選択肢が開けるかもしれません。
・人間関係の悩み
人事異動で他部署への異動希望を出せないか?
転勤はできないか?
・労働環境が悪い
業務配分について上司に悩みを相談したか?
サービス残業や付き合い残業をしていないか?
仕事に慣れることで、効率良く仕事を回せるようにならないか?
・仕事内容に対する不満
資格を取ったりスキルを身に付けたりすることで、より高度な仕事に従事することができないか?
企業の規模が大きければ大きいほど、新人のうちにやりがいのある大きな仕事を任せてもらえる機会は少なくなります。現状だけを見て嘆くのではなく、ロールモデルとなる上司や先輩社員の働き方を観察しましょう。
時間が解決してくれる問題かそうでないかを見極めなければ、たとえ転職しても同じことの繰り返しになりかねません。
新卒の場合、貯金などの蓄えが乏しい方も少なくないはずです。売り手市場とはいえ、すぐに次の転職先が見つかるとは限りません。また、転職活動をするにも、交通費などお金がかかります。
雇用保険の被保険者であった期間が1年未満の場合は、失業給付金の受給資格を持たない(倒産や解雇など、特定の理由で離職した場合を除く)ため、基本手当の受給ができません。
次の転職先がなかなか見つからず、生活に困窮するケースも実際にあることを知り、ある程度経済的な余裕を持った上で退職するかどうか決めましょう。
「いまの仕事が嫌だから辞める」といった転職の考え方では、転職先でも同じことを繰り返してしまう可能性があります。そのため、まずは自分がやりたいこと、挑戦してみたいことを考えてみましょう。
自主的なやりがいをもてない仕事に就くと、転職先でも「やりがいが感じられないから辞めたい」と思うことになりかねません。本当にやりたい仕事、優先したいものは何かを言語化してから、今後のキャリアプランを考えた上で転職活動をスタートしましょう。そうすることで、ミスマッチを防ぐことができ、長く安定的に働ける職場に巡り会える可能性が高まります。
自分に合っている仕事、特技を活かせる仕事に就くことはもちろん大切ですし、それを求めて転職することは間違いではありません。
しかし、慣れないうちは、どんな仕事であってもうまくいかないものです。
最初のうちから全てを完璧にできる方はいませんから、仕事をはじめてすぐの頃にミスが続いたからといって、「自分はこの仕事に向いていない」「ほかの仕事をしたほうがいい」と考えてしまわないようにしましょう。
このままいまの仕事を続けていくメリットについて考えてみると、新たな気づきが得られるかもしれません。表面的なキャリアパスだけでなく、業務内容や人間関係、労働環境、福利厚生、業界や会社の展望など、角度を変えて各要素を深掘りすることで、続ける目的が見つかる可能性があります。また、これらを考えることで、衝動的な感情をいったん落ち着かせられる効果も期待できます。
後先考えず勢いに任せて退職を決断し後悔する悲劇を回避するためにも、ぜひ一度考えてみましょう。
状況によっては、すぐに会社を辞めたほうがいいケースがあります。
次のような場合には、体や心を壊さないうちに、早めの退職を検討しましょう。
当然ですが、法律に違反してしまっている企業で、長く働き続けるメリットはありません。すぐにでも退職を検討すべきだといえます。
新卒者の多くは、自分の力や存在意義を早く認めてもらうためにがんばりすぎてしまったり、おかしな状況におかしいと伝えることを我慢してしまったりすることも少なくありません。しかし、そうした努力も、企業そのものがしっかり経営されていてこそ意味があるものです。
近年、社会問題として取り上げられるパワハラ問題。こうした状況下にもかかわらず、いまだに職場でパワハラが横行している企業は、早く辞めてしまったほうが無難です。
「愛のムチ」などという言葉もありますが、指導や教育とパワハラはまったく別ものです。自分のミスや至らなさを反省することは大切ですが、だからといって先輩や上司から不当な扱いを受けることは、正しいことではありません。
企業で行われている業務や、その経営状況におかしな点を見つけた場合も、早めに退職をしたほうがいいでしょう。
どんなに自分が努力をしても、会社そのものがつぶれてしまっては元も子もありません。給与の支払い遅延などがすでに発生してしまっている状況などは、かなり末期の状態であり、事態が好転することは考えにくいでしょう。
ニュースなどで劣悪な労働環境の事例が紹介されると、「なぜそのような会社で働いていたのか」と思いがちですが、長時間労働などで心身が疲弊すると、正しい判断力が損なわれていきます。
また、新卒者は「どこの会社でも似たような状況だ」と思い込んでしまう場合もあります。労働環境や経営状態に疑問を感じたときは、なるべく早めに退職を決断することが大切です。
ここからは、新卒者が転職するメリットについて、具体的に見ていきましょう。
新卒者は、いままでとはまったく異なる日々を送る中で、想像を超える緊張やストレスにさらされているはずです。職場環境や人間関係に馴染めず、孤独を感じている方もいるかもしれません。転職によってその環境から離れることで、心身の疲弊から解放されるメリットがあります。
新卒で会社を辞めて転職する際、第二新卒向けの求人を探す方も多いと思います。しかし、一度新卒入社して社会人経験を積んだことで、企業・求人によってはキャリア採用への挑戦も可能となります。
キャリア採用となると、新卒採用とは異なる雇用条件や業務内容が提示されており、活躍のチャンスに恵まれることもあります。
業界・企業研究を万全に済ませていたとしても、実際の社会人経験がない新卒の就活では、あくまでも想像や想定の範囲内で判断し就職先を選ぶしかありませんでした。しかし、一度就職して働いた経験をもつ新卒者は、社会の仕組みや業界、企業のこと、自分の適性や弱点がある程度把握できているため、就職先の選択肢が広がります。
加えて、新卒採用で十分な人材を確保できなかった企業が第二新卒をターゲットに採用活動を活発化させているケースもあります。そのため新卒時は手が届かなかった企業に挑戦できることもメリットといえるでしょう。
続いて、新卒者が転職するデメリットについて、具体的に見ていきましょう。
新卒者の転職活動において応募先企業の採用担当者が真っ先に疑念を抱くのが、「採用してもまたすぐに辞めてしまうのではないか」という点です。現に新卒で就職後に短期間で転職に至っているわけですから、企業側も採否は慎重にならざるを得ません。
採用基準は各社それぞれであり、転職回数にとらわれず人柄やポテンシャルで評価する企業もあります。しかし、年齢のわりに転職回数が多い人材に関してはマイナスな印象を持つ採用担当者もいます。
新卒者の転職も例外ではありません。そのため、なぜ転職をしたのか、理由を明確にし、しっかりと説明ができる様にしておくことが大切です。
転職回数が多い人の転職活動については以下の記事を参考にしてみてください。
辞める前に考えるべきことでも説明しましたが、転職活動をするとなると、ある程度の経済的負担を覚悟しなければなりません。履歴書・職務経歴書の作成や、転職サイト・転職エージェントの利用料、面接時の交通費などの費用がかかり、転職活動が長期化するほど負担が大きくなっていきます。
新卒での就職活動と、第二新卒という立場での転職活動では、成功するためのポイントに大きな違いがあります。第二新卒として転職活動をする場合は、次のような点に気を付けましょう。
「新卒者ですぐに転職しようとしている人材を採用しても大丈夫だろうか」という企業側の懸念を解消するためにも、退職理由はネガティブにならないように注意しましょう。たとえネガティブな理由だとしても、発想を転換して言い回しを変えたり、同じことを繰り返さないための具体案を示したりすると、採用担当者に安心感を与えられます。
「せっかく採用しても、またすぐに退職するのではないか」というイメージを払拭するためには、具体的なキャリアプランを示すことが大切です。前職でどのような経験をし、それを基に、応募企業でどのように活躍したいのか、論理的に説明できるようにしましょう。
「社風が合わない」「仕事内容に納得がいかない」というミスマッチを防ぐためにも、業界・企業分析は徹底的に行ってください。業界・企業分析を行うことで、自身のキャリアプランを明確に描くことができます。また、履歴書に志望動機を書く際にも活かすことができるでしょう。
新卒の就活時にも多くの方が経験したであろう自己分析は、転職活動においても必須です。前回の実施から間もなかったとしても、あらためて自己分析をおこない、自分についての理解を深めましょう。学生時代と就職し社会人経験を積んだ現在とでは、分析の結果も変わってくるはずです。
大手企業のほうが、中小企業に比べて、福利厚生など待遇面が充実しているのは事実です。しかし、社員の人数が多い分、大きな仕事を与えられるチャンスは少なくなります。
ネームバリューや待遇面だけでなく、仕事内容や企業の将来性などにも目を向け、本当に自分に合う企業を選びましょう。
辞めたいと思ったからといって衝動的に退職するのではなく、タイミングや時期を見極めましょう。会社の繁忙期を避ける配慮が必要なほか、転職活動には適した時期が存在します。一般的に2月~3月、8月~9月は求人数が多い時期なので、選択肢が広がります。また、4月入社を目指せば、新入社員と同時に研修を受けたり交流を深められたりするメリットもあります。
転職時期の詳細については以下の記事を参考にしてみてください。
新卒として入社後に「辞めたい」と感じることは決して特別なことではなく、誰しも一度は経験したことがある感情です。そのため、甘えだと自分を責めたり落ち込んだりする必要はありません。
ただし、辞めたいという感情が芽生えた後に取る行動は慎重にすべきです。辞めたい気持ちが暴走し、衝動的に退職して後悔しないためにも、原因を見極めたり自分と向き合ったりする時間をもち、新卒で転職するメリットやデメリットも理解した上で次の一歩の踏み出し方を決めましょう。
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